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第201回国会における麻生財務大臣の財政演説


令和2年4月27日

 

先に閣議決定いたしました「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を受けて、今般、令和二年度補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明申し上げます。

 

(日本経済の現状等と緊急経済対策の基本的な考え方)
新型コロナウイルス感染症は、内外経済に甚大な影響をもたらしております。先行きについても、感染症拡大の収束が見通せるまでは、極めて厳しい状況が続くと見込まれています。
こうした認識に立ち、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」に加えて、新たに補正予算を編成し、前例にとらわれることなく、財政・金融・税制といったあらゆる政策手段を総動員することとし、財政支出四十八兆円、事業規模百十七兆円の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を閣議決定いたしました。
具体的には、第一に、感染症拡大の収束に目途がつくまでの間の「緊急支援フェーズ」において、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の創設等により、感染拡大防止策と医療提供体制の整備を進め、事態の早期収束に強力に取り組みます。また、雇用調整助成金の特例措置の拡大やこれまでにない強力な資金繰り支援、さらには、中小・小規模事業者等や全国全ての方々に対する新たな給付金制度の創設等により、雇用と事業と生活を守り抜いてまいります。
第二に、収束後の反転攻勢に向けた「V字回復フェーズ」において、観光・運輸、飲食、イベント等大幅に落ち込んだ消費の喚起のため、官民を挙げたキャンペーンとして大規模な支援策を講じるとともに、デジタル化・リモート化など未来を先取りした投資の喚起の両面から反転攻勢策を講じてまいります。

 

 

(令和二年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大要)
次に、緊急経済対策の実行等のために今国会に提出をいたしました令和二年度補正予算の大要について申し述べます。

 

一般会計につきましては、総額で約二十五兆六千九百億円の歳出追加を行うこととしております。その内容としては、緊急経済対策に基づき、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」に係る経費に約一兆八千百億円、「雇用の維持と事業の継続」に係る経費に約十九兆四千九百億円、「次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」に係る経費に約一兆八千五百億円、「強靱な経済構造の構築」に係る経費に約九千二百億円、「今後への備え」として、新型コロナウイルス感染症対策予備費を一兆五千億円計上するとともに、国債整理基金特別会計への繰入として約千三百億円を計上しております。
その財源につきましては、建設公債を約二兆三千三百億円、特例公債を約二十三兆三千六百億円発行することとしています。
この結果、令和二年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに約二十五兆六千九百億円増加し、約百二十八兆三千五百億円となります。
また、特別会計予算等につきましても、所要の補正を行っております。
財政投融資計画につきましては、緊急経済対策を踏まえ、事業の継続を強力に支援すべく、中小・小規模事業者や中堅企業・大企業の資金繰り対策等に万全を期すため、約十兆千九百億円を追加しております。

 

 

(むすび)
以上、令和二年度補正予算の大要について御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。