令和元年9月20日 |
改正令和2年 1月31日 財理 第325号
同 3年 6月11日同第1932号
同 4年 6月7日同第2006号
同 5年 4月25日同第1258号
財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛
平成3年9月30日付蔵理第3603号「一般競争入札等の取扱いについて」通達(以下「入札通達」という。)に基づき入札参加者の拡大等を目的とした取組を実施してもなお落札に至らなかった財産(以下「売残財産」という。)を宅地建物取引業者(宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する宅地建物取引業者をいい、信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業法第2条第2号に規定する宅地建物取引業を営むものを含む。以下同じ。)の媒介により売り払う場合等の取扱いを下記のとおり定めたから、通知する。
なお、本通達は、令和元年10月1日より適用するものとする。
記
第1目的
本通達は、売残財産について、不動産情報サイトへの情報の掲載並びに連携協議会(令和元年9月20日付財理第3206号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達記第10に規定する連携協議会をいう。以下同じ。)及び近隣の事業者等への情報の提供を行うとともに、宅地建物取引業者の媒介を活用することにより、不落等随意契約(予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」という。)第99条の2及び第99条の3の規定に基づく随意契約をいう。以下同じ。)による売買の成約率の向上を図り、もって売残財産の売却促進に資することを目的とする。
第2本通達を適用する対象財産
入札通達別紙Ⅰ-2及びⅡ-2の規定に基づき、先着順により不落等随意契約の相手方を決定する売残財産を対象とする。
第3不動産情報サイトへの情報の掲載
財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長(以下「財務局長等」という。)は、自己発見による売買の成約率の向上及び宅地建物取引業者への情報発信を目的として、以下に定めるところにより、対象財産に係る情報を不動産情報サイトに掲載するものとする。
1不動産情報サイトへの情報掲載等に係る手続
(1)財務局長等は、入札通達別紙Ⅰ-2-③(同通達別紙Ⅱ-2において準用する場合を含む。)の規定に基づき、財務局、福岡財務支局及び沖縄総合事務局(以下「財務局等」という。)のホームページに先着順受付に関する情報を掲載する際、併せて次に掲げる情報を「全国版空き家・空き地バンク」(以下「全国版バンク」という。)に掲載するものとする。
①物件番号、所在地、登記地目、面積、用途地域、都市計画、交通機関、最寄駅(又はバス停)、徒歩所要時間及び売却価格
②現況写真
③先着順の受付期間、問い合わせ先その他財務局長等が必要と認める事項
(2)財務局長等は、先着順の受付期間の最終日をもって、全国版バンクから上記(1)の情報を削除するものとする。
2情報の管理
上記1に定める全国版バンクへの情報掲載又は削除に係る手続を含め、全国版バンクに掲載した情報の管理は、財務局等の本局において一括して行うものとし、財務局長等は当該情報管理のための体制を構築するものとする。
第4連携協議会等への情報の提供
財務局長等は、上記第3の不動産情報サイトによる情報の掲載に併せて、入札通達別紙Ⅰ-1-(2)-①(同通達別紙Ⅱ-1-(2)において準用する場合を含む。)に定めるところに準じて、連携協議会に対して対象財産に係る情報を提供するとともに、同通達別紙Ⅰ-1-⑵-②(同通達別紙Ⅱ-1-⑵において準用する場合を含む。)に定めるところに準じて、近隣の事業者等に対して対象財産に係る情報を提供するよう努めるものとする。
第5宅地建物取引業者の媒介を活用した買受希望者の探索
財務局長等は、対象財産の成約率の向上を目的として、以下に定めるところにより、宅地建物取引業者の媒介による買受希望者の探索を行うものとする。
1媒介契約の型式
媒介契約の型式は、委託者(国)が宅地建物取引業者に対象財産の売買の媒介を委託するに当たり、他の宅地建物取引業者に重ねて売買の媒介を委託することができる「一般媒介契約(明示型)」とする。
(注1)「明示型」とは、一般媒介契約のうち、依頼者が他の宅地建物取引業者の存在を明示する義務があるものをいう。
2媒介契約の受託者に必要な資格
媒介契約の受託者に必要な資格は、「宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する宅地建物取引業者(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業法第2条第2号に規定する宅地建物取引業を営むものを含む。)であること」とし、そのほかは特に制限しないものとする。
3媒介契約の締結に向けた手続
(1)媒介契約に係る公告
財務局長等は、開札後遅滞なく、「国有財産媒介公告書」(別紙様式第1号)に必要な事項を記載の上で、当該公告書とともに「国有財産媒介申込書」(別紙様式第2号)及び「一般媒介契約書」(別紙様式第3号)を財務局等のホームページに掲載する方法により媒介契約に係る公告を行うものとする。
(2)宅地建物取引業者からの申込みの受付
財務局長等は、宅地建物取引業者からの媒介の申込みの受付に当たっては、当該業者に対し、「国有財産媒介申込書」(別紙様式第2号)及び宅地建物取引業法第6条の規定に基づく免許証の写しの提出を求めるものとする。
(3)一般媒介契約の締結
財務局長等は、上記(2)により宅地建物取引業者からの申込みを受け付けた場合には、以下に定めるところにより、速やかに当該業者との間で一般媒介契約を締結するものとする。
①契約書式
契約書式は、「一般媒介契約書」(別紙様式第3号)によるものとする。
②契約方式
契約方式は、会計法(昭和22年法律第35号)第29条の3第4項の規定による随意契約とする。
③契約保証金の取扱い
契約保証金は、会計法第29条の9ただし書及び予決令第100条の3第3号の規定に基づき、その納付を免除するものとする。
④契約期間
契約期間は、契約期間の初日から3か月を超えない範囲内で、先着順の受付期間、対象財産に係る売買契約の締結期限、売買代金の納付期限等を考慮して設定するものとする。
(注2)先着順受付に係る公告日より前に一般媒介契約を締結することを妨げるものではないが、契約期間の初日については、必ず当該公告日以降となるよう契約期間を設定するものとする。
⑤約定報酬額
「国有財産媒介申込書」(別紙様式第2号)に記載の報酬の希望額が国の予定価格(予決令第99条の5の規定に基づき定める予定価格をいう。)以下であった場合には、当該希望額をもって約定報酬額とする。
なお、約定報酬額は、昭和45年10月23日付建設省告示第1552号「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(以下「国土交通省告示」という。)の規定に基づき、宅地建物取引業者が売買の媒介に関して依頼者から受け取ることのできる報酬の額が限度となることに留意するものとする。
⑥依頼する宅地建物取引業者以外の宅地建物取引業者の明示
一般媒介契約の締結時において、依頼する宅地建物取引業者以外の宅地建物取引業者との間で既に一般媒介契約を締結している場合については、当該依頼する宅地建物取引業者以外の宅地建物取引業者に係る商号又は名称及び主たる事務所の所在地を一般媒介契約書に明示するものとする。
4媒介契約の更新及び解除
(1)媒介契約の更新に関する取扱い
財務局長等は、一般媒介契約に係る契約期間の満了に当たり、引き続き受託者(一般媒介契約を締結した宅地建物取引業者をいう。以下同じ。)の媒介活動により目的物件(一般媒介契約で媒介の対象とした対象財産をいう。以下同じ。)の売買契約が成立すると見込まれると判断する場合には、以下に定めるところにより、当該一般媒介契約を更新することができるものとする。
①契約更新の通知
財務局長等は、一般媒介契約を更新するに当たっては、更新後の契約期間等について受託者の同意を得た上で、当該受託者に対し「一般媒介契約に係る契約期間更新通知書」(別紙様式第4号)を送付するものとする。
②更新後の契約期間
更新後の契約期間は、更新の日から3か月を超えない範囲内で、先着順の受付期間、対象財産に係る売買契約の締結期限、売買代金の納付期限等を考慮して設定するものとする。
③更新後の契約内容
更新後の契約については、契約期間に関する定めを除き、従前の契約と同一内容の契約が成立したものとみなすものとする。
(2)媒介契約の解除に関する取扱い
財務局長等は、次のいずれかに該当する場合においては、直ちに一般媒介契約を解除するものとし、遅滞なく、受託者に対して「一般媒介契約の解除通知書」(別紙様式第6号)を送付するものとする。
①受託者が一般媒介契約に係る業務について信義を旨とし誠実に遂行する義務に違反したとき
②受託者が一般媒介契約に係る重要な事項について故意若しくは重過失により事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしたとき
③受託者が宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をしたとき
④一般媒介契約の履行に関し、受託者又は受託者の代理人若しくは使用人に不正の行為があったとき
⑤自ら発見した買受希望者と売買契約を締結したとき、又は受託者以外の宅地建物取引業者の媒介よって売買契約を締結させたとき
⑥前各号に定めるもののほか、受託者が一般媒介契約に定める義務を履行しないとき
5受託者に対する通知等
(1)受託者に対する通知義務
財務局長等は、次に掲げる場合には、遅滞なく、受託者に対してその旨を通知するものとする。この場合において、①に該当するときにあっては「一般媒介契約の締結通知書」(別紙様式第5号)を、②に該当するときにあっては「一般媒介契約の解除通知書」(別紙様式第6号)を受託者に送付するものとする。
①一般媒介契約の契約期間内に上記第5-3-(3)-⑥に基づき契約書に明示した宅地建物取引業者以外に重ねて目的物件の売買の媒介を依頼しようとするとき
②一般媒介契約の契約期間内に自ら発見した買受希望者と売買契約を締結したとき又は受託者以外の宅地建物取引業者の媒介によって売買契約を締結させたとき
(2)委託者(国)に対する費用償還の請求
財務局長等は、上記(1)-①の通知を怠った場合にあっては、一般媒介契約の契約期間内に受託者に示していない宅地建物取引業者の媒介によって売買契約を成立させたとき、又は上記(1)-②の通知を怠った場合にあっては、受託者が契約成立後善意で委託者(国)のために一般媒介契約の事務処理に要する費用を支出したときには、受託者から上記第5-3-(3)-⑤の約定報酬額を上限として契約の履行のために要した費用の償還請求がなされる場合があることに留意の上、個々の事案の進行管理を徹底するものとする。
6媒介業務の適正な処理
財務局長等は、受託者の媒介業務の遂行に関し、以下の点に留意の上、受託者に対して必要な指示を行うものとする。
①受託者は、買受希望者から買受けの申込みがあったときは、財務局長等に対して、遅滞なく、その旨を報告するとともに、当該買受希望者に対し、普通財産売払申請書その他財務局長等が必要と認める書類(以下「売払申請書等」という。)(注3)を提出するよう求め、当該売払申請書等を国に提出しなければならないこと。
②財務局長等は、①により、受託者から売払申請書等を受領した場合には、その内容を審査の上、受託者を経由して、買受希望者に対しその審査結果を書面により通知するとともに、受託者を媒介とする買受希望者を契約相手方として決定した場合には、国有財産売買契約書その他売買契約に必要な書類を交付すること。
③財務局長等は、受託者を媒介とする買受希望者からの売払申請書等と自ら発見した買受希望者又は当該受託者以外の受託者を媒介とする買受希望者からの売払申請書等が同日付けで提出された場合には、「くじ」により契約相手方を決定すること(注4)。
④受託者は、②により、財務局長等から、契約相手方決定通知書及び国有財産売買契約書その他目的物件の売買契約に必要な書類を受領したときは、遅滞なく、宅地建物取引士をして当該国有財産売買契約書に記名押印させる(注5)とともに、契約相手方として決定した買受希望者(以下「契約相手方」という。)に対して財務局長等から受領した書類を交付しなければならないこと。
⑤受託者は、④により、国有財産売買契約書等を契約相手方に交付するに当たっては、契約相手方に対して売買契約書の内容等を説明するとともに、契約相手方決定通知の日から30日以内に売買契約が締結されるよう、必要な手続を進めなければならないこと。
⑥上記のほか、受託者は、買受希望者又は契約相手方に対して宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行う際、申込者の資格、売買契約において付す条件、売買代金の納付方法等を併せて告知しなければならないこと(注6)。
(注3)「売払申請書等」とは、入札通達別紙Ⅰ-2-④(同通達別紙Ⅱ-2において準用する場合を含む。)に規定する書類であって、先着順による申込みを受け付ける場合において買受希望者に対して提出を求めるものをいう。
(注4)買受希望者がくじを引かない場合には、これに代わって先着順の受付事務に関係のない職員がくじを引くものとする。
(注5)国有財産売買契約書をもって宅地建物取引業法第37条の書面に代える取扱いとなることから、同条第3項の規定に基づき、国有財産売買契約書の売払人及び買受人の記名・押印欄の次に次のとおり宅地建物取引業者及び宅地建物取引士の名称等を表示するものとする。
媒介業者 |
免許証番号 所在地 商号 代表者 電話 FAX |
取引士 |
登録番号 氏名 |
(注6)受託者が買受希望者等に対して行う重要事項の説明及び告知については、原則として、財務局長等が保有する物件調書、閲覧資料、申込要領等を用いて行うよう、受託者を指導するものとする。
7建物状況調査を実施する者のあっせん
宅地建物取引業法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんについては、これを行わないものとする。
8指定流通機構への登録
指定流通機構(宅地建物取引業法第34条の2第5項に規定する指定流通機構をいう。以下同じ。)に対する情報登録については、受託者の任意とする。この場合において、受託者が指定流通機構に対し目的物件に関する事項を登録したときには、財務局長等は、当該受託者から登録を証する書面を受領するものとする。
9約定報酬額の支払等
(1)財務局長等は、一般媒介契約の契約期間内に、受託者の媒介による契約相手方との間で売買契約を締結し、当該契約相手方から売買代金が納付された場合には、遅滞なく、当該受託者に対して「契約締結及び売買代金納付済通知書」(別紙様式第7号)を送付し、「約定報酬額支払請求書」(別紙様式第8号)を提出するよう要請するものとする。
(2)財務局長等は、上記(1)により受託者から適法な約定報酬額の請求があったときは、受理した日から30日以内に当該受託者に対し約定報酬額を支払うものとする。
(3)財務局長等は、受託者が契約相手方から受領する報酬については、特に制限を設けないものとする。
(4)財務局長等は、国土交通省告示第9の規定により「依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する金額」については、依頼者から受領できる報酬とは別に請求できる取扱いとなっていることを踏まえ、受託者に対して、当該請求の対象となり得るような、特別の広告や遠隔地への出張等の特別の依頼は行わないものとする。
(注7)指定流通機構への登録をはじめとする通常の広告や物件調査等に係る費用は、媒介業務を遂行する上で、売買に係る申込みを誘引するため通常予定される費用であって媒介報酬に含まれる。
10受託者の使用する身分証明書
(1)財務局長等が認証する身分証明書は別紙様式第9号によるものとする。
(2)上記(1)の身分証明書は、一般媒介契約の契約期間に限り効力を有するものとし、財務局長等は当該契約期間が満了したときは速やかに当該身分証明書を回収し、破棄するものとする。
(3)受託者は、一般媒介契約に係る業務を取り扱うに当たっては、「財務省所管普通財産の売買に係る媒介業務取扱」の名義を本契約期間中に限り、使用することができるものとする。
第6書面等の作成・送付等の方法
1電子ファイルによる作成
本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。
2電子メール等による送付等
(1)本通達に基づく送付等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。
(2)上記(1)の方法により送付等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。
3適用除外
上記1及び2の措置は、本通達に規定する手続のうち、次に掲げる場合については適用しないものとする。
(1)記-第5-3-(3)-①に規定する契約書式による契約
(2)記-第5-4-(1)-①に規定する契約更新の通知
(3)記-第5-4-(2)に規定する契約解除の通知
(4)記-第5-5-(1)に規定する受託者に対する通知
(5)記-第5-6-①、②及び④に規定する手続
(6)記-第5-8に規定する登録を証する書面を受領する場合
(7)記-第5-9-(1)に規定する「契約締結及び売買代金納付済通知書」を送付する場合
(8)記-第5-10-(1)に規定する財務局長等が認証する身分証明書を作成する場合
別紙様式第1号~別紙様式第9号(PDF:329KB)