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第210回国会における鈴木財務大臣の財政演説(令和4年11月21日)


令和4年11月21日

先に閣議決定いたしました「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を受けて、今般、令和四年度第二次補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明申し上げます。

(はじめに)

日本経済につきましては、ウィズコロナの下、社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかに持ち直しております。しかし、足元では、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響などから、日常生活に密接なエネルギー・食料品等の価格上昇が続いており、また、世界的な景気後退懸念も高まっております。

こうした認識の下、十月二十八日に、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定いたしました。

総合経済対策は、足元の物価高や世界経済の下振れリスクを乗り越え、社会課題の解決と持続的な成長の実現により日本経済を再生するためのものです。

具体的には、第一に物価高騰・賃上げへの取組、第二に円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化、第三に「新しい資本主義」の加速、第四に防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保を進めてまいります。また、今後への備えとして、「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」を増額するとともに、新たに「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」を創設いたします。

総合経済対策により、まずは足元の物価高への対応と日本経済の再生に全力で取り組み、持続的な経済成長の実現を図るとともに、引き続き、責任ある経済財政運営を進めていくことが重要であると考えております。

(令和四年度第二次補正予算の大要)

次に、総合経済対策の実行等のために今国会に提出いたしました令和四年度第二次補正予算の大要について申し述べます。

一般会計につきましては、歳出において、総額で約二十八兆九千二百億円を計上しております。

その内容としては、総合経済対策に基づき、「物価高騰・賃上げへの取組」に係る経費に約七兆八千二百億円、「円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化」に係る経費に約三兆四千九百億円、「「新しい資本主義」の加速」に係る経費に約五兆五千億円、「防災・減災、国土強靱化の推進、外交・安全保障環境の変化への対応など、国民の安全・安心の確保」に係る経費に約七兆五千五百億円、「今後への備え」として「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」に三兆七千四百億円を計上するとともに、新たに創設する「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」に一兆円を計上しております。これらにより、総合経済対策関係の国費のうち一般会計分の金額は約二十九兆九百億円、特別会計分を合わせた金額は約二十九兆六千三百億円となっております。

また、国債整理基金特別会計への繰入として約六千九百億円、その他の経費として約二千二百億円を計上するとともに、既定経費を約一兆八百億円減額しております。

歳入においては、租税等の収入について、最近までの収入実績や雇用・賃金の動向等を勘案して約三兆千二百億円の増収を見込んでおります。また、税外収入について、約六千七百億円の増収を見込むほか、前年度剰余金約二兆二千七百億円を計上しております。

以上によってなお不足する歳入について、公債を約二十二兆八千五百億円発行することとしております。

この結果、令和四年度一般会計第二次補正後予算の総額は、一般会計第一次補正後予算に対して歳入歳出ともに約二十八兆九千二百億円増加し、約百三十九兆二千二百億円となります。

また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。

財政投融資計画につきましては、総合経済対策を踏まえ、物価高騰・賃上げへの取組や、「新しい資本主義」の重点分野への投資等を推進するため、約一兆二百億円を追加しております。

(むすび)

以上、令和四年度第二次補正予算の大要について御説明申し上げました。

日本経済を取り巻く環境には厳しさが増している中、国民生活や事業活動をしっかりと支えることで、この難局を乗り越え、さらに、日本経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せていく必要があります。そのため、本補正予算の一刻も早い成立が必要であります。

何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。