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「国家公務員宿舎の削減計画」に基づくコスト比較等による個別検討結果及び宿舎使用料の見直しについて

1.経緯

昨年12月1日、財務省に設置した「国家公務員宿舎の削減のあり方についての検討会」(座長:財務副大臣)において、「国家公務員宿舎の削減計画」(以下「削減計画」という。)が策定・公表された。

削減計画では、国家公務員宿舎に入居が認められる職員を5つの類型に限定し、当該5類型をもとに各府省が必要戸数の精査を実施した(参考1参照)。この結果、国家公務員宿舎全体の必要戸数は約16.3万戸となり、今後5年を目途に、宿舎戸数21.8万戸に対して5.6万戸(25.5%)程度の削減を行うとの方針が示された。また、削減計画では、同計画において示された方針に基づき、公表時点で廃止が決定された宿舎、計2,393住宅(約1.6万戸)について、具体的な宿舎名等の一覧が公表された。

(参考)削減計画で廃止が決定された宿舎(2,393住宅)の売却実績等
平成24年9月末時点で、削減計画で廃止が決定された宿舎、計2,393住宅のうち、
マル1 売却済の宿舎は107住宅(455戸、6万5千平方メートル、契約金額119億円)
マル2 平成24年度中に売却予定の宿舎は138住宅(700戸)
マル3 退去期限が到来し廃止手続き中の宿舎は1,262住宅(8,862戸)

となっている。

さらに、削減計画においては、追加で廃止する宿舎について「コスト比較等により個別の検討」を行い、「その結果について、1年以内を目途に公表を行う」との方針が示されている。今般、当該方針に基づいてコスト比較等により個別に検討を行い、その結果をとりまとめた。

また、宿舎使用料については、削減計画において「宿舎の建設、維持管理等に係る歳出に概ね見合う歳入を得る水準まで引上げを行う。具体的な引上げ幅については、今後行う個別宿舎に係る検討等を踏まえ、また、関係者の理解を得られるよう努めた上で」決定する、とされていることから、見直しの内容について、併せてとりまとめた。

 

2.コスト比較等による個別検討結果

今後5年を目途に必要戸数約16.3万戸まで宿舎戸数を削減するため、コスト比較等により個別の検討を行った。具体的には、老朽化し耐震性等に問題がある宿舎等を対象に、売却収入や法定容積率の利用率、業務上の必要性や立地等を勘案して廃止する宿舎を選定するとともに、存置することとした耐震性等に問題がある宿舎については、より詳細なコスト比較を実施し、その処置について判定を行った。

こうした個別検討の結果、全国10,684住宅のうち、(削減計画で廃止が決定された2,393住宅を含め、合計で)5,046住宅(一部廃止も含む。)を廃止することを決定した(具体的な宿舎名等の一覧は別紙1-1のとおり。)。これにより、5.6万戸程度の削減幅が達成されることとなる。

(注1)

複数の棟により構成される宿舎のうち、一部の棟のみを廃止する宿舎(一部廃止)は514住宅。

(注2)

老朽化した宿舎に関するコスト比較等の実施と判定結果
  まず、削減計画で廃止が決定された2,393住宅以外の宿舎のうち、今後5年間で築年数が40年を超える宿舎等、老朽化し耐震性等に問題があるもの等について、売却収入や法定容積率の利用率、業務上の必要性や立地等を勘案し、廃止する宿舎を選定した。
  また、存置することとした老朽化し耐震性等に問題がある宿舎については、削減計画における「コスト比較等を行うことによって、極力、耐震改修等により対応し、できる限り、建替を抑制」するとの方針の下、詳細なコスト比較を実施し、耐震改修等(長寿命化)、借受への移行、建替のいずれの処置を行うか判定を行った(コスト比較等の手法は、民間企業からのヒアリングや有識者の意見等を踏まえつつ、財政制度等審議会国有財産分科会(平成24年9月11日開催)における審議を経て策定したものである(参考2、3、4参照)。)。
  この結果、耐震改修等(長寿命化)と判定された宿舎は471住宅、借受に移行するものと判定された宿舎は62住宅、建替と判定された宿舎は38住宅となった(具体的な宿舎名等の一覧は別紙1-2のとおり。)。なお、借受への移行や、集約化のための建替に伴って、廃止となる宿舎が出てくる(これらも上記の廃止宿舎数に含まれている。)。

(注3)

コスト比較等の結果、建替と判定された宿舎の多くは、居住場所が官署の近接地に制限されている刑務官や自衛官用の宿舎等となっている。

なお、廃止する宿舎については、その跡地をできる限り速やかに売却すること等により、国の財政に貢献することを目指す。これにより捻出される財源については、現在のところ確定的なことはいえないが、削減計画で既に廃止決定された分も含め、概算すると、約1,700億円と見込まれる。

(注)捻出が見込まれる財源の金額は、廃止宿舎跡地の現時点での売却収入見込額から、宿舎解体に必要な経費等を控除したもの。なお、耐震改修等、借受への移行、建替に伴い必要な費用が別途生じる。また、実際に捻出される財源は、不動産市況等により変わりうる。

上述の5,046住宅の廃止を進めることで、削減計画で示された5.6万戸(25.5%)程度の宿舎戸数の削減幅を実現することになるが、これに止まることなく、国家公務員の働き方のあり方等についての見直しや、国有財産の有効活用、PFIや借上げによる宿舎の活用、資産の圧縮といった視点とともに、行財政改革や宿舎の入居状況等を踏まえつつ、必要に応じて、宿舎戸数や建設・管理コストについて、更なる削減努力を行っていく。

 

3.宿舎使用料の見直し

宿舎使用料(駐車場の使用料を含む。)については、削減計画の方針に基づき、宿舎に係る歳出に概ね見合う歳入を得る水準まで引上げを行う必要がある。このため、宿舎に係る歳出を網羅的に把握し、これに基づき宿舎使用料を算定する。
具体的には、宿舎の改修費(耐震改修等を含む。)、借受宿舎の賃料、宿舎建設費に係る減価償却費、宿舎行政に従事する公務員や宿舎管理人の人件費などを勘案して、宿舎に係る歳出に概ね見合う歳入を得ることができるよう、宿舎使用料を見直す。

現時点における試算では、宿舎戸数の削減などを反映した平成28年度以降の宿舎に係る歳出は年間約550億円程度であり、現在の使用料水準で算定した使用料収入は年間約280億円程度と見込まれ、宿舎に係る歳出に概ね見合う歳入(使用料収入)を得るためには、全体として、現行の宿舎使用料を概ね2倍弱増加させる必要がある。
なお、別紙2では、東京23区及び地域手当非支給地域について、現時点で見込まれる引上げ後の宿舎使用料の概算額等を示している。

宿舎使用料の引上げ時期については、平成24年4月から平成26年3月までの間国家公務員給与について減額支給措置が講じられていることから、国家公務員給与の減額支給措置終了後の平成26年4月から引上げを開始する。

また、今回の引上げが過去に例のない規模であることから、激変緩和措置として、2年ごとに3段階で引上げを実施する。

 

別紙

 

参考

 

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