昭和47年5月31日 蔵理第2407号 |
改正平成3年6月7日蔵理第2154号
同12年12月26日同第4612号
令和3年6月11日財理第1932号
同4年6月15日同第2087号
同5年12月22日同第3436号
同7年3月13日同第801号
大蔵省理財局長から財務局長宛
公園、緑地(以下単に「公園」という。)として貸付中の普通財産の取扱いについては、下記によることとしたから、通知する。
おって、次の通達は廃止する。
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1.昭和35年8月3日付蔵管第1705号「地盤国有公園等の用に供している普通財産である立木竹の取扱いについて」
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2.昭和39年2月21日付蔵管第390号「無償貸付中の公園敷地上にある公園施設で有料興業が行なわれている場合の取扱いについて」
記
第1公共団体から貸付料を徴する場合の取扱いについて
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1基本的な考え方
国有財産法(昭和23年法律第73号。以下「法」という。)第22条第1項は、公共団体(同項に規定する公共団体をいう。以下同じ。)が特に公共性又は公益性の強い事務、事業等の用に供する場合に限り、普通財産の無償貸付を認めるものである。
また、普通財産の無償貸付は、対価を徴することなく普通財産を使用させることであり、実質的には国会の議決を経た予算に基づいて支出される補助金と同様の性格を有するものである。
なお、同項柱書の「できる」旨の規定は、財政法(昭和22年法律第34号)第9条第1項の特例を定めた禁止解除規定であると解されており、同法の原則である「適正な対価」による処分等を排除するものではない。
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2貸付料を徴する場合の取扱い
上記1を踏まえ、財務局長等(財務局長、財務支局長及び沖縄総合事務局長をいう。以下同じ。)は、無償貸付中の財産における公園の利用形態が(1)に該当すると認める場合には、(2)に定めるところに従い、営業として競技会、展示会、集会、博覧会その他これらに類する催しが実際に行われている期間に限り、公共団体から時価による貸付料を徴するものとする。
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(1)貸付料を徴する場合の基準
敷地面積が300m2を超える公園施設(都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条第2項第1号及び第5号に規定する施設をいう。以下この2において同じ。)において、施設管理者(当該公園施設を管理する者をいい、同法第5条の規定により公園管理者の許可を受けて当該公園施設を管理する者及び当該者又は公園管理者から当該公園施設の管理を受託した者を含む。以下この2において同じ。)が優先的に日程を確保した上で、特定の者(当該公園施設を使用する者をいい、国、地方公共団体及び学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校の設置者を除く。以下この2において同じ。)が営業を目的として、年間を通じて30日以上当該公園施設を興行として使用するとき。
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(注1)「敷地面積が300m2を超える公園施設」の該当性については、敷地の所有区分にかかわらず、当該公園施設に係る建築面積により判断するものとする。
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(注2)「優先的に日程を確保」とは、施設管理者と公園施設の使用に関する日程調整において優先的な取扱いを受けることをいう。
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(注3)「営業」とは、営利の目的をもって同種の行為を反復継続して行うことをいい、営利の目的を有することをもって足り、現実に利益を得たことを要しない。
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(注4)「年間を通じて」の「年間」とは、貸付期間の初日から起算して1年を経過する日までの期間(同日の翌日以後にあっては、同一の期間)をいう。
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(注5)「興行として使用」とは、特定の者が入場料等を徴収することにより集客して公園施設を使用することをいう。
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(注6)地方公共団体が法律の定めるところにより行う公営競技の目的で公園施設を使用する場合には、当該地方公共団体を上記基準における特定の者に該当するものとして取り扱うものとする。
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(2)貸付料の算定方法
上記(1)の基準に該当する場合の貸付料は、次の計算式により算定するものとする。
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計算式
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貸付料=公園施設の敷地面積に係る貸付料年額a×興行使用に係る敷地面積/公園施設の敷地面積×興行使用日数/365
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a=公園施設の敷地面積に係る相続税評価額b×期待利回り
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b=公園全体の敷地面積に係る相続税評価額×公園施設の敷地面積/公園全体の敷地面積
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(注1)「公園施設の敷地面積」とは、上記(1)の基準に該当する公園施設に係る建築面積をいい、都市公園台帳(都市公園法第17条の規定する都市公園台帳をいう。)により当該面積を把握することを基本とする。
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(注2)「興行使用に係る敷地面積」とは、上記(1)の基準に該当する「興行として使用」に供する敷地面積(国有地に限る。)をいい、別添の参考例により、公園施設の「興行として使用」する床面積に係る水平投影面積を算定するものとする。
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(注3)「興行使用日数」とは、上記(1)の基準に該当する「興行として使用」する日数をいい、当該基準に該当する全日数を採用するものとする。
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(注4)「相続税評価額」は、平成13年3月30日付財理第1308号「普通財産貸付事務処理要領」通達別添1「普通財産貸付料算定基準」(以下「普通財産貸付料算定基準」という。)第9-2の規定に準じて算定するものとし、上記(1)の基準の年間の始期の直近における相続税評価額を用いる(当該始期が9月以降であるものは、その年の相続税評価額を用いる。)。
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(注5)「期待利回り」は、普通財産貸付料算定基準第4-1-(1)の規定により財務局長等が地域毎に算定した期待利回りを採用するものとする。
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(注6)公園施設の敷地面積に係る相続税評価額については、原則、公園全体の敷地面積(上記(1)の基準に該当する公園施設が属する公園を構成する土地の面積をいい、国有地以外の土地面積を含む。)に係る相続税評価額を求め、それに公園全体の敷地面積に対する公園施設の敷地面積の割合を乗じて算定するものとする。ただし、財務局長等が当該算定方法によることが著しく不適当であると認める場合は、あらかじめ、本省と意見調整の上、他の方法により算定することができる。
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第2法第22条第2項及び第3項を適用する場合の取扱いについて
法第22条第2項は、同条第1項に基づく無償貸付が、公共性又は公益性が著しく強い場合に限られていることに鑑み、国から無償貸付を受けた財産上の施設が営利目的に供され又は利益をあげる場合は、無償貸付の本旨を逸脱することになることから、「当該施設の経営が営利を目的とし、又は利益をあげる場合には、これを行うことができない」と規定している。
また、同条第3項は、公共団体の当該財産の管理が良好でないと認めるとき又は同条第2項の規定に該当することになったときは、直ちに無償貸付契約を解除すべきことを規定している。
これらの趣旨を踏まえ、財務局長等は、公共団体が無償貸付中の公園敷地上の公園施設の経営により相当期間にわたって経常的に当該公園の維持管理費用を超過して相当の額の利益をあげ、これが一般財政上の財源となるような場合等、無償貸付の趣旨に反すると認める場合には、当該施設に係る部分について無償貸付契約を解除し、有償貸付契約に移行する等の措置を講じるものとする。
(注)「営利を目的とし」とは、経済的利益の獲得を目的とすることをいい、「利益をあげる」とは、営利を目的とすると否とにかかわらず、結果として損益計算において利益が計上されることをいう。
なお、公共団体が管理費、修繕費等の当該施設の維持に必要な費用を賄う程度の使用料、入場料等を徴収しても必ずしも当該施設の経営が営利を目的とするものとはならず、また、ある一定期間において、公共団体がある施設の経営から上げた収入が、たまたま当該施設の維持管理費用を超過しても、それだけでは当該施設の経営が利益を上げていることにはならない。
第3公園として無償貸付中の普通財産に係る利用状況の把握について
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1利用状況の把握
財務局長等は、公園として無償貸付中の普通財産について、少なくとも年1回、公共団体から、その利用の事実を証する資料を添えて、書面又は電子メール等により利用状況に関する報告を求めることとする。
また、財務局長等は、貸付期間満了の3ヶ月前(都市公園法附則第9項の適用を受ける地盤国有公園にあっては、違約金の適用期間満了の3ヵ月前)に、必ず現地調査(ドローン等のデジタル技術を活用した調査を含む。)を行い、その利用状況の把握に努めるものとする。
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2公共団体が契約に定める義務を履行しない場合の措置
財務局長等は、上記1により利用状況の把握を行った結果、公共団体が契約に定める義務を履行していない場合には、違約金の徴収や契約解除等の措置(以下「是正措置」という。)を講ずることとする。
なお、是正措置を講ずるに当たり、財務局長等が検討を要すると認める事案については、本省への確認を経た上で対応するものとする。
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3大都市に所在する普通財産の取扱い
公園として無償貸付中の普通財産(公園として使用されているもので、契約未済となっているものを含む。)で、大都市(財務局、財務支局及び沖縄総合事務局が所在する都市、人口がおおむね50万人以上である都市及び東京都23区をいう。)に所在し、その利用状況について懸案となっているもの又は今後社会的問題を惹起するおそれのあるものについて、財務局長等は、利用状況及び是正措置の状況の経過について見直しを行い、必要に応じ、本省への確認を経た上で是正措置を講ずるものとする。
第4公園として無償貸付中の普通財産である立木竹の取扱いについて
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1基本的事項
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(1)公園として無償貸付中の普通財産である立木竹について、風倒木、枯損木が発生した場合の処分及び公園の風致維持のためにする間伐、下枝払い等の処分は、原則として公共団体に委ね、その処分収入も当該公共団体に帰属させるものとする。
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(2)公共団体が(1)の処理を行った場合において、財務局長等は貸付立木竹の数量を減少させないものとし、契約の満了又は解除により貸付物件の返還を求める場合には、当該契約の満了又は解除時における現状で返還させるものとする。
ただし、返還立木竹が契約締結時の数量に満たない場合には、その不足数量について、契約の満了又は解除時における価額相当額の金銭の支払いを受けるものとする。
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2取扱いの細目
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(1)公共団体からの報告
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イ財務局長等は、貸付中の公園における風倒木、枯損木等の処分実績について、公共団体から毎年定期に別紙1(障害立木竹等処分結果報告書)を提出させるものとする。
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ロ財務局長等は、貸付中の公園における立木竹の新規植栽の状況について、公共団体から毎年定期に別紙2(立木竹の新規植栽報告書)を提出させるものとする。
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(2)貸付立木竹整理簿
貸付立木竹の現況を常に明らかにするため、財務局長等は、別紙3による貸付立木竹整理簿を備え付け、風倒木、枯損木等の処分状況等の経緯を記録しておくものとする。
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第5書面等の作成等・提出の方法
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1電子ファイルによる作成等
本通達に基づき、作成等を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成等を行うことができる。
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2電子メール等による提出
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(1)本通達に基づく提出の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。
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(2)上記(1)の方法により提出を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。
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第6本省承認
財務局長等は、本通達の規定により処理することが適当でないと認められる場合には、理財局長の承認を得て処理することができる。