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令和6年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(令和7年2月19日)詳細

1.不正薬物等

不正薬物全体の摘発件数は1,020件(前年比24%増)、押収量は約2,579kg(同6%減)となった。押収量は初めて2年連続で2トンを超え、過去3番目を記録し、極めて深刻な状況となっている。

不正薬物の摘発件数と押収量の推移

グラフ(不正薬物の摘発件数と押収量の推移)

(注)
  • 令和元年は、平成31年1月から令和元年12月を示す。以下同じ。
  • 令和6年の数値は速報値である。
  • 大麻には、令和6年12月12日に施行された大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律における、麻薬である大麻及びTHC類製品を含む。THC類製品とは、大麻の有害成分であるTHC類(テトラヒドロカンナビノール類)を含有する液体や菓子類をいう。
  • その他とは、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物をいう。

(1)覚醒剤

  • 覚醒剤の摘発件数は、139件(前年比53%減)、押収量は約1,761kg(同22%減)と共に減少したが、押収量は過去3番目を記録した。
  • 押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約5,870万回分、末端価格にして約1,162億円に相当する。
  • 密輸形態別の押収量では、海上貨物が約1,015kg(同7%増)と、前年より増加したが、航空貨物が約394kg(同47%減)、国際郵便物が約41kg(同70%減)と、大幅に減少した。また、航空機旅客は約311kg(同26%減)と減少したが、引き続き高水準で推移している。
  • 覚醒剤の密輸仕出地別摘発実績では、件数の割合をみると北米が40%(55件)と最多となった。また、押収量の割合については、中南米が56%(約977kg)と最大となった。

グラフ(航空機旅客の摘発件数と押収量の推移)

グラフ(国際郵便物の摘発件数と押収量の推移)


グラフ(航空貨物の摘発件数と押収量の推移)

グラフ(海上貨物の摘発件数と押収量の推移)


グラフ(船員等の摘発件数と押収量の推移)

(注)

  • 航空機旅客には、航空機乗組員を含み、船員等には、洋上取引、船舶旅客等を含む。
  • 航空貨物には、航空での別送品を含み、海上貨物には、海上での別送品を含む。
  • 数量の表記について、「0」とは500g未満の場合を示し、「-」とは全く無い場合を示す。

円グラフ(覚醒剤・仕出地域別件数)

円グラフ(覚醒剤・仕出地域別押収量)



【事例1】

メキシコから到着した航空貨物(ブルーベリーのプラスチック容器)に隠匿された覚醒剤約59kgを摘発した。
(令和6年10月・横浜税関等)

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【事例2】

カナダから成田国際空港に到着した旅客の携帯品(スーツケース)に隠匿された覚醒剤約19kgを摘発した。
(令和6年6月・東京税関) 

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【事例3】

タイから福岡空港に到着した旅客の携帯品(布製バッグ等)に隠匿された覚醒剤約11kgを摘発した。(令和6年3月・門司税関)

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【事例4】

タイから到着した国際郵便物(石鹸)に隠匿された覚醒剤約4kgを摘発した。(令和6年4月・門司税関)

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(2)大麻

  • 大麻(大麻草・大麻樹脂等)の摘発件数は390件(前年比約2.9倍)、押収量は約344kg(同約2倍)と共に増加し、摘発件数は過去最高を記録した。
  • 大麻草の押収量は約211kg(同約2.4倍)、大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む。)の押収量は約133kg(同59%増)と共に増加した。
    • 大麻草には、令和6年12月12日に施行された大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律における、麻薬である大麻を含み、大麻樹脂等には、同法における、麻薬であるTHC類製品も含まれる。THC類製品とは、大麻の有害成分であるTHC類(テトラヒドロカンナビノール類)を含有する液体・菓子類をいう。

  • 大麻の仕出地別摘発件数では、タイが47%、次いで米国が26%、ベトナムが10%となり、アジア及び北米で約9割を占めた。

グラフ(摘発件数と押収量の推移)

円グラフ(仕出地別摘発件数)



【事例5】

タイから成田国際空港に到着した旅客の携帯品(スーツケース)に隠匿された大麻草約16kgを摘発した。(令和6年9月・東京税関)

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【事例6】

タイから到着した国際郵便物(アルミ袋)に隠匿された大麻草約3kgを摘発した。(令和6年5月・横浜税関等)

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【事例7】

アメリカから到着した国際郵便物(キャンディー)に隠匿された大麻粘質物約825gを摘発した。(令和6年5月・大阪税関)

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【事例8】

アメリカから神戸港に到着した船員の携帯品(スーツケース)等に隠匿された大麻リキッド約2.9gを摘発した。
(令和6年11月・神戸税関)

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(3)麻薬

  • 麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は322件(前年比34%増)、押収量は約464kg(同49%増)、錠剤型は約67千錠(同37%増)と共に増加し、摘発件数は過去最高を記録した。
  • コカインの摘発件数は54件(同24%減)と減少し、押収量は約260kg(同約2.1倍)と増加した。
  • MDMA等の摘発件数は90件(同48%増)と増加し、押収量は約139kg(同19%増)、錠剤型は約67千錠(同37%増)と共に増加した。

【事例9】

ブラジルから成田国際空港に到着した旅客が飲み込んで体内に隠匿したコカイン約696gを摘発した。(令和6年10月・東京税関)

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【事例10】

オランダから到着した国際郵便物(浄水器)に隠匿されたケタミン約3kgを摘発した。(令和6年9月・名古屋税関)

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【事例11】

カナダから到着した航空貨物(入浴剤)に隠匿されたMDMA約2kgを摘発した。(令和6年6月・名古屋税関等)

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【事例12】

台湾から那覇空港に到着した旅客の携帯品(紙製箱)に隠匿されたヘロイン約4.2gを摘発した。(令和6年3月・沖縄地区税関)

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(4)指定薬物

  • 指定薬物の摘発件数は163件(前年比14%増)と増加し、押収量は約10kg(同22%減)と減少した。

【事例13】

フランスから到着した国際郵便物に隠匿された指定薬物(亜硝酸イソペンチル)約129gを摘発した。(令和6年7月・函館税関等)

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(5)銃砲・拳銃部品

  • 銃砲の摘発件数は26件(前年比26倍)、押収量は27丁(同27倍)と共に増加した。
  • 拳銃部品の摘発件数は1件、押収量は1点と共に増減なしであった。

2.金地金

  • 金地金*密輸入事件の摘発件数は493件(前年比約2.3倍)、押収量は約1,218kg(同約4倍)と共に増加した。

    *金地金には、金塊に加えて一部加工された金製品も含む。

【金地金の過去10年間の摘発状況】
H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R4 R5 R6
摘発件数(件) 465 811 1,347 1,086 61 51 5 9 219 493
押収量(kg) 2,032 2,802 6,277 2,054 319 150 27 135 302 1,218

(注)令和6年の数値は速報値。

  • 密輸形態別摘発実績では、摘発件数493件のうち、航空機旅客によるものが429件となり、全体の約9割を占め、摘発押収量約1,218kgのうち、航空貨物によるものが約656kgと全体の約半数を占めた。
  • 密輸仕出地別摘発実績では、アジアからの摘発件数が大宗を占め、香港からの摘発が281件と最も多く、全体の約6割を占めた。

密輸形態別の摘発状況(R6)

密輸形態 摘発件数(件) 押収量(kg)
航空機旅客 429 480
国際郵便物 15
航空貨物 28 656
海上貨物
船員等 21 73
合計 493 1,218
(注)

1.航空機旅客には航空機乗組員を含む。航空貨物には、航空での別送品を含み、海上貨物には、海上での別送品を含む。船員等には、洋上取引、船舶旅客等を含む。

2.端数処理のため、数値が合わないことがある。

密輸仕出地別の摘発件数(R6)

円グラフ


【事例1】

愛媛県沖において洋上取引された金地金約40kgを愛媛県今治市の浮桟橋において摘発した。(令和6年11月・門司税関)

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【事例2】

香港から到着した航空貨物(プラスチック製パレット)に隠匿された金地金約160kgを摘発した。(令和6年1月・大阪税関)

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3.知的財産侵害物品等

(1)知的財産侵害物品

  • 商標権を侵害する衣類等の密輸入事件等の知的財産侵害物品の密輸入事件を10件告発した。

【事例1】商標権を侵害する衣類等の密輸入事件

中国から航空貨物により商標権を侵害する衣類等34点を密輸入しようとした日本人1名を関税法違反で告発した。
(令和6年7月・長崎税関)

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(2)ワシントン事案

  • ツルサイカチ属に該当する木材等のワシントン条約該当物品の密輸入事件を2件告発した。

【事例2】木材の密輸入事件

パラグアイから航空貨物によりツルサイカチ属に該当する木材1枚を密輸入しようとした法人1社及び日本人1名を関税法違反で告発した。(令和6年6月・大阪税関)

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(3)輸出事案

  • 水上バイク等の不正輸出事件等の不正輸出事件を5件告発した。

【事例3】水上バイク等の不正輸出事件※対露経済制裁後初のロシア向け迂回輸出事件の告発

ロシアへ海上貨物により水上バイク4台等を不正に輸出した法人1社及びロシア人1名を関税法違反で告発した。
(令和6年7月・大阪税関)


【事例4】盗難車の不正輸出事件

アラブ首長国連邦へ海上貨物により盗難車2台を不正に輸出しようとしたオーストラリア人1名を関税法違反で告発した。
(令和6年12月・横浜税関)

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(4)その他

  • 偽造有価証券の密輸入事件を告発した。

【事例5】偽造有価証券の密輸入事件

中国から航空機により偽造有価証券600枚を密輸入しようとした中国人1名を関税法違反で告発した。(令和6年10月・大阪税関)

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