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片山財務大臣兼金融担当大臣の第56回世界経済フォーラム年次総会「Japan's Turn」イベントへの登壇について

令和8年1月20日

世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に、片山財務大臣兼金融担当大臣が出席しました。令和8年(2026年)1月20日に開催されたJapan's Turnイベントにおける大臣発言の概要を公表いたします。

【冒頭】

  •  本日、ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)における“Japan’s Turn”にお招きいただき、感謝申し上げます。
  •  昨年10月の高市内閣の発足後、「責任ある積極財政」を通じて、「強い経済」を構築するべく、政府一丸となって取り組んできました。日本社会では、こうした変化を前向きに捉える姿勢が広がっています。たとえば、今年成人を迎える若者を対象にした調査では、「政治体制の変化」や「新政権への期待」を理由に、「日本の政治に期待できる」と答えた人が前年の約20%から50%超へと急増し、約50%が「日本の未来は明るい」と感じています。
  •  実際、我が国の名目GDPは4兆ドル(600兆円)を超え、設備投資は過去最高を更新し、賃金も2年連続で5%を上回る賃上げ率が実現したほか、日経平均株価も史上最高値を更新し、2012年末と比較して約5倍となるなど、従来の「デフレ・コストカット型経済」から投資拡大と生産性向上を伴う「成長型経済」に移行しつつあります。
  •  本日は、こうした前向きな変化を具体的な形につなげるべく高市内閣で取り組んでいる、日本の成長戦略における3つの考え方について、お話しします。

 

【重点分野への戦略的投資】

  •  1つ目は、重点分野への戦略的投資です。将来的にも人口が減少していくことが見込まれる我が国において、「強い経済」の実現のためには、「責任ある積極財政」の考えの下で戦略的な財政出動を行い、日本の供給構造を強化し、経済成長率を高めることを通じて、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がる好循環を実現することが重要です。
  •  高市内閣は、供給力の強化に向けて大胆かつ戦略的な成長投資と危機管理投資を進めてまいります。
  •  すなわち、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障などの様々なリスクや社会課題に対し、官民が手を携え、先手を打って行う戦略的な投資を行います。世界共通の課題解決に資する製品・サービス・インフラを提供していくことで、更なる日本の経済成長を目指していきます。
  •  例えば、2ナノメートルの最先端半導体の国内生産を可能とするプロジェクトである「ラピダス・プロジェクト」等を通じた半導体のサプライチェーン強靱化や、質の高いデータを集積し、学習させることで、ロボットによる自律的な人間の支援やものづくりを行う工場の無人での制御などが可能となる「フィジカルAI」の実現に向けた取組等を進めていきます。
  •  660億ドル(10兆円)以上の公的支援などを活用し、予見可能性を高めることで、3,300億ドル(50兆円)を超えるAI・半導体分野の官民投資を促します。
  •  こうした「強い経済」に向けた必要な措置は、2026年度税制改正においても盛り込んでいるところです。
  •  具体的には、国内における高付加価値型の設備投資を促進する観点から、大胆な設備投資の促進に向けた税制措置を創設いたします。加えて、研究開発税制に、新たな類型を創設し、AI・量子・バイオ等、国家戦略として重要な技術領域への企業の研究開発を促すこととしております。

 

【金融を通じた潜在力の解放】

  •  2つ目は、金融を通じた潜在力の解放です。今後、この観点から、我々は、金融戦略を2026年夏までに策定し、官民連携で取り組んでまいります。
  •  政府はこれまで、資金の好循環を創出し、日本経済の成長と国民所得の増加を目指すため、「資産運用立国」の実現に向けた取組を進めてきました。
  •  家計に向けては、2024年1月、個人投資家向けの投資非課税制度であるNISAを抜本的に見直し、非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大を行いました。現在、NISA口座数は約2,700万口座となり、18歳以上の国民の4人に1人が口座を保有する状況で若年層も含めて着実に進んでいます。今後も、NISAの一層の充実を図る予定です。
  •  現在、日本には15兆ドル(2,200兆円)を超える家計金融資産がありますが、現預金が約半分を占め、米国と比べて高い割合となっています。また、日米の家計金融資産の運用リターンを比較すると、非常に大きな差があるとされております。
  •  こうした中、家計金融資産における株式や投資信託などのリスク性資産の割合や収益率が高まれば、より多くの成長の果実が資産所得として家計に還元されることが期待されます。
  •  こうした変化の兆しとして、足元では、家計金融資産におけるリスク性資産の残高が過去最高を更新しました。また、民間企業の名目設備投資は過去最高であり、今後、官の戦略的投資が呼び水となり、更なる投資拡大が期待されます。さらに、東京証券取引所(東証)プライム上場企業の9割が資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた計画を開示しており、企業の意識も変化してきています。
  •  上場企業に向けては、継続してコーポレートガバナンス改革に取り組み、東証の時価総額は2012年末と比較して約4倍の約8兆ドル(約1,200兆円)となりました。日本のコーポレートガバナンス改革は国内外の投資家・市場関係者から前向きな評価をいただいております。一方で、日本企業が有する現預金は増加傾向にあり、経営資源の最適な配分が実現されていないとの指摘もある中、金融庁及び東証は、2026年夏をメドに「コーポレートガバナンス・コード」の見直しを行うことを検討しています。
  •  さらに、2025年12月には、日本の地域金融機関が、少子高齢化・人口減少の中で、地域経済をより一層支える役割を果たせるよう、包括的なプランを策定しました。

 

【責任ある積極財政】

  •  3つ目は、責任ある積極財政です。我が国の財政状況については、多角的、客観的に分析し、真摯に受け止める必要があります。「責任ある積極財政」は、プロアクティブな、先を見据えた財政政策ということであり、決して、いたずらに拡張的に規模を追求するものではありません。
  •  政府としては、「強い経済」の構築と「財政の持続可能性」をバランス良く同時に実現し、今を生きている国民と未来を生きる国民に対する責任を果たしていく所存です。
    •  2026年度予算においては、日本経済を新たなステージへ移行させることを目指す中で、経済・物価動向等に配慮しながら、中期的な経済財政の枠組みに沿った内容になっています。
    •  具体的には、予算全体について、経済・物価動向等を適切に反映しています。また、防衛力強化、いわゆる教育無償化などの重要施策について、財源を確保しつつ、予算を増額しています。
    •  その上で、公債依存度は24.2%と、直近約30年で最も低水準に留めるなど、財政規律にも配慮しています。また、日本の財政収支対GDP比をみると、近年改善傾向にあり、2025年における一般政府の財政収支対GDP比(▲0.6%)は、G7の中で1番よい状況だと推計されています。
    •  歳出・歳入両面で「強い経済」を支える財政構造の転換を図ることが重要であり、ワイズスペンディングを徹底していく中で、戦略的な財政出動により成長力を高めた上で、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことを通じて、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます。

     

    【結語】

    •  現在、我々が慣れ親しんできた自由で開かれた国際秩序は揺らぎ、地政学的緊張等の影響で、政治・経済の不確実性が高まっているなど、世界は大きな変化を迎えています。
    •  「日本の未来は明るい」と感じてくれるようになった若者たちの期待にしっかりと応えていくためにも、今の時代をお預かりしている私達には、「日本列島を、強く豊かに」して、次世代に贈る責任があると考えています。
    •  女性初の財務大臣として、日本で初の女性の総理大臣である高市早苗総理のリーダーシップの下、大きな変化を迎える世界の中で、「強い経済」の実現に向けて全力で取り組み、明日という日に誇れる今日を、多くの方々と共に、私たち自身の手でつくっていきます。