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税制メルマガ第160号 2023年3月8日

【税制メルマガ第160号】 
 2023年3月8日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 令和5年度税制改正(案)の内容紹介
  ~資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築等~
4 連載コラム「税制のプロに聞く」(第7回)
5 編集後記

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1 はじめに

 「所得税法等の一部を改正する法律案」が、2月3日に閣議決定され、国会に提出されました。令和5年度税制改正は、それまで主に与党や各省庁間で議論されてきましたが、議論の場が本格的に国会に移りました。
 国会での議論においても、財務省として、しっかり説明責任を果たしてまいります。

 今月のコラム「税制のプロに聞く」は、税制第二課で酒税・たばこ税を担当する安掛補佐です。
 主税局では、対外的な説明や国会対応などの業務と、法律案の作成などの業務を、税目ごとに複数の課長補佐で分担しているのですが、酒税・たばこ税の担当は小所帯のため、安掛補佐が1人で両方の役割をこなしています。


財務省主税局総務課 企画官 松井誠二

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2 税制をめぐる最近の動き  

HP掲載日  内容
2月7日  パンフレット「令和5年度税制改正(案)のポイント」を掲載しました
2月8日  アルジェリアとの租税条約が署名されました
3月1日  令和4年度 5年1月末租税及び印紙収入、収入額調

(1)パンフレット「令和5年度税制改正(案)のポイント」を掲載しました
令和5年度税制改正(案)の内容を分かりやすくまとめたパンフレットを作成いたしました。

下記リンクから内容をご覧いただけます。


(2)アルジェリアとの租税条約が署名されました
2月7日(日本時間2月8日)、アルジェリアとの間で「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルジェリア民主人民共和国との間の条約」の署名が行われました。アルジェリアとの間では、これまで租税条約は存在せず、本条約は、両国間の経済関係の発展を踏まえ、新たに締結されるものです。

下記リンクから内容をご覧いただけます。

(3)租税及び印紙収入、収入額調を財務省ホームページで公開いたしました。

下記リンクから内容をご覧いただけます。


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3 令和5年度税制改正(案)の内容紹介
  ~資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築等~

 令和4年12月23日に閣議決定された「令和5年度税制改正の大綱」では、相続税・贈与税の持つ資産の再分配機能の確保を図りつつ、資産の早期の世代間移転を促進する観点から、生前贈与でも相続でもニーズに即した資産移転が行われるよう、資産移転の時期の選択により中立的な税制を構築するため、次の見直しを行うこととされました。

(1)相続時精算課税制度の使い勝手向上
相続時精算課税制度について、現行の暦年課税の基礎控除とは別途、110万円の基礎控除を創設するとともに、相続時精算課税で贈与を受けた土地・建物が災害により一定以上の被害を受けた場合に相続時にその課税価格を再計算する見直しを行います。

(2)暦年課税における相続前贈与の加算
暦年課税において贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間を相続開始前3年間から7年間に延長し、延長した4年間に受けた贈与のうち総額100万円までは相続財産に加算しない見直しを行います。

(3)贈与税の非課税措置
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、節税的な利用につながらないよう所要の見直しを行った上で、適用期限を3年(2026年3月31日まで)延長します。また、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置についても、節税的な利用につながらないよう所要の見直しを行った上で、適用期限を2年(2025年3月31日まで)延長します。

 令和5年度税制改正(案)の主な改正については、パンフレットで解説していますので、詳しく知りたい方は、参考にして下さい。
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian23.html

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4 連載コラム「税制のプロに聞く」(第7回)

 「税制のプロに聞く」は今回で第7回です。

 これまで、所得税、消費税、法人税、国際税制、税収、租税条約の担当者がコラムを書き、今後は、これら以外の税目の担当者が登場する予定ですが、すぐに思い当たる税目はありますか。今回は、基幹税(第4回の冒頭をご参照ください)ではないのですが・・・、意外と歴史の古い間接税で・・・、と回りくどい言い方は良くないですよね。
 酒税・たばこ税です。

 主税局税制第二課で酒税・たばこ税を担当しております安掛(あがけ)と申します。
 税制第二課では、間接税全般を扱うことを第2回で紹介していますが、間接税には消費税以外にもいわゆる個別間接税といわれる税目(酒税、たばこ税、揮発油税、石油ガス税など)があります。
 私が主税局に異動となってから20年弱となりますが、その間、消費税と個別間接税の仕事に概ね半分ずつ携わり、直近の約5年弱は、酒税・たばこ税を担当してきました。

 酒税・たばこ税は、酒やたばこという他の物品とは異なる特殊なし好品(いわば大人のし好品と表現できるかもしれません)としての性格に着目して、一般の物品よりも高い課税を行うことで、財政を支え(これを財政物資といいます)、基幹税を補完する重要な役割を担っています。また、“モノ”の消費に負担を求める税であるため、同じような“モノ”には同じように課税されることが公平性の観点から重要となります。
 ちなみに、酒税・たばこ税などの間接税は、製造者や輸入者に課税が行われて納税がなされ、価格への転嫁を通じて消費者の方々に税負担を求める仕組みとなっています。

 さて、酒やたばこへの課税ですが、わが国ではいつごろから行われてきたのでしょうか。

 諸説ありますが、酒については、室町時代には当時の幕府においてすでに財政物資として位置付けられていたようです。たばこについては、大航海時代に西欧諸国から日本に持ち込まれ、江戸時代には諸藩の一部で同様に財政物資に位置付けられていた例が見られるようです。
 その後について極めて簡略化して申し上げると、酒は、明治初期には現在とは異なる課税方式ながら間接税としての性格も有する税制度が整備され、課税方式の変更やその後登場した新たな酒類を課税対象に加えるなどの変遷を経て、現在に至っています。なお、今では基幹税を補完する位置づけですが、明治の中頃過ぎから大正の初期頃などでは国税の中で一番の税収であったことから、まさに基幹税でありました。
 他方、たばこは、明治初期には現在と異なる課税方式ではありますが税制度が整備され、その後、国の専売納付金制度へ移行した後、戦後は専売納付金制度を維持しつつ、地方税としての課税が始まりました。昭和の終わりごろに専売納付金制度の廃止に併せて国税としても課税が行われるようになり、現在に至っています。

 ここでお気づきになる方もおられると思いますが、たばこは、国税と地方税(道府県たばこ税、市町村たばこ税)でそれぞれ課税が行われています。税率は国と地方で1:1の水準となっていますので、たばこの税の半分は各地方公共団体の税収となっています。他方、酒税は国税(戦後の数年間、別途地方税として課税が行われていたことがあります)ですが、地方交付税交付金という仕組みで税収の半分が地方に配分されています。したがって、酒税・たばこ税は、国のみならず地方の財政においても重要な役割を担っているのです。

 近年、酒税・たばこ税は、先ほど申し上げた、財政を支える重要な税として、また同種同等の“モノ”の消費に公平に税負担を求める観点から、複数年にわたる段階的な改正がそれぞれ行われてきました。
 少しご紹介しますと、酒税は、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)等の税率の統一が2026年10月にかけて段階的に行われています。たばこ税は、紙巻たばこと加熱式たばこや一部の葉巻たばこ(いわゆるリトルシガー)等との公平性の観点等からの見直しや税率の引上げが、2022年10月にかけて段階的に行われました。
 同様の観点からの見直しは、これらの税の長い歴史の中で、これまでも行われてきたところであり、技術の進歩等で少しずつ変わった“モノ”が常に登場して来るのが、ある意味“モノ”に着目した税の宿命ではないかと思っています。

 こうした宿命にある酒税・たばこ税ですが、財政物資との位置づけや“モノ”の消費の公平性の観点を踏まえ、酒やたばこを製造し納税を担う方々が真に魅力ある商品の製造等に取り組み業界や市場が健全に発達することが、消費者の方々にとっても重要であることも認識しながら、担当していきたいと考えています。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

財務省主税局税制第二課 課長補佐 安掛真一

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5 編集後記

 今号の連載コラムは、酒税・たばこ税担当の記事をお届けしました。今の制度と違いはあれど、酒税、たばこ税ともに歴史は長いですね。今後のさらなる技術進歩でどんな新しい“モノ”が登場するのか、それによってどんな課税の見直しが行われるのか、注目していきたいと思いました。

 今号も最後までお読みいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

財務省主税局総務課 広報係 内田


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