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所得税法等の一部を改正する法律案要綱

所得税法等の一部を改正する法律案要綱


 現下の経済・財政状況を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向け、研究開発・設備投資減税の集中・重点化、相続税・贈与税の一体化及び税率の引下げ、金融・証券税制の軽減・簡素化、登録免許税の軽減、配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止、消費税の事業者免税点制度等の改革、酒税及びたばこ税の見直しその他所要の措置を一体として講ずることとし、次により所得税法等の一部を改正することとする。




 所得税法の一部改正(第1条関係)
 

 配偶者特別控除のうち配偶者控除に上乗せして控除対象配偶者(合計所得金額38万円以下の配偶者)に適用される部分を廃止することとする。 (所得税法第83条の2関係)
 

(注

)上記の改正は、平成16年分以後の所得税について適用する。 (附則第3条関係)
 

 内国法人が国内において支払を受けるべき芸能人の役務の提供に関する報酬又は料金に対する源泉徴収制度を廃止することとする。 (所得税法第5条、第7条、第174条、第177条関係)
 

 社債等の振替に関する法律の加入者保護信託の信託財産につき生ずる所得については、所得税を課さないこととする。 (所得税法第11条関係)
 

 特殊法人等が独立行政法人等に移行することに伴う所要の措置を講ずることとする。 (所得税法別表第1関係)
 

 その他所要の規定の整備を行うこととする。




 法人税法の一部改正(第2条関係)
 

 連結納税制度について、連結子法人が離脱した場合には、その直前にみなし事業年度を設け、そのみなし事業年度を連結子法人として単体申告をする事業年度とするほか、連結事業年度等について所要の整備を図ることとする。 (法人税法第4条の3、第4条の5、第14条、第15条の2関係)
 

 同族会社の判定について、自己株式を有する場合の判定方法を見直すほか、同族会社となる持分割合の基準を100分の50超(現行100分の50以上)とすることとする。 (法人税法第2条関係)
 

 一定の組織再編成後に適格合併を行うことが予定されている場合のその最初の組織再編成の適格要件の見直しを行うこととする。 (法人税法第2条関係)
 

 信託財産に帰せられる収入及び支出の帰属の原則を適用しない信託の対象に、社債等の振替に関する法律の加入者保護信託を加えることとする。 (法人税法第12条関係)
 

 特殊法人等が独立行政法人等に移行することに伴う所要の措置を講ずることとする。 (法人税法別表第1、別表第2関係)
 

 その他所要の規定の整備を行うこととする。




 相続税法の一部改正(第3条関係)
 

 相続時精算課税制度の創設
 次により相続時精算課税制度を創設することとする。
   
(1)

 概要
 受贈者は、現行の暦年単位による贈与税の課税方式に代えて、相続時精算課税制度(贈与時に贈与により取得した財産に対する相続時精算課税に係る贈与税を支払い、相続時にその贈与により取得した財産の価額と相続又は遺贈により取得した財産の価額とを合計した価額を課税価格として計算した相続税額から、既に支払った相続時精算課税に係る贈与税額を控除した額をもって、その納付すべき相続税額とする制度)の適用を受けることを選択できる。 (相続税法第21条の9~第21条の18関係)
   
(2)

 適用対象者
 本制度の適用対象となる贈与者及び受贈者は、それぞれ、その年の1月1日において65歳以上の者、同日において20歳以上の贈与者の推定相続人で直系卑属である者とする。 (相続税法第21条の9関係)
   
(3)

 適用手続
 本制度を選択しようとする受贈者は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に所轄税務署長に対してその旨の届出書を提出する。この選択は、受贈者が各々、贈与者ごとに行うことができることとし、この届出書は取り下げることはできないものとする。 (相続税法第21条の9関係)
   
(4)

 税額の計算等
     
1

 贈与税額の計算
 贈与税額の計算は次による。
       

 本制度の選択をした受贈者(以下「相続時精算課税適用者」という。)については、選択をした年以後の各年において、本制度に係る贈与者(以下「特定贈与者」という。)ごとにその特定贈与者からの贈与により取得した財産の価額の合計額を相続時精算課税に係る贈与税の課税価格とする。 (相続税法第21条の10関係)
       

 相続時精算課税に係る贈与税額は、特定贈与者ごとの相続時精算課税に係る贈与税の課税価格から2,500万円までの特別控除額(既に特別控除を適用した場合には、その適用した金額を控除した残額)を控除した後の金額に、20%の税率を乗じて計算する。 (相続税法第21条の12、第21条の13関係)
     
2

 相続税額の計算等
 相続税額の計算は次による。
       

 相続時精算課税適用者に係る相続税額は、特定贈与者からの相続時に、本制度の選択時以後の贈与により取得した財産の贈与時における価額と相続により取得した財産の価額とを合計した価額を課税価格として計算した相続税額から、既に支払った相続時精算課税に係る贈与税額を控除した額とする。なお、相続税額から控除しきれない贈与税額がある場合には、その控除しきれない贈与税額について相続税の申告をすることにより還付を受けることができる。 (相続税法第21条の15、第21条の16、第33条の2関係)
       

 相続時精算課税適用者の相続人等は、特定贈与者である場合を除き、相続時精算課税に係る納税の権利又は義務を承継する。 (相続税法第21条の17関係)
 

 相続税の税率構造の見直し
 相続税の税率構造を次のように改めることとする。 (相続税法第16条関係)
   

現   行
 
改正案
 

 

 

  税率

 

 

  税率

800万円

以下の金額

10%

1,000万円

以下の金額

10%

1,600万円

15%

3,000万円

15%

3,000万円

20%

5,000万円

20%

5,000万円

25%

 

 

 

1億円

以下の金額

30%

1億円

以下の金額

30%

2億円

40%

3億円

40%

4億円

50%

3億円

超の金額

50%

20億円

60%

 

 

 

20億円

超の金額

70%

 

 

 

 

 贈与税の税率構造の見直し
 相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造を次のように改めることとする。 (相続税法第21条の7関係)
   

現   行
 
改正案
 

 

 

  税率

 

 

  税率

150万円

以下の金額

10%

200万円

以下の金額

10%

200万円

15%

300万円

15%

250万円

20%

400万円

20%

350万円

25%

 

 

 

450万円

30%

600万円

30%

600万円

35%

 

 

 

800万円

40%

1,000万円

40%

1,000万円

45%

 

 

 

1,500万円

50%

1,000万円

超の金額

50%

2,500万円

55%

 

 

 

4,000万円

 60%

 

 

 

1億円

65%

 

 

 

1億円

超の金額

70%

 

 

 

   

(注

)上記1から3までの改正は、平成15年1月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産について適用する。 (附則第15条関係)
 

 その他
   
(1)

 相続税の申告に際し必要となる他の共同相続人等の贈与税の課税価格の合計額について、一定の要件の下に相続人等の請求により税務署長が開示する制度を創設することとする。 (相続税法第49条の2関係)
   
(2)

 相続税額の加算について、加算の対象となる者に被相続人の養子となった当該被相続人の孫(代襲相続人である者を除く。)を加えることとする。 (相続税法第18条関係)
   
(3)

 贈与税について、更正等の期間制限を6年(現行3年又は5年)に延長することとする。 (相続税法第36条関係)
   
(4)

 生命保険契約に関する権利の評価について、所要の経過措置を講じた上、廃止することとする。 (旧相続税法第26条関係)
   
(5)

 税務職員の守秘義務違反に係る罰則を2年以下の懲役又は30万円以下の罰金(現行2年以下の懲役又は3万円以下の罰金)とすることとする。 (相続税法第72条関係)
   
(6)

 出国時における申告書の提出期限の延長、税務職員の質問検査権についての規定の整備、相次相続控除の規定の整備、財産の所在に関する規定の整備その他所要の規定の整備を行うこととする。




 地価税法の一部改正(第4条関係)
 特殊法人等が独立行政法人等に移行することに伴う所要の規定の整備を行うこととする。 (地価税法第20条、別表第1関係)




 登録免許税法の一部改正(第5条関係)
 

 不動産の価額を課税標準とする登記に係る登録免許税について、税率を次のとおり改めることとする。 (登録免許税法別表第1関係)
   
(1)

 所有権の移転の登記
     
1

 売買その他の原因による移転

1,000分の20(現行1,000分の50)
     
2

 相続又は法人の合併による移転

1,000分の4(現行1,000分の6)
     
3

 共有物の分割による移転

1,000分の4(現行1,000分の6)
   
(2)

 所有権の保存の登記

1,000分の4(現行1,000分の6)
   
(3)

 地上権、永小作権、賃借権又は採石権の設定、転貸又は移転の登記
     
1

 設定又は転貸

1,000分の10(現行1,000分の25)
     
2

 売買その他の原因による移転

1,000分の10(現行1,000分の25)
     
3

 相続又は法人の合併による移転

1,000分の2(現行1,000分の3)
     
4

 共有に係る権利の分割による移転

1,000分の2(現行1,000分の3)
   
(4)

 信託の登記
     
1

 所有権の信託

1,000分の4(現行1,000分の6)
     
2

 所有権以外の権利の信託

1,000分の2(現行1,000分の3)
   
(5)

 相続財産の分離の登記
     
1

 所有権の分離

1,000分の4(現行1,000分の6)
     
2

 所有権以外の権利の分離

1,000分の2(現行1,000分の3)
   
(6)

 仮登記
     
1

 所有権の移転又は所有権の移転請求権の保全
          1,000分の10等(現行1,000分の6)
     
2

 その他(課税標準が不動産の価額であるものに限る。)
        本登記の税率の2分の1(現行 不動産の個数1個につき1,000円)
   

(注

)上記の改正は、平成15年4月1日以後に受ける登記に係る登録免許税について適用する。 (附則第24条関係)
 

 特殊法人等が独立行政法人等に移行することに伴い、当該独立行政法人等のうち登録免許税が非課税とされる法人となる法人又は自己の受ける一定の登記について非課税となる法人となる法人について定める等所要の措置を講ずることとする。 (登録免許税法別表第2、別表第3関係)
 

 その他所要の規定の整備を行うこととする。




 消費税法の一部改正(第6条関係)
 

 中小事業者に対する特例措置
   
(1)

 事業者免税点制度が適用される基準期間における課税売上高の上限を1,000万円(現行3,000万円)に引き下げることとする。 (消費税法第9条~第12条、第57条関係)
   
(2)

 簡易課税制度が適用される基準期間における課税売上高の上限を5,000万円(現行2億円)に引き下げることとする。 (消費税法第37条関係)
 

(注

)上記の改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。 (附則第25条、第26条、第28条、第30条関係)
 

 申告納付制度等
   
(1)

 直前の課税期間の確定税額が4,800万円(1年分)を超える事業者は、中間申告・納付を毎月(現行3月ごと)行うこととし、原則として当該確定税額の12分の1ずつを申告・納付することとする。 (消費税法第42条~第44条、第48条関係)
   
(2)

 課税期間を3月とする特例に加え、新たに課税期間を1月とする特例を設けることとする。 (消費税法第19条関係)
 

(注

)上記の改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間について適用する。 (附則第27条、第29条関係)
 

 事業者は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合において、あらかじめその資産又は役務の価格を表示するときは、その資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならないこととする。 (消費税法第63条の2関係)
 

(注

)上記の改正は、平成16年4月1日から適用する。
 

 特殊法人等の独立行政法人等への移行等に伴う所要の措置を講ずることとする。 (消費税法別表第3関係)
 

 その他
   
(1)

 事業者免税点制度の改正に伴い、平成16年4月1日以後に開始する課税期間の基準期間における課税売上高の計算につき特例を設けるほか、所要の経過措置を設けることとする。 (附則第25条~第31条関係)
   
(2)

 その他所要の規定の整備を行うこととする。




 酒税法の一部改正(第7条関係)
 

 酒類間の税負担格差の縮小
 酒税の税率を次のように改めることとする。 (酒税法第22条関係)
   

     種類・品目
 
現  行
 
改正案
    (各1kl当たり)
  合成清酒
  (アルコール分15度)
  79,300円   94,600円
  果実酒   56,500円   70,472円
  甘味果実酒
  (アルコール分12度)
  98,600円   103,722円
  発泡酒(麦芽重量割合が50%
   未満25%以上のもの)
  152,700円   178,125円
  発泡酒(その他のもの)   105,000円   134,250円
  その他の雑酒(その他のもの)
  (アルコール分12度)
  98,600円   103,722円
   
 なお、アルコール度数による加算・減算税率を上記に準じて改める。
 

(注

)上記の改正は、平成15年5月1日から施行する。 (附則第1条関係)
 

 ビールの原料に麦を追加するとともに、発泡酒の範囲に麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有するものを加えることとする。 (酒税法第3条、第4条関係)
 

 酒類の検査、申告手続等の簡素合理化
   
(1)

 酒類が製成されたときの数量、アルコール分及びエキス分の検定制度を廃止することとする。 (旧酒税法第41条、第42条関係)
   
(2)

 酒類の製造見込数量の申告義務を廃止するとともに、酒類の製成・移出数量等の申告を毎月から年1回に改めることとする。 (酒税法第47条関係)
   
(3)

 酒類等が亡失、腐敗等した場合の検査を受ける義務を届出義務に改めることとする。なお、酒税の取締り又は保全上必要があるときは、税務署長は、酒類等の処分を禁止することができることとする。 (旧酒税法第49条、酒税法第50条の2関係)
 

 その他
   
(1)

 製造場に移入した課税済酒類に係る税額控除制度について、当該課税済酒類を再移出したときに加え、税務署長に申告した製造方法に従い酒類の原料として使用したときも適用することとする。 (酒税法第30条関係)
   
(2)

 平成15年5月1日において、酒類の製造場又は保税地域以外の場所で、税額が増加する酒類を一定数量以上所持する者(酒類の製造者及び酒類販売業者のほか、料理飲食店等を含む。)に対して、手持品課税を行うこととする。 (附則第39条関係)
   
(3)

 その他所要の規定の整備を行うこととする。




 たばこ税法の一部改正(第8条関係)
 

 特定販売業者以外の者により保税地域から引き取られる製造たばこに係る税率を、7,072円/千本(現行6,252円/千本)に引き上げることとする。 (たばこ税法第11条関係)
 

 その他所要の規定の整備を行うこととする。
 

(注

)上記の改正は、平成15年7月1日から施行することとする。




 石油税法の一部改正(第9条関係)
 

 名称を石油石炭税法に改めることとする。
 

 課税物件の追加
 石炭及び練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもの(外国から本邦に到着したもの以外のものにあっては、採取されたものに限る。)を課税物件に加えることとする。 (石油石炭税法第2条、第3条関係)
 

 税率を次のように改めることとする。 (石油石炭税法第9条、附則第44条、第45条関係)
   
 
現 行

改正案
      (各1トン当たり)
    平成15年10月1日 平成17年4月1日 平成19年4月1日
 天然ガス 720円 840円 960円 1,080円
 ガス状炭化水素
 (天然ガスを除く。)
670円 800円 940円 1,080円
 石 炭 230円 460円  700円
 

 その他所要の規定の整備を行うこととする。




 電源開発促進税法の一部改正(第10条関係)
 

 税率を次のように改めることとする。 (電源開発促進税法第6条、附則第54条関係)
   

現 行

改正案
    (各1,000キロワット時当たり)
  平成15年10月1日 平成17年4月1日 平成19年4月1日
445円 425円 400円 375円
 

 その他所要の規定の整備を行うこととする。




一 印紙税法の一部改正(第11条関係)
 特殊法人等が独立行政法人等に移行することに伴う所要の措置を講ずることとする。 (印紙税法別表第2、別表第3関係)