2022年12月26日
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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 令和5年度税制改正(案)の内容紹介
~「インボイス制度への円滑な移行に向けた措置等」~
4 コラム「税制のプロに聞く」(第5回)
5 小中学生の親御さん必見!冬休み特集
6 編集後記
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1 はじめに
税制メルマガは、今月2回目の配信となります。
与党での議論を経て、12月23日に「令和5年度税制改正の大綱」が閣議決定され、令和5年度税制改正の内容が固まりました。
メルマガは、原則として毎月1回、月初めに配信しておりますが、少しでも早く皆さんにお知らせすべく、本号の配信を早めました。
今後、法案を作成し、国会で審議されることになりますが、改正の内容を解説するパンフレットや動画は、できるだけ分かりやすい内容にしたいと考えています。
メルマガでも、順次、主な改正事項を紹介していく予定ですが、本号では、消費税のインボイス制度に関する改正を紹介します。
今月のコラム「税制のプロに聞く」は、繁忙期の中、税収の見積り等を担当する大橋主税調査官が執筆しました。
税制改正による増減収の積算や、実際に収納される税額の確定は、予算編成や税制改正と密接不可分の重要な手続です。緻密な作業で神経を使う仕事ですが、主税局では10名の精鋭部隊でその任務を遂行しています。
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2 税制をめぐる最近の動き
HP掲載日 | 内容 |
12月1日 | 令和4年度 10月末租税及び印紙収入、収入額調 |
12月23日 | 令和5年度税制改正の大綱が閣議決定されました。 |
(1)租税及び印紙収入、収入額調
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3 令和5年度税制改正(案)の内容紹介
12月23日に、「令和5年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。すでに報道等でご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、同大綱では、インボイス制度に関する負担軽減措置も講じることとされています。
インボイス制度は、複数税率制度の下で適正・公平な課税を確保するために必要なものであり、軽減税率制度の導入から4年間の準備期間を経て、令和5年10月1日から実施される予定です。
インボイス制度への移行に伴う影響を緩和するため、免税事業者からの仕入れについて一定割合の控除が認められる経過措置等がすでに設けられているところですが、今般、こうした経過措置に加え、更に事業者の負担軽減を図り、インボイス制度への円滑な移行とその定着に向けた新たな税制上の措置が講じられることとなります。具体的には次のとおりです。
こうした措置に加え、令和5年3月31日の登録申請期限についても柔軟に対応するため、期限後に提出する申請書に「困難な事情」の記載を改めて求めないこととするほか、令和4年度補正予算においては、インボイス制度に係る「持続化補助金」や「IT導入補助金」についても拡充されています。
これらの措置等を分かりやすく記したリーフレットを財務省HPに掲載しておりますので、是非こちらもご覧ください。
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4 連載コラム「税制のプロに聞く」(第5回)
主税局総務課歳入係で「税収」関連の担当をしている大橋と申します。
歳入係(現在:10名)の主な業務は、
(1) 月々収納される税収の公表
(2) 税収予算の見積り
(3) 税収決算の公表
(4) 税制改正による税収の増減収試算
を行うことです。
せっかくの機会ですので、予算編成や決算の業務について説明させていただきます。
(1)月々収納される税収の公表は、この税制メルマガで毎回「租税及び印紙収入、収入額調を財務省ホームページで公開いたしました。」と記載されているのですが、このことです。
公表に際し、税収の分析を行うのですが、企業業績などの経済指標だけを見ていればよいわけではありません。酒税であれば天候要因、国際観光旅客税や航空機燃料税であればコロナの感染状況など、世の中の様々なトレンドを把握し、ひとつひとつの事象の点と点を線として結び付けて考えていくことが重要であり、それがこの仕事の面白さだと思っております。
かつて、「森羅万象は税収に通ず」と仰った上司がいたのですが、「言い得て妙だ」と思います。
(2)税収予算の見積りは、月々の税収の収納状況、企業の業績見通し、政府経済見通しで見込まれている消費や雇用者報酬などの見通しを用いて、試算を行います。
「月々の税収の収納状況がよいので、今年はこの調子で税収が収納されるのではないですか?」という質問をよくいただきます。給与の源泉所得税や酒税などのように月々税額が確定していく税目はそのような傾向もありますが、法人税や消費税については、確定申告をするまでは、前年度実績に基づき中間納税している、仮払いのような状態ですので、企業業績や消費などの1年間を通した見通しに基づいて正確に見積る必要があります。
そして、この企業業績や消費の見通しについては、主要企業やエコノミストの方々にご協力をいただいて、アンケートにお答えいただいたりお話を伺ったりしています。
「税収見積りなんて、試算だけすればよく、話なんて聞く必要はないのではないか?」と思われるかもしれませんが、税収見積りは予算の一部であり国会での承認が必要となりますから、「なぜ、このような税収見積りになったのか」を国民の皆様に説明する必要があります。
その際に、各業界の現状や見通しの背景まで踏まえた上で説明する必要があると考えており、実際に有識者の方々からお話を伺うことは非常に重要なのです。
(3)税収の決算ですが、これは(2)税収見積りで見込んだ数字がどれだけ収納されたか、を公表する作業です。
例年7月初旬に公表しているのですが、私にとっては、税収見積りがどれだけ当たっていたか外れていたかが明らかになる、いわば答え合わせのようなものですので、毎年ドキドキです。
自分としては、見積もった時点で、最も合理的と思われる税収予算を作ったつもりでも、外れるときは外れてしまいます。
コロナ禍がはじまった、令和元年度以降の税収の動きはまるでジェットコースターのようです。
令和元年度は、令和2年2月下旬から外出自粛などが進み、経済活動が抑制されたことから、税収は見込みより1.7兆円の下振れとなりましたが、令和2・3年度はコロナ禍であるにもかかわらず、平成30年度の過去最高税収を連続して更新し、見込額よりも大幅に上振れました。
財政にとっては、税収が上振れることはよいことかもしれませんが、担当者としては大いに反省するところです。
「コロナ禍であるのに、なぜ過去最高税収なのか。生活実感に合わない」という質問をよくいただきます。
令和3年度の税収を分析してみると、税率の引上げを行った消費税以外の法人税、所得税も平成30年度の税収を1兆円以上上回っていたのですが、海外への輸出が増加した製造業の好業績、株高を背景とした個人の株式譲渡益の増加などが主な要因です。
輸出にしろ、株取引にしろ、実生活において目に触れるものではありませんが、税収は、コロナ禍であっても、経済取引は行われていたということを教えてくれているのかもしれません。興味がある方は国税庁のホームページに業種ごとの所得金額なども公表されていますので、よかったら、見てみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
この記事を読んで、税収に少しでも関心を持っていただけたら、幸いです。
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5 小中学生の親御さん必見!冬休み特集
主税局では、子供たち&子育て世代の皆様を対象とした広報にも力を入れており、その一環として、先般、「Gakkenキッズネット」の「冬休み!おうえんスペシャル」というサイトに、「おどろき!大発見!知ってためになる☆税金の自由研究」という特集ページを公開しました。
(URL:https://kids.gakken.co.jp/jiyuu/tax/ )(※公開終了)
このページでは、「じぶんの住むまちの公共施設マップを作ろう」というコンテンツを提供しており、また、過去に掲載したコンテンツも利用できるようにしています。
公共施設に関するクイズもあり、「公共施設とは何か」、「公共施設と税金の関係」等について、楽しんで学習していただける内容となっています。
冬休みの自由研究等でテーマにお悩みのお子様がいらっしゃいましたら、こちらのコンテンツをぜひご活用ください。
(参考)
保護者向けページ
https://kids.gakken.co.jp/parents/parenting/20221209/
教員向けページ
https://kids.gakken.co.jp/teacher/inquiry/tax202212/
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6 編集後記
今号では、12月23日に閣議決定された「令和5年度税制改正の大綱」の中から、「インボイス制度への円滑な移行に向けた措置等」について紹介させていただきました。今後数回にわたって令和5年度税制改正(案)の主な内容を取り上げていく予定です。
今号の連載コラムは、税収関連担当の記事をお届けしました。私は歳入係のすぐ近くの席で仕事をしているため、日々議論する声が聞こえてくるのですが、いくつもの条件を基に数字を組み立てていく様子は、まさに職人技だなと感じます。
今号は内容盛りだくさんのメルマガとなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。
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