このページの本文へ移動
大阪・関西万博に関する取組について 大阪市
総務部総務課 地域連携推進官 白井 真
地域連携推進係長 片山 昌俊
課員 井谷 誠志
課員 堤 亜莉沙

1.はじめに
 2025年4月13日から10月13日までの184日間、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪・関西万博(以下「万博」という。)が開催され、国内外から2,500万人を超える方々が来場されました。
 近畿財務局では、この国際的イベントの機運醸成を進めるとともに、万博を契機に地域貢献や地域経済活性化につなげるべく、複数の取組を進めてきました。今回は、当局の若手・中堅職員で構成された「ちほめんメンバー」による、万博の開催中に会場内のパビリオンに参加した取組と、万博終了後に、万博の価値を一過性で終わらせないことを目指した「共創マッチングピッチ」についてご紹介します。
写真 万博会場
2.万博で学ぶ!財政・金融経済教育
 7月25日、当局は「TEAM EXPOパビリオン」に参加し、財政教育と金融経済教育をテーマにした展示ブースとステージ発表を実施しました。
 当日は、夏休みに入ったばかりの小中学生やその保護者、地元の高齢者を中心に展示ブースには約500名、ステージ発表に約40名が来場。
 展示ブースでは、ちほめんメンバーが楽しみながら学べる工夫を検討し、模擬紙幣を使用した1億円の重さ体験や財政・金融に関する動画上映、タブレットを使ったクイズ形式のゲームなどを用意。来場者からは「思ったより重い!」「ゲームで楽しく学べた」といった声が寄せられました。さらに、当局のオリジナルキャラクターである「キンザイキャッツ」が登場した際には、写真撮影の行列ができるほどの人気ぶりでした。来場者とのコミュニケーションも積極的に行い、当局の財政教育、金融経済教育の取組についての理解を促進することができました。
 ステージ発表は二部構成で開催し、第1部では、財務局が小中高校向けに実施している財政教育プログラムをもとに、来場者が「未来の予算」を考えるワークショップを実施。医療・健康増進と環境対策を取り上げ、どちらの分野に重点を置くか等を来場者と一緒に議論しました。
 第2部では、金融に関する基礎知識をクイズ形式で紹介し、金融面での「個人の良い暮らし(Well-being)」の実現に必要な「ニーズとウォンツの違い」「家計管理」「投資の活用」など、金融経済教育の基礎的な内容を発信しました。
 ステージ発表に関するアンケートでは、9割以上の参加者が「ステージを見てワクワクした」と回答するなど、財政・金融経済教育の重要性を楽しく伝える機会となりました。
写真 展示ブース
写真 ステージ発表
写真 集合写真
3.共創マッチングピッチの開催
 万博閉幕後の11月17日、当局は万博の価値を一過性で終わらせないことを目指し、大阪市内で「共創マッチングピッチOSAKA~地域がつなぐアフター万博の未来~」を開催しました。
 このイベントは、万博を契機に高まった社会課題への関心やイノベーションの機運を地域に根付かせるため、地方公共団体・金融機関・企業などの関係者が一堂に会し、課題解決に向けた新たな連携を促進する場として企画したものです。
 登壇企業に関しては、当局が大阪府内の地方公共団体から事前に把握した「企業と連携して解決したい地域課題」を基に、その解決策を提案できる万博出展企業等を金融機関が選定。
 当日は、約120名の方々が参加する中で、万博のテーマに合致する医療・健康分野と環境分野に関する課題解決について、金融機関と、スタートアップを中心とする万博出展企業から、地方公共団体等に向けてピッチ(ショートプレゼン)を実施。第1部では、血管測定による健康診断サービスや障がい者への理解を促進する取組など、地域課題の解決に寄与する提案が発表されました。第2部では、循環型トイレや光合成を活用した脱炭素技術など、環境問題に挑むアイデアが披露され、参加者からは「お会いしたい企業と繋がることができた」「地方公共団体との対話で課題の解像度が上がり、協業観点での可能性を感じた」といった声が寄せられました。
 各企業のピッチ前に、まず金融機関が選定理由などを説明したこともあり、企業の提案に説得力が増したものと考えています。
 さらに、地方公共団体によるリバースピッチも実施。豊中市、泉大津市、枚方市がそれぞれの地域課題を提示し、企業や金融機関との具体的な協働の可能性を探ったほか、イベント後には名刺交換会を開催し、地方公共団体・金融機関・企業の垣根を越えたネットワーク形成が進展。
 イベント終了後のアンケートでは、参加者の96%が「満足」「概ね満足」と回答したほか、地方公共団体とスタートアップ企業などとの間で、今後の連携に向けた具体的な打ち合わせにつながった事例も報告されており、万博で培われた技術やサービスが地域社会に実装される可能性が高まったと考えています。
写真 ピッチの模様
写真 集合写真
4.まとめ
 当局は、万博への出展や万博後のイベントを通じて、財政・金融経済教育の普及とともに、地域課題解決に向けた「共創の場」を提供してきました。
 今後も、地方公共団体や金融機関、企業との連携を深め、地域経済の活性化に向けた取組を推進し、地域貢献に努めてまいります。

進化を続ける中央公園 広島市
中国財務局 特別国有財産管理官
石橋  強

1.はじめに
 戦災復興のシンボルとして、広島都心部に所在する国有地上に整備された緑豊かな「中央公園」。
 近年、にぎわいやくつろぎの空間として進化を続ける中央公園について紹介します。
写真 中央公園航空写真(提供:広島市)
2.中央公園の歴史
 中央公園を含む広島城の周辺一帯は、明治維新後、旧陸軍関連施設が多数整備されており、戦後、旧陸軍省より当局が財産を引き受けました。
 一方、広島市は、昭和27年に「広島平和記念都市建設計画」を策定、被爆により焼け野原となった広島城跡から西側のエリアを戦災復興のシンボルとして「中央公園」を整備することとし、当局は、昭和29年から広島市に対して国有地約39ha(令和6年度末現在)を中央公園敷地として無償貸付を行っています。
3.中央公園の進化
 中央公園には、様々な公園施設等が整備されていますが、近年、その老朽化等への対応が課題となっており、特に、平成21年3月まで広島東洋カープの本拠地だった広島市民球場跡地の活用は市民から大きな関心が寄せられていました。
 こうした中、広島市では、球場跡地を含む公園施設の活用等について検討を進め、「中央公園の今後の活用に係る有識者会議」を設置し、令和2年3月に「中央公園の今後の活用に係る基本方針」を取りまとめました。なお、当局もオブザーバーとして有識者会議に加わり、基本方針の策定に貢献しています。
 基本方針では、中四国最大の商業業務地、紙屋町・八丁堀地区に隣接している立地や、市民や国内外からの来訪者の交流の場として親しまれているといった特徴等を踏まえ、「にぎわい」、「くつろぎ」、「文化を醸し出す」という3つの空間特性を備えた公園とすることが掲げられ、以下の取組みが進められています。
○ひろしまゲートパーク
 市民球場跡地については、誰もが訪れてみたいと感じる広島の「顔」となる都心の新たなにぎわい拠点の創出を目指して、令和5年3月に「ひろしまゲートパーク」として整備されました。
 ひろしまゲートパークには、商業施設等のほか、イベント広場も整備され、イベントを中心に様々な活動や交流が生まれ、屋外で過ごす新たなライフスタイルを育む拠点として、年間を通して大小様々なイベントが開催されています。
写真 ひろしまゲートパーク(©NEW HIROSHIMA GATEPARK)
○ひろしまスタジアムパーク
 ひろしまスタジアムパークは、賑わいと憩いを生み出す都会のオアシスとして、令和6年2月にサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」が、令和6年8月にひろばエリアが整備されました。
 サッカースタジアムは、サンフレッチェ広島のホームスタジアムにもなっており、ホームゲーム開催日にはスタジアムに向かう人々で沿道が紫色に染まります。
 ひろばエリアには、広々とした芝生ひろばがあり、それを囲むように商業施設等が整備されたほか、水辺のエリアではサップなどのアクティビティも体験ができるようになっており、来園者の憩いの場として親しまれています。
写真 ひろしまスタジアムパーク(©ACTIVE COMMUNITY PARK)
○広島城と三の丸にぎわい施設
 昭和33年に復元された広島城天守閣は、老朽化等の問題から令和8年3月に閉城される予定ですが、現在、天守閣の建替・復元に向けた検討が行われています。
 また、三の丸にぎわい施設は、第1期エリアとして、広島や日本の食を味わえる飲食店や、茶道・弓道などの歴史文化を体感・体験できる店舗などが令和7年3月に整備されました。
 現在、第2期エリアとして、近世の広島の歴史・文化や広島城の歴史をテーマとした「広島城三の丸歴史館」の整備が進められており、令和8年度中に開館する予定となっています。
写真 広島城三の丸にぎわい施設(提供:広島市)
4.中央公園の価値向上に向けた仕組み
 新たに整備された施設等の運営管理は、Park-PFI事業や指定管理者制度を活用することにより、それぞれ民間事業者により行われていますが、広島市では、公募の際の条件として、中央公園全体のエリアマネジメントを担う協議体「中央公園エリアマネジメント協議会」の立ち上げ・参加を設定しました。
 この協議会が設立されたことにより、運営管理者間の連携が促進され、協働イベントが開催されるなど、中央公園エリアの認知度、回遊性が高まり、エリア価値向上につながっています。なお、協議会には当局も行政会員として参加しています。
5.今後のまちづくりへの貢献
 このように進化を続ける中央公園ですが、現在、中央公園に隣接する市営基町住宅の一部を廃止する方針が示されています。その敷地は国有地であり、方針が決定されれば、広島市から返還されることになります。当局では、返還される見込みの国有地等の利活用についても、地元自治体と連携し、広島都心部のまちづくりに貢献できるよう対応していきます。


地域課題をビジネスで解決する「未来創造塾」の挑戦 熊本県
九州財務局総務部総務課・企画調整官兼考査専門官
松久保  亮

1.はじめに
 熊本大学と自治体が連携して展開する「未来創造塾」(以下「当塾」という。)は、地域課題をビジネスで解決する人材の育成と、新たなビジネスモデル(起業・第二創業等)の創出を目的とした実践型プログラムです。当局は、当塾設立に向けて熊本大学と自治体・経済界の橋渡し役を担い、後援の付与や開講式・講義・修了式への参加、講師の派遣など、継続的に支援しています。
写真 菊池市で開催された未来創造塾
2.塾の歩みと広がり
 当塾は、熊本大学副学長・金岡教授が構築したモデルで、地域が自ら動き出す仕組みとして誕生しました。金岡教授は、富山大学で地域金融機関との連携を通じて本業支援を学び、平成20年に当塾を学内で試行。その後、富山県魚津市、高岡市、和歌山県田辺市へと展開し、令和3年には熊本大学に着任。熊本県内では八代市、阿蘇地域、天草市、玉名市、菊池市、山鹿市に広がり、当局も大学と自治体の橋渡しなど連携支援に尽力してきました。
 現在では、富山県南砺市、石川県、愛知県、群馬県にも展開し、全国11拠点に広がるなど、面的な拡大が進んでいます。こうした取組は、内閣府や厚生労働省などの機関からも評価されています。
写真 天草市で塾生を前に講義を行う金岡教授
3.塾の概要と特徴
 当塾は、地域課題を起業や第二創業によって解決し、持続可能な地域社会の形成を目指します。毎年30~40代の塾生が、8か月間・全14回程度の講義と課題解決型学習を通じて、地域に貢献する意識を育みながら、ビジネスプランを策定・事業化に取り組みます。
 運営は、熊本大学と自治体が共同主催し、地元金融機関、日本政策金融公庫、信用保証協会、商工会議所等と連携した「産学官金」の体制で支えられています。主催自治体は、熊本大学に対して、常勤の「政策研究員」、非常勤の「民間等共同研究員」として職員を派遣し、大学と自治体が一体となった運営体制が築かれています。
 また、修了生は高校・大学での講義のほか、都市圏企業と塾生との越境学習「ことこらぼ」などにも関わり、地域人材を起点とした持続可能な地方創生のモデルとして注目されています。
4.地域力を育む事例
 塾生による実践事例も多彩です。例えば、若手農家が鳥獣害対策(狩猟からジビエ料理提供)と耕作放棄地の再生など農業再生に取り組む「チームHINATA」、介護施設が開設した、ジム・キッズスペース・カフェなどを併設し、子育て世代のコミュニティを創出する複合施設「リクルたまな」、スポーツスクールが学童保育に参入し、地域貢献と経営安定を両立する「一般社団法人くま川スポーツアカデミー」など、地域課題に根ざした事業が展開されています。
 教育との接続も進んでおり、大学生や高校生のキャリア教育に活用され、若者の地域への意識変容やUターン意欲の醸成にもつながっています。
写真 チームHINATAの取組
5.成果と展望
 これまでに全国で421名の修了生を輩出し、約70%が事業化に成功。林野庁や農林水産省などによる表彰制度の受賞事例は、25件以上も生まれています。塾生は地域課題に対して企業行動として能動的に取り組み、ステークホルダーも共に地域の未来を共有しながら伴走支援を行う、持続可能な地域づくりの仕組みが形成されています。
 毎年12名前後の修了生を各拠点から輩出し、現役塾生、OB塾生、関係機関との継続的な関係が構築されており、当塾は地域における起業支援のインフラとして機能し、「起業増加町*1」の形成に寄与しています。令和7年には日本商工会議所青年部(日本YEG)との連携により全国展開がさらに拡大し、令和8年には熊本大学に「共創学環*2」が新設され、当塾との連携による教育も始まる予定です。
6.おわりに
 未来創造塾は、地域課題をビジネスで解決する実践型の人材育成プログラムとして、産学官金の連携を基盤に、起業・第二創業を支援しています。教育機関との接続や全国的な展開も進み、地域の持続的発展に貢献する人材の育成が期待されています。当局としても、今後もこの取組を継続して支援してまいります。
 最後になりますが、熊本大学副学長の金岡教授には、日頃より当局の業務に多大なるご協力を賜っております。今回の寄稿に際しましても、資料の提供や確認など格別のご支援をいただきました。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。
写真 2025年未来創造塾受講生

「未来創造塾」創設者のメッセージ
熊本大学 副学長(地方創生・地域連携担当)
研究開発戦略本部 地域連携戦略部門 部門長・教授
金岡 省吾 氏
未来創造塾は、人口減少時代に地域が自らの力で課題解決する実践拠点として設立しました。ここから生み出されたイノベーションを起点に、高校教育、関係人口の創出や、新学部(共創学環)など、地域全体へと連鎖する地方創生を目指しております。令和7年には日本YEGとの連携により、この取組はさらに全国へと広がりを見せております。今後も金融機関や自治体、企業、九州財務局をはじめ各地の財務局といった多様なステークホルダーの皆さまと連携し、イノベーションが継続的に生まれる共創の場を発展してまいります。
*1) 起業増加町は、産学官金等の連携により、起業が増加していく拠点を示す造語
*2) 共創学環は、地域社会から国際社会までの課題を見いだし、実践を通じて解決に導く力を養成する学部で、金岡教授が学環長に就任予定