このページの本文へ移動

(別紙2)事務局によるアンケート・ヒアリング等のとりまとめ結果

(別紙2)

事務局によるアンケート・ヒアリング等のとりまとめ結果



.輸出取引における円建て化の現状と課題
 研究会の参加メンバーを含めて、幅広く、関係企業にアンケート、ヒアリング等を事務局を通じて行うとともに、有識者に幅広く意見を求め、その結果を事務局が取りまとめた。その概要は以下の通りである。

 

(1

)アンケート・ヒアリング等によって把握された輸出企業の現状認識と貿易取引の円建て化に向けての取組みの状況

 

 

.アンケート・ヒアリング等においては、輸出企業のほとんどが、一般論としては、企業経営が為替の変動の影響を受けないようにすることが望ましく、そのために、貿易取引の円建て化を推進することが必要と認識しているとの回答があった。

 

 

.他方で、輸出企業からは、貿易取引(輸出取引)の円建て化を現実に進めていくことについては、

 

 

 

(イ

)取引先に為替の変動リスクを負担させることになり、営業上不利益を被る、

(ロ

)海外の現地法人に為替管理を委ねず、本社で為替リスクを集中的に管理する方がコストが軽減される、

(ハ

)外貨建ての輸入取引が存在するため、輸出取引を外貨建てで行い、為替のマリーを行っている、

 

 

 

等の問題があるとの指摘があった。

 

 

.他方で、有識者等よりは、以下に記述するように、輸出取引の実態を見ると、以前からの慣行等によって外貨建てとなっている取引もあり、例えば、輸出の仕向け地ごとにきめ細かに検討を加えれば、円建て化を進める余地があると考えられるとして、取引の円建て化に向けて、幅広い検討課題の指摘があった。

 


(2


)北米向け販売用最終財(部品及び完成品)の輸出

輸出企業(日本) → (在北米海外現地法人/販売会社) → 最終需要者(北米)
部品及び完成品部品及び完成品

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 ドル建て決済が大半で、円建ては少ない。

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 最終仕向け地が北米であることから、顧客の選考する決済通貨はドル建てとなる。

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題

 

 

(イ

)在米現地法人/販売会社に対して、我が国金融機関等により円建てファイナンスの充実や円・ドル間の為替リスク回避手段の提供等ができれば、円建て取引が推進されるのではないか。

 

 

(ロ

)親子会社間での円建てファイナンスを活用すれば、取引の円建て化が推進されるのではないか。

 

(注

)本社における為替決済の集中管理との関連

 

.為替業務については、本社に集中している場合であっても、現地法人のキャッシュ・ファイナンス等については、現地で管理している企業も多い。

 

.企業によっては、本社に為替業務を集中せず、米州、欧州、アジア等のそれぞれの地域の拠点に為替決済を集約した上で、その後、全社の為替管理を一箇所の海外拠点に集中させている例もある。


 (3


)欧州向け販売用最終財(部品及び完成品)の輸出

輸出企業(日本) → (在欧州海外現地法人/販売会社) → 最終需要者(欧州)
部品及び完成品部品及び完成品

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 ユーロ建て決済となっている例が多いが、ドル建て決済の割合も少なくない。円建て決済は少ない。

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 基本的に顧客選好及び取引慣行によるところが大きい。また、国際取引がドル建てで行う慣行となっているため、ドル建てで決済されているものもある。

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題

 

 

(イ

)ドル建て取引の転換
 ユーロ建ての取引とすることが、現地における営業の観点から合理的である場合があるにもかかわらず、ドル建てとなっている取引については円建て化が検討できないか。

 

 

(ロ

)円建てファイナンス等の活用

   

.欧州において、我が国金融機関等により円建てファイナンスの充実や円・ユーロ間の為替リスク回避手段の提供等ができれば、円建て取引が推進されるのではないか。

.親子会社間での円建てファイナンスを活用すれば、円建て取引が推進されるのではないか。


 (4


)アジア向け、現地での販売用最終財を生産するための部品等の輸出

輸出企業(日本) → 在アジア海外現地法人(生産拠点) → 現地最終需要者
部品等完成品

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 品目により円建て割合が高いものもあるが、かなりの取引がドル建てで決済されている。現地通貨建て取引は限定的。

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 建値の決定は以前からの取引慣行による。また現地通貨がドルとリンクしている場合にドル建てが選好されている。

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題

 

 

(イ

)円建て取引

   

.現地では現地通貨建てで製品を販売するため、現地への部品等の輸出も現地通貨建てとすることが合理的な場合であるにもかかわらず、ドル建てで輸出が行われているのであれば、円建て化も可能ではないのか。

.円と現地通貨の連動が高まっている通貨については、ドル建て取引より円建て取引の方が現地に為替リスクを転嫁することにならず、望ましいのではないか。

.円建てファインナンス等の活用により円建て化が図れないか。

 

 

(ロ

)現地通貨建て取引

   

.現地通貨と円の連動が高ければ、現地通貨に移行する方が、為替変動によって企業収益の受ける影響が軽減されるのではないか。

.現地における営業の合理性からは、ドル建てから現地通貨建てに移行することができないか。特に、我が国企業の海外拠点の為替リスクを軽減する観点から、現地通貨建てによる輸出が効率的ではないか。

.現地通貨建てでの輸出が困難となっているのは、現地通貨建てファイナンスの未整備や現地通貨にかかる取引規制等のためであれば、こうした問題を解決することにより、ドル建てから現地通貨建ての取引に移行できるのではないか。


 (5


)アジア向け、日本を最終仕向地とする販売用最終財を生産するための部品等の輸出

輸出企業(日本) → 在アジア海外現地法人(生産拠点) → 最終需要者(日本)
部品等完成品

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 日本への逆輸入がドル建てであれば、日本からの輸出もドル建てで決済。他方で、円建てで逆輸入する場合には、輸出時も円建てで決済。

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 建値の決定は基本的に以前からの取引慣行による。また債権債務をマリーする観点から、日本からの輸出入において同一通貨建てとなっているケースもある。

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題

 

 

(イ

)完成品が対日輸出される場合にもドル建てで部品等を輸出して、ドル建てで完成品を輸入するのでは、その間に、為替ヘッジ等のコストを要する可能性があることに鑑みると、日本からの輸出、逆輸入ともに、円建てで行うことが合理的ではないか。

 

 

(ロ

)アジアにおける円建てファイナンス等を円滑にすることで、円建て化を促進できるのではないか。


 (6


)アジア向け、欧米を最終仕向地とする販売用最終財を生産するための部品等の輸出

輸出企業(日本) → 在アジア海外現地法人(生産拠点) → 最終需要者
 (北米・欧州)
部品等  完成品
 

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 日本からの輸出はドル建てが多く、円建ては少ない。

 

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 基本的に顧客選好及び取引慣行によるところが大きい。

 

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題

 

 

 

(イ

)欧州向け輸出

    

.在アジア現地法人から欧州への輸出はユーロ建てとすることが、現地での営業上、合理的な場合が多いものと考えられるが、ドル建てとなっているケースもある。この場合に、欧州向け輸出がユーロ建てに移行するのであれば、日本からの輸出をドル建てとする合理性は少なく、円建て化が可能なのではないか。

.アジアにおける円建てファイナンス等の充実により、円建て化が促進できるのではないか。

 

 

 

(ロ

)米国向け輸出
 在アジア現地法人から米国向けの輸出が、在米輸入企業向けの円建てファイナンス等の充実により円建て化できれば、在アジア現地法人への輸出も円建て化できる場合があるのではないか。



.輸入取引における円建て化の現状と課題
 輸入取引についても、輸出取引と同様に、研究会の参加メンバーを含めて、幅広く、関係企業にアンケート、ヒアリング等を事務局を通じて行うとともに、有識者に幅広く意見を求め、その結果を事務局が取りまとめた。その概要は以下の通りである。

 

(1

)アンケート・ヒアリング等によって把握された輸入企業の現状認識と貿易取引の円建て化に向けての取組みの状況

 

 

.アンケート・ヒアリング等においては、輸入企業のほとんどより、一般論としては、貿易取引の円建て化を推進することが必要と認識しており、これまで、様々な取組みを行っているが、取引の対象となる物品や商品等の特性から、外貨建て取引が原則となっているなどの理由により、円建て化は進捗していないとの回答があった。

 

 

.他方で、有識者等よりは、取引の特性等を踏まえて、以下のように、円建て化に向けて幅広い検討課題の指摘があった。

 

(2

)製品輸入(米国・欧州・NIES等からの輸入)

 

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 製品輸入については、円建て化が進んでいるが、ドル建て等外貨建て輸入も多い。

 

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由

    

.特に欧州系企業の日本法人が、本国親会社から輸入取引を行う場合には、仕向け地の顧客を考慮に入れた値決めの観点、為替リスクを親会社が負担し現地子会社に為替リスクを負担させないとの方針等の理由から、円建て取引が行われている。

.他方、米国系企業の日本法人が行う輸入取引を中心として、本社サイドの方針からドル建て取引が行われている。

 

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題
 円建て債権に見合う円建て債務を造成するという見地から、親会社等輸出企業に対する円建てファイナンス等が充実すれば、円建て輸入取引の拡大に繋がるのではないか。

 

(3

)開発輸入(中国・東南アジア等からの輸入)

 

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 アパレル、大手スーパー等が、日本人の趣向、生活様式等にあった商品を仕様書に基づいて発注し、海外で生産したものを日本に輸入する、いわゆる開発輸入の場合には、ドル建てが多い。

 

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由

    

.現地企業が中小零細であり、円と現地通貨との為替処理を行えないため、その処理を輸入企業が行っている。

.また、中国からの輸入の場合、人民元とドルがペッグしている関係から、ドル建てが選好される場合が多い。

 

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題

 

 

 

(イ

)国内での販売に特化した商品であって、日本企業が全て輸入することを鑑みると、円建てで輸入を行うことに合理性があるのではないか。特に、日本から原材料等を輸出して最終財を逆輸入するケースでは、円建てでの輸出入を行うことにより、生産拠点となる地場企業においても円建て債権・債務をマリーできる観点から、円建てで取引を行うことに合理性があるのではないか。

 

 

 

(ロ

)現地企業が円建てで取引を行うことができるよう、現地金融機関等による円と現地通貨との為替処理、円ファイナンス等を提供できるような環境整備を行えば、日本への輸出の円建て化に繋がるのではないか。

 

(4

)資源輸入

 

1

原油輸入

 

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 原油の輸入取引は、ドル建てとなっている。(例外として、スーダン、イラク等の米国の制裁対象国からの輸入は、決済通貨がポンド又はユーロ建て。)

 

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 原油の国際取引はドル建てで行う慣例になっており、指標価格もドル建てとなっている。

 

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題

 

 

 

(イ

)原油探鉱、開発・生産開発プロジェクトにかかる円建て化の推進

    

.原油の探鉱(産油国、石油公社等より石油権益等を取得し、採掘を行って埋蔵量を評価するまでの作業)から開発・生産(地下の油を地上まで採収して出荷するまでの作業)に至る一連のプロジェクトの中で、基本的に探鉱部分においては、高い掘削技術等を有するメジャー等が優位性を持ち、また日本企業(商社、元売り会社等)はリスクの高い探鉱分野への参入を避ける傾向にある。このため、メジャー等が石油権益等を取得することが一般的となっている。権益等を取得したメジャー等は、権益取得の相手方である産油国に対しロイヤリティ等を支払うことになるが、ロイヤリティは、産油国及びメジャー等の双方がドル建てを選好することから、ドル建てでの支払いとなる。この結果、開発・生産段階においても、メジャー等が中心となり設立される開発国際企業体は、権益等を有するメジャー等に対しドル建てでロイヤリティを支払うとともに、ドル建てでプラント建設等を行い、原油売却代金をドル建てで受け取ることを前提とするプロジェクト・ファイナンスを組成することになる。こうした原油の探鉱・開発・生産過程が、我が国への原油の輸入契約をドル建てで行わざるを得なくなっていることの要因の一つなのではないか。

.産油国が円借款等により円建て債務を有している場合には、円建てで原油の輸出を行い、円建て債権を造成することには合理性があるため、

 

(a

)産油国向け円借款の政府間交渉の中で、我が国企業の努力と連携して、相手国政府及び国営石油公社に対して、同政府、公社がメジャー等から受け取るロイヤリティの段階から円建て化を働きかけ、プロジェクトの組成段階から円建てポーションを組み込むことにより、ファイナンス、プラント建設、原油代金の支払等について、円建て化できるよう取り組むべきではないか。

 

(b

)特に日本への輸出を想定するプロジェクトであれば、その組成段階から我が国企業の積極的な参画や我が国金融機関によるファイナンスを梃子として、探鉱から開発・生産に至るプロジェクト全体のスキーム構築に際して、関連するプラント建設やファイナンスも含め、我が国企業・金融機関が連携して円建て化を推進することによって、原油輸入取引についても円建てとすることができないか。

 

 

 

(ロ

)我が国の原油先物市場の活性化と円建て取引拡大への可能性

    

.原油の国際取引がドル建てとなっているのは、ニュー・ヨーク、ロンドンの先物市場での指標価格がドル建てで形成されていることが背景にあるので、我が国における円建て原油先物取引が活発化し、取引量が多い市場が形成されることとなれば、国際的な指標価格として円建て価格が用いられることとなり、ひいては取引の円建て化に繋がるのではないか。

(注

)アジア向けの原油価格については、スポットの場合のみならず、長期買取り契約の場合であっても、個々の積出しごとに、専門誌において表示されているデュバイ・オマーンの平均ドル建て価格に基づいて価格が決定される。

.現在、東京工業品取引所において原油先物の取引高が少ない理由としては、建玉制限のためタンカー一隻分の先物取引が行えず、元売り会社にとって参加する誘因が乏しいといったことが挙げられていることから、現在同取引所では、段階的な建玉制限の上限引上げが予定されているところであり、それによって元売り会社の参加が期待されるのではないか。
 こうした取組みを積極化することにより、円建て原油先物取引が活発化すれば、円建て価格が国際取引の指標価格となり、原油取引の円建て化の進展が図れるのではないか。

(注

)我が国において円建て原油先物市場が充実すれば、元売り会社が円建て先物取引を活用できるようになり、原油輸入取引の円建て化に繋がるのではないかとの指摘がある。しかしながら、元売り会社は原油の価格変動を販売価格に転嫁することを基本としているため、先物取引をヘッジ手段として用いておらず、円建て原油先物市場の流動性の低さが原油取引の円建て化の直接的な障害となっている訳ではないとの指摘もある。

 

2

LNG輸入

 

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 LNGの輸入取引は、ドル建てとなっている。

 

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 LNGの国際取引はドル建てで行う慣行になっており、その理由としては、価格がドル建てである原油価格に連動して決定されるからであり、指標価格もドル建てとなっている。

 

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題

 

 

 

(イ

)LNGの探鉱、開発・生産の一連のプロジェクトに関しても、開発段階から初めて日本企業が参入するケースでは、メジャー等が権益等を保有しており、原油と同様にメジャー等が権益取得の相手国となる産ガス国に対しロイヤリティをドル建てで支払う関係から、権益等を保有するメジャー等に対して、メジャー等が中心となり設立された開発国際企業体が支払うロイヤリティもドル建てとなる等の事情から、LNGの輸出代金についてもドル建てとすることを前提としてプロジェクトが形成されることとなり、そのことが日本に対する輸出価格がドル建てになる要因の一つではないか。

 

 

 

(ロ

)LNGの輸入については、

    

.原油と同様に産ガス国が円借款等により円建て債務を有している場合には、円建て債権を造成することには合理性があること

.LNGの場合は、原油等に比べ、個々のプロジェクトにおける仕向け国として我が国の存在が大きく、一つのプロジェクト全てが日本仕向けである事例が見られること

 

 

 

 

等の事情があることを踏まえると以下の取組みが有効ではないか。

    

.原油と同様、産ガス国向け円借款の政府間交渉や、プロジェクト等に対する政府機関の出融資交渉の中で、相手国政府及び国営ガス公社に対して、同政府、公社がメジャー等から受け取るロイヤリティの段階から円建て化を働きかけ、プロジェクトの組成段階から円建てポーションを組み込むことにより、ファイナンス、プラント建設、LNG代金の支払等について、円建て化できるよう取り組む。

.日本への輸出を想定するプロジェクトであれば、原油と同様、その組成段階から我が国企業の積極的な参画や我が国金融機関によるファイナンスを梃子として、探鉱から開発・生産に至るプロジェクト全体のスキームの構築に際して、関連するプラント建設やファイナンスも含め、我が国企業・金融機関が連携して円建て化を推進することによって、LNG輸入取引についても円建てとすることができないか。

 

3

金属輸入

 

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 銅、亜鉛等の金属の輸入取引は、ドル建てとなっている。

 

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 国際取引はドル建てで行う慣行となっている。

 

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題
 現在、東京工業品取引所において非上場の金属が将来的に上場され、それらの円建て先物取引が活発化することで、取引量の多い市場が形成されることにより、国際的な指標価格として円建て価格が用いられることとなり、ひいては取引の円建て化に繋がるのではないか。

 

(5

)政府調達

 

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状その理由

 

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状

アンケート・ヒアリング等において把握された現状

 

 

 


 海外からの政府調達については、その太宗は、商社等がドル建てで輸入を行い、為替スワップ及びヘッジ等のコストを上乗せした上で、当該商社より、円建てで政府は調達している。

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 海外の製造会社がドル建てを選好する。

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題
 為替スワップ等のとり易さ等を鑑みると、海外の製造元に為替スワップ及びヘッジを行わせ、円建てで商社等が輸入を行ったほうが、低価格での調達ができる可能性があるのではないか。

 (6

)海運サービス

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状

   

.コンテナ船運賃について
 海上運賃の建値はドル建てが国際慣行となっている。但し、荷主の便宜を考慮し、ドル建て運賃を、慣行や海運同盟で取極められたルール等に基づく為替レートで換算した現地通貨で収受されることがある。

.不定期専用船運賃(傭船料)について
 電力・ガス会社向け原油・LNG専用船、製紙会社向けチップ専用船等については円建て取引のケースが多い。鉄鋼会社向け鉄鉱石・石炭専用船等では円建てとドル建てが混在する。なお、主に輸出用に傭船される自動車専用船の運賃はドル建てとなるケースが多い。

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 海上運賃がドル建てであることは、国際海運業の慣例として定着している。

 

 

(ハ

)アンケート・ヒアリング等から把握された企業における対応
 為替リスクを極小化するため、可能な限り債権・債務の通貨のインバランスを圧縮することが合理的であり、外航海運サービスにおいては、収入における円比率を増やすか、コストにおける外貨比率を増やす、あるいはその両方を推進することを為替リスク管理上の基本的な取引通貨戦略としている。

 (7

)航空機輸入

 

.アンケート・ヒアリング等により把握された現状及びその理由

 

 

(イ

)アンケート・ヒアリング等において把握された現状
 航空会社の航空機の輸入については、ドル建てで行われている。そのファイナンスは、円建ての借入れによることもあるが、購入した航空機をリース会社に円建てで売却し、リースを受けることもある(セール・アンド・リースバック)。

 

 

(ロ

)アンケート・ヒアリング等において指摘された理由
 海外の航空機製造会社がドル建てを選好する。

 

.アンケート・ヒアリング等において示された検討課題
 ドル建て債権よりドル建て債務の割合が高い航空会社の場合には、航空機の輸入について円建て化を推進することが合理的ではないかと考えられる。特に、リースによってファイナンスを行っている場合には、我が国金融機関が海外に特定目的会社を設立した上で、当該特定目的会社が航空機をドル建てで購入し、航空会社に円建てでリースするというスキームを構築する等により、航空会社のドル建て債務が圧縮できるのではないか。