財理第1193 号 |
財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)により、相続等により取得した土地所有権を国庫に帰属させる制度が創設されたことに伴い、同法に基づく国庫帰属に関する事務の取扱いについては、下記によることとしたので通知する。
また、普通財産取扱規則(昭和40年大蔵省訓令第2号)第5条の「別に定めるもの」については、別添「財務省所管一般会計所属普通財産として寄附受けする場合の事務取扱要領」3-(1)によることとされたので、命により通知する。
おって、本通達は令和5年4月27日から適用する。
記
目 次
第1基本方針
第2用語の定義
第3申請土地の調査事務
1承認申請書類の受領
2追加資料の受領
3書面調査
4種目の一次判断に係る意見表明
5実地調査
6承認、却下又は不承認の判断に係る意見表明
7種目の最終判断に係る意見表明
第4国庫帰属財産の引受事務
1引受け
2登記嘱託
3台帳整理
第5承認取消しに関する事務
1承認取消しに係る協議の申入れ
2承認取消しに係る意見表明
3承認取消しに伴う登記嘱託
4台帳整理
第6損害賠償責任に関する事務
第7寄附受けに関する事務
1寄附受けの検討
2寄附受けに係る基本的な考え方
3事務取扱い
第8本省協議
第9書面等の作成・通知等の方法
1電子ファイルによる作成
2電子メール等による通知等
3適用除外
第1基本方針
政府における喫緊の課題である所有者不明土地の発生の抑制を図るために相続土地国庫帰属制度が創設されたことに鑑み、財務省としても制度が円滑に運用されるよう取り組む必要がある。
このため、当該制度が複数の関係機関によって運用されるものであることも踏まえ、関係機関との連携を密にし、迅速かつ確実な事務処理を行うものとする。
また、相続土地国庫帰属制度を契機として、国にとって有益な財産を取得する希少な機会を生かすため、普通財産としての寄附受けの可能性について検討するものとする。
第2用語の定義
本通達において使用する用語の定義は以下による。
1法「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)
2令「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令」(令和4年政令第316号)
3規則「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則」(令和5年法務省令第1号)
4相続土地国庫帰属制度法により創設された相続等により取得した土地所有権を国庫に帰属させる制度
5相続等相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)
6相続土地相続等により所有権又は共有持分を取得した土地
7承認申請法第2条第1項又は第2項の規定により、土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認の申請
8承認申請者法第2条第1項又は第2項の規定により、土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請する者
9承認申請者等承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人
10申請土地承認申請に係る土地
11承認申請書類承認申請書及びその添付書類
12財務局等財務局、福岡財務支局及び沖縄総合事務局
13財務局長等財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長
14法務局等法務局又は地方法務局の本局
15法務局長等法務局又は地方法務局の長
16国庫帰属財産相続土地国庫帰属制度により国庫に帰属した財産
17管理庁国庫帰属財産を管理することが決定した行政機関(財務局等、財務事務所及び出張所並びに、農林水産省経営局及び地方農政局並びに森林管理局、森林管理署及び森林管理署の支署)
18関係機関国の関係行政機関又は地方公共団体
19却下法第4条第1項の規定により承認申請を却下すること
20却下要件法第2条第3項各号に規定する要件
21不承認承認申請に係る土地が法第5条第1項各号のいずれかに該当すると認められるとして、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしないこと
22不承認要件法第5条第1項各号に規定する要件
23寄附財務省所管一般会計所属普通財産とする目的で民法(明治29年法律第89号)第549条に規定する贈与であって財務局等を当事者とするもの
24地下埋設物等調査令和元年9月20日付財理第3206号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達(以下「最適利用通達」という。)記第3-2-(1)及び(2)の規定に準じた調査
25売却見込額最適利用通達記第7-3-(7)-(注)-(2)-イに規定する処分価格に準じて算定した価格
第3申請土地の調査事務
財務局長等は、法務局長等から、法第7条に基づく事実の調査の協力依頼を受けた場合には、以下のとおり調査を実施するものとする。
なお、法務局長等から申請土地に係る情報提供(寄附受けの要望確認)を受けた場合は、下記第7に基づき寄附受けの検討を行うものとする。
(注)事務の手続の流れについては、別表第1「相続土地国庫帰属制度における事務フロー」を参照されたい。
1承認申請書類の受領
財務局長等は、法務局長等から事実の調査の協力依頼に併せて承認申請書類の写しの送付があった場合には、以下の書類があることを確認した上で受領するものとする。
(規則第3条各号に規定されている承認申請書の添付書類)
①承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、当該者であることを証する書面(当該者であることが登記記録(不動産登記法第2条第5号に規定する登記記録をいう。)から明らかであるときを除く。)
②法定代理人によって承認申請をするときは、戸籍事項証明書その他その資格を証する書面
③承認申請者が法人であるときは、当該法人の代表者の資格を証する書面(当該法人が会社法人等番号を有する法人である場合において、その会社法人等番号を承認申請書に記載したときを除く。)
④承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面
⑤承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
⑥承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
⑦法第11条第1項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾したことを証する書面(承認申請者等が記名し、承認申請書に押印したものと同一の印を用いて押印したもの又は前条第一項ただし書の認証を受けたものに限る。)
2追加資料の受領
法務局長等から追加資料として、申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写した書面のほか、必要に応じて以下の事項に係る資料が送付されるため、受領するものとする。
なお、法務局長等から以下の①から⑳まで以外の事項に係る資料の送付があった場合には併せて受領するものとする。
(法務局長等が関係機関から収集する対象事項)
①地方税法(昭和25年法律第226号)第380条第1項に規定する固定資産課税台帳上の所在地番、地目及び地積
②「都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項に規定する市街化区域」、「同法第8条第1項第1号に規定する用途地域」、「農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号に規定する農用地区域」又は「土地改良法(昭和24年法律第195号)第2条第2項に規定する土地改良事業若しくはこれに準ずる事業として法務省令で定めるものが施行される区域」内に存在する土地
③農地法(昭和27年法律第229号)第52条の2第1項に規定する農地台帳に記載のある土地
④③の土地における使用及び収益を目的とする権利の設定状況
⑤森林法(昭和26年法律第249号)第5条第1項に規定する地域森林計画の対象となっている土地
⑥森林法第11条第1項に規定する森林経営計画の認定の有無
⑦森林経営管理法(平成30年法律第35号)第2条第4項に規定する経営管理権が設定されている土地
⑧入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律(昭和41年法律第126号)第2条第1項に規定する入会権が設定されている土地
⑨森林法第191条の4第1項に規定する林地台帳及び同法第191条の5第2項に規定する森林の土地に関する地図
⑩平成12年5月8日付林野庁長官通知「地域森林計画及び国有林の地域別の森林計画に関する事務の取扱いの運用について」に規定する森林簿及び森林計画図
⑪土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第6条第1項に規定する「要措置区域」及び同法第11条に規定する「形質変更時要届出区域」に存在する土地
⑫令第2条第1項第2号に規定する「墓地」として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた区域に存在する土地
⑬令第2条第1項第3号に規定する「境内地」に該当する土地
⑭令第2条第1項第4号に規定する「ため池」に該当する土地としてため池台帳に記載がある土地
⑮治山事業(森林法第41条第3項に規定する保安施設事業及び地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第51条第1項第2号に規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第3条又は第4条の規定によって指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における同法第2条第4項に規定する地すべり防止工事又は同法第41条のぼた山崩壊防止工事に関する事業をいう。)の計画がある土地
⑯森林病害虫等防除法(昭和25年法律第53号)第7条の5第1項の規定に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地
⑰森林病害虫等防除法第7条の10第1項の規定に基づき地区実施計画の対象となっている土地
⑱条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等の支払義務)が発生することが確実な土地
⑲条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地
⑳⑱・⑲以外に金銭の支払を求められる可能性がある土地(別荘地等)
3書面調査
財務局長等は、法務局長等が行う承認、却下又は不承認の判断及び種目の判断に係る意見表明を行うため、上記第3-1及び2において受領した資料を用いて、書面調査を行うものとする。具体的には、別表第2「書面調査一覧表」の調査内容に基づき調査を行うものとする。
4種目の一次判断に係る意見表明
法務局長等から主な種目について確認依頼を受けた場合は、財務局長等は、書面調査の結果を踏まえ、一次的に種目を判断し、提示された期限内(1~2週間目途)に電子メールにより意見表明するものとする。種目の判断は、法及び令に基づく以下の定義を前提とし、別表第2「書面調査一覧表」の調査内容に基づき行うものとする。
なお、法務局長等と異なる判断をする場合は、当該判断を行った具体的な理由を併せて表明するものとする。
また、法務局長等の種目の一次判断が農用地又は森林の場合において、特段の意見がないときは、意見表明は不要とする。
(種目の定義)
宅地:その現況及び従前の使用状況に照らして直ちに建物の敷地の用に供することができると認められる土地
農用地:農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地
森林:森林法第2条第1項に規定する森林
その他:上記以外の土地
5実地調査
(1)財務局長等の同行
財務局長等は、承認、却下又は不承認の判断及び種目の判断に係る意見表明を行うため、法務局長等から、法第6条第2項に基づき法務局長等が実施する実地調査への同行を求められた場合には同行するものとする。
実地調査の同行可能な日時及び同行者について法務局長等から検討の依頼を受けた場合は、当該依頼を受けた日から2週間以内に電子メールにより回答するものとする。
(2)承認申請者等の同行
実地調査においては、財務局長等が、承認申請者等の同行を必要とする場合には、法務局長等に対し承認申請者等の同行を求めるよう依頼するものとする。
(注)法務局長等においては、原則として承認申請者の同行は求めないが、承認申請者の同行がなければ申請土地に到達することが困難と認められる場合のほか、以下の場合には、法務局長等において承認申請者等の同行を求めることとされている。
①添付書類に示された申請土地の所在位置に疑義がある場合
②添付書類に示された申請土地の境界(所有権の範囲)に疑義がある場合
③その他承認申請者の認識を現地で確認する必要がある場合
(3)実地調査の実施
実地調査に当たっては、別表第3「実地調査一覧表」の調査内容に基づき調査に協力するものとする。
実地調査は、申請土地が広大な土地である場合や調査に時間を要する特別な事情がある場合を除き、1回かつ1日以内を原則として実施されるため、速やかな調査に協力するものとする。
また、関係者からの求めがあった場合には、身分証明書を提示するものとする。
(4)法務局長等への資料の収集依頼
財務局長等は、実地調査の結果を踏まえ、承認、却下又は不承認の判断に係る意見表明をするに当たって、上記第3-2において受領した資料以外に必要な情報がある場合は、法務局長等に対して、当該情報及び必要とする具体的な理由を付して、資料の収集を依頼するものとする。
6承認、却下又は不承認の判断に係る意見表明
財務局長等は、書面調査及び実地調査の結果を踏まえ、承認、却下又は不承認の判断結果について、別紙第1号様式「承認、却下又は不承認に係る回答書」により、原則として実地調査終了日の翌日から1か月以内に法務局長等へ意見表明するものとする。
ただし、判断に時間を要するため1か月以内に意見表明することが困難な場合は、事前に法務局長等へ当該理由を伝達した上で、期限の延長依頼(延長期間は2週間以内とする。)をするものとする。
なお、却下要件及び不承認要件は、客観的かつ具体的に認められることが必要であることから、要件該当性に疑義がある場合には、当該要件には該当しないと判断する必要がある点に留意する。
7種目の最終判断に係る意見表明
法務局長等から、審査の結果、承認することとした旨の連絡を受けた場合には、財務局長等は、書面調査及び実地調査の結果を踏まえ、申請土地の主な種目について、できる限り早期に法務局長等に電子メールにより回答するものとする。
なお、上記第3-4により意見表明した種目と異なる種目の回答を行う場合には、主な種目と判断した理由を付すこととする。
法務局長等から法第8条に基づく意見聴取が実施された場合には、別紙第2号様式「主たる種目に係る回答書」により2週間以内に意見表明するものとする。
また、別紙第2号様式による意見表明後において、法務局長等と財務局長等の判断が異なる場合であって、法務局長等の種目の判断に疑義があるときは、その旨を法務局長等に電子メールにより連絡した上で、財務局長等は独自に追加の資料を収集し、別紙第2号様式により、具体的な理由を付して再度意見表明するものとする。
第4国庫帰属財産の引受事務
1引受け
財務局等が管理庁となる場合は、法務局長等から法第11条第2項に基づく通知と併せて、承認申請書類及び審査時に収集した資料、負担金の納付に関する書類等の写しを受領するとともに、受領した旨を法務局長等に電子メールにより連絡するものとする。
また、財務局長等は、承認申請者に対し別紙第3号様式「国庫帰属財産の引受けについて」により引き受けた旨を通知するものとする。
なお、引受け以降において、管理処分に当たり審査の経緯や内容等が必要となる場合には、法務局長等へ資料の提供を依頼するものとする。
2登記嘱託
財務局長等は、法務局長等から送付を受けた書類を確認後、国庫帰属財産に係る権利の移転等を公示するため、別紙第4号様式「登記嘱託書」により、不動産を管轄する登記所に所有権の移転の登記の嘱託を行うものとする。
また、承認申請者の住所又は氏名の変更登記が未登記の場合は別紙第5号様式、相続登記が未登記の場合は別紙第6号様式及び所有権の保存の登記が未登記の場合は別紙第7号様式により、当該登記の代位登記の嘱託を所有権の移転登記の嘱託と併せて行うこととする。
なお、所有権移転の嘱託登記の登記原因は、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第11条第1項の規定に基づく令和年月日所有権の国庫帰属」となり、登記原因日付は、負担金が納付された日となる。
3台帳整理
財務局長等は、法務局長等から法第11条第2項に基づく通知を受けたときは、速やかに当該国庫帰属財産を国有財産台帳に登録するものとする。
なお、増減事由用語は、「帰属(相続土地国庫帰属法)」とし、異動年月日は、負担金納付日とする。
第5承認取消しに関する事務
1承認取消しに係る協議の申入れ
財務局長等は、承認申請者が偽りその他不正の手段により承認を受けたことを把握した場合には、法務局長等に承認取消しについて協議の申入れをするものとする。
2承認取消しに係る意見表明
財務局長等は、法務局長等から法第13条第2項及び規則第22条第14号に基づく意見聴取に係る依頼を受けた場合は、別紙第8号様式「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第13条第2項に基づく承認の取消しに関する意見聴取について(回答)」により、承認を取り消すことが相当であるか否かについて、理由と併せて意見表明するものとする。
3承認取消しに伴う登記嘱託
(1)財務局長等は、法務局長等から承認を取り消した旨の連絡を受けた場合は、承認を取り消された者に対し、別紙第9号様式「国庫への帰属の承認取消しに伴う登記手続等について」を通知するものとする。
(2)財務局長等は、承認を取り消された者から別紙第10号様式「所有権抹消登記嘱託請求書」及び関係書類の提出を受けた場合には、速やかに国庫帰属に基づく所有権の移転の登記の抹消手続を行うものとする。
4台帳整理
財務局長等は、法務局長等から承認を取り消した旨の連絡を受けたときには、速やかに国有財産台帳について減の整理を行うものとする。なお、増減事由用語は、「(帰属)誤謬訂正」とし、備考欄に「相続土地国庫帰属法第13条第1項の規定による承認取消しのため」と記載するものとする。
第6損害賠償責任に関する事務
財務局長等は、損害賠償請求の検討を行う場合には、法務局長等に対して、承認申請者に関する情報や承認申請の審査時における承認申請者の却下事由又は不承認事由に関する認識等について資料の提供を依頼するものとする。
第7寄附受けに関する事務
1寄附受けの検討
財務局長等は、法務局長等から申請土地に係る寄附受け要望の確認依頼を受けた場合には、当該土地の寄附受けの可能性について検討するものとする。
2寄附受けに係る基本的な考え方
国にとって有益な財産について、国の取得を可能とし、かつ、国に譲渡したいとする承認申請者の意思を尊重する観点から、国として行政目的のない不動産であっても、普通財産としての寄附受けの可能性について検討するものとする。
なお、寄附受けは当事者間の合意に基づく契約であることに鑑み、みだりに管理コストが増大することを防止する観点から、国にとって総合的に有益であると見込まれる財産についてのみ寄附受けするものとする。
3事務取扱い
普通財産は国の行政目的に直接供されない財産であり、寄附を受けることにより管理コストが増大するおそれがあることから、寄附を受ける財産については一定の条件を設け、寄附受けの審査に統一性を持たせるとともに、寄附受けの透明性を確保するものとする。
具体的な事務取扱いについては、別添「財務省所管一般会計所属普通財産として寄附受けする場合の事務取扱要領」に基づき行うものとする。
第8本省協議
財務局長等は、本通達により処理することが適当でないと認められるなどの場合には、本省に協議するものとする。
第9書面等の作成・通知等の方法
1電子ファイルによる作成
本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。
2電子メール等による通知等
(1)本通達に基づく通知等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。
(2)上記(1)の方法により通知等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。
3適用除外
上記1及び2の措置は、本通達に規定する手続のうち、次に掲げるものについては適用しないものとする。
(1)記第4-2に規定する「登記嘱託書」(別紙第4から7号様式)による登記嘱託
(2)記第5-3に規定する「所有権抹消登記嘱託請求書」(別紙第10号様式)及び関係書類の提出
(3)別添「財務省所管一般会計所属普通財産として寄附受けをする場合の事務取扱要領」記2(2)に規定する「寄附契約申出書」(別紙第1号様式)及び添付書類の提出
(4)別添「財務省所管一般会計所属普通財産として寄附受けをする場合の事務取扱要領」記3(2)に規定する「寄附契約申出書及び関係書類の返戻について」(別紙第5号様式)による通知及び返戻
(5)別添「財務省所管一般会計所属普通財産として寄附受けをする場合の事務取扱要領」記4に規定する「寄附契約書」(別紙第6号様式)による契約締結
(6)別添「財務省所管一般会計所属普通財産として寄附受けをする場合の事務取扱要領」記4に規定する「土地所有権移転登記承諾書」(別紙第7号様式)の提出
別添
財務省所管一般会計所属普通財産として寄附受けする場合の事務取扱要領
財務省所管一般会計所属普通財産として寄附受けする場合の事務的な取扱いは、下記のとおりとする。
記
1寄附受けの対象財産
(1)寄附受けの対象
寄附受け後の管理コストの増大を抑制する観点から、寄附受けの対象は土地とする。ただし、工作物等が附随していても国にとって総合的に有益であると見込まれる場合にのみ工作物等を寄附受けすることを妨げない。
(2)寄附受けの条件
財務局長等は、次のいずれかに該当する場合にのみ契約を締結できるものとする。
①土地の状況や周辺環境等に照らし、売却等ができる蓋然性が高いと見込まれること
(注)都市計画道路の事業化見込み等により、将来的に売却等ができる蓋然性が高いと見込まれるものを含む
②財務省所管普通財産に隣接する土地で、国有地の資産価値の増加に寄与すると見込まれること
(3)必須要件
以下の要件を満たすことを必須とする。
①自発的行為であり、割当の方法によるものでないこと
②使途が特定されていないこと
③国との間に利害関係がないこと
④寄附に係る一切の見返りを求めていないこと
⑤公職選挙法(昭和25年法律第100号)に反するものでないこと
⑥反社会的な団体等の構成員ではないこと
⑦申出者の相続財産に係る遺留分権利者に損害を加えるものでないこと
⑧申出者の債権者を害するものでないこと
⑨上記⑦及び⑧のほか、寄附を行うことにより第三者の権利を害するおそれがないこと
⑩崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するものでないこと
⑪他の土地に囲まれて公道に通じない土地等であって、現に通行が妨げられているものでないこと(上記(2)寄附受けの条件①の場合に適用)
⑫現に通路の用に供されている土地でないこと(上記(2)寄附受けの条件①の場合に適用)
2寄附受けの検討手順
財務局長等は、法務局長等から申請土地に係る寄附受け要望の確認依頼を受けた場合には、当該土地の書面調査及び実地調査に合わせ、以下の手順で寄附受けの検討を行うものとする。
(1)寄附受け要望に係る一次判定
財務局長等は、法務局長等より承認申請書類の写しを受領した場合には、当該書類を用いて、上記1-(2)の「寄附受けの条件」①及び②(以下「条件①及び②」という。)の該当性について確認を行うものとする。
その上で、寄附受け要望に係る一次判定として、寄附受けの検討を行う又は寄附受けをしないのいずれかについて2週間以内(期限にかかわらずできる限り早期)に法務局長等に電子メールにより回答するものとする。
また、寄附受けの検討を行う場合は、おおむね1か月毎に法務局長等に進捗状況を電子メールにより連絡するものとする。
(2)申出書等の徴求
財務局長等は、上記(1)において寄附受けの検討を行うとしたものについて、法務局長等から追加資料を受領し、書面調査及び実地調査(承認申請者の同意を得て独自に行う場合を含む。)を行った上で、引き続き寄附受けの検討をすべき財産であると考える場合は、承認申請者に対し、寄附契約申出書(別紙第1号様式)及びその添付書類(以下「申出書等」という。)を徴求するものとする。
なお、承認申請者への申出書等の徴求に当たっては、別表第1の寄附契約締結に係る事務フローを活用して今後の事務手続の流れを説明するものとし、その際、審査の結果により寄附を受けることができない場合があること、寄附契約締結後において地下埋設物や土壌汚染等の契約の目的に適合しないもの(以下「地下埋設物等」という。)が存在することが判明した場合には契約解除の対応を行うことがあることなどについても併せて説明するものとする。
(3)審査
上記(2)の承認申請者への説明後、申出書等の提出があった場合には、財務局長等は、寄附申出者(以下「申出者」という。)が寄附契約の申出を行う土地(以下「寄附申出土地」という。)について、別表第2の寄附申出土地審査票(以下「審査票」という。)により審査を行うものとする。なお、法務局長等に同行する実地調査とは別に実地調査を行う必要が生じた場合は申出者に許可を得た上で行うものとする。
なお、審査においては、条件①及び②のいずれかに該当する土地の寄附受けにより得られる国にとってのメリット(資産価値の増加)が、審査票の確認項目等に該当することにより生じるデメリット(管理又は処分をするに当たり費用又は労力を要すること)を明らかに上回ると見込まれるとともに、国庫帰属制度の負担金額(見込み)を優に上回ると見込まれる財産について寄附受けができるものとする。
3審査結果の通知等
(1)財務局長等による判定
上記審査の結果、寄附申出土地が条件①及び②のいずれかに該当し、かつ上記1-(3)の必須要件(以下「必須要件」という。)の全てを満たすとともに、審査票の全ての確認項目に該当するとき、又は条件①及び②のいずれかに該当し、かつ必須要件の全てを満たすものの、審査票のいずれかの確認項目に該当しない場合であって財務局長等が寄附を受けようとするときは、普通財産取扱規則第5条の規定にかかわらず、財務局長等限りで寄附を受ける旨の判断をできるものとする。
また、上記審査の結果、条件①及び②に該当しないとき又は必須要件を満たさないとき、又は条件①及び②のいずれかに該当し、かつ必須要件の全てを満たすものの、審査票のいずれかの確認項目に該当しない場合であって財務局長等が寄附を受けないとするときは、財務局長等限りで寄附を受けない旨の判断をするものとする。
(2)申出者への審査結果の通知
上記(1)の判定の結果、寄附を受ける旨の判断をした場合は、財務局長等は、申出者に対して、別紙第4号様式にて寄附を受ける旨を通知するものとする。
なお、寄附を受けない旨の判断をした場合は、財務局長等は、別紙第5号様式により申出者に寄附を受けることができない旨を通知するとともに、申出書等を返戻するものとする。
(3)法務局長等への回答
財務局長等は、上記(1)の判定を行った場合は、法務局長等に対して、速やかに判定結果を連絡するものとする。
4契約締結等の取扱い
財務局長等は、寄附受けについて申出者と合意する場合は、別紙第6号様式により契約を締結するものとし、契約締結後、契約書に基づき申出者から提出を受けた土地所有権移転登記承諾書(別紙第7号様式)及び登記に必要な書類を付して、寄附申出土地の所有権移転登記を行うものとする。
財務局長等は、契約締結後、速やかに当該財産を国有財産台帳に登録するものとする。なお、増減事由用語は「寄附」とし、異動年月日は、契約締結日とする。
5財務局等におけるホームページへの掲載
財務局長等は、寄附を受けた場合は、平成30年3月30日付財理第1151号「国有財産の物件情報に係る公表様式について」通達の記第5-(5)に規定する様式により財務局等のホームページにおいて、寄附契約を締結した土地に係る所在地、登記地目及び種類、面積、契約年月日、契約相手方の法人・個人の別(地方公共団体の場合は団体名)、寄附受けの理由(条件①及び②のいずれかを記載)を掲載するものとする。
なお、各四半期における寄附契約の状況を翌月末日までにホームページに掲載するものとする。
6地下埋設物等への対応
寄附を受けた後、財務局長等が行う地下埋設物等調査において、地下埋設物等の存在が判明した場合は、撤去後の売却見込額(X)及び撤去に必要な費用(Y)をそれぞれ算定し、撤去後の売却見込額が撤去に必要な費用と同額又は下回る場合(X-Y≦0)で、寄附契約の目的を果たすことができないと見込まれるときは、財務局長等は、顧問弁護士に相談を行い、必要に応じて契約書に基づき契約解除の対応を行うものとする。
なお、上記の対応は、その契約不適合の事実を知った時から1年以内に相手方に通知した場合に限り可能となることに留意するものとする。
7本省協議
財務局長等は、本要領により処理することが適当でないと認められるなどの場合には、本省に協議するものとする。