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民間企業と同様の会計処理による財務諸表の作成と行政コストの開示(平成13年6月)

第3章 キャッシュ・フロー計算書



.作成目的

 

(1

) キャッシュ・フロー計算書は、特殊法人等の一会計年度におけるキャッシュ・フローの状況を報告するために作成するものである。
 

(2

) 特殊法人等では、資金の収支については、収入支出決算書が作成されているが、収入支出決算書は、収入支出予算で定められた予算の区分と同一の区分で作成され、予算の執行結果を表すものであり、科目区分等が必ずしも財務報告を目的とした資金収支計算書としては適切でない面があることから、企業会計のキャッシュ・フロー計算書の表示区分に準拠した計算書を作成することとする。



.作成基準等

 

(1

) キャッシュ・フロー計算書の作成基準、表示方法等については、「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準(平成10年3月13日企業会計審議会)」に準拠して作成することとする。


(2


) 「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」では、営業活動(特殊法人等にあっては、業務活動)に係るキャッシュ・フローの表示方法について、直接法又は間接法の選択適用を認めているが、特殊法人等の資金の収支は、収入支出決算書により基本的に明らかになっていることから、直接法によることを原則とするが、間接法による作成も認められる。



.標準的な様式
 キャッシュ・フロー計算書の標準的な様式(業務活動に係るキャッシュ・フローを直接法により表示する場合)は次のとおりとする。なお、資金の貸付けを主たる業務として行っている特殊法人等については、銀行法施行規則別紙様式第三号の第4によることとする。

 

キャッシュ・フロー計算書を表す図1
キャッシュ・フロー計算書を表す図2

第4章 仮定利益金処分計算書(又は仮定損失金処理計算書)


 (1


) 仮定利益金処分計算書(又は仮定損失金処理計算書。以下同じ。)は、仮定損益計算書に計上された当期利益金の処分(又は当期損失金の処理。以下同じ。)に関する計算書である。


 (2


) 国庫納付金や配当金等の特殊法人等の外部との取引を生ずるものについては、本計算書によりその額が確定されるのではなく本来の財務諸表により求められる。このため、仮定損益計算書において、当期損失金が計上される場合であっても、国庫納付が生じ得ることとなることに留意する。なお、国庫納付金については、仮定損益計算書上の当期利益金から計算されたものではなく、現行の財務諸表から計算された金額である旨を注記することとする。


 (3


) 仮定利益金処分計算書、仮定損失金処理計算書の標準的な様式は次のとおりとする。

 

キャッシュ・フロー計算書を表す図3

第5章 行政コスト計算書



.行政コスト計算書の表示区分

 

(1

) 行政コスト計算書は、コストの発生原因ごとに業務費用及び機会費用に区分して表示することとする。


(2


) 業務費用は、仮定損益計算書における費用相当額を計上し、更にこれより国庫補助金等(補助金、負担金、交付金、補給金及び補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号。以下「補助金適正化法」という。)の適用がある委託費をいう。)に基づく収益以外の収益を差し引いて業務費用を計上する。
 なお、国庫補助金等の交付を受けて取得した償却資産の減価償却に伴う資産見返補助金等(第2章の1の(5)国庫補助金等により固定資産を取得した場合の会計処理参照)の戻入額は、控除すべき自己収入等には含まないこととする。


(3


) 行政コスト計算書の標準的な様式は次のとおりとする。

 

行政コスト計算書を表す図



.機会費用
 行政コスト計算書に計上すべき機会費用は、次に掲げる費用とする。

 

1

 国有財産等の無償使用に係る機会費用
 近隣の地代や賃貸料等を参考にし、当該無償使用財産を民間から時価で賃借していると仮定した場合の賃借料に相当する額を計上する。

2

 政府出資金等に係る機会費用
 政府出資金及び地方公共団体出資金(政府補助金により土地等を取得したこと等により計上された資本剰余金を含む。)の期末残高に一定の利子率を乗じて得られる額を計上する。なお、民間からの出資金については、国民負担に帰するコストではないことから計上しない。また、一定の利子率については、決算日における10年もの国債の利回りとする。

3

 通常の資金調達よりも有利な条件による資金調達に係る機会費用
 無利子又は通常よりも低利率による政府又は政府系金融機関等からの資金調達に係る機会費用については、各法人の当該年度における通常の資金調達に係る実質金利により当該資金を調達したと仮定した場合の支払利息相当額と、実際の支払利息との差額に相当する額を計上する。なお、当該年度における通常の資金調達に係る実質金利とは、当該年度に行った全ての資金調達(一時借入金を除く。)に係る約定利率(債券にあっては発行者利回りとする。)の加重平均値とする。

4

 公務員からの出向職員に係る機会費用
 公務員からの出向職員(出向時に退職金の支給を受けてなく、国家公務員共済組合法又は地方公務員共済組合法の継続長期組合員の身分を有する出向職員。)に係る退職給付引当金については、仮定貸借対照表に計上を要しないこととしていることから、当該出向職員に係る退職給付引当金の当期増加額を機会費用として計上する。
 具体的には、国家公務員としての勤務年数15年の出向職員を4月1日に採用した場合には、当該年度末において、自己都合による16年勤務の退職給与所要額を算出し、期首(15年勤務)における同様の所要額との増加額(年度途中の採用の場合は、当該増加額を月割り計算した額。)を機会費用として計上する。

5

 その他の機会費用
 その他、各法人の特殊な事情により、国民負担に帰すべき機会費用が存在する場合には、上記14に準じて適切な機会費用を算出し計上する。

第6章 勘定間の結合


 (1


) 仮定貸借対照表等の結合
 法人設立法の規定等に基づき区分経理を行い、各勘定ごとに決算財務諸表を作成している特殊法人等については、各勘定毎の仮定貸借対照表、仮定損益計算書、キャッシュ・フロー計算書及び仮定利益金処分計算書(又は仮定損失金処理計算書)を作成の上、全ての勘定を結合した仮定貸借対照表、仮定損益計算書等を作成する。勘定間の結合の方法は、次に定めるところによる。

 

 1

 勘定間の債権・債務は全て相殺して計上する。

 2

 勘定間の取引については、費用科目と収益科目とを相殺して計上する。

 3

 勘定によって当期(繰越)利益金、当期(繰越)損失金の両者が存在する場合には、両者を相殺し合計ベースでの当期(繰越)利益金(又は当期(繰越)損失金)を計上する。


 (2


) 行政コスト計算書の結合
 行政コスト計算書については、上記の仮定貸借対照表等の結合方法に係わらず勘定間の結合は行わず、各勘定ごとの行政コスト計算書を一表に並列的に表示するとともに、各勘定の単純な合計額を記すこととする。このため、勘定間を結合した仮定損益計算書を基礎とした行政コスト計算書は作成しないこととなる。
(参考) 行政コスト計算書の結合の具体的イメージ
 

 

行政コスト計算書
(平成〇〇年4月1日~平成〇〇年3月31日)

 
行政コスト計算書(平成〇〇年4月1日~平成〇〇年3月31日)
 A勘定B勘定C勘定合計
I業務費用
  仮定損益計算書上の費用
   〇〇業務経費
   一般管理費
   ・・・・・
  (控除)業務収入
   〇〇手数料収入
   〇〇特許権収入
   ・・・・・・
  業務費用合計
II機会費用
  国有財産無償使用の機会費用
  政府出資等の機会費用
  低利借入金に係る機会費用
  公務員からの出向職員に係る退職
  給付引当金増加額
  ・・・・・・
III行政コスト
       
 

  (注)合計欄は、A勘定、B勘定及びC勘定の単純合計額である。

第7章 連結行政コスト計算書



.子会社等との連結

 

(1

) 連結行政コスト計算書の作成
 「連結財務諸表原則(平成9年6月6日企業会計審議会)」第三の一に規定する子会社に該当する会社(以下「子会社」という。)がある特殊法人等については、「同原則」及び「同原則注解」に従い連結仮定貸借対照表、連結仮定損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書等を作成し、これに基づいて連結行政コスト計算書を作成する。また、「同原則」第三の八に規定する関連会社に該当する会社(以下「関連会社」という。)については、「同原則」及び「同原則注解」に従い持分法を適用する。
 子会社がなく、関連会社のみがある特殊法人等については、「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書(平成9年6月6日企業会計審議会)」二の7の趣旨を踏まえ、「連結財務諸表原則」及び「同原則注解」に従い持分法を適用した場合の関連会社株式の評価額及び貸借対照表価額との差額を注記することとする。
 なお、複数の勘定を有する特殊法人等において、一の勘定に子会社がある場合は、子会社がなく関連会社のみがある他の勘定においても、「連結財務諸表原則」及び「同原則注解」に従い連結決算を行う必要があることに留意する。


(2


) 連結の範囲
 子会社又は関連会社に該当するか否かの判断については、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い(平成10年12月8日日本公認会計士協会監査委員会報告第60号)」の定めるところによる。その概要は以下のとおり。
 なお、資金供給業務としての出資についても、当該出資は議決権のある株式等であり、以下の基準に該当すれば、子会社又は関連会社に該当し、連結決算又は持分法の適用があることに留意する(「特殊法人等会計処理基準」による、事業資産である出資金(資金供給業務としての出資)についても、投資その他の資産である関係会社株式と同様の取扱いとする。)。
(子会社)

 

 1

 他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している場合。

 2

 他の会社に対する議決権の所有割合が50%以下であっても、高い比率の議決権を保有しており、当該会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合。なお、一定の事実とは、具体的には次の場合をいう。

 

(ア)

 議決権を行使しない株主が存在することにより、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合

(イ)

 役員、関連会社等の協力的な株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合

(ウ)

 役員もしくは従業員である者又はこれらであった者が、取締役会の構成員の過半数を継続的に占めている場合

(エ)

 重要な財務及び営業の方針決定を支配する契約等が存在する場合

(関連会社)

 1

 他の会社の議決権の20%以上を実質的に所有している場合

 2

 他の会社の議決権の15%以上20%未満を実質的に保有している場合であって、次のいずれかに該当する場合。

 

(ア)

 役員もしくは従業員である者又はこれらであった者であって、財務及び営業又は事業の方針決定に関して影響を与えることができる者が、代表取締役又はこれに準ずる役職に就任している場合

(イ)

 重要な融資(債務保証又は担保の提供を含む。)を行っている場合

(ウ)

 重要な技術を提供している場合

(エ)

 重要な販売、仕入その他の営業上又は事業上の取引がある場合

(オ)

 財務及び営業又は事業の方針決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること


(3


) 連結行政コスト計算財務書類作成の留意事項

 

1

 仮定連結貸借対照表、仮定連結損益計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、仮定連結剰余金計算書の作成に当っては、本基準第2章から第5章に定めるところによるほか、「連結財務諸表原則」及び「同原則注解」に準拠することとする。

2

 連結子会社に法人税等を納付している会社が存在する場合の、当該子会社が納付した法人税等については、仮定連結損益計算書の特別損失の科目の次に法人税等の科目で費用科目として計上することとし、連結行政コスト計算書の取扱いについても同様とする。
 なお、当該「法人税等」は、連結子会社が納付した法人税等である旨を注記することとする。



.連結行政コスト計算財務書類の構成等

 

(1

) 連結行政コスト計算財務書類の体系
 子会社との連結行政コスト計算財務書類の体系は、特殊法人等単独で作成される行政コスト計算財務書類と同様の体系とする。
  連結行政コスト計算書
  添 付
   民間企業仮定連結貸借対照表
   民間企業仮定連結損益計算書
   連結キャッシュ・フロー計算書
   民間企業仮定連結剰余金計算書
   連結附属明細書


(2


) 連結の順序等

 

1

 法令の規定により、勘定区分を設けている特殊法人等が子会社を有する場合の連結及び結合の順序は、まず勘定ごとに子会社との連結を行い、勘定ごとの連結行政コスト計算財務書類を作成し、その後に勘定間を結合した連結行政コスト計算財務書類を作成するものとする。なお、勘定間の結合については、第6章に定める方法による。

(具体例)
A勘定及びB勘定に区分経理が行われており、それぞれの勘定が子会社を有する場合
   〇〇法人連結行政コスト計算財務書類
       (連結A勘定と連結B勘定とを結合した計算書)
     A勘定連結行政コスト計算財務書類
       (A勘定とA勘定の子会社を連結した計算書)
     B勘定連結行政コスト計算財務書類
       (B勘定とB勘定の子会社を連結した計算書)

2

 上記具体例の特殊法人等が作成・開示すべき行政コスト計算財務書類は、次のとおりとなる。

 

(ア)

特殊法人等単独(子会社との連結を行わない)の行政コスト計算財務書類
〇〇法人行政コスト計算財務書類

 

 ・

A勘定並びにB勘定の仮定貸借対照表、仮定損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書をセグメント情報として附属明細書に添付する。

(イ)

連結ベース(子会社との連結を行った)の行政コスト計算財務書類
〇〇法人連結行政コスト計算財務書類

 

 ・

A勘定並びにB勘定の連結仮定貸借対照表、連結仮定損益計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書をセグメント情報として附属明細書に添付する。

 

(注

) 附属明細書については、(ア)の単独分と(イ)の連結分で重複することとなるので、重複する部分は、開示すべき情報量を低下させない範囲で適宜省略することができる。



.関連公益法人等の取扱い

 

(1

) 関連公益法人等(次の(2)に規定する公益法人等をいう。)については、資本関係が存在しないことから、「連結財務諸表原則」に基づく連結決算又は持分法の適用は困難であるが、特殊法人等と密接な関係を有しており、国民の関心も強いことから、附属明細書により、関係情報のディスクローズを徹底することとする。


(2


) 関連公益法人等とは、特殊法人等が出捐、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて財務及び事業の方針決定の支配をしているか又はそれに対して重要な影響を与えることができる公益法人等であって、例えば、次のいずれかに該当する法人は、関連公益法人等に該当するものとするが、次の何れにも該当しない場合であっても、特殊法人等との間に一定の関係が存在し、国民に情報開示すべきと認められる公益法人等は関連公益法人等に該当することに留意する。なお、特殊法人等の役職員の福利厚生を目的として設立されている公益法人等であって、次の2に該当しない法人は、関連公益法人等に該当しないものとすることができる。

 

 1

 役員のうち、特殊法人等の役職員経験者の占める割合が1/3以上である公益法人等。

 2

 売上高に占める特殊法人等の発注に係る額が1/3以上である公益法人等。

 3

 基本財産の1/5以上を特殊法人等が出捐している財団法人。

 4

 会費、寄付等の負担額の1/5以上を特殊法人等が負担している公益法人等。

 5

 上記14のいずれかに該当する公益法人等(特殊法人等の役職員の福利厚生を目的として設立されている公益法人等を含む)の子会社又は関連会社である会社(「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い」の規定に照らし、当該公益法人等の子会社又は関連会社に該当する会社をいう。)。

第8章 附属明細書

 仮定貸借対照表及び仮定損益計算書等の内容を補足するため、以下の事項を明らかにした附属明細書を作成するものとする。

(1

) 資本に関する事項
 資本金及び資本剰余金の明細及び前事業年度末からの増減額(資本金については、出資の根拠となる法令の規定、政府の出資に係る国の会計区分及び出資者ごとに区分する。)


(2


) 資産及び負債に関する事項

 

1

 有価証券の明細
 有価証券の種類ごとに、仮定貸借対照表計上額、前事業年度末からの増減額(取得及び処分の明細を含む。)

2

 事業資産(建設仮勘定を含む。)等の明細

 

(ア)

 本事業年度末の現在額及び前事業年度末からの増減額(取得及び処分の明細を含む。)

 

(注

) 当該事業資産の性格、仮定貸借対照表に与える影響等から、時価情報の開示が重要であると認められるものについては、決算日における当該資産の時価情報を付記することとする。

(イ)

 減価償却対象資産の場合は減価償却費の明細

(ウ)

 貸付金債権(次の(エ)に該当する特殊法人等を除く。)の場合は貸倒引当金等の明細及びリスク管理債権(民間金融機関のリスク管理債権の開示基準(銀行法施行規則第19条の2第5号ロ)による。(エ)において同じ。)の明細

(エ)

 資金の貸付けを主たる業務として行っている特殊法人等については、貸出金等に係る貸倒引当金等の明細並びに金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第132号)に基づく開示債権及びリスク管理債権の明細

 

(注

) 貸出金等を金融機能の再生のための緊急措置に関する法律施行規則(平成10年総理府令第65号)第4条に規定する破産更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権、正常債権に区分して、それぞれの区分ごとに債権の額、保全状況を明らかにするとともに、貸倒引当金等の引当状況(直接償却を含む。)及びリスク管理債権との関係を示す調書を添付することとする。
 なお、貸出金等の範囲は、同条に規定する貸出金、貸付有価証券、外国為替、未収利息、仮払金及び支払承諾見返とする。

3

 固定資産(事業資産を除く。)の取得、処分及び減価償却費の明細

4

 長期借入金及び債券の明細

 

(ア)

 長期借入金については、借入先(政府からの借入金の場合は会計区分別に)の名称、金額及び前事業年度末からの増減額

(イ)

 債券については、銘柄(政府保証債の場合はその旨、政府引受債の場合はその旨及び引き受け会計)及び銘柄ごとに金額及び前事業年度末からの増減額並びに利率

(ウ)

 通常よりも有利な条件による資金調達については、必ず事項立てを行うとともに、条件及び根拠法令を付記すること

5

 退職給付引当金の明細
 退職給与(退職手当)に係る引当金及び厚生年金基金に係る引当金に区分し、区分ごとに退職給付引当金の金額並びに前事業年度末からの増加額及び減少額

6

 その他の引当金の明細
 事業資産の明細及び退職給付引当金の明細で明らかにした引当金以外の引当金並びに特別法上の引当金等について、種類ごとに金額並びに前事業年度末からの増加額及び減少額(特別法上の引当金等については、根拠法令を付記すること。)

7

 その他の主要な資産負債の明細
 現金及び預金、受取手形、売掛金、支払手形、買掛金、短期借入金、未収金、未収収益、未払金、未払費用並びに棚卸資産その他の主要な資産又は負債の種類ごとに金額並びに前事業年度末からの増加額及び減少額


(3


) 主な費用及び収益に関する事項

 

1

 国庫補助金等の明細
 当該事業年度に交付を受けた国庫補助金等(補助金、負担金、交付金、補給金及び補助金適正化法の適用がある委託費をいう。)の名称、国の会計区分、国庫補助金等の額と仮定貸借対照表及び仮定損益計算書に掲記されている表示科目との関係についての説明

2

 役員及び職員の給与費の明細

 

(ア)

 役員及び職員の区分ごとに、当該事業年度に発生した給与費の明細(賞与引当金、退職給付引当金への繰入額については、当該繰入額を明らかにする。)

(イ)

 給与費を事業資産等の原価に配分している特殊法人等にあっては、一般管理費として費用処理された額と事業資産等の原価に配分された額の内訳

3

 その他、特殊法人等の事業の特性を踏まえ、重要と認められる費用及び収益の明細


(4


) 勘定間の結合に関する事項

 

1

 結合の結果相殺された各勘定間の債権・債務及び勘定間の繰入れの明細

2

 各勘定ごとの仮定貸借対照表、仮定損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書をセグメント情報として添付


(5


) 子会社等との連結に関する事項

 

1

 子会社、関連会社及び関連公益法人等について、当該法人の名称、業務の概要、特殊法人等との関係及び役員の氏名(特殊法人等の役職員経験者については、特殊法人等での最終職名を含む。)

2

 特殊法人等が保有する子会社及び関連会社の株式について、一株当りの額、取得価額及び仮定貸借対照表計上額(前事業年度末からの増加額及び減少額を含む。)

3

 関連公益法人等に該当する公益法人の基本財産に対する出捐、拠出、寄付等の明細並びに公益法人の運営費、事業費等に充てるため当該事業年度において負担した会費、負担金等の明細

4

 子会社、関連会社及び関連公益法人等に対する債権債務の明細並びにこれらの法人の総売上高と特殊法人等の発注に係る売上高及びその割合

5

 子会社、関連会社及び関連公益法人等と特殊法人等の取引の関連図

6

 子会社、関連会社及び関連公益法人等の当該事業年度の決算財務諸表(附属明細書を除く。)の添付

第9章 財務書類の注記

 行政コスト計算財務書類には、重要な会計方針、作成日までに発生した重要な後発事象、重要な会計方針の変更等について注記するものとする。
 具体的な注記の内容は以下に掲げる事項を基本とし、特殊法人等の状況を適切に開示するために必要な会計情報を積極的に注記するものとする。なお、注記の方式、内容等については、本指針の内容に抵触しない範囲で、「特殊法人等の財務諸表における重要な会計方針等の注記の統一について(平成10年3月13日大蔵省主計局司計課・理財局管理課 事務連絡)」に定めるところによるものとする。

 (1

) 有価証券の評価基準及び評価方法

 (2

) たな卸資産の評価基準及び評価方法

 (3

) 固定資産の減価償却の方法

 (4

) 外貨建資産・負債の換算基準

 (5

) 引当金の計上基準
 退職給付引当金については、「退職給付に係る会計基準」六に定める事項を記載する。

 (6

) その他の重要な事項

 

1

 消費税の会計処理方法

2

 繰延資産の処理方法

3

 保証債務の金額

4

 収益・費用の計上基準
 長期請負工事に係る工事進行基準又は工事完成基準の別や、企業会計原則が規定する通常の計上基準と異なる基準を採用している場合等に、その旨を記載する。

5

 各特殊法人等個別の事項

 (7

) キャッシュ・フロー計算書に関する事項
 「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」第四に定める事項を記載する。

 (8

) 機会費用の計上基準

 

1

 国有財産の無償使用に係る機会費用の算出方法(具体的な計算式を含む)

2

 政府出資等に係る機会費用の算出に用いた利子率

3

 通常よりも有利な条件による資金調達に係る機会費用の算出に用いた利子率

4

 公務員からの出向職員に係る機会費用の対象者数

5

 その他の機会費用の算出方法

 (9

) 行政コスト計算財務書類を作成する日までに発生した重要な後発事象

 (1

0) 重要な会計方針の変更

第10章 適用時期及び経過措置



.行政コスト計算財務書類の導入時期
 行政コスト計算財務書類は、特殊法人等について、説明責任の確保、透明性の向上の観点から作成、公表するものであり、各方面からは早期公表の要請がある。また、平成13年度においては、財投機関債の発行が予定されている法人もあり、投資家に対する情報開示をより一層充実させる観点からも早期の作成、公表が求められるところである。
 このような観点から、平成13年3月期決算(平成12年度決算)から行政コスト計算書等を導入することとする。



.平成12年度決算に係る経過措置
 民間企業に適用される会計基準に準拠した仮定貸借対照表及び仮定損益計算書の作成に当たっては、退職給付会計等にみられるように専門的な知識等を必要とする会計処理が存在するところであり、対象法人に対して直ちに本指針の適用を求めることは困難な面も想定されることから、本指針の完全な適用は平成14年3月期決算(平成13年度決算)からとし、平成13年3月期決算(平成12年度決算)に限り、以下の経過措置を認めることとする。
 なお、以下の経過措置により、仮定貸借対照表及び仮定損益計算書を作成する場合は、財務書類の注記において、1経過措置を講じた旨、2経過措置によることとした(指針の原則によることが困難な)理由、3経過措置による具体的な計算方法を明らかにしなければならない。
 また、平成13年3月期決算(平成12年度決算)に係る行政コスト計算財務書類の公表の時期については、本指針第1章の4の(4)に係わらず、平成13年9月末までに公表することとする。

 


(1


) 退職給付引当金
 「退職給付に係る会計基準」に準拠した退職給付引当金の積算に相当の作業時間を要する特殊法人等にあっては、次の1及び2の合計額をもって退職給付引当金として計上することができる。

 

1

 退職給与(退職手当)については、役職員が自己都合で退職した場合の期末要支給額の100%に相当する額。

2

 年金債務については、厚生年金基金の積立不足額(財政決算における最低積立基準額(非継続基準)から純資産額(時価)を控除した額をいう。)のうち、特殊法人等の負担となる額(基金全体の積立不足額を標準報酬総額の比率等の合理的な率で按分した額)。


(2


) 貸倒引当金
 「預金等受入金融機関に係る検査マニュアルについて」又は「金融商品に係る会計基準」に準拠した貸倒引当金の算定に相当の作業時間を要する特殊法人等にあっては、過去の貸倒経験率(注)により算定する方法、債権ごとに個別に貸倒れの可能性及び金額を見積り算定する方法及びこれらを組み合わせる方法等により算定した額を貸倒引当金として計上することができる。

 

 (注

) 過去の貸倒経験率について
 過去の貸倒償却の実績について、予算の制約等から貸倒れが生じたと認識された年度において償却を行っていない特殊法人等にあっては、会計処理上の債権償却の実績に基づく貸倒経験率は用いることができないことに留意する。


(3


) 子会社等との連結決算
 子会社との連結決算については、特殊法人等との会計処理の統一等に相当の作業時間を要すること等から、「連結財務諸表原則」に従った連結決算が困難な特殊法人等については、持分法(特殊法人等と子会社の会計処理の統一等を行うことなく、子会社等の純資産額に持分割合を乗じて得た額をもって貸借対照表価額とする簡便な方式も認められる。)による連結とすることができる。
 なお、子会社との連結キャッシュ・フロー計算書については、子会社においてキャッシュ・フロー計算書が作成されておらず、決算日に遡って作成することが困難な場合には、作成しないこととすることができる。


(4


) 販売用不動産等の時価評価
 販売用不動産等を多く保有しており、時価評価に相当の作業時間を要し、又は外部委託によった場合には多額の経費を要することとなる特殊法人等にあっては、当該販売用不動産等の状況に照らし、著しい減価が生じていないと認められる不動産について時価評価を行わない取扱い、及び評価の精度を著しく損なわない範囲内での簡便な評価方法を用いることができる。



.本指針で示していない会計処理の取扱い

 

(1

) 本指針においては、特殊法人等の特性から企業会計原則と異なる会計処理が行われている事項及び企業会計原則の新しい基準を中心として、会計処理及び財務書類の作成方法について、それぞれの指針を示している。
 各特殊法人等において、行政コスト計算財務書類を作成するに際し、本指針で具体的に示していない会計処理が生じた場合には、一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して会計処理を行わなければならない。


(2


) また、各特殊法人等において、本指針に定めた基準に拠り難い特別な事情がある場合には、行政コスト計算財務書類において開示される会計情報の精度を著しく損なわない範囲内において、別途の会計処理を行うことができる。
 この場合においては、財務書類の注記において、1当該会計処理を行った旨、2当該会計処理を行うこととした理由、3当該会計処理の具体的な内容等を明らかにしなければならない。