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税制メールマガジン第175号 2024年6月7日

【税制メールマガジン第175号】
 2024年6月7日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 今月は何税の月?「6月:国税庁の創設(昭和24(1949)年)」
4 編集後記

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1 はじめに

6月に入り梅雨の時期が近づいて参りましたが、皆様、如何お過ごしでしょうか?
主税局では法案通過後の4~5月には、税制改正の内容を解説する説明会を全国各地で開催しております。私自身、今年は宇都宮や沖縄に訪問して対面で説明させて頂くとともに、オンライン形式での説明会にも参加させて頂きました。
その中で改めて認識したのが、本年6月から始まる定額減税を含めた税制改正の実施のためには、税理士の皆様方や源泉徴収を行う各企業のご担当者の方々のご理解とご協力がなければ実現できないということです。関係者の皆様に、改めて御礼申し上げます。
主税局では、税の仕組みや税を取り巻く状況等の説明等を目的として、皆さんの集まりや勉強会、職場研修、ゼミ、中学・高校の授業等に職員が訪問して、お話ししています。是非、以下の「訪問講座のご案内」をご覧頂き、ご要望ございましたら、気兼ねなくお申し込み頂ければ幸いです。

財務省主税局総務課 企画官 境吉隆

・訪問講座のご案内


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2 税制をめぐる最近の動き  

HP掲載日 内容
5月1日
令和5年度 6年3月末租税及び印紙収入、収入額調
5月13日
政府税制調査会 第2回開催

(1)租税及び印紙収入、収入額調
令和5年度 6年3月末の租税及び印紙収入、収入額調を財務省ホームページで公開いたしました。
下記リンクから内容をご覧いただけます。

・令和5年度 6年3月末租税及び印紙収入、収入額調

(2)政府税制調査会 第2回開催
政府税制調査会第2回が開催され、経済社会の構造変化等について、説明・議論がなされました。
下記リンクから当日の会議資料等をご覧いただけます。

・税制調査会 会議資料
・税制調査会(内閣府HPへリンク)

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3 今月は何税の月「6月:国税庁の創設(昭和24(1949)年)」

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昭和24(1949)年6月、大蔵省設置法(法律第144号)が施行され、大蔵省の外局として国税庁が創設されました。設置法の制定は、もともと国家行政組織法に基づいて、全省庁にわたって実施されたものであり、大蔵省だけの措置ではなく、大蔵省の機構を根本的に改変しようとしたものではありませんでした。
しかしながら、当時の日本を占領していた連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、覚書書「日本政府の国税行政の改組」を昭和24(1949)年5月4日に発表。税務執行面を主税局から分離して、国税庁長官の強力な指揮の下に、国税庁-国税局-税務署という系統的な税務機構が確立されました。この改革には、GHQ経済科学局内国歳入課長ハロルド・モス氏が勤務していた米国内国歳入庁(IRS)の組織が参考とされています。
この覚書を受けて国会で審議された大蔵省設置法案の一部修正案の趣旨説明を、池田勇人・大蔵大臣は次のように述べております。
「去る五月四日、政府は連合國軍最高司令官からの覚書に接し、國税行政に関する機構の改組を行うこととせられたのであります。(中略)これに基きまして、政府といたしましては、まず中央においては現在の大藏省主税局から、税関部並びに内國税の立法部面及び調査部面等を除いた他の徴税実施部面を独立させまして、これを外局たる國税廳とし、地方におきましては現在東京以下十一の財務局から、税務部面を独立させまして、これを國税局とするとともに、残り理財部及び國有財産部系統を財務部とし、三箇所を減少いたしまして、東京以下八箇所に設けることといたしたのであります。(後略)」
この組織改革の背景には、次のような情勢があったと解説されています(「国税庁の発足」広報誌ファイナンス平成6(1994)年6月号)。“第2次世界大戦後、日本経済の混乱とともに、我が国の税務行政は、かつてない混乱状態に陥った。①高進するインフレの下における国民生活の窮乏が、納税成績の低下をもたらし徴税を困難にしたこと、②歳入確保のための税制改正による税目の増加とインフレによる納税者の増加が、納税者と税務当局との間に意思の疎通を欠いたこと、③昭和22(1947)年に賦課徴収制度に代わって申告納税制度が導入されたが、この制度に職員も納税者も、まだ十分に慣れていなかったことや納税者の過少申告・無申告が相次ぎ、納税者の半分以上について更正・決定を行うという状態であったこと、このような情勢に対処するため、主税局の機構は急速に拡大されたが、もはや主税局の機構改革だけでは、収拾がつかない段階にあった。”
このような事態を打破するために、ハロルド・モス内国歳入課長が重視したのが、税のプロフェッショナル集団の構築でした。昭和24(1949)年5月10日の新聞会見において、モス氏は次の談話を発表しています。“去る5月4日の徴税義務の改組に関する指令は全国503の税務署を一本の命令系統にまとめる条項の他、次のような項目を含んでいる。一.道義心高く事務に精通した人員をできる限り用いた専門的徴税系統を確立すること。一.日本政府は有能で素質良くかつ訓練を積んだ人員をなるべく多数揃えて税法を強力にしかも公平に適用させること。(以下略)”
当時を振り返る座談会において、元国税庁長官・近藤道生氏はハロルド・モス内国歳入課長を次のように評しています。「当時は、占領行政でほとんど左右された時代でした。占領行政に功罪いろいろありますが、ハロルド・モスさんがやったことは恐らく一番「功」に近い方だったんじゃないかと思います。目立ちたがらない人だし、非常に温和な人だし、決して押しつけるような人柄じゃないんですけれども、とにかく民主政治の基本としてどうしても国税庁というものをつくらなくちゃいかんというのが彼の信念でした。」
国税庁開庁時のモス氏の挨拶は今も有名です。With this in mind, I should like to suggest a slogan for the new Agency: “RESPECT among the honest; FEAR among the dishonest”(正直者には尊敬の的、悪徳者には畏怖の的)

・18 国税庁の創設(国税庁租税資料ライブラリー)
・大蔵省設置法以後(大蔵省史第7期第7章 大蔵省機構の変遷 第2節)
・税制の整備と税務行政の諸問題(大蔵省史第7期第3章 占領政策の転換と新財政体制の発足 第4節)
・アングル 現行税制・税務行政の影の立役者(税務研究会)
・アングル 国税庁の発足(税務研究会)
・第5回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 昭和24(1949)年5月13日
・広報誌ファイナンス平成11(1999)年1月号 「国税庁発足の頃を振り返る ~開庁50年を迎えて~」
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4 編集後記

最近暖かい日が続き、半袖で出かける日も増えてきましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回の連載コラムでは、「国税庁の創設」について取り上げております。ハロルド・モス氏が残した「正直者には尊敬の的、悪徳者には畏怖の的」というフレーズは、税務大学校での研修時代に担当教授に教えていただいたのを今でも覚えています。
税務署で実際に税務調査を行っていたときには、常にこの理念を意識し納税者と接するようにしていました。
今月も最後までお付き合いいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

財務省主税局総務課 広報係 高木

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