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財務大臣・経済産業大臣談話~日本政府の対日直接投資促進の姿勢は不変~

(別添2)

財務大臣・経済産業大臣談話
~日本政府の対日直接投資促進の姿勢は不変~

平成20年4月16日

  • 1.ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド(TCI)から電源開発株式会社の株式取得について届出がなされた件に関して、本日、財務大臣及び経済産業大臣は、電気の安定供給及び原子力・核燃料サイクルに関する我が国の政策に影響を与え、公の秩序の維持を妨げるおそれがあると認められたので、外国為替及び外国貿易法(外為法)第27条第5項の規定に基づき、TCIに対し当該届出に係る対内直接投資の中止を勧告した。

  • 2.外為法は、対外取引の原則自由という基本的考え方に立ちつつ、経済協力開発機構(OECD)の定める資本移動自由化コード等の国際的な投資ルールに適合する形で、「国の安全」や「公の秩序の維持」等の理由から、一部業種に限定して、審査付事前届出制度を導入している。その中で、電気事業は、公の秩序の維持の観点から事前届出業種としてあらかじめ指定されている。OECD諸国においても、電気事業について、OECDに通知して外資規制を行っている国が11ヵ国、国等が保有している国は18ヵ国、そのうち重複している国が6ヵ国、特段の対応のない国が7ヵ国となっている。

  • 3.本件届出に係る対内直接投資については、累次にわたるTCIからのヒアリングを含め審査を行った。その結果、TCIが20%の株式を取得すると、電源開発の経営に一定の影響を及ぼす可能性があり、取得株式に基づく株主権の行使を通じて同社の財務体質の毀損や将来的な基幹設備に対する設備投資及び修繕費の削減、大間原子力発電所の建設・運営への悪影響等が懸念される。従って、電気の安定供給及び原子力・核燃料サイクルに関する我が国の政策に影響を与え、公の秩序の維持を妨げるおそれが払拭できないと認められる。このため、関税・外国為替等審議会の意見を聴いた上で、本件届出に係る対内直接投資の中止を勧告することとしたものである。これは、外為法に基づいて実施された初めての勧告である。

  • 4.言うまでもなく、対内直接投資は、新たな技術や経営ノウハウの導入等を通じて我が国及び地域の経済を活性化し、雇用機会の増大にもつながるものであり、投資の自由化を堅持しその積極的な促進を図ることは、我が国の政策の基本方針である。このことは、福田総理がダボス会議であらためて表明したところである。

    日本政府としては、平成18年3月に、2010年までに対日直接投資残高をGDP比で5%程度に倍増する目標を掲げているが、平成19年末の残高(速報値)は15.4兆円(GDP比3.0%)となり、前年に比べ2.6兆円増(GDP比0.5ポイント増)と過去2番目に大きな伸びを見せている。

    また、外為法の下では、過去3年間で約760件の事前届出がなされているが、本件以外の届出は全て法令で定められた審査期間である30日以内で投資が認められていること、そのうち約95%は2週間以内で投資が認められていることは強調しておきたい。

    今後も、対日直接投資促進に向けた日本政府の方針は、経済財政諮問会議や本年1月から新たに立ち上がった対日投資有識者会議などでも積極的な議論が行われているところであり、財務大臣及び経済産業大臣としても、その促進に向けて努力していく所存である。

  • 5.なお、今回の勧告は、あくまで外為法に基づく「公の秩序の維持を妨げるおそれ」に係る国の判断であるが、言うまでもないことながら、電源開発においては、株主との真摯な対話の中で株主に対する説明責任を十分に果たしていくことが必要であり、また、その実施する事業の公益性を勘案した株主への還元のあり方について、株主の理解と納得が得られるよう努力していくことが望まれる。