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1.日時 令和5年6月15日(木)14:00~15:15

2.場所 財務省 第三特別会議室(対面及びオンライン開催)

3.内容
    (1) 個人向け国債の販売動向等について
    (2) 個人向け国債の広告について
    (3) 個人向け国債販売にあたっての取組事例

理財局から議題(1)~(3)について、資料1に基づき以下のとおり説明を行った。

(1)個人向け国債の販売動向等について
  • 令和4年度における発行総額は3兆4,184億円と前年比+4,456億円、115.0%となった。このうち、変動10年債が2兆7,098億円と全体の約8割を占めている。
  • 令和4年度の各月の発行額について、変動10年債の令和5年2月債(1月募集分)は、初回利率が0.33%となったことから発行額は大きく増加。
  • ヒアリングでは、「金利上昇を待っていた顧客がこのタイミング(令和5年1月)で購入している印象」といった意見が聞かれた。
(2)個人向け国債の広告について
  • 令和5年度は、メインターゲットを金融商品の購入経験がない方とし、サブターゲットに購入経験のある方として、メインとサブで優劣はつけながらも、媒体毎に金融商品購入経験の有無や年齢層等を考慮したアプローチで訴求メッセージの工夫を図り、販売促進に効果的な広告を実施していく方針。
  • 令和5年度の広告施策のうち、ポスター及びパンフレットについて、個人向け国債が、投資を検討するうえで生じる不安を払拭できる商品であることが伝わるよう、「投資にほしかったのは、この安心。」をキャッチコピーとするなど、特長をわかりやすく表現。
  • 地方プロモーションについて、令和5年度は、岩手県、新潟県及び香川県で実施予定となっており、それぞれの地域性を活かした広告を展開。また、昨年度までに実施した地域においても、できる限りフォローアップを行っていきたい。
(3)個人向け国債販売にあたっての取組事例
  • 令和4年度に実施した取扱機関へのヒアリングの中で出てきた好事例について、今後のヒアリングにおいて取扱機関に対してご紹介できればと思っている。

また、議題(3)については、城北信用金庫より資料2に基づき以下のとおり説明が行われた。

  城北信用金庫
    • 当庫の個人向け国債販売にあたって、カスタマーグループ職員による推進体制の強化の取組を紹介したい。カスタマーグループとは、店頭にご来店した顧客対応を行うテラーと、後方にて事務を行う内勤職員のグループを指す。
    • 「店頭はコミュニケーションとセールスの場」と明確に位置づけるため、カスタマーグループ職員の推進態勢を強化する施策の一環として預り資産に着目。低リスクかつシンプルで顧客にアプローチしやすい個人向け国債からスタートし、セールスの基礎を学ばせ実践した。
    • 施策を始める前の課題としては、推進における環境とフォロー態勢が不十分、お客さまとのコミュニケーション不足、セールス経験不足が挙げられた。
    • 課題を解消するために検討した結果、推進態勢を実践するにあたり、コミュニケーションの取り方やセールスマインド、店頭におけるツールの活用方法などを本部職員が指導した。
    • そのプロセスは、マニュアル作成、座談会実施、目標設定、臨店指導、庫内周知であり、結果カスタマーグループ職員による推進体制が強化され、お客さまとのコミュニケーション・セールス経験が向上した。
    • 具体的なプロセスについて、マニュアルの作成は、店頭セールスに特化したマニュアルを作成。話法・声掛け対象・ツールを使用した説明方法など、セールスに関することを一冊にまとめたものを配付した。
    • 座談会の実施について、課長を主体に座談会を開催。各支店の課長クラスにマニュアルを使用し個人向け国債の販売の仕方を指導。課長は自店の職員に対し勉強会等で指導した。
    • 自主目標の設定について、座談会の事後課題という形式で、各支店獲得に自主目標を設定し個人向け国債の販売強化を開始。
    • 臨店での直接指導について、本部職員の臨店により、意識改革の実践やセールスに関する直接指導という形で支援した。
    • 庫内報知の徹底について、獲得件数上位店舗およびカスタマーグループ全体の獲得件数と販売額を金庫内で毎月発表。
    • 本部の横断的な支援について、カスタマーグループが店頭販売を出来る様になる為、事務面や商品概要などの研修も行い様々な部署で横断的に支援。
    • 施策を通して、カスタマーグループが個人向け国債を販売するために何をすべきか考える態勢を構築することができた。
    • 個人向け国債の販売実績と残高について、施策をスタートした20226月から個人向け国債の販売額が増加。2021年度に比べ2022年度は残高を62億円増加させることができた。
    • 個人向け国債の販売経験を通し、店頭コミュニケーション能力も向上した。
    • 多くのカスタマーグループ職員が個人向け国債を預金と同じように販売できるようになった。

    出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。

    (1)個人向け国債の販売動向等について
    • 今年の2月から変動10年債の金利が上昇し、店頭でも変動10年債の販売額が伸びている。きちんと金利がつく世界観が見えてくることを考えると顧客の意識も変わってくるだろう。顧客の意識、ニーズの変化を掴んで対応したい。


    • 昨年度はマーケットが荒れたことで投資信託は売れず、その分保険や公共債が金利上昇要因によって販売が伸びたと考えている。他方で課題認識を持っているのが、公共債の保有者が満期償還により減っていることである。預かり資産の保有先を増やす活動は継続しているが、高齢を迎えた方が何もしないということで、満期を迎え償還、保険の購入、相続を迎えたりと、次の新規先が取れていない。残高、先数ともに減ってきているという課題認識を持っているため、この点留意しながらバランスよく販売していきたい。


    • 手数料について、現在は販売手数料と管理手数料の2本立てとなっているが、販売する立場だと現状の手数料設定は有難いとも思っている。今後個人向け国債の販売、残高を安定的に増やすことを考えると、まずは中途換金を減らす趣旨で販売手数料よりも残高に応じて支払われる管理手数料にウェイトを置くのも方策ではないかと思う。


    • この一年、個人向け国債の環境は大きく変わっている。
    • フロア金利があるので資金の置き場として利用する顧客が多かった印象があるが、直近の金利上昇に伴い純投資として購入する方が増えている印象。加えて解約についても徐々に減少傾向にあり、相対的に個人向け国債の魅力が高まっているのではないかと感じている。今後の金利動向によるが、個人向け国債を長期保有目的で購入する人は増えていくのではないかと考えている。
    • 超長期債については、顧客は短年限を好む傾向があるが、個人向け国債の魅力であるフロア金利、換金単価の部分で工夫があれば購入層が広がる余地があるのではないか。

    • 金利上昇に応じて販売した結果、令和4年度の販売のうち、投資初心者の新規の債券口座開設は45%となっており、投資の入門商品として案内している。他金融機関の発言でもあったが、商品カテゴリー別の販売目標は設けておらず、FD(顧客本位の業務運営)の観点により顧客本位で顧客が選ぶ商品を販売するスタンスである。公共債に特化した販売ではないが、昨年度は米国の利上げでマーケットが不安定であり、投資信託の販売が相当落ち込んだ中で、個人向け国債を筆頭に債券の販売額が増えた。


    • 2月から3月の新規口座開設先は、地方公共団体の広報誌を見て地方債購入をきっかけとした来店が多かった。地方債は引受額が少ないため販売日に完売してしまう場合多く、代替商品として個人向け国債や円建ての保険を契約するケースが多かった。
    • 年限は高齢の顧客にとって10年は長いということで、3年より金利の高い5年を選択するケースが多く見受けられた。

    • 個人向け国債保有顧客や新規で案内する顧客の中には、低金利環境で受取利息に不満があるが、他方で他商品のリスクが取れないという顧客もいるため、そのようなニーズをお持ちの顧客にどのような商品を提案するか、ということが課題として挙げられる。この課題を解決するものとして、超長期債というのは解決策になるのかもしれない。金利上昇下で長い年限の利付国債を購入する顧客も一定数いる。全ての年齢層に超長期債を案内することは難しいが、年限は長いが表面利率が高いものをラインアップするのも一案だと思う。


    • 令和4年度の個人向け国債販売額のトータルは前年比微減となっている。内訳は固定3年債が半減する一方で変動10年債は2倍以上に増加している。また固定5年債も年始以降、増加している傾向にある。金利上昇局面において固定5年債・変動10年債の販売が伸びている傾向。
    • 年代別の構成比については変化ないが、50歳代以上で変動10年債の購入が増えている。

    • 5年ほど前から定期貯金とのセット商品として個人向け国債の販売を推進。当期も定期貯金とのセット販売を実施しており、販売動向は金利上昇もあり順調であり、固定5年債を中心に販売実績は増えている。前年度の上半期対比で1.3倍近い伸びとなっている。


    • 高い金利収入が得られる超長期債は、若年層を中心とした新しい投資家層の裾野拡大が可能という商品性であると考えている。昨今つみたてNISAが浸透しており、20年という長期投資が世の中に求められていると感じる。

    (2)個人向け国債の広告について
    • 都道府県単位での地方プロモーションについては、有効な施策と感じており、当社としても連携していきたいと考えている。


    • 広告関連については、御省のリーフレットを活用しつつ、金利発表後には当社独自のリーフレットを作成、活用しながら案内。新リーフレットは当社の主たる個人向け国債の顧客である60歳以上の女性の顧客にもわかりやすく、積極的に利用したいと考えている。


    • 金利上昇に伴い、個人向け国債の販売が伸びており、情報の取得にアンテナを張っている人が一定数いることを再認識した。非対面における営業チャネルのひとつとしてHPに各種商品等の紹介動画専用ページを設けており、個人向け国債についても御省のWeb動画を利用して販売促進に繋げている。コロナ禍以降、生活スタイルが多様化し、非対面による広告宣伝取組の重要性が増していると感じる。今後もネットやSNS広告を充実させる際には、情報の連携をお願いしたい。


    • 臨店における現場の声としては、販促用のポスター、チラシは他の商品等と比較するとかなり目立つ印象。臨店先でも顧客が手に取っているのを見る機会が多く反応が良い印象。購入単価は低いが若い方の購入件数は増えている。


    • 当社の対面コンサルティングにおいては5070歳代の顧客が多いため、親しみやすいイメージの広告展開は有難い。個人向け国債は投資の初心者も多いということもあり、新聞や雑誌等で広告を目にした顧客の話題になることも多いため、今後も広告を活用して販売推進していきたい。


    • 広告関連について、ポスターやチラシについてはキャッチーなものを準備していただいており有難い。フロントからは、「非常に使いやすい、かわいい」という声があがっている。使用期限についてタレントの契約期間の関係で1年を通じて使えないという課題も解消され、感謝する。
    • 若い世代に対してSNS等で広告展開していただいている点も有難い。当社の顧客は高齢者が中心で、金額ベースでは若い世代(50歳代未満)は全体の10%に満たないが件数ベースだと15%程度ある。デジタル分野での若い世代へのアプローチは当社でも中長期的な課題であり、取組みたいと考えている。

    (3)個人向け国債販売にあたっての取組事例
    • 取組として償還先へ電話などで再購入の声掛けを行った。店頭で告知した際、興味を示した顧客に、後日、DM を郵送し契約に繋がった。個人向け国債を店舗評価と年間の店舗表彰の対象商品としており、職員のモチベーションアップに繋がっている。


    • 取組においては、銀証連携ということで系列証券会社が実施している個人向け国債のキャンペーンの案内を当社からも出来るようになっている。顧客のニーズに応じて、希望の金融機関を選択できるようグループ一体で体制整備をしている。すでに個人向け国債の販売に関するトークや知識、営業姿勢は定着していると考えているが、銀証連携により今後も一層の販売も見込めると考えているため、本部からもサポートしていきたいと考えている。


    • 個人向け国債は毎日発生する事務ではないため、いざ受付開始されたときにミスなく対応できるよう、e-learningを活用して事務レベルの維持に努めている。e-learningにおいて商品知識、事務処理を半年に一度、研修を受講することになっており、中途換金の計算や社内事務処理等、きちんと知識として身につく形となっている。事務フローの質問があった際にはすぐに回答できるよう、社内の掲示板に掲示する等対応しているため、個人向け国債について制度変更等があれば、早めに連携いただけると有難い。

    • 支店の取組や目標については、エリアが限られた地方金融機関のため、まずは多くの顧客に個人向け国債に触れてもらうことを考えて、支店目標は販売額ベースから新規取引顧客数をベースに目標設定し、一人でも多くの方に提案するよう取組んでいる。

    城北信用金庫の取組に対する質問

    • 本部職員による臨店での直接指導は、具体的にはどういう指導をしたのか。

    ▶これに対し、城北信用金庫から以下のとおり回答

    • 臨店指導の目的は国債の販売だけではないが、具体的な指導としては3つ挙げたい。
    • 1つ目は、店舗における臨店では、カスタマーグループ職員全員とヒアリングを行い、その場で職員個人の弱い部分を話の中から見つけて実務指導を行った。セールスのテクニックだけではなく、事務面、話法、役席に関してはチームのマネジメントの仕方等も指導。
    • 2つ目はテラーの近くで、実際に顧客対応を観察して、その場で顧客との話し方やニーズ喚起をアドバイスし、実践を通して学ばせた。
    • 3つ目はヒアリングや店舗の動きを動態観察して、支店の弱い部分を突き止め、店舗にあった勉強会を本部職員が実施。

    手数料について、財務省から回答

    • 管理手数料は、取扱機関が個人の長期的な国債保有を支援する体制を構築しやすくするため、令和2年(2020年)10月発行債から、募集発行事務取扱手数料を引き下げるとともに、新たな手数料として導入したところ。導入した管理手数料が、個人による国債の長期安定的な保有を促進し、国債の保有者層の多様化が図られているのか、当分の間、検証していくことを考えている。