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【独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書】はじめに/財政制度等審議会

はじめに
(独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書の設定について)

平成13年3月7日
独立行政法人会計基準研究会


 独立行政法人会計基準研究会(以下、研究会と略称。)は、平成11年3月総務庁長官の委嘱を受けた会計、財政等の学識経験者によって構成され、総務総括政務次官の主宰の下、独立行政法人にふさわしい会計基準の細目について専門的見地から検討を重ね、その成果を平成12年2月に独立行政法人会計基準及び独立行政法人会計基準注解として公表した。
 その後、研究会は、独立行政法人制度の下で、独立行政法人の財務諸表の信頼性を担保するためには、その作成基準である会計基準とともに、会計監査の規範となる監査の基準が重要なインフラストラクチャーであるという認識の下、平成12年10月より日本公認会計士協会の協力を得て、公会計監査の在り方を含む幅広い観点から、独立行政法人に対する会計監査人の監査の基準に関する総合的な検討を開始し、これまで議論を積み重ねてきたところである。
 本報告書は、これまでの研究会における独立行政法人に対する会計監査人の監査の基準に関する議論の成果を取りまとめたものである。その内容は、独立行政法人に対する会計監査人の監査の基準に加えて、当該基準を検討するに当たって独立行政法人の公共的性格に配慮しつつ議論した事項を含んだものとなっている。研究会としては、本報告書の監査の基準に関する部分は、会計監査人が独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下、通則法と略称。)第39条に定める監査を行うに当たって、法令によって強制されなくても、常に遵守すべき性格のものであり、また、会計監査人が独立行政法人との間で会計監査契約を締結するに際して、当該契約に盛り込まれることが望ましいと考えている。
 もとより、独立行政法人は平成13年4月以降に設立されるものであり、独立行政法人に対する会計監査人の監査に関する理論及び実務は、今後より一層の進展が期待されるところである。本報告書の内容については、それらの理論及び実務の進展に伴い、より一層の充実が図られるべきものであると認識する。研究会は、独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る検討が、その具体的な指針等も含め、今後日本公認会計士協会が関係者と協議の上適切に、かつ、継続して行われることが必要と考える。
   


独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書の改訂について

平成15年7月4日
独立行政法人会計基準研究会
財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会 公企業会計小委員会





 独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書の改訂の経緯

 独立行政法人に対する会計監査人の監査の基準は、独立行政法人会計基準研究会において、平成13年3月7日に「独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書」として取りまとめ、公表された。
 その後、特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日閣議決定)に基づき、特殊法人等から独立行政法人化することを踏まえ、総務省が開催している独立行政法人会計基準研究会と財務省に設置されている財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会公企業会計小委員会の下に設置された共同ワーキング・チーム(以下「共同ワーキング・チーム」という。)において、独立行政法人会計基準及び同注解の改訂について検討を重ね、平成15年3月3日に、独立行政法人会計基準研究会及び財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会公企業会計小委員会から公表された。
 改訂された独立行政法人会計基準及び同注解には、新たに、区分経理に係る会計処理や連結財務諸表に係る会計基準が設定されたことを受け、共同ワーキング・チームは、独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書の改訂について検討を開始し、これまで議論を積み重ねてきたところであるが、別添のとおり、独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書の改訂案として取りまとめ、財政制度等審議会財政制度分科会法制・公会計部会公企業会計小委員会において平成15年6月26日に、独立行政法人会計基準研究会において平成15年7月4日にそれぞれ了承を得た。



 独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書の改訂の内容
 改訂後の独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書(以下「改訂報告書」という。)では、新たに会計基準が設定された区分経理に係る会計処理及び連結財務諸表の監査並びに経済性及び効率性等の観点からの監査について、その基本的な考え方を整理するとともに、平成14年1月25日に全面的に改訂された企業会計の監査基準を参考として、改訂を行っている。
 具体的には、リスク・アプローチに基づき、より効果的でかつ効率的な監査を実施することとしたほか、独立行政法人に対する会計監査人の監査の基準は、従来、監査基準、監査実施準則及び監査報告準則からなり、更に、監査基準は一般基準、実施基準及び報告基準により構成されていたが、監査実施準則及び監査報告準則を廃止し、監査基準という一つの枠組みの中で、一般基準、実施基準及び報告基準の区分とし、その上で、実施基準及び報告基準については基本原則を置くとともに、項目を区分して基準化することとした。
 なお、全面的に改訂された企業会計の監査基準では、継続企業の前提に関して監査人が検討を行うこととされているが、独立行政法人については、その制度の仕組みから、継続企業の前提に関して検討を要する状況が想定し難いことから、独立行政法人に対する会計監査人の監査の基準には特段の規定を置かないこととした。
 これらのほか、現行の独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る報告書の全般に亘り、実際の監査実務で問題となった点を中心に検討を行い、必要な改訂を行っているが、改訂報告書の体系は、現行の報告書と同様に、独立行政法人に対する会計監査人の監査の基準に加えて、当該基準を検討するに当たって独立行政法人の公共的性格に配慮しつつ議論した事項を含んだものとしている。



 改訂報告書の性格と取扱い
 共同ワーキング・チームは、改訂報告書の中の独立行政法人に対する会計監査人の監査の基準は、会計監査人が独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第39条に定める監査を行うに当たって、法令によって強制されなくても、常に遵守すべき性格のものであり、また、会計監査人が独立行政法人との間で会計監査契約を締結するに際して、当該契約に盛り込まれることが望ましいと考えている。
 また、改訂報告書の監査の基準以外の部分は、共同ワーキング・チームにおいて、当該基準を検討するに当たって独立行政法人の公共的性格に配慮しつつ議論した事項を記述したものであり、監査の基準を解釈するに当たっての指針となるべきものである。



 今後の発展について

  独立行政法人は平成13年4月に最初の法人が設立されたところであり、会計監査人による監査は、第2年度の監査が行われている状況であるほか、特殊法人等から独立行政法人化する法人は、平成15年10月以降に設立が予定されており、独立行政法人に対する会計監査人の監査に関する理論及び実務は、今後より一層の進展が期待されるところである。改訂報告書の内容については、それらの理論及び実務の進展に伴い、より一層の充実が図られるべきものであると認識する。共同ワーキング・チームは、独立行政法人に対する会計監査人の監査に係る検討が、その具体的な指針等も含め、今後日本公認会計士協会が関係者と協議の上、適切に、かつ、継続して行われることが必要と考える。
   


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