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20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2018年3月19-20日 於:アルゼンチン・ブエノスアイレス)

 世界経済の見通しは、2010年以来最も幅広く同時に生じている世界的な成長の上向きと、投資と貿易における回復により、2017年10月に行われた前回の会合から、引き続き改善している。我々はこの進展を歓迎するが、世界経済の健全なファンダメンタルズにも関わらず起きた最近の市場変動は、リスクや脆弱性への注意を喚起させる。下方リスクは根強く、中期的には、成長を引き上げ、より包摂的にするという課題が残っている。構造的な成長の阻害要因に対処し、バッファーを再建し、過度の世界的な不均衡を縮小し、リスクを緩和するため、行動を起こす時である。我々は、金融環境の予想より早い引締めにより生じる金融上の脆弱性や高まる経済的・地政学的緊張を含む、見通しに対する主要なリスクを議論した。我々は、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な成長を支えるため、引き続き、全ての政策手段を用いることに合意する。我々は成長力を強化するために構造改革を実行する。財政政策は、経済・金融の強靭性を高め、また債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、機動的に実施し、成長に配慮し、質の高い投資に優先したものにするべきである。強固なファンダメンタルズや健全な政策、強靭な国際通貨システムは、為替レートの安定に不可欠であり、強固で持続可能な成長や投資に貢献する。柔軟な為替レートは、場合によっては、ショックを吸収するものになりうる。我々はまた、為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する。我々は、通貨の競争的切下げを回避し、競争力のために為替レートを目標としない。国際的な貿易及び投資は、成長、生産性、イノベーション、雇用創出及び開発のための重要なエンジンである。我々はハンブルク・サミットでの貿易に関する首脳の合意を再確認し、更なる対話や行動の必要性を認識する。我々は、我々の経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいる。

 デジタル化を含むテクノロジーは、その国境がなく、形を持たないという性質や、認知的作業を自動化する能力の高まりにより、世界経済を根本的に作り変えつつある。我々は、その変化の性質や、その変化が持ちうる意義についての共通理解を作成しつつある。変革を起こす技術は、新しいビジネス手法や新しい産業、新しくよりよい仕事、より高いGDP成長や生活水準といった、計り知れない経済的機会をもたらすことが期待される。それと同時に、その移行は個人、ビジネス、政府に対する課題を生み出す。この課題には、労働市場の変化や、スキルと適応能力の重要性の高まり、国内外での格差の拡大のリスク、が含まれる。好機を活用し、すべての人々が恩恵を享受できるよう、国際協調を含む政策対応が必要である。そのため、我々は7月の会合において検討するため、政策の選択肢のメニューを作成することに合意する。

 インフラは、生産性を向上させ、連結性を強化し、長期の包摂的な成長を維持し、市民に新しい経済への物理的・電子的なアクセスを確保するために、重要である。その重要性にもかかわらず、インフラ整備の資金ギャップが依然として存在している。公的資金による手当ては不可欠だが、全世界的なインフラ需要を満たすために、更なる民間資金の動員が必要である。このため、我々はインフラを投資のアセットクラスとして発展させるための必要条件を整備することに合意する。我々は、過去のG20の成果に基づき、また、我々の目標を実現するために必要な措置をとりまとめた「インフラを投資対象とするためのロードマップ」を支持する。ロードマップは、規制の枠組みや資本市場、質の高いインフラを含む7つのワーク・ストリームを特定する。2018年において、ロードマップにおける我々の焦点は、プロジェクト組成の強化、契約及びインフラ金融商品の標準化の推進、データギャップへの対応、各国固有の状況を考慮したリスクの軽減である。我々は、民間セクターとの対話の継続と深化を期待する。

 我々は、グローバル・インフラストラクチャー・ハブの独立した理事会の報告が、マンデートの延長を推奨していることに留意する。我々は、取組の重複を避けるためMDBs等の支援する現在のイニシアティブ間の協調を求める。

 我々は、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFを中心としたグローバル金融セーフティーネットの更なる強化へのコミットメントを再確認する。我々は、第15 次クォータ一般見直しを完了することと、ダイナミックな国々のシェアが、これらの国々の世界経済における相対的な地位に沿って増加し、その結果新興市場国・途上国全体としてのシェアが増大しうるような、クォータシェアの調整の基礎としての新たなクォータ計算式に合意すること、一方で最貧国のメンバーの発言権と代表性を保持することを、2019 年春会合まで、遅くとも2019 年年次総会までに実施するようコミットしている。

 国境を越えた資本フローは大きな便益をもたらすが、その規模と変動は政策的課題となり得る。我々は引き続き、資本フローを監視し、国際通貨システムの強靭性を向上させるための手段についての理解を精緻化する。我々は、システミックリスクを限定するマクロプルーデンス政策の重要性を認識する。我々は、資本フロー管理措置及び、各国の事情を考慮しつつ、同措置が効果的になり得る条件についての理解を引き続き深める。我々は、各国固有の対応における参考となるよう、資本フローについてのIMFの「機関としての見解」に基づいた、IMFによるさらなる取組に期待するとともに、OECD資本移動自由化コードの見直しの結果に期待する。

 低所得国における債務水準の上昇はこれらの国々の債務脆弱性に関する懸念をもたらしている。我々は公共財政管理に関する能力開発、国内政策枠組みの強化、そして、情報共有の促進が、低所得国における新たな債務破綻を避ける助けとなりうることに合意する。我々は債権者と債務者の両サイドにおいてより高い透明性を求める。我々は、二国間の公的債務を再編するための主要な国際フォーラムとして、新興債権国のより幅広い参加に向けてパリクラブが進めている作業を支持することを再確認する。我々は、低所得国における債務の記録と報告に関するIMF及び世界銀行グループによる技術支援の必要に応じた提供を支持し、これら機関による債務の透明性に向けた取組に期待する。

 グローバル金融システムは引き続き、開かれ、強靭で、成長を支え、合意された国際基準に基づくものでなくてはならない。我々は、金融システムにおいて生じつつあるリスク及び脆弱性を引き続きしっかりと監視し,必要に応じ対処する。我々は、金融危機後の規制改革の主要な要素の完了となるバーゼルⅢの最終化を歓迎する。我々は、完全、適時かつ整合的な規制改革の実施及び最終化と、実質的な意図せざるいかなる結果も特定・対処し、規制改革がその目的を達成することを確保するための評価を行うことに、引き続きコミットしている。我々は、FSB主導の、インフラ投資金融及び店頭デリバティブの清算集中を促すインセンティブへの影響を含む規制改革の評価に期待する。我々はコルレス銀行関係の減少に対処し続ける。

 我々は、暗号資産の基礎となる技術を含む技術革新が、金融システムの効率性と包摂性及びより広く経済を改善する可能性を有していることを認識する。しかしながら、暗号資産は実際、消費者及び投資家保護、市場の健全性、脱税、マネーロンダリング、並びにテロ資金供与に関する問題を提起する。暗号資産は、ソブリン通貨の主要な特性を欠いている。暗号資産は、ある時点で金融安定に影響を及ぼす可能性がある。我々は、暗号資産に適用される形でのFATF基準の実施にコミットし、FATFによるこれらの基準の見直しに期待し、FATFに対し世界的な実施の推進を要請する。我々は、国際基準設定主体がそれぞれのマンデートに従って、暗号資産及びそのリスクの監視を続け、多国間での必要な対応について評価することを要請する。

 我々は、世界規模で公正、現代的な国際課税システムのための取組を続けるとともに、国際協力及び成長志向の租税政策を歓迎する。我々は、「税源浸食と利益移転」パッケージの実施に引き続きコミットしており、これまでの進展を歓迎する。経済の電子化が国際課税システムにもたらす影響は依然として重要な未決着の課題である。我々は、経済の電子化が国際課税システムにもたらす影響を分析したOECD中間報告書を歓迎する。我々は、2019年に進捗状況の報告を、2020年までに合意に基づいた解決策を追求すべく共に取り組むことにコミットする。

 我々は、税の透明性について大きく進捗してきた。本年、透明性基準及び税の情報交換の必要事項を実施するための更なる進展が見込まれる。2018年中に税に関する金融口座情報の自動的交換を開始する予定の法域は、必要なすべての措置が期限内に講じられるよう確保すべきである。我々は、すべての法域に対し多国間税務行政執行共助条約への署名及び批准を求める。我々は、各法域による国際的に合意された税の透明性基準の遵守状況を評価するための基準の更なる強化の在り方についてのOECDの提言に期待する。リストに載った法域に対しては、防御的措置が検討される。我々は、開発途上国の税に関する能力構築への援助を引き続き支援する。我々は、「税に関する協働のためのプラットフォーム」の第1回会合の開催及び新たな国際課税の諸基準を実施するための開発途上国支援の取組を歓迎する。我々はまた、各国に対し、税の安定性向上を奨励する。

 我々は、テロ資金供与、マネーロンダリング及び大量破壊兵器拡散資金供与との我々の闘いの強化にコミットする。我々は、世界中でのFATF勧告の、完全、効果的かつ迅速な履行を求める。我々は、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策の基準設定主体として、FATFがその組織基盤、ガバナンス及び実施能力を更に強化することへの我々の支持を再確認する。我々は、大量破壊兵器拡散資金供与に対抗する取組みの強化をFATFに求める。

(以 上)