令和5年11月20日
先に閣議決定いたしました「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を受けて、今般、令和五年度補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明申し上げます。
(はじめに)
日本経済につきましては、コロナ禍の三年間を乗り越えて改善しつつありますが、輸入物価の上昇に端を発する物価高の継続は、国民生活を圧迫し、回復に伴う生活実感の改善を妨げています。
こうした認識の下、十一月二日に、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定いたしました。
総合経済対策は、変革を力強く進める「供給力の強化」と、不安定な足元を固め、物価高を乗り越える「国民への還元」の二つを「車の両輪」として、「新しい資本主義」の実現に向けた取組を更に加速するためのものです。
具体的には、物価高から国民生活を守ること、地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現すること、成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進すること、人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進すること、国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保することに取り組んでまいります。
(令和五年度補正予算の大要)
次に、総合経済対策の実行等のために今国会に提出いたしました令和五年度補正予算の大要について申し述べます。
一般会計につきましては、歳出において、総額で約十三兆二千億円を計上しております。
その内容としては、総合経済対策に基づき、「物価高から国民生活を守る」ための経費として約二兆七千四百億円、「地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する」ための経費として約一兆三千三百億円、「成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する」ための経費として約三兆四千四百億円、「人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する」ための経費として約一兆三千四百億円、「国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する」ための経費として約四兆二千八百億円を計上しております。また、国債整理基金特別会計への繰入として約一兆三千百億円、地方交付税交付金として約七千八百億円、その他の経費として約一兆四千九百億円を計上するとともに、既定経費を約三兆五千百億円減額しております。
歳入においては、税収について、最近までの収入実績等を勘案して約千七百億円の増収を見込んでおります。また、税外収入について、約七千六百億円の増収を見込むほか、前年度剰余金約三兆三千九百億円を計上しております。
以上によってなお不足する歳入について、公債を約八兆八千八百億円発行することとしております。
この結果、令和五年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに約十三兆二千億円増加し、約百二十七兆五千八百億円となります。
また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。
財政投融資計画につきましては、総合経済対策を踏まえ、成長力の強化・高度化に資する国内投資の促進や、国民の安全・安心の確保等の取組を推進するため、約八千九百億円を追加しております。
(むすび)
以上、令和五年度補正予算の大要について御説明申し上げました。
現在、コストカット型の経済から三十年ぶりの変革を果たすまたとない機会を迎えております。この機会を活かし、物価上昇を乗り越える構造的な賃上げと攻めの投資の拡大によって消費と投資の力強い循環につなげていく必要があります。そのため、本補正予算の一刻も早い成立が必要であります。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。