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税制メールマガジン第185号 2025年4月30日


【税制メルマガ第185号】 

 2025年4月30日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 
令和7年度税制改正の内容紹介 ~消費税~
4 今月は何税の月?「4月:相続税法の施行(明治381905)年)」
5 編集後記
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1 はじめに


 4月に入り新生活を始めている方も多くいらっしゃるかと思いますが、皆様、如何お過ごしでしょうか?
 春は新しい事にチャレンジするのに良い季節。ということで、私もひとつ、6月8日(日)に予定されている租税検定一級(申込期間4月15日~6月4日)に申込みしてみました。
 大学生・成人向けの1級(及び準1級)は、各税法の具体的内容・時事問題に関する事項等を問う内容となっています。私も主税局に着任してから、もうすぐ2年。自分自身のタックスリテラシーを改めて確認するとともに、自己研鑽の機会としたいと思います。

財務省主税局総務課 企画官 境吉隆

・租税検定
https://www.sozeikentei.com/

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2 税制をめぐる最近の動き
 
HP掲載日 内容
3月31日 所得税法等の一部を改正する法律が成立しました
4月1日 令和7年度 2月末租税及び印紙収入、収入額調


(1)所得税法等の一部を改正する法律が成立しました
 下記リンクから内容をご覧いただけます。なお、施行日は、原則として、令和7年4月1日となっております。

・第217回国会における財務省関連法律
 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/217diet/index.html#a01

(2)租税及び印紙収入、収入額調
 令和7年度 2月末租税及び印紙収入、収入額調を財務省ホームページで公開いたしました。
 下記リンクから内容をご覧いただけます。

・令和7年度 2月末租税及び印紙収入、収入額調
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/202502.pdf
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/202502.xls

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3 令和7年度税制改正の内容紹介 ~消費税~

 令和7年度税制改正では、消費税について、外国人旅行者向け免税制度に関する改正が行われました。今回の税制メルマガでは、その内容を紹介します。

(1)外国人旅行者向け免税制度の見直し
  免税購入品の国内での横流し等の不正に対応するため、課税で販売し、事後的に消費税相当額を返金する「リファンド方式」に見直し、令和8年11月1日から適用を開始します。25kaisei2-1.jpg
 改正前においては、国内での横流しを防止する観点から、免税販売に係る各種要件を定めていますが、リファンド方式においては、税関で持出し確認が行われるため、免税店の事務負担軽減、外国人旅行者の利便性向上といった観点から、これらの要件の見直しを行います。25kaisei2-2.jpg

 

 また、通常の生活の用に供するか否かの判断については、免税店で販売する際に、現在要件とされている「通常生活の用に供するもの」であるか否かの判断を不要とします。
 さらに、免税成立時期の明確化については、旅行者は、購入から90日以内に税関の持出し確認を受けなければならないこととします。
 そして、制度の適正な運用のための措置については、購入した免税品を郵便局等から国外へ別送した場合、税関は、その送り状等により持出し確認を行っていますが、この取扱いが不正に多用されていることを踏まえ、免税品の別送を認める取扱いを廃止することとし、免税店から直接海外に配送する直送制度の仕組みは、引き続き存置することとします。
 上記に加え、在外邦人の確認要件や免税店の許可要件の緩和等のための、所要の措置を講ずることとしています。

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4 今月は何税の月?「4月:相続税法の施行(明治381905)年)」

 今回の歴史コラムでは、今年で創設120年を迎えることになります、明治381905)年4月の相続税法の施行について取り上げます。

(1)創設時の状況(日露戦争)

  当時は日露戦争の最中であり、軍事費調達のため、非常特別税として、地租・営業税・所得税・酒税などについて時限的な増税が行われていました。これと同時期に、相続税が創設されたわけですが、非常特別税としてではなく、恒久的な税として新設されました。
 その背景として、相続税が恒久的な税として欧州各国で既に導入されていることがありました。読売新聞記事『累進相続税法の新設に、板垣伯も賛同』(明治32(1899)年1月21日)では、経済学者・小手川豊次郎氏がフランスにて導入されていた累進相続税法の新設を提案し、板垣退助氏が賛同したことが紹介されています。
 また、読売新聞論説『所得税は相続税と併用すべし』(明治37(1904)年11月5日)では、“悪意を以て自己の所得を隠蔽する者の多き世の中において”、“相続の場合に於いて前から所得を隠蔽したることの露顕に及ぶときは、其の隠蔽したる所得に対して数倍の所得税を追徴すること是なり”、(中略)“こうして所得の隠蔽困難なると同時に補脱の不公平を免るることを得ん”、として、所得税と相続税の相互補完関係を提唱しています。


(2)国会審議の状況(法案審議の進め方、貴族院での修正及び撤回) 

 相続税法案は第21回帝国議会(明治37(1904)11月30日~明治38(1905)年2月7日)に提出され、まず衆議院で審議され、その後、貴族院にて審議されました。
 当時の委員会質疑は、今とは全く異なり、委員長が「第一条について御質問のある方」と聞くと、委員の一人が「第一条についてちょっと質問を致しますが・・・」と質問を発し、政府委員(若槻礼次郎・大蔵省主税局長)が回答。その後、委員長が「第一条について御質問がなければ第二条に移ります。」と言って、順次、逐条で質疑を行っていくという進め方でした。そして、全条文の質疑の後に、総括的な質疑・採決を行い終結するという形となっていました。

 こうした中、貴族院の委員会質疑(明治37(1904)年12月26日)において、相続税を恒久的な税ではなく、臨時的な税とするという修正案が出されました。“この法案(相続税法案)を提出する必要が出てきたのは、臨時の経費の増加に伴う財源補填のためなので、非常特別税と同一の趣旨であり、永久税でなく臨時税にするべき”等といった意見がその背景でした。 この修正に対して、読売新聞は『貴族院の反省を促す』(明治37(1904)年12月28日)という反対の論説を掲載。“貴族院の委員会は相続税を戦時税として賦課することに修正したり、(中略)唯祖先の功労に依りて高爵を襲ぎ、栄耀に生活せる貴公子等が本税の賦課を好まざるは当然の事なりとはいはんか”と批判しつつ、“今日の本会議に於いては委員会の決議如何に拘わらず、民意代表の府たる衆議院の決議を是認せんこと蓋し是等国士の義務というべく”と唱えました。
 同日の貴族院本会議において、谷干城・子爵が「私は此の委員会の報告に反対の意見を述べたい。」と述べるとともに、「どうか是等の事は当院におきましては修正を加えませず即ち委員の修正案を否と致されて衆議院修正案の通りに綺麗に通過いたしまして円満に此局を結びたいと思います、諸君の御賛成を願います。」との提案に、賛成多数。委員会での修正は削除されました。

 日露戦争の厳しい戦局の中、このような議論を経て、相続税は施行されました。


相続税100年の軌跡(国税庁税大ジャーナル)
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/backnumber/journal/01/pdf/03.pdf
租税史料ライブラリー 10 日露戦争の戦費調達と税制(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/shiryou/library/10.htm
第21回帝国議会 貴族院 本会議 第4号 明治37年12月28日(帝国議会会議録検索システム)
https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/#/detail?minId=002103242X00419041228¤t=24

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5 編集後記

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。この前の週末は最高気温が20度を超え、半袖で日中過ごされている方も街中で多く見かけるようになりました。ゴールデンウィークも過ごしやすい快晴が続くということで待ち遠しいです。
 令和7年度税制改正について、今月号では消費税を紹介させていただきました。最近はドラッグストア等で免税専用レジを設置している店も多く見かけるようになりました。一方で、免税制度を悪用して国内で転売を行うという問題も顕在化してきております。今回の改正では「リファンド方式」導入の他に免税販売要件も変更となりますので、ぜひご確認ください。
 また、今年度の税制改正についてまとめたパンフレット「令和7年度税制改正」が4月28日にホームページに掲載されました。内容については以下のURLよりご確認いただけます。

 今月も最後までお付き合いいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

・パンフレット「令和7年度税制改正」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei25.html



財務省主税局総務課 広報係 粟飯原

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