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税制メールマガジン第162号 2023年5月9日

【税制メールマガジン第162号】
 2023年5月9日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 令和5年度税制改正の内容紹介 ~国際課税~
4 連載コラム「税制のプロに聞く」(第9回)
5 編集後記

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1 はじめに

下の息子が大学を卒業し、4月に就職しました。この1年は就職活動と卒業論文を言い訳にほとんどアルバイトもせず、家計的には大変だったのですが、所得税には扶養控除が適用され、少し安くなっていました。
息子が家を出て、食費や光熱費は驚くほど減りましたが、同時に所得税の扶養控除の適用がなくなりました。改めて、よく考えられた制度だなと思いました。

さて、今月のコラム「税制のプロに聞く」は、揮発油税などを担当する佐藤補佐です。私は、郊外への引っ越しを機に車を購入し、公共の道路や駐車場などを使うようになった一方で、揮発油税(ガソリン税)や自動車重量税などを負担することになりました。ただ、昔乗っていた車より燃費はよくなっており、その点では助かっています。

財務省主税局総務課 企画官 松井誠二

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2 税制をめぐる最近の動き  

HP掲載日 内容
4月7日  BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます<メキシコ>
5月8日  令和4年度 5年3月末租税及び印紙収入、収入額調

(1)BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます<メキシコ>
我が国がBEPS防止措置実施条約の対象とすることを選択している租税条約の相手国のうち、メキシコが新たに本条約の批准書を寄託しました。

下記リンクから詳細をご覧いただけます。

(2)令和4年度 5年3月末租税及び印紙収入、収入額調
令和4年度 5年3月末租税及び印紙収入、収入額調を財務省ホームページで公開いたしました。

下記リンクから内容をご覧いただけます。

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3 令和5年度税制改正の内容紹介 ~国際課税~

令和5年度税制改正では、国際課税について、(1)グローバル・ミニマム課税への対応、(2)外国子会社合算税制の見直し等の改正が行われました。

(1)グローバル・ミニマム課税への対応
2021年10月、OECD/G20「BEPS包摂的枠組み」において国際的に合意された「2本の柱」からなる国際課税の見直しのうち、「第2の柱」であるグローバル・ミニマム課税の導入を行いました。
これは、年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,100億円)以上の多国籍企業を対象に、一定の適用除外を除く所得について、各国ごとに最低税率15%以上の課税を確保する仕組みであり、法人税の引下げ競争に歯止めをかけ、企業間の公平な競争環境の整備に寄与するものです。
令和5年度税制改正では、「第2の柱」のうち所得合算ルール(IIR:Income Inclusion Rule)に係る法制化を行いました。
※内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用。

(2)外国子会社合算税制等の見直し
上記、グローバル・ミニマム課税の導入により、対象企業に追加的な事務負担が生じること等を踏まえ、(i)特定外国関係会社(ペーパー・カンパニー等)の適用免除要件である租税負担割合の引下げ(30%→27%)、(ii)書類添付義務の緩和等の措置を講じました。
※内国法人の令和6年4月1日以後に開始する事業年度について適用。

令和5年度税制改正の主な改正については、パンフレットでも解説していますので、参考にして下さい。

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4 連載コラム「税制のプロに聞く」(第9回)

主税局税制第二課は間接税全般を所管しており、このコラムの第2回では消費税について、第7回では酒税・たばこ税についてそれぞれの担当からご紹介させていただきました。今回は間接税の第3弾として、私の担当である諸税係が所管している税目について紹介し、その使途との関係についても少し触れたいと思います。

諸税係では、その名のとおり、消費税、酒税、たばこ税以外の「その他諸々の間接税」を担当しており、具体的には、揮発油税、地方揮発油税(2つ合わせていわゆる「ガソリン税」と呼ばれています)、石油ガス税、石油石炭税、航空機燃料税、電源開発促進税、自動車重量税、印紙税、国際観光旅客税の9つの税目を担当しています。中々なじみの薄い税目が多いですが、諸税係の税目の特徴の1つとして「特定財源」というキーワードを挙げることができます。

「特定財源」とは、端的に言えば、「その税収の全額または一部を特定の公的サービスに要する費用の財源に充てることとされているもの」ということになり、それに対比する概念として所得税や法人税等のように使途が特定されていない「一般財源」があります。

特定財源とされている税目の収入は、税法や別の法律等によりその使途が特定されています。現在、諸税係が担当する税目のうち、特定財源とされているものは、石油石炭税、航空機燃料税、電源開発促進税、国際観光旅客税の4つですが、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、自動車重量税については、かつて道路整備に充てるための特定財源であったことがあり、印紙税を除き、8つの税目が特定財源と関わりがあることになります。

特定財源は、一般的に
(1) 受益者や原因者に直接負担を求めることに合理性がある、
(2) 一定の歳出につき安定的な財源を確保できる、
などの意義があると言われています。

諸税係の担当税目のうち、現在、特定財源とされているものについて整理すると以下のとおりであり、受益と負担の間に一定の関係があることが見て取れます。

税目 課税物件 主な納税義務者 使途(受益)
石油石炭税 原油、輸入石油製品等 原油等の輸入者 石油及び天然ガス等の開発、石油及びLPガス等の備蓄や省エネルギー・再生可能エネルギー対策等の費用
航空機燃料税 航空機燃料 航空会社 国・地方の空港整備等の費用
電源開発促進税 電気 電力会社 一定の発電施設の設置や運転の円滑化を図る等のための財政上の措置等に要する費用
国際観光旅客税 旅行客等の出国 日本から出国する者 国際観光旅客の円滑かつ快適な旅行のための環境の整備に関する施策等の費用

一方で、特定財源は、
(1) 財政が硬直化するおそれがある、
(2) 歳入超過の場合に資源が浪費されたり余剰が生じたりするおそれがある、
などの弊害も指摘されており、平成12年7月の政府税制調査会の答申においては「その妥当性については常に吟味していく必要がある」との記述があり、不断の見直しが必要とされています。

今回は私が担当している税目を通じて、税金とその使途との関係について特定財源という形で紹介させていただきましたが、税金の使途について考える際の一助となれば幸いです。

財務省主税局税制第二課 課長補佐 佐藤真人

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5 編集後記

今年のゴールデンウィークは、海外旅行へ行かれた方も多かったようですね。読者の皆様はどんなゴールデンウィークを過ごされたでしょうか。

さて、今号の連載コラムは、間接諸税担当の記事をお届けしました。現在、特定財源とされている4税目は、日常生活において馴染み深いものではありませんが、受益と負担の関係を考える上では意義深い税目だなと感じました。(国際観光旅客税については、この連休で負担された読者の方もいるかもしれませんね。)

今号も最後までお読みいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

財務省主税局総務課 広報係 内田


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