1.日時 令和7年6月9日(月)14:00~15:30
2.場所 財務省 第三特別会議室
⑴ 個人向け国債の販売動向等について
⑵ 個人向け国債の広告について
⑶ 個人向け国債販売にあたっての取組事例等
⑷ 個人向け国債の法人等への販売拡大について
理財局から議題⑴について、資料1に基づき以下のとおり説明を行った。
⑴ 個人向け国債の販売動向等について
- 令和6年度における発行総額は4兆4,938億円と、前年度比+1兆904億円、+32.0%となった。このうち、変動10年債が2兆6,222億円、固定5年債が1兆3,024億円、固定3年債が5,692億円となっており、特に固定5年債と固定3年債が顕著に増加した。
- 令和6年度における各月の発行額は月平均3,745億円となった。ヒアリングでは「これまでは変動10年が圧倒的に人気だったが、固定5年の金利上昇に伴い、変動10年よりも売れる月もある。」といった意見が聞かれた。
- 近年の業態別販売動向では証券会社が減少傾向となっている。証券会社へのヒアリングでは「近年の低金利環境下において、個人向けの社債市場が活況であったことから、個人の資金が一部社債市場へ流入した。」といった意見が聞かれた。
- 商品別及び年代別の販売傾向として、変動10年債は男性の購入額が多い一方、固定3年債・5年債は女性の購入額が多くなっている。また、平均購入単価は償還年限が長い商品ほど高く、さらに、購入者の年代が上がるにつれて高くなる傾向がある。
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中途換金額は近年減少傾向が続いており、令和6年度は1.0兆円と昨年度から0.2兆円減少した。発行残高は令和6年度末時点で15.5兆円と、昨年度末から2.2兆円増加した。
広告代理店から議題⑵について、資料2に基づき以下のとおり説明が行われた。
⑵ 個人向け国債の広告について
- 令和7年度は、昨今の生活者のインサイトを捉えた上で、個人向け国債の商品性や魅力を訴求し、購入につながる広告展開を実施する。
- メインターゲットは既存の主な購入層である50代以上、サブターゲットを勤労世帯や若年者層に設定し、金融商品の購入経験の有無を踏まえた4つのターゲットに分け、有効な表現と媒体を使ってアプローチを行う。
- 広報コンセプトは、「現在(イマ)のこの幸せを、この未来(サキ)もずっと。」とし、日々感じるささやかな幸せをこの先もずっと続けていきたいと願うターゲット層の気持ちに寄り添って、安心な将来に向けた金融商品の一つとして個人向け国債をアピールする。
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地方プロモーションは、福島県、長野県、富山県で実施予定となっており、それぞれの地域性を生かした広告を展開することで、各エリアに住む方の共感を獲得し、個人向け国債の購入へとつなげていきたい。
広告に対する出席者からの意見及び質問
- CM動画は好印象を受けた。特に、「わたしの幸せ、このまま続け。」という台詞はキャッチーで優しい印象も伝わり、メインターゲット層だけでなく全世代に響く内容ではないかと感じた。
- 広告戦略の全体スケジュールについて、テレビCMや新聞等による広告展開を8月と12月に集中させているが、媒体によってあえて時期を分散させることも考えられるところ、時期を集中させることは広告戦略上効果的なのか。
- 昨年度は子役タレントを起用し、主に若年層への啓蒙をされていたと思うが、今年は俳優の黒木瞳氏を起用している。どのような経緯や考え方に基づいて、黒木瞳氏を起用するに至ったのか教えて欲しい。
- 広告ビジュアルについて、温かみのある色味を使用しているので投資初心者の方も安心を感じられるのではないか。
- 足元で利率が上がり、商品としての魅力が増しているため、スポットの利率だけではなく利率の推移を強調して、今がお買い得なのだということを訴求してもよいのではないか。
▶これらに対し、広告代理店から以下のとおり回答
- 効果的な広告戦略という点では、広告が集中する時期である山をしっかり作ることが効果的と判断した。
- 購入者の年齢層、購入理由について独自調査を実施したところ、7割以上が60代以上で、その多くが自身のためではなく、大切な人のために買いたいという理由で購入していることがわかった。このため、こうした想いに共感していただける層をしっかりと募る戦略から、黒木瞳氏をその代弁者として起用することとした。
▶理財局から以下のとおり回答
- 金利が下がった月は販売額も減少する傾向にあるため、利率の推移をアピールすることが販売促進につながるか否かは金利の動向次第という一面もあるが、一番重要な点は取扱機関が販売しやすいことなので、今後検討できればと思う。
ゆうちょ銀行より議題⑶について、資料3に基づき以下のとおり説明が行われた。
⑶ 個人向け国債販売にあたっての取組事例等
- 「貯蓄から投資へ」の流れがある中、個人向け国債の販売は堅調に推移し、国債の保有者も増加している。令和7年1月で40万人を超える方々に購入されている状況となっている。
- 一方、購入者層は70歳以上が4割から5割程度、また、50歳以上を含めるとおよそ9割を占めるような状況になっている。
- 国債の販売が増加する一方、課題も出てきている。1つ目は、今まで販売チャネルが窓口のみだったことから若年層の利用が少ないことや、お客様からオンラインでも取引したいという声をいただいていることである。
- 2つ目は、貯金事務と比較して、窓口での国債販売事務に多くの時間を要しており、販売事務や商品説明を正しく行うための研修負担が大きく、お客様からも書類が多いなどのご意見をいただいていることである。
- このような課題に対する取組として、「デジタルチャネル」では今年の5月19日からインターネットバンキングと通帳アプリに個人向け国債の販売機能の追加を実施した。これにより、若年層の資産形成の足がかりになればと考えている。
- また、「窓口チャネル」では国債販売時の注意事項や商品性などをまとめた説明動画を作成し、説明内容の画一化や社員及びお客様の負担軽減を図ることとしている。
- 加えて、国債購入時にお客様に記載いただく申込書類を統合・簡略化するとともに、来年には申込み可能なタブレット端末を導入し、その際に説明動画をご覧いただくようにしたいと考えている。
ゆうちょ銀行の取組に対する出席者からの質問
- 5月19日からの非対面での販売開始後、対面と非対面での販売割合にどのような変化があったか。また、非対面への誘導は想定どおり推移しているか。
- 国債の注意事項や商品性の説明動画の企画から作成、また内部の審査等はどのような手順で進めたのか。
- 通帳アプリやインターネットバンキングでの国債購入機能の導入を検討してから、組織決定してサービス開始に至るまで、どの程度の期間を要したか。
- デジタルチャネル化のメリットとして、若年層に販売を拡大することと、営業員の省力化や省時間化を図ることのどちらを重視して非対面での販売拡大を進められたのか。
- オンラインでの操作の不明点を問い合わせる受付体制はどうなっているか。
- 書面の電子交付について、紙で欲しいという方には個別対応を行うのか。
▶これらに対し、ゆうちょ銀行から以下のとおり回答
- 販売の割合について、まだ始めて数週間だが、販売全体の5%から10%程度がインターネットによる購入分である。一方で、購入者層の平均年齢についてインターネットでの購入層は窓口の購入層に比べて、10歳から15歳程度若い傾向にある。特に40歳未満の方々はインターネットを利用する傾向が強い状況である。
- 説明動画の作成手順について、従来あったマニュアルや説明事項を基に動画のシナリオを作成し、社内の広告審査やカスタマーサービスを所掌する部署の確認などを経て撮影に着手するといった流れで進めた。
- 令和4年度頃から検討を開始したため、検討からサービス開始までに要した期間は3年程度となる。
- デジタルチャネル化は若年層への販売拡大が主とした狙いであるものの、効率化や省力化も大きな狙いであり、両方の課題解決を念頭に取り組んでいる。
- オンラインでの操作方法ついてはホームページに掲載しているほか、コールセンターでも照会を承っている。
- 電子交付書類は郵送対応もしており、オンライン上で郵送への切替え手続きをとることが可能となる。高齢のお客様は手元に紙で欲しいという方も多いため、このような対応を導入している。
理財局から議題⑷について、資料4に基づき以下のとおり説明を行った。
⑷ 個人向け国債の法人等への販売拡大について
- 現在、保有者を個人に限定している個人向け国債について、国債の安定保有層の拡大を図るという観点から、販売対象を法人等にも拡大することを検討している。
- 法人等への販売拡大を行っても、これまでの個人向け国債の商品ラインナップ、基本的な商品性や手数料体系については変更しない予定である。
- ただし、個人向け国債に代わる新名称、法人等に適用する1年未満の中途換金の特例及び譲渡先の制限、中途換金時における中途換金調整額の算出方法については今後検討が必要となる。
- これらの検討については、金融機関のシステム整備に向けた支障にならないように、それぞれ適切な時期に発表できるように進めていく。
- 販売対象とする法人等は、元本確保に対するニーズや資金運用に関する制約、保有の安定性といった点で、個人と類似した傾向を有すると見込まれる主体が適当であり、高度な資金運用体制を備えた金融機関や上場企業は引き続き対象外とする。
- 販売を担う取扱機関の対応のしやすさも考慮し、販売対象の線引きは金融商品取引法の特定投資家制度を参考に、同法でプロ投資家として扱われる特定投資家は販売対象外とし、それ以外のいわゆる一般投資家に該当する法人等を販売対象とする。
- 法人等への販売拡大の開始時期はシステム改修等の対応期間を考慮し、令和9年1月の発行分からを目途とする。
個人向け国債の販売動向について、出席者からの意見等の概要は以下のとおり。
- 足元の金利上昇により、令和6年度の販売額は令和5年度を上回っている。内訳としては、令和5年度までは変動10年債の販売額が最も多かったのに対して、令和6年度は固定5年の販売額が最も多い結果となった。
- 令和6年度は、前年度比で販売額は2.6倍と大きく増加。年代別では7割から8割を60代以上が占めており、3年、5年、10年をほぼ均等に販売している。
- 渉外による販売が2割から3割、窓口による販売が7割から8割となっている。
- 令和6年度は、変動10年が件数で50%、金額で60%を占めていたが、足元3か月では、件数で30%、金額でも30%となっており、固定3年・5年が変動10年債を大きく超えている。
- 年齢別では、50代から60代の方に多く購入されており、老後資金の預け先として個人向け国債を選ばれる方が増えている。
- 令和6年度の販売額は前年度比で約2.5倍と大幅に増加した。お客様が資産運用するに当たり、安心安全を重視されている点や利率が魅力的な水準になった点が大幅増加の最大の要因ではないかと考えている。
- 資金原資は、普通預金からの振替や定期預金の解約金、国債の中途換金などで、例年以上の多くの振替が見受けられた。
- 足元の金利上昇に連動するような形で、販売金額及び件数ともに増加し、令和6年度は前年度比でおよそ3倍程度販売額が増加した。
- これまでは変動10年債が8割から9割を占めていたが、令和6年度は10年債がおよそ6割、5年債がおよそ3割と販売が分散した。投資家が利回りを考慮しながら年限を選択しているのだと見てとれる動向となっている。
- 国債の商品としての魅力が高まる中、品質の維持のために窓口の体制整備を進めていき、デジタル領域においては若年層の認知度を上げて、販売拡大に取り組んでいきたいと考えている。
- 令和6年度の販売額は前年度比1.5倍に拡大し、年代別の伸び率では、資産に余裕のある50代や60代が160%程度と最も大きかった一方、20代から40代の資産形成層においても134%程度の伸びであり、全体的に裾野が広がっているという印象。
- 当社では依然として変動10年が90%という高い販売シェアとなっている。
- 今後も適用利率の上昇や高止まりを背景に、分散投資や預金代替としての需要が増えていくことを想定しているため、利便性の向上やプロモーションの強化を通じて、多くの人に購入してもらえる体制づくりを目指している。
- 金利上昇を背景に、国債以外の一般債等もお客様のニーズに合わせてご案内していることから、個人向け国債の販売額は若干の減少傾向にある。
- 投資初心者のお客様からは、個人向け国債は安心感があるとの声をいただいており、継続的なキャンペーンを実施するなど、お客様の投資の第一歩として案内は継続していく。
- 販売額自体は昨年度から減少しているものの、個人向け国債が主力の位置付けであること自体に変わりはなく、引き続き販売に注力していきたい。
- 販売動向として、オンラインも含めて堅調である。引き続き、重要な商品として販売に取り組んでいきたいと考えている。
- 近年の特徴として、金利上昇に伴い短い年限のニーズが高まってきていることが挙げられる。
- 年限別では昨年、一昨年度までは5年債の販売割合は大きくはなかったが、金利が上がったことも受けて、足元は月の販売額の3割から4割程度を占めてきている。また、投資が初めてのお客様による新規購入も以前より確認されている。
- 足元の金利上昇に連動する形で個人向け国債の販売も増加傾向にある。固定5年債の販売額が増加し、令和6年12月以降は単月で変動10年債を上回ることもあり、令和6年度全体の販売額は前年度対比1.7倍の水準になった。
- 販売チャネルでは、「コールセンター」と「インターネット取引」のリモート取引の比率が前年度対比2.5倍の水準まで上昇した。
- 金利動向に対するお客様の関心が非常に高まっているという点とリモートでの取引ニーズの高まりを感じており、令和7年度についても高い水準で販売が進んでいくと考えている。
- 令和6年度の販売額は前年度比で倍増した。特に下半期の販売が好調であったことから、利率の推移とともに販売額、商品としての魅力が上がってきているのではないだろうか。
- 個人向け国債はドアノックとして重要な商品と捉えており、預金とのバランスの観点から国債を推進していいのかという議論も社内であったが、引き続き重要な投資運用商品の位置づけであることから、今後も積極的な取扱いを進めていく次第。
- 販売動向に関して、特に5年債が金利の見栄えが良くなり訴求力が高まったことで販売額も増えている。また、購入層は50代以上が主となっている。
- 令和6年度の販売額は前年度比で128%となった。令和7年度に入り昨年度以上の販売ペースとなっており、特に5年と10年の販売割合が逆転し、販売1件当たりのロットも大きくなってきている状況。
- 50代、70代を中心に販売額は増加傾向にあり、令和5年度と比較すると131.8%の増加となった。内訳は、固定3年債が273%の増加、固定5年債が279.6%の増加と、固定3年及び5年の販売額が飛躍的に伸びている。
- 令和6年のインターネットバンキングのキャンペーンより、インターネットでの販売も増加した。また、オンライン商談システムを活用した個人向け国債の販売を今年度より開始し、公共債償還先のお客様等、預金滞留資金の取組を図っている。
- 預金金利の上昇もあり、定期預金を志向するお客様も増えているが、引き続き安定的な資産運用を期待するお客様を中心に堅調に販売している状況である。
- キャンペーン等の積極的な営業推進は実施していないが、金利上昇に関するニュースを見て買いに来るお客様が多く、全体の傾向と同様に当行でも販売は増加した。
個人向け国債の法人等への販売拡大について、出席者からの意見等の概要は以下のとおり。
- 当社の業態では、労働組合を中心とした団体資金の新たな運用手法の一つとして、提案商品のラインアップに加わってくるのではないかと考えている。
- 法人等の販売拡大については、系統上位機関と歩調を合わせ、遅れないように取り組んでいきたい。
- 法人等への販売拡大に関し、当社の法人取引先においても元本確保に対するニーズは多くあると考えている。シンプルで分かりやすい商品であれば、取り扱うメリットがあるのではないか。
- 預金取扱金融機関としては、個人預金が減少傾向にあるため、今後の個人向け国債の販売とのバランスをどのようにしていくかが課題となる。
- 法人に対する預かり資産の提案は積極的に実施していないが、令和6年度は利付国債の契約が増加しており、法人のお客様でも国債を保有するニーズがあるのではないかと実感している。
- しかし、融資先に対する優越的地位の濫用や抱き合わせの防止の観点から、今後も法人に対して積極的に販売を行うことは現時点では考えていないが、業界団体や他の金融機関の動向等を精査しながら取扱いを検討していきたい。
- 法人への販売拡大に伴い、名称を含め変更点、あるいは変更しない点に対してシステム対応する必要があるため、前広に情報提供をいただきたい。
- 非営利法人、非上場法人には既に利付国債を販売しているが、個人向け国債の販売についても重要なサービス提供の一つとして検討したい。マンション管理組合は主要顧客ではないが、動向等を確認しながらシステム開発等を対応していきたい。
- 法人の顧客はそれほど多くないが、宗教法人やマンション管理組合など、安全な運用が求められる主体には、選択肢の一つとして個人向け国債は有効な商品だと考えているため、導入も含めて検討していきたい。
- 法人の口座数が全体の1%に満たない当社にとって、法人への販売拡大は法人との取引拡大や裾野拡大につながることから、リリースに向け検討を進めていきたい。
- 法人に関しては、地方債や財投債の購入意向があるものの、発行額に限りがある関係で、全てのニーズを満たした販売額を用意できないケースがあり、このような代替ニーズとして、一定の需要が見込まれるのではないかと考えている。
- 販売額の上限設定を検討しているとの話を以前伺ったので、方針が決まり次第情報を共有していただけるとありがたい。システム改修の検討と合わせて、販売方針の検討も進めていきたい。
- 法人への販売拡大は、安全に運用したい多くの潜在ニーズに対応する最たる選択肢になるのではないかと前向きに捉えているが、相応にシステム開発なども必要になるため、財務省には情報のアップデート及び共有を随時お願いしたい。
- 個人向け国債の法人等への販売拡大に関しては前向きに捉えており、しっかりと取り組んでいきたいが、2点ほど気になっている点がある。
- 1点目は、販売拡大に伴いシステム開発等の体制整備の必要があること。これには時間も経費もかかるため、可能な限り早いタイミングで、商品性、制度全体、並びに新名称を確定していただけると大変ありがたい。
- 2点目は、販売対象外となる法人に関すること。システム上管理する法人区分の中に口座登録等のメンテナンスが常にされていないといけないという、モニタリング等の課題があると考えている。
- 特に、特定投資家の中で、取引の状況その他の事情から合理的に判断して、資本金の額が5億円以上と見込まれる株式会社というやや曖昧な条件により、販売機関によって販売可否の判定に差異が出てしまうのではないかと若干危惧している。
- インフレ対策から法人の資産運用への意識の高まりがある中、法人等への販売拡大は、裾野を拡大するものとして非常にいい施策だと考えている。
- 法人等への販売拡大に当たり、現場が混乱しないよう販売対象の区分をすぐ判断できるかがポイントとなる。例えば社内上の特定投資家は販売不可、一般投資家は販売可であれば、運用上のハードルは高くないのではとの意見が現場から出ている。
- 法人への販売拡大に関しては、金利の先高感があるお客様や換金時に時価の変動を受けたくないお客様に相応のニーズがあると考えている。
- ただし、システムやモニタリングの点で克服すべき課題は多く、当社のシステムへの影響を確認している段階にあるが、投資家層の拡大に資するものなので、積極的に取り組みたいと考えている。
- 対象となる多くの法人のお客様に資金の安定運用ニーズがあると考えている。こうした法人のお客様に確実に対応する観点からも、システムや名称変更等に伴う帳票、お客様向けの画面表示の対応が必要であるが、しっかりと対応していきたい。
- 販売した法人のお客様が、例えば資本金の額の変動や上場企業に変わるケース等、販売対象外となるケースがあると思われる。その際の対応方針や中途換金の制限等について、今後ルールメイクをお願いしたい。
- 銀行、証券会社、信託銀行のグループとして一体運営の中、法人の運用については証券会社の方でしっかりと対応する運営方針を取っており、グループベースで国債の安定消化に向け貢献出来ればと考えている。
- 法人への販売拡大に関しては、システム開発について検討中であるということと、法人に対しての販売体制や事務体制、モニタリングがネックとなっており、引き続き検討が必要と考えている。
- 法人のお客様のニーズや他の金融機関の進捗なども参考にしながら、遅れないように進めていきたい。
- 名称に関しては、法人向けと個人向けとで同じ名称になるという認識でいいか。
- 昨年度、投資信託では単位型の円建て債券の販売を実施し、多くの法人から引き合いがあった。このため、法人への販売拡大は投資信託の代替手段として一定のニーズがあると考えており、法人部門と連携し、積極的な販売を実施していきたい。
- 懸念点としては、システム上法人は弾かれる設計になっているため、販売対象外の法人等をどのように判別するかも併せてシステム改修の検討をする必要があることから、販売対象先に関する情報を随時共有していただけるとありがたい。
- 法人のお客様から公共債の購入に関する問合せが増えているとの声を営業店から聞いているため、法人等への拡大は一定の需要が見込まれると考えている。
- 個人と同様に安定的に運用したいというニーズがある法人先に対して、新たな資産管理や資産運用のための商品の一つとして提案をしていきたい。
- 令和8年12月募集分からの拡大開始に向けて動いているとのことだが、我々としてもその時期に合わせて、社内関係各部と連携を取り、販売体制の構築や販売推進施策の検討を進め、前向きに取り組ませていただく。
- 当社としても粘着性のある預金の確保という観点から、活発に取り組んでいるところ、どのような法人のお客様に国債を販売していくかという営業面も含めて、社内でも調整が必要と考えている。
- 金利選好のある法人のお客様は期間1年未満の預け入れが多い傾向にある。この点、個人向け国債は3年、5年、10年という年限構成なので、長期で安定的な余資運用を望むお客様に提案していくことが重要ではないかと考えている。
- いずれにせよ、商品ラインナップが増えることは、顧客のすそ野が広がるということなので喜ばしいことだと考えている。
- 余裕資金の運用を検討している法人のお客様は多くいるため、法人への販売拡大はそうした方々の選択肢が増えることにつながるうえ、これまで縁がなかった法人との接点が生まれることで、運用以外のサービスの営業機会も期待できる。
- 懸念点としては、販売事務やシステムに関する準備コストや、マンション管理組合などの団体への販売フローの準備が挙げられる。また、法人への販売拡大がある程度のボリュームになると預金の減少も若干心配されるところ。
- 法人への販売事務負担は個人への販売よりは若干重いのではないかと思われるため、管理手数料の適正水準を再考いただけると大変ありがたい。
- コストや販売に向けた対応について検討を始めるために、各金融機関やベンダーなどへの情報開示を早めに実施することをお願いしたい。
▶参加者からの意見に対して、理財局から以下のとおり回答
- 募集金額の上限設定については、現行の個人向け国債に上限がないのと同様に上限を定めることは現時点では想定していない。
- 情報のアップデート、迅速な共有については引き続きさせていただく。特に名称や、販売対象の線引きはこれから省令に落とし込むうえではっきりと決めていくことになるため、取扱機関ごとに差異が生じないようきちんと検討を進めていく。
- 販売後に上場した等で、販売対象のステータスが変わることへの対応については重要な検討事項と考えている。今後検討を進めるうえで、このような疑問やご指摘をいただけると大変ありがたいので、随時ご連絡をいただきたい。
- 手数料の適正な水準については、いずれ検証が必要と認識。
- 新名称は、個人向けと法人向けとで統一した1つの名称とする方針である。