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税制メルマガ第157号 2022年12月7日

【税制メルマガ第157号】 
 2022年12月7日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 コラム「税制のプロに聞く」(第4回)
4 編集後記

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1 はじめに

 今年も12月になりました。
 税制改正の議論が佳境を迎えています。例年と同様であれば、12月中旬には与党で「税制改正大綱」が決定され、その後、政府においても「税制改正の大綱」が閣議決定されます。
 これにより翌年度の税制改正の大枠が固まるため、主税局にとって、1つの区切りと言えますが、改正法案を完成させるため、内閣法制局などと調整しながら、条文を1つ1つ仕上げていく作業は続きます。ミスは許されません。また、年明けから始まる法案の国会審議の準備も進めます。
 例年、税制改正法が国会で成立し、政令・省令も含め公布されるのは3月末であり、それまで主税局の職員の気が休まることはありません。

 さて、今月のコラム「税制のプロに聞く」は、国際税制を担当する山田補佐によるものです。
 国際税制は、世界各国が協調してルールを決めることも多く、他の分野にはない困難を伴います。多くの人にとって、あまり馴染みがないかもしれませんが、国際的な企業は、制度改正で納税額が大きく変わることがあり、毎年、緊張感のある議論が行われています。

財務省主税局総務課 企画官 松井誠二

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2 税制をめぐる最近の動き  

HP掲載日  内容
11月1日  令和4年度 9月末租税及び印紙収入、収入額調
11月4日  税制調査会(第21回総会)
11月8日  税制調査会(第22回総会)

(1)租税及び印紙収入、収入額調
令和4年度9月末租税及び印紙収入、収入額調を財務省ホームページで公開いたしました。

下記リンクから内容をご覧いただけます。
(2)税制調査会(総会)
〇 第21回総会
   国際課税について議論が行われました。
〇 第22回総会
   固定資産税等について議論が行われました。
 また、納税環境整備に関する専門家会合及び相続税・贈与税に関する専門家会合からの報告が行われました。

会議資料は下記リンク(内閣府ホームページ)からご覧いただけます。

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3 コラム「税制のプロに聞く」(第4回)

 主税局参事官室で国際税制の担当をしております山田と申します。参事官室には、私が所属する国際税制係のほか、外国との租税条約の企画・立案を担う租税協定係などがあります。

 これまでの「税制のプロに聞く」では、所得税・消費税・法人税という、いわゆる国税の基幹税の企画・立案の担当者によるものでしたが、それぞれ所得税係・消費税係・法人税係という係名が付けられており、何に関する業務を担当しているのか比較的イメージし易いと思います。
 一方、国際税制係は一体何をしている係なのかイメージが湧きづらいと思います。国際税制係は、ざっくり言うと、所得税や法人税のうち国際的な取引に関する部分の企画・立案を行っています。
 具体的には、クロスボーダー取引により生ずる課税で問題となる、国際的な二重課税の調整(例:外国税額控除制度・外国子会社配当益金不算入制度)や、国際的な租税回避の防止(例:移転価格税制・過少資本税制・過大支払利子税制・外国子会社合算税制)などです。
 また、外国に住所を有する個人の方々や、外国に本店を有する法人が日本で投資活動や事業活動などを行って所得を稼得した場合の課税問題も扱っているほか、租税条約の新規締結・改正がされた際に、これを日本において実施するために必要な担保規定の整備なども行っています。
 これらを通じて日本の適切な課税権の確保や日本経済の活性化を図ることを目標として、日々の業務に励んでいます。
 ということで、残念ながら、消費税のように身近でもなく、所得税や法人税の申告をする方々でもクロスボーダー取引を行っていない方にとっては、なかなか縁遠い係かと思います。

 私が期せずして国際課税に携わるようになってから早十数年が経ちます。そのときの上司からは「参事官室に行けば今より早く帰れるから」と言われ、異動したことを記憶しています。確かに1年目はその通りでしたが、2年目以降、徐々に雲行きが怪しくなり・・・。
 財務省HPに掲載されている「国際課税に係る主な改正の経緯」(http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/h01.htm)からも分かるとおり、ここ十年、国際課税の大きな改正が累次行われています。その主な要因としては、2015年10月に「税源浸食と利益移転(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクト」最終報告書が公表され、そこでの合意事項を日本が着実に実施してきたことが挙げられると思います。
 最近では、経済のデジタル化に伴う課税上の課題について、「市場国への新たな課税権の配分」と「グローバル・ミニマム課税」の2つの柱からなる新たな国際課税ルールの見直しが国際的に議論され、後者の「グローバル・ミニマム課税」は既に各国国内法の整備のフェーズに移っています。
 これらは、日本発の制度とは異なり、日本の税制にとらわれないユニークな制度設計がふんだんに盛り込まれており、日本で実施するためにはクリアすべき高めのハードルがいくつもあることから、少なくとも、あと数年は、過去に経験したことのない多忙、かつ、知的好奇心を掻き立てられる非常に充実した日々が続きそうです。

 最後になりますが、参事官室国際税制係は、皆様にとって少し縁遠い係かもしれませんが、最近では、報道等で国際課税が取り上げられることも増えてきていますので、その際には当係を思い出して頂けますと幸いです。

財務省主税局参事官室 参事官補佐 山田尚功
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4 編集後記 

 12月に入ったということで、2022年も残り1ヶ月を切りました。7月に主税局に着任してからは時間の経過があっという間で、今年がもうすぐ終わるということに驚いています。

 さて、今回の税制メルマガでは、国際税制の担当者の記事をお届けしました。
 私自身、これまで国際税制にはあまり馴染みがなかったのですが、昨年「BEPS包摂的枠組み」において2つの柱に関する合意がなされた際に、歴史的合意であるとの報道があったことは記憶しています。今後は2つの柱が国内法として整備されていく様子に注目したいと思います。

 今月も最後までお付き合いいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

財務省主税局総務課 広報係 内田


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