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第177回国会における野田財務大臣の財政演説

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平成23年4月28日

今般、平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災に対応し必要な財政措置を講ずるため、平成二十三年度補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。

(はじめに)

三月十一日に発生した東日本大震災は甚大な被害をもたらしました。この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。さらに、救助・救援活動や復旧活動に関わる、官民の関係者やボランティアなど多くの方々の尽力に敬意を表しますとともに、国際社会から寄せられている温かな支援に感謝を申し上げます。

政府としては、今日に至るまで、人命救助や安全な避難に取り組むほか、被災された方々の生活に必要不可欠な、水や食料、燃料等の確保、被災地域の応急復旧などに全力を挙げてまいりました。今後、電気、ガス、水道といったライフラインの復旧を急ぎ、さらに、災害廃棄物の撤去や仮設住宅の建設を進める等、引き続き、被災地域の復旧・復興のため全力を挙げてまいります。

また、原子力発電所事故は、依然として予断を許さない状況が続いております。被害の拡大を防ぎつつ、一日も早く安定した状態を実現すべく、万全の対策を講じていくこととしております。

(平成二十三年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大要)

今国会に提出をいたしました平成二十三年度補正予算の大要について御説明申し上げます。

今回の一般会計補正予算につきましては、東日本大震災からの早期復旧に向け、年度内に必要と見込まれる経費を計上しております。また、財源については、追加の公債を発行せず、歳出の見直し等により確保しております。

まず、歳出面において、東日本大震災関係経費として四兆百五十三億円を計上し、その内訳は、災害救助等関係経費四千八百二十九億円、災害廃棄物処理事業費三千五百十九億円、災害対応公共事業関係費一兆二千十九億円、施設費災害復旧費等四千百六十億円、災害関連融資関係経費六千四百七億円、地方交付税交付金千二百億円、その他八千十八億円となっております。

これらの東日本大震災関係の歳出を賄うため、三兆七千億円余の歳出の減額を行うこととしており、その内訳は、子ども手当の減額二千八十三億円、高速道路の原則無料化社会実験の一時凍結に伴う道路交通円滑化推進費の減額千億円、基礎年金国庫負担の年金特別会計への繰入の減額等二兆四千八百九十七億円、周辺地域整備資金の活用に伴うエネルギー対策特別会計への繰入の減額五百億円、政府開発援助等の減額五百一億円、議員歳費の減額二十二億円、経済危機対応・地域活性化予備費の減額八千百億円となっております。

なお、平成二十三年度の基礎年金国庫負担割合については、二分の一であることを法律上明記しつつ、二分の一との差額は、税制抜本改革により確保される財源を活用して、年金財政に繰り入れることを併せて法制化することとしております。

また、歳入面においては、高速道路の料金割引の見直しに伴う独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構からの納付金二千五百億円等、税外収入三千五十一億円を計上しております。

これらの結果、平成二十三年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対し歳入歳出とも三千五十一億円増加し、九十二兆七千百六十七億円となっております。

関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。

財政投融資計画につきましては、被災事業者の経営安定や災害復旧等のための資金需要に対応するため、この補正予算において四兆三千二百二十億円を追加することとしております。

(むすび)

以上、平成二十三年度補正予算の大要について御説明いたしました。

被災地域の一刻も早い復旧のため、何とぞ、関連法案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。