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税制メルマガ第150号 2022年4月28日

【税制メルマガ第150号】 
 2022年4月28日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き
3 若手コラム
4 編集後記

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1 はじめに

 税制メールマガジンをご覧いただいている皆さん、こんにちは。財務省主税局総務課の企画官(広報担当)の和田良隆です。

 第150号の税制メールマガジンをお届けさせていただきます。

 新年度が始まり最初の1ヵ月が過ぎました。新社会人の皆さんには、初任給が支給されたのではないでしょうか。給与明細の中では、所得税などの税金が源泉徴収されて天引きされていると思います。是非、新社会人の方にも、これを機に税制について関心を持ってもらえたらと思います。

 実は、手前味噌ですが、税制の概要を知るのにちょうど良いコンテンツがあります!
 前号の税制メールマガジンでも、パンフレット「もっと知りたい税のこと」を動画にして財務省ホームページ(公式youtubeチャンネル)で公開したとご紹介しました。
 この動画では、税の意義・役割、税収の現状から、所得税・消費税・法人税など主要税目の概要について、できる限り分かり易く説明しています。
 https://www.youtube.com/watch?v=zB37i8vBAzU

 インフォグラフィクスを活用した動画作成は、財務省主税局としても新しい取組みですが、4月1日の公開以降、約1ヵ月で1000回以上の視聴(4月28日12時時点1,067回)を頂いております。新社会人の方を含め、まだの方は是非ご覧下さい。
 今後、令和4年度税制改正についても、近々、説明動画を作成しリリースする予定です。今回の動画制作を踏まえ、より見やすく改善していきたいと思います。

 さて、今回は1つ、税関係で印象に残った出来事をご紹介させていただきます。昨年の話ですが、小学生の娘が夏休みの宿題として「税に関する標語コンクール」に取り組みました。
 私も少し娘の相談にのり、
 『消費税 払って実感 社会の一員』
という渾身の標語を提出したのですが、その後の厳正な審査であえなく落選してしまいました。
 受賞作品の例を紹介しますと、
 『描こうよ 輝く未来を 税金で』
 『目に見えない 場所で活躍 僕の税』
 『税金で みんなの町を 住みやすく』
と本当に素晴らしい税に関する標語が並んでいました。
 昨年11月に公表した「うんこ税金ドリル」では、
 『うんこと税金の共通点は、肥料です。そのココロは、どちらも豊かで素晴らしいもの育むために必要なものです。』
というメッセージを打ち出させていただきましたが、個人的に小学生の方々の標語に大変刺激を受けました。これからも税制の啓蒙に繋がる取組みに邁進していきたいと思います。うんこ税金ドリルをまだご覧でない方は、以下のリンクより是非ご覧ください。
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei0311.html

 今回も本編の前に長々と失礼いたしました。それでは皆さん、今月号の税制メールマガジンをお楽しみ下さい! 

 主税局総務課 企画官 和田良隆
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2 税制をめぐる最近の動き  

掲載日
 内容
4月22日 BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます<タイ>
4月15日 税制調査会(第9回総会・4月15日開催)会議資料
4月4日 税制調査会(第8回総会・4月4日開催)会議資料

(1)BEPS防止措置実施条約が適用される租税条約が増えます<タイ>
4月21日、我が国は、我が国とタイとの間の租税条約を「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)の対象とするための通告を、本条約の寄託者である経済協力開発機構(OECD)の事務総長に提出しました。

下記リンクから詳細をご覧いただけます。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/tax_convention/press_release/20220422mli.html


(2) 税制調査会

4月4日に第8回総会が開催され、「デジタル化が社会に与える影響」について外部有識者からのヒアリングが行われました。
 4月15日には第9回総会が開催され、「企業の成長や起業」について外部有識者からのヒアリングが行われました。

下記リンクから会議資料等をご覧いただけます。(内閣府ホームページへリンク)
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/index.html


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3 若手コラム 

 読者の皆さん、こんにちは!主税局調査課外国係です。突然ですが、税制の役割といった時、皆さんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか。例えば租税法の教科書を開くと、財源調達、所得再分配、経済安定化の3つの機能を見つけるかと思います。その一方で経済学においては、「市場の失敗」(後述)に対処するために税制を含めた政策手段を活用するという考え方もあります。今回はそのような考え方について、海外の事例を交えて解説いたします!

 このメールマガジンが配信されるのはちょうど大型連休に差し掛かる直前ですね。巷では高速道路の渋滞状況について報道される頃かもしれません。

 そんなわけで今回は、渋滞に焦点を当ててみましょう。渋滞によって引き起こされる影響として、遅延による時間損失や自動車の排気ガスによる環境汚染等が挙げられます。この状況では、個々のドライバーの行動が、他のドライバーや道路の周辺住民などに影響を与えており、また、個々のドライバーはそういった影響について相手方に対価を支払う必要がないため、個々人や市場に任せるだけではこういった課題の解決が図られない可能性があります。

 経済学では、こう言った状況を「負の外部性」が発生している状況であると捉え、その結果、社会全体の効用が最大化されないという「市場の失敗」が生じていると考えます。一般的に、政府は、このような「市場の失敗」に対して、規制や補助金、社会資本の整備(渋滞のケースであれば、例えばバイパスの新設)など様々な政策手段で対処しますが、諸外国の中には、ドライバーに対して料金を課すロードプライシングを導入し、経済的インセンティブを活用して渋滞の解消を図っている国もあります。そこで、今回はロードプライシングのうち、いわゆる「渋滞税」と言われることもある施策を例にこの問題を考えてみたいと思います。

 いわゆる「渋滞税」と言われることもある施策については、ストックホルムにおけるCongestion Taxのほか、taxという名称は用いられておりませんが、ロンドンにおけるCongestion Chargeや、シンガポールにおけるElectronic Road Pricingが挙げられます。実はこの中で、最初にこういった制度を導入したと言われているのがシンガポールです!

 1970年代初頭、シンガポールでは交通渋滞が急速に問題化し,特にCBD(Central Business District)における通勤時間帯の渋滞が深刻でした。この頃シンガポールは経済発展の最中であり、個人所得の増加に伴い、1962年から1973年にかけて、自家用車の数は年平均8.8%の割合で増加しました。こうした中、渋滞問題の悪化に対処するため、1975年に導入されたのが、ALS(Area Licensing Scheme)と呼ばれる制度です。これは、通勤時間帯にCBD内の制限区域道路を通行するドライバーに対し、事前に購入した専用ステッカーを車両に貼り付けることを義務付ける制度です。車両にステッカーが貼り付けられているか確認するために、各制限区域道路には警察官が配置され、目視で監視していました。

 その後1998年には、ALSに置き換わる形で現行制度のERP(Electronic Road Pricing)が導入されました。これはALSと同様に渋滞解消を目的としたものですが、従来の制度と比べて大きく変わったのが課金システムです。その仕組みは、道路の各所に設置された課金ポイント(ガントリー)を通過する時に、車載器に設置されたプリペイドカードと連動することで、自動的に料金が支払われるシステムになっています(日本におけるETCをイメージするとわかりやすいかもしれません)。この料金は、車種・道路・時間帯によって異なっており、通勤時間帯かつ混雑する道路の場合、料金が相対的に高く設定されます。また、交通状況を勘案して、料金は3か月ごとに見直されています。

 政府はALSやERPを通じて、ドライバーが代替ルートを模索する、ERPの課金時間を避ける時間帯に移動する、自家用車の代わりに公共交通機関を利用することを期待していました。実際、ALSでは朝の通勤時間帯に市内に流入する交通量を減少させることに成功し、通勤時間帯にCBDに入る車の数は1975年3月の42,790台から9月と10月の平均で11,363台と大幅に減少しました。またERPでも、道路の交通速度を最適な速度範囲に収めることが可能となり、例えば高速道路では、ピーク時の平均速度を45km/h以上で維持することに成功しました。

 今回は、経済学における「市場の失敗」に税制を含めた政策手段を活用するという考え方について、シンガポールの事例を紹介しながら解説しました。諸外国の税制を見る際は、このような考え方も存在するということを念頭に置くことも必要ですね。外国係では、こうした点も意識しながら、引き続き調査を続けてまいります!

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4 編集後記 

 4月も終わりに差し掛かり、明日からGWですね。長い方だと10連休になるようですね。私はあまり長い連休をとると次の出勤がややしんどくなるので、カレンダーどおり出勤する予定です。

 今回の若手コラムではシンガポールのいわゆる「渋滞税」を取り上げていました。シンガポールには数年前のGWに行ったことがあるのですが、タクシー料金が安いこともあり、ほとんどタクシー移動だったのですが、たしかに渋滞した印象はなかったです。そういった背景があったのですね。東京は結構渋滞するため、車に乗るより電車のほうが早いことも多いので、羨ましいです。
 余談ですが、シンガポールに行った際にはマーライオンが整備中で見られず少し悲しい思いをしました。旅行に行くと名所が工事中といったことが多いタイプなので慣れてはいますが、またの機会があれば見てみたいです。

 今月も最後までお付き合いいただきありがとうございます。次回の税制メールマガジンもよろしくお願いいたします。

 主税局総務課 広報係 田中

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