このページの本文へ移動

管財関係債権の訟務事務処理要領について

昭和41年11月12日
蔵国有第2776


改正昭和45年6月1日蔵理第2352

46年1月7日5312

平成13年3月30日財理第1296

18年11月22日4375

令和元年6月28日2319

2年1月31日325

大蔵省国有財産局長から財務局長宛

管財関係債権に関する訟務事務の円滑な処理及び収納未済債権の整理促進を図ることを目的として、別紙のとおり訟務事務処理要領を定めたので、今後はこれにより処理されたい。

なお、本訟務事務処理要領は法務省訟務局と協議済みであるから申し添える。

管財関係債権の訟務事務処理要領

財務省組織令 (平成12年政令第250号。)第52条第5号及び第6号に規定する債権(以下「管財関係債権」という。)について、国の債権の管理等に関する法律(昭和31年法律第114号。以下「法」という。)第15条、第17条、第18条又は第28条の規定に基づいて歳入徴収官(代理歳入徴収官及び分任歳入徴収官を含む。以下同じ。)が債権の保全及び取立の手続(以下「訟務手続」という。)を法務大臣に依頼する場合には債権管理事務取扱規則(昭和31年大蔵省令第86号。)第21条及び昭和32年1月10日付大蔵大臣通達蔵計第105号「国の債権の管理等に関する法律及びこれに基く命令の実施について」第4の規定によるほか、下記に定める要領により行うものとする。

なお、法務大臣に対する訟務手続の依頼は、その事案の債権を管理する歳入徴収官の所属する財務局(福岡財務支局及び沖縄総合事務局を含む。以下同じ。)、財務事務所、財務局出張所又は財務事務所出張所の所在地を管轄する法務局長又は地方法務局長(以下「法務局長等」という。)に対して行うこととし、この場合、歳入徴収官は法務局長等と緊密な連絡を保ち十分協議のうえ、その事案の最も妥当な処理に努めるものとする。

権利確定の手続

(1)催 告

強制履行等のため訟務手続を依頼するに当たつては、その債権の効果的な回収を図るため、依頼に先立ち、債務者に対して一定期日までに債務の履行がなされない場合は法的手続をとる旨を記載した催告書(記載例別紙第1)によつて催告するものとする。

この場合、催告書は配達証明付内容証明郵便で送付するものとする。

(2)即決和解の申立て

(1)の「催告」に対し、債務者から履行延期の申出があり、その債権につき債務者が法第24条第1項各号の一に該当すると認められる場合(歳入徴収官限りで履行延期の特約をする場合を除く。)は民事訴訟法(明治23年法律第29号)第275条の和解(以下「即決和解」という。)の申立てを依頼するものとする。

この場合には、あらかじめ、債務者の資力の状況に応じ法第24条から第27条までに定められた内容条件等にしたがつた和解条項について、次の諸点に留意して折衝するものとする。

(イ)履行期限は法第25条に規定する期間内において延長することができるが、法第24条第1項第1号に該当する場合であつても、事情やむを得ないと認められる場合のほか、なるべく5年以内の延長にとどめるものとする。

(ロ)弁済充当の順序は原則として延滞金、延納利息、元本の順序によること。

ただし、元本債権の発生が法施行前で、契約等により充当順位について特約がある場合又は裁判上の和解により充当順位が定められている場合において、やむを得ないと認められるときは、その充当順位によることができること。

(ハ)相手方に対する請求金額が5万円以上の場合において、抵当権の目的とすることができる財産があるときは、これに抵当権を設定させ、これらの財産がないときはその他の人的担保(連帯保証人等)の提供を求めるものとする。

(ニ)(ハ)による処理ができない場合で、債務者が第三者に対して債権を有するときは、第三者を即決和解手続に参加させ重畳的債務引受をさせるか又は債務者をしてその債権につき質権を設定させる等の取扱いをすることとし、債務者が第三者に対して有する債権を信託的に譲り受ける取扱いはしないものとする。

債務者がイの和解条項に全面的に同意はしないが、なお、和解成立の見込みのあるものについては、4の「訟務手続の依頼書」の「その他参考となるべき事項」欄にその経緯を明らかにしておくものとする。

(3)支払督促の申立て

(1)により「催告」を受けた債務者が、法第24 条に規定する履行延期の特約等の条件に該当しない場合又は(2)の「即決和解」の折衝に応じない場合において、債務者が債務の存在及び内容等について争う意志が明らかでないときは、支払命令の申立を依頼するものとする。

(4)訴の提起

(2)の「即決和解の申立て」又は(3)の「支払督促の申立て」による処理が困難又は不適当と認められる場合は、訴の提起を依頼するものとする。

権利の実行及び保全手続

(1)強制執行等の請求

担保の付されている債権又は債務名義のある債権について、競売その他の担保権の実行又は強制執行の請求を必要と認める場合は、その手続を依頼するものとする。

(2)破産手続開始等の申立て

やむを得ない事由によつて破産手続開始の申立て、会社更生手続開始の申立て又は民事再生手続開始の申立て若しくは特別清算開始の申立て(以下「破産手続開始等の申立て」という。)を必要と認める場合には、それぞれ、その申立ての措置を依頼するものとする。

(3)債権の申出

債務者が次の各号に該当することを知つた場合において、国が債権者として配当の要求その他の債権の申出をすることを必要と認めるときは、その措置を依頼するものとする。

債務者が強制執行を受けたこと。

債務者の財産について競売の開始があつたこと。

債務者に対し破産手続開始決定がなされたこと。

債務者の財産について企業担保権の実行手続の開始があつたこと。

その他債務者の総財産について会社更生手続又は民事再生手続の開始決定があつたこと。

(4)債権の保全

1の「権利確定の手続」を依頼するに当たつて、債務者に誠意がなく、かつ、財産を処分し又は隠とくする等のおそれがあると認められるときは、遅滞なく、仮差押の手続を依頼しなければならない。

1の「権利確定の手続」を依頼するに当たって、債権者代位権若しくは債権者取消権を行使し、又はこれに関連して保全手続をとることを必要と認めるときは、遅滞なく、その措置を依頼しなければならない。

債務者が弁済をせず、債務を承認させることができない等のため、その債権が時効によつて消滅するおそれがある場合は、時効を更新又は完成猶予するための即決和解、支払督促の申立て、訴の提起、強制執行等の請求又は仮差押等の手続きを、おそくとも時効完成日の6ヵ月前までに依頼するよう努めなければならない。ただし、やむを得ない事由により時効完成日の6ヶ月前までに依頼することが困難な場合は、時効完成日までに催告をし、その後遅滞なく完成猶予措置を執るものとする。

訟務手続の相手方

訟務手続の相手方は原則として主たる債務者とし、主たる債務者に支払能力がない場合で保証人を含めて相手方とすることが適当と認められるときに限り、保証人を含めて相手方とするものとする。

訟務手続の依頼書

訟務手続を依頼するに当たつては、次の事項を明らかにした依頼書を送付するものとする。

(1)相手方の住所、氏名又は名称、職業若しくは業種

(2)債権の内容(債権金額、履行期限、利率その他利息に関する事項、延滞金に関する事項等)

(3)債権の発生原因

(4)訟務手続依頼までの相手方に対する請求又は折衝の経過(具体的に、特に最終折衝の年月日結果を詳細に記載する。)

(5)依頼する訟務手続の種類

(6)依頼する訟務手続を必要とする理由

(7)その他参考となるべき事項

訟務手続の種類に応じ特に折衝上参考となると認められる事項

時効完成が切迫している債権については時効完成の年月日

即決和解の申立依頼においては、相手方が裁判所への出頭に応ずるか否か

1の(2)のロに該当する事項等

(8)訟務手続きの種類に応じそれぞれ次の事項を追加する。

即決和解の申立
和解条項案(記載例別紙第2)

(注)即決和解の内容とすべき事項について相手方とあらかじめ折衝し、その結果直ちに即決和解の申立てができる場合又は即決和解の成立の見込みのある場合について作成する。

担保権の実行

(イ)担保権の種類及び内容

(ロ)担保権の種類、所在、数量及び価額

(ハ)優先債権等の種類及び内容

強制執行

(イ)債務名義の種類及び内容

(ロ)執行の目的物の種類、所在、数量及び価額

支払督促の申立て、訴の提起、破産等の申立又は仮差押等

(イ)従前の経過の詳細、ことに争の有無及び内容

(ロ)関係人の住所氏名又は名称

(ハ)証拠書類の有無及び内容

債権の申出

(イ)申出にかかる事件の種類及び内容

(ロ)当該事件の管轄裁判所

(ハ)申出の期限

(ニ)申出をする債権にかかる債務名義の有無、種類及び内容

(ホ)申出をする債権にかかる担保の有無、種類及び内容

債権者代位権の行使

(イ)代位権の対象となる権利の種類及び内容並びにその権利の相手方の住所氏名又は名称

(ロ)保全する債権及び代位権の対象となる権利について前記ニに定める事項

詐害行為取消権の行使

(イ)詐害行為の内容及びその行為を知つた時期

(ロ)保全する債権について前記ニに定める事項

訟務手続による時効の更新又は完成猶予

債務者の住所追求の経過(公示送達を要する場合にあつては、債務者の住所居所等が不明であることを明らかにした書類)

(9)連絡に当たる職員の官職、氏名及び所属部課名

証拠書類

4の「訟務手続の依頼書」には、証拠書類その他必要と認められる書類の写しのほか、債務者が法人である場合にはその法人に関する登記事項証明書、不動産に関する措置を求める場合にはその登記事項証明書を添付するものとする。

訴の提起等の場合における財務局長の指示

歳入徴収官である財務事務所長、財務局出張所又は財務事務所出張所長は、1の(2) のロに該当する「即決和解の申立」若しくは1の(4)の「訴の提起」又は2の(2)の「破産等申立」を依頼しようとするときは、あらかじめ、その所属する財務局長の指示を直接受けるものとする。

別紙第1、別紙第2(PDF:115KB)