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第219回国会における片山財務大臣の財政演説(令和7年12月8日)


令和7年12月8日

先に閣議決定いたしました「「強い経済」を実現する総合経済対策」を受けて、今般、令和七年度補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明申し上げます。

(はじめに)

日本経済は、足元の景気は緩やかな回復局面にあるものの、潜在成長力は伸び悩み、賃金の伸びは物価上昇に追いつかず、個人消費や民間需要の力強さを欠く状況が続いております。加えて、米国関税措置に関する日米協議は合意に至ったものの、世界経済の先行きには不透明感があります。

こうした認識の下、十一月二十一日に、「「強い経済」を実現する総合経済対策」を閣議決定いたしました。

総合経済対策は、「未来への不安を希望に変える」ため、今の国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じるとともに、日本経済の強さを取り戻すことを目指すためのものです。

具体的には、第一に、物価高から暮らしと職場を守る「生活の安全保障」として、足元の物価高対策を最優先で実施すること、第二に、危機管理投資・成長投資により「強い経済」を実現すること、第三に、防衛力と外交力の強化を図り、国民の安全と繁栄を支える「強い日本」を実現することに取り組んでまいります。

(令和七年度補正予算の大要)

次に、総合経済対策の実行等のために今国会に提出いたしました令和七年度補正予算の大要について申し述べます。

一般会計におきましては、歳出において総額で約十八兆三千億円を計上しております。

その内容としては、総合経済対策に基づき、「生活の安全保障・物価高への対応」のための経費として約八兆九千億円、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」のための経費として約六兆四千三百億円、「防衛力と外交力の強化」のための経費として約一兆六千六百億円、「今後への備え」として予備費に約七千百億円を計上しております。

このほか、国債整理基金特別会計への繰入として約一兆千三百億円、その他の経費として約六千六百億円を計上するとともに、既定経費を約一兆二千億円減額しております。

歳入においては、税収について、最近までの収入実績等を勘案して約二兆八千八百億円の増収を見込んでおります。また、税外収入について、約一兆二百億円の増収を見込むほか、前年度剰余金約二兆七千百億円を計上しております。

以上によってなお不足する歳入について、公債を約十一兆七千億円発行することとしております。

この結果、令和七年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに約十八兆三千億円増加し、約百三十三兆五千億円となります。

令和七年度一般会計補正後予算の公債発行額は約四十兆三千四百億円と令和六年度一般会計補正後予算の公債発行額である約四十二兆千四百億円を下回っており、財政の持続可能性にも配慮した姿となっております。

また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。

財政投融資計画につきましては、総合経済対策を踏まえ、「生活の安全保障・物価高への対応」、「防衛力と外交力の強化」等の取組を推進するため、約四兆四千八百億円を追加しております。

(むすび)

以上、令和七年度補正予算の大要について御説明申し上げました。

我が国の経済は今、成長に向けた投資拡大と生産性向上を伴う「成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点に立っております。国民の暮らしを守り、一人一人が希望を持てる強い経済を確実に取り戻していくため、本補正予算の一刻も早い成立が必要であります。

何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。