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税制メルマガ第156号 2022年11月4日

【税制メルマガ第156号】 
 2022年11月4日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 コラム「税制のプロに聞く」(第3回)
4 編集後記

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1 はじめに

 今年、都内の公務員住宅から郊外のマンションに引っ越したのを機に、犬を飼い始めました。
 犬を飼っていると、これまで気にならなかったものが目に入ってくるようになります。例えば、道路に落ちているゴミや吸い殻ですが、犬が散歩中に食べようとするので、とても気を使います。近所の人が掃除してくれることもありますが、公道であれば、管理者である国や県・市が、定期的に清掃を行っています。
 犬を連れて近所の公園にもよく行くのですが、どの公園も、定期的に、草刈りや清掃が行われており、とても快適です。
 もちろん、こうした費用は皆さんの税金によって賄われているのですが、マナーの悪い人が減れば、費用はもう少し安くすむかもしれません。犬を飼うことで、「税金は社会の会費」ということを、別の面から実感するようになりました。

 さて、今月のコラム「税制のプロに聞く」は、税制第三課で法人税制を担当する小竹補佐によるものです。
 法人税は、各種の租税特別措置やグループ法人税制を含めるとかなりのボリュームになります。来年3月に期限を迎える租税特別措置も多くあり、年末に向けて、これらの取扱いについても議論が行われることになります。

財務省主税局総務課 企画官 松井誠二

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2 税制をめぐる最近の動き  

HP掲載日  内容
10月3日  令和4年度 8月末租税及び印紙収入、収入額調
10月4日  税制調査会(第17回総会)
10月5日  税制調査会(第1回相続税・贈与税に関する専門家会合)
10月7日  BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます<ブルガリア>
10月12日  税制調査会(第18回総会)
10月18日  税制調査会(第19回総会)
10月19日  税制調査会(第8回納税環境整備に関する専門家会合)
10月21日  BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます<南アフリカ>
 税制調査会(第2回相続税・贈与税に関する専門家会合)
10月26日  税制調査会(第20回総会)
 税制調査会(第3回相続税・贈与税に関する専門家会合)
10月28日  税制調査会(第9回納税環境整備に関する専門家会合)

(1)租税及び印紙収入、収入額調
令和4年度8月末租税及び印紙収入、収入額調を財務省ホームページで公開いたしました。

下記リンクから内容をご覧いただけます。
(2)税制調査会(総会)
① 第17回総会
   個人所得課税について議論が行われました。
② 第18回総会
   法人課税について議論が行われました。
③ 第19回総会
   個人所得課税について議論が行われました。
③ 第20回総会
   消費課税について議論が行われました。

会議資料は下記リンク(内閣府ホームページ)からご覧いただけます。

(3)税制調査会(相続税・贈与税に関する専門家会合)
10月5日(第1回)、10月21日(第2回)及び10月26日(第3回)に相続税・贈与税に関する専門家会合が開催され、資産移転の時期の選択に、より中立的な税制の構築について議論が行われました。

会議資料は下記リンク(内閣府ホームページ)からご覧いただけます。

(4)税制調査会(納税環境整備に関する専門家会合)
① 第8回納税環境整備に関する専門家会合
   税務手続のデジタル化について議論が行われました。
② 第9回納税環境整備に関する専門家会合
   税に対する公平感を大きく損なうような行為への対応等について議論が行われました。

会議資料は下記リンク(内閣府ホームページ)からご覧いただけます。

(5)BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます
「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)の寄託者である経済協力開発機構(OECD)の事務総長が公表した情報によると、我が国が本条約の対象とすることを選択している租税条約の相手国のうち、ブルガリア及び南アフリカが新たに本条約の批准書、受諾書又は承認書を寄託しました。

下記リンクから内容をご覧いただけます。
<ブルガリア>
<南アフリカ>

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3 コラム「税制のプロに聞く」(第3回)

 法人を見たことがありますか?

 東京メトロで最も乗降者数が少ない駅である西ヶ原駅を降りて地上に出てみます。
 そこにあるのは独立行政法人国立印刷局という法人の東京工場ですが、見えるのは法人ではなく建物と植樹と守衛(個人)と、場合によっては中で働く職員(個人)であり、法人はどこにも見えません。
 (今回は、財務省所管の独立行政法人に登場していただきました。)

 法人というのは、人の集まり(社団)とか財産の集まり(財団)を、権利の主体になれるようにし、法律行為ができるようにするために、法技術上生み出された概念でしかなく、目に見える形で存在するものではありません。
 強いていうなら、株主総会に来ている人たちの集合体が、社団たる法人(株式会社も社団の一つです)の実態に最も近いものです。オフィスが入っている建物はコンクリートの塊でしかありません。

 法人がこのようなものだからこそ、個人ではありえないことが起こります。
 例えば、ある会社がある3階建ての建物でいろんな事業をやっていると想像してください。

・・・ある日
社長「事業ごとに分社してみようかな。1階を第一事業株式会社、2階を第二事業株式会社、3階を第三事業株式会社で。」

・・・ある日
第二社社員「大変です社長!幹部のスキャンダルがネットニュースで取り上げられて炎上してわが社の業績がうなぎ下がりです!」
第二社社長「うなぎ下がりというのは間違った日本語だ。仕方ない、徐々に撤退して、別の会社を作って別のことをやろう。2階の真ん中にロープを張って、東半分にいる社員と備品を使って第四事業株式会社を立ち上げよう。」

・・・ある日
第四社社員「社長!注文が殺到してさばききれません!」
第四社社長「3階の第三事業株式会社に頼んで社員を何人か我が社に寄越してもらって、勤務場所も2階の我が社の場所に引っ越してもらおう。」

・・・ある日
第四社社員「社長!第二社が復活して人が足りないそうです!」
第四社社長「第二社に社員を少し返そう。我が社と第二社との境界のロープをこっち寄りにずらしておくように」

・・・ある日
第四社社員「社長!ライバル会社のA社から当社に統合の申し出がありました!」
第四社社長「A社のオフィスに行ってうちの看板を掛けてこい!」

 というように、簡単に大きくなったり小さくなったり、合併したり分割したりします。物理的に人や物が動くこともあれば、看板を架け替えたり境界線を動かしたりするだけのこともあります。
 これが法人というものです。

 冒頭の独立行政法人国立印刷局東京工場も、昔は国の施設でしたが、印刷局の独立行政法人化に当たって独立行政法人国立印刷局に移管されたものです。でも、移管前から西ヶ原にありますし、切り離した手術による傷口の縫合痕などありません。

 さて、法人税の政策税制を議論するときに、「法人が何かをがんばることに対するインセンティブとして、がんばった法人の税負担を軽減する制度を作るべし」という話になって、「では何をもって『がんばった』と評価するのか」を考えないといけないことがあります。
 「過去と比べて○○の数値が○%増えたらがんばったことにするのがよいのではないか」という発想はすぐに出てきます。
 でも待ってください。上の実例を見たらわかるように、法人は簡単にくっついたり離れたりするので、今日の法人は、昨日の法人とは違うこともあるのです。
 法人は目に見えないのに過去と比べてがんばったかどうかで評価すること自体が(略)。

 そんなわけで、「自由にくっついたり離れたりする見えないモノである法人の、過去との比較」など、法人税制についていろいろ苦労しながら考えている毎日です。

財務省主税局税制第三課 課長補佐 小竹義範

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4 編集後記 

 11月に入り一段と寒さが増してきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、今回の税制メルマガでは、法人税制の担当者の記事をお届けしました。とある会社の社長と社員の会話から、法人が実に変幻自在な存在であるということを感じ取っていただけたのではないでしょうか。いかにして法人のがんばりを適正に評価するのか…法人税制の奥深さを感じました。

 今月も最後までお付き合いいただきありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

財務省主税局総務課 広報係 内田


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