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令和5年度税制改正の大綱(5/10)

国際課税

グローバル・ミニマム課税への対応

(国税)

(1)各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(国税)(仮称)の創設

1納税義務者

内国法人は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)を納める義務がある。ただし、公共法人については、その義務がない。

2課税の範囲

特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対して、各対象会計年度の国際最低課税額について、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)を課する。

(注1)上記の「特定多国籍企業グループ等」とは、企業グループ等(次に掲げるものをいい、多国籍企業グループ等に該当するものに限る。)のうち、各対象会計年度の直前の4対象会計年度のうち2以上の対象会計年度の総収入金額が7億5,000万ユーロ相当額以上であるものをいう。

連結財務諸表等に財産及び損益の状況が連結して記載される会社等及び連結の範囲から除外される一定の会社等に係る企業集団のうち、最終親会社(他の会社等の支配持分を直接又は間接に有する会社等(他の会社等がその支配持分を直接又は間接に有しないものに限る。)をいう。)に係るもの

会社等(上記イに掲げる企業集団に属する会社等を除く。)のうち、その会社等の恒久的施設等の所在地国がその会社等の所在地国以外の国又は地域であるもの

(注2)上記(注1)の「多国籍企業グループ等」とは、次に掲げる企業グループ等をいう。

上記(注1)イに掲げる企業グループ等に属する会社等の所在地国(その会社等の恒久的施設等がある場合には、その恒久的施設等の所在地国を含む。)が2以上ある場合のその企業グループ等その他これに準ずるもの

上記(注1)ロに掲げる企業グループ等

3税額の計算

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額は、各対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)に100分の90.7の税率を乗じて計算した金額とする。

4申告及び納付等

特定多国籍企業グループ等に属する内国法人の各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行うものとする。ただし、当該対象会計年度の国際最低課税額(課税標準)がない場合は、当該申告を要しない。

電子申告の特例等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

5その他

質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

(2)特定基準法人税額に対する地方法人税(国税)(仮称)の創設

1課税の対象

特定多国籍企業グループ等に属する内国法人の各課税対象会計年度の特定基準法人税額には、特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)を課する。

2税額の計算

特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の額は、各課税対象会計年度の特定基準法人税額(課税標準)に907分の93の税率を乗じて計算した金額とする。

特定基準法人税額は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額とする。ただし、附帯税の額を除く。

3申告及び納付等

特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の申告及び納付は、各課税対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行うものとする。

電子申告の特例等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

4その他

質問検査、罰則等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。

(3)情報申告制度の創設

1特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人は、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の名称、当該構成会社等の所在地国ごとの国別実効税率、当該特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額その他必要な事項等(特定多国籍企業グループ等報告事項等)を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、納税地の所轄税務署長に提供しなければならない。

2特定多国籍企業グループ等報告事項等の不提供及び虚偽報告に対する罰則を設ける。

(4)上記の改正に伴い、所要の措置を講ずる。

(5)適用関係

1各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用する。

2特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する課税対象会計年度から適用する。

3上記(3)及び(4)の改正は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)について適用する。

(以上につき付記参照)

(地方税)

法人住民税の計算の基礎となる法人税額に各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)の額を含まないこととするほか、所要の措置を講ずる。

外国子会社合算税制等の見直し

(国税)

内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等について、次の見直しを行う。

(1)特定外国関係会社の各事業年度の租税負担割合が27%以上(現行:30%以上)である場合には、会社単位の合算課税の適用を免除する。

(2)申告書に添付することとされている外国関係会社に関する書類の範囲から次に掲げる部分対象外国関係会社に関する書類を除外するとともに、その書類を保存するものとする。

1部分適用対象金額がない部分対象外国関係会社

2部分適用対象金額が2,000万円以下であること等の要件を満たすことにより本制度が適用されない部分対象外国関係会社

(3)申告書に添付することとされている外国関係会社に関する書類(外国関係会社の株式等を直接又は間接に有する者(株主等)に関する事項を記載するものに限る。)の記載事項について、その書類に代えてその外国関係会社と株主等との関係を系統的に示した図にその記載事項の全部又は一部を記載することができることとする。

(4)上記の見直しのほか、内国法人に係る外国子会社合算税制について所要の措置を講ずる。

(5)居住者に係る外国子会社合算税制、特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例等の関連制度につき、上記の見直しを踏まえた所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。

(地方税)

法人住民税及び法人事業税について、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

非居住者のカジノ所得の非課税制度の創設

(国税)

非居住者(次に掲げる者のいずれかに該当するものを除く。)の令和9年1月1日から令和13年12月31日までの間のカジノ所得については、所得税を課さない。

(1)特定複合観光施設区域整備法の規定により入場料等を賦課するものとされている者

(2)特定複合観光施設区域整備法の規定によりカジノ行為を行ってはならないこととされている者

(注)上記の「カジノ所得」とは、カジノ行為(特定複合観光施設区域整備法の規定によるカジノ事業の免許に係るカジノ行為区画で行うその免許に係る種類及び方法のカジノ行為(同法の規定による設置運営事業の停止の命令等に違反して行われたものを除く。)に限る。)の勝金に係る一時所得をいう。

その他

(国税)

(1)特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の適用期限を3年延長する。

(2)クロスボーダー取引に係る利子等の課税の特例等について、次の措置を講ずる。

1振替国債等の利子の課税の特例等について、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により税務署長に対して提出する次に掲げる書類のファイル形式を、XML形式又はCSV形式とする。

非課税適用申告書等

特例書類

(注)上記の改正は、令和6年7月1日以後に提出する書類について適用する。

2上場株式等の配当等に係る租税条約等の適用手続について、その配当等の支払の取扱者のその支払を受ける者等に関する事項の光ディスク等による税務署長に対する提供に代えて、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により提供することができることとする。

(注1)上記の電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により提供する場合におけるその提供に関するファイル形式は、CSV形式とする。

(注2)上記の改正は、令和6年7月1日以後に提供する事項について適用する。

(地方税)

個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。