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不動産侵奪罪等に該当する事案の取扱いについて

平成13年 3月30日
財理第1329

改正平成22年3月31日財理第1414号

令和元年6月28日財理第2319号

財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

普通財産について刑法(明治40年法律第45号)第235条の2(不動産侵奪罪)及び第262条の2(境界損壊罪)の規定に該当すると認められる事案の取扱いについて、下記のとおり定めたので、通知する。

おって、昭和36年10月19日付蔵管第2355号「不動産侵奪罪等に該当する事案の取扱いについて」通達は廃止する。

第1不動産侵奪罪

土地

(1)調査の対象

不法占拠財産のうち、次の各号の一に該当するものは、不動産侵奪罪に該当する疑いがあると認められるので(2)による調査を行う。

国有地(財務省所管一般会計所属普通財産並びに財務省及び国土交通省所管財政投融資特別会計特定国有財産整備勘定所属普通財産で、貸付(使用承認を含む。以下同じ。)中及び在日米軍使用中のものを除く。以下同じ。)に住宅その他の建物又は工作物(永続性のあるものに限る。以下これらを「建物等」という。)を建築(増築を含む。以下同じ。)し、又は建築に着手した場合

国有地で果樹の栽培、植林又は水田耕作を行い、当該土地を継続的に使用する意思が明らかな場合

(2)調査

使用者から、使用に至った経緯、使用開始年月日、建築に着手した日、自己の所有地でないことの認識の有無等の事情を聴取する。この場合、申述の内容を記録にとどめ、作成者の官職及び氏名並びに作成年月日を記載する。

近隣の居住者及び建築工事を行った者から、使用開始年月日、建築に着手した日、使用の状況その他の事情を聴取する。この場合、イの方法により記録にとどめる。

使用者がその地に住民登録を行っているとき、又は、建築した建物について建築申請書が提出され、登記が行われ、若しくは、家屋台帳に登録されているときは、それらの書類の謄本を徴する。

土地が国の所有であることを証する書面、すなわち、登記されている土地であるときは、その登記簿謄本の交付を受け、未登記の場合は、国有財産台帳の謄本(部局長の証明のあるもの)を作成する。

使用状況を図面及び写真により記録すること。この場合、イの方法により記録にとどめる。

使用されている土地をその地番、種目及び数量により特定する。

(3)警告

財務局長(福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長を含む。以下同じ。)、財務事務所長又は出張所長(筑波出張所を除く。以下同じ。)は、(2)の調査に基づいて、当該事案が不動産侵奪罪に該当すると認められる場合は、建物等を建築した者、果樹の栽培者、植林の施行者又は水田の耕作者(ただし、現に当該土地を占有していない者を除く。)に対し、ロにより警告を行う。

警告は次により行う。

(イ)様式は別紙第1様式による。

(ロ)警告書に記載する土地の返還の期日は警告書発遣の日から1か月以内とする。

(ハ)損害金の算定については、平成13年3月30日付財理第1266号「不法占拠財産取扱要領」通達の別添「不法占拠財産の損害金算定要領」による。

(二)警告書発遣までに損害金の算定ができないときは、損害金について後日別途に通知する。

(ホ)警告は内容証明郵便で行う。

(4)告発

(3)による警告書に記載した期日までに国有地を返還しないときは、速やかに告発を行う。

(注)使用者が売払い又は貸付けを要望してもこれには応じないこと。

建物等を建築して土地を侵奪した者が当該土地又は建物等を第三者に転売しているときは、直ちに告発を行う。

(5)告発の手続

告発は別紙第2様式によることとし、(2)の調査により収集した書類及び国有地の返還を要求したことの記録を添付する。

告発は原則として国有地の所在地を管轄する地方検察庁の検察官又は警察署長に対して行う。

(注)捜査当局その他関係機関と連絡を緊密にすること。

告発は財務局長が行う。ただし、建物を建築中であるとき等緊急を要するときは、財務事務所長又は出張所長が行うことができる。

(6)民事上の措置

本通達により告発した事案について平成13年3月30日付財理第1266号「不法占拠財産取扱要領」通達の記の第3による措置を並行して行う。

この場合、同通達の記の第3の1の(1)に定める「国有財産の返還請求及び損害金の支払いについて」は、この通達の(3)の警告書をもって代えるものとする。

侵奪された土地又はその上の建物等の原状変更又は譲渡のおそれがある場合は、財務局長、財務事務所長又は出張所長は、法務局等と連携をとり、速やかに仮処分命令を申請して土地の保全を図る。

(7)報告

財務事務所長又は出張所長が(5)のハのただし書により告発を行った場合には、事案の概要を速やかに財務局長へ報告する。

財務局長は、告発した事案及びイにより報告を受けた事案について、告発後又は報告を受けた後速やかに、その概要を理財局長へ報告する。

その後の措置(起訴又は不起訴の処分及び判決の言い渡し)が行われたときは、その都度速やかに報告する。

建物及び工作物

国有の建物又は工作物の侵奪については、土地の侵奪の場合の取扱いに準ずる。

なお、建物の侵奪及び工作物の侵奪については、侵奪行為の設定が困難な場合が多いから、事案の取扱いについては特に留意を要する。

第2境界損壊罪

調査の対象及び調査

国有地の境界を定めるため設置され、若しくは植えられた標識、工作物、立木又は境界標として承認されている立木その他の物件を損壊、移動若しくは除去し又はその他の方法により境界の認識を不能ならしめる行為があったときは、行為者、行為の日時及びその状況を第1の1の(2)に準じて調査する。

告発及びその手続

1の調査により、行為者、行為の日時及びその状況を確認し得る資料が得られ、当該行為が境界損壊罪に該当することが明らかな場合は告発を行う。

(注)土地侵奪の手段として1の行為が行われたときで、2に該当し、かつ、不動産侵奪罪として告発するときは、不動産侵奪罪の告発書の犯罪事実の項に侵奪の手段としてその行為が行われたこと及び罪名の項に境界損壊罪(刑法第262条の2)と併記する。また、本文の罪名の表示を「不動産侵奪罪及び境界損壊罪」に改める。

報告

報告は第1の1の(7)に準ずる。

第3貸付財産に対する措置

貸付中の財産について、第1又は第2に該当する疑いのある行為が認められたときは、この事実を当該貸付相手方に通知し、早急に適正な措置を採るよう要請する。

第4引受予定財産に対する措置

行政財産のうち用途廃止の上、引受けを予定されている財産については、第3に準じて当該財産を所管する各省各庁の部局等の長に対し、適正な措置を採るよう要請する。

第5特例処理

上記第1から第4により処理することが困難な場合は、詳細な理由及び資料を付して処理案につき理財局長の承認を得て処理するものとする。




別紙様式1、2(PDF:121KB)