主計局総務課主計官 松本 圭介
1.令和7年度補正予算編成の背景
昨年11月28日に、「「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」が閣議決定された。
この経済対策は、
・ 足元の景気は緩やかな回復局面にあるものの、潜在成長力は伸び悩み、賃金の伸びは物価上昇に追いつかず、個人消費や民間需要の力強さを欠く状況が続いている、
・ 米国関税措置に関する日米協議は合意に至ったものの、世界経済の先行きには不透明感がある
といった現状認識のもと、
「未来への不安を希望に変える」ため、今の国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じるとともに、日本経済の強さを取り戻すことを目的として策定されたものである。
令和7年度補正予算はこれを実行するために編成され、昨年12月16日成立した。
2.令和7年度補正予算の概要
令和7年度補正予算の一般会計の歳出においては、総額で18兆3,034億円を計上している。
その内容としては、「「強い経済」を実現する総合経済対策」に基づき、第一に「生活の安全保障・物価高への対応」のための経費として、8兆9,041億円を計上しており、具体的には、
〇厳冬期の電気・ガス代支援、物価高対応子育て応援手当の支給、食料品の物価高騰に対する特別加算を含めた重点支援地方交付金の拡充などの「足元の物価高への対応」のための経費として2兆9,451億円、
〇医療・介護等支援パッケージ、いわゆる高校無償化への対応、地方交付税交付金の増額などの「地方の伸び代の活用と暮らしの安定」のための経費として4兆9,786億円、
〇賃上げに向けた中小企業等の稼ぐ力の強化等、業務改善助成金による最低賃金引上げ対応支援などの「中小企業・小規模事業者をはじめとする賃上げ環境の整備」のための経費として9,804億円、
を計上している。
第二に、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」のための経費として、6兆4,330億円を計上している。これを今般の総合経済対策の各項目に沿って整理し、関連する特別会計の経費とあわせると、
〇「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に基づく官民投資の促進、造船業の再生・強化、量子技術イノベーションの推進などの「経済安全保障の強化」のための経費として1兆5,493億円(加えて、関連する特別会計の経費として1,869億円)、
〇農地の大区画化、共同利用施設の再編・集約化といった農業構造転換などの「食料安全保障の確立」のための経費として6,275億円(公共事業関係費含む農林水産関係全体で9,602億円)、
〇成長志向型カーボンプライシング構想に基づくGXの推進、南鳥島周辺海域の資源開発の推進など、「エネルギー・資源安全保障の強化」のための経費として3,487億円(加えて、関連する特別会計の経費として5,637億円)、
〇道路関連インフラの保全等を含む国土強靱化、能登を含む自然災害からの復旧・復興などの「防災・減災・国土強靱化の推進」のための経費として2兆9,503億円、
〇科研費・創発的研究支援事業、大型研究施設の開発・高度化などの「未来に向けた投資の拡大」のための経費として9,572億円、
を計上している。
第三に、「防衛力と外交力の強化」のための経費として、1兆6,560億円を計上しており、具体的には、
〇防衛力整備の推進や自衛隊員の処遇改善、グローバル・サウス諸国との連携強化などの「外交・安全保障環境の変化への対応」のための経費として1兆2,536億円、
〇日米戦略的投資イニシアティブの着実な履行のためのJBIC・NEXIの財務基盤の強化、中小企業の資金繰り支援などの「米国関税への対応」のための経費として4,023億円、
を計上している。
第四に「今後への備え」として、予備費を7,098億円計上している。
このほか、国債整理基金特別会計への繰入として1兆1,323億円、その他の経費として6,633億円を計上するとともに、既定経費を1兆1,950億円減額している。
歳入においては、税収について、最近までの収入実績等を勘案して2兆8,790億円の増収を見込んでいる。また、税外収入について、1兆155億円の増収を見込むほか、前年度剰余金2兆7,129億円を計上している。
以上によってなお不足する歳入について、公債を11兆6,960億円発行することとしている。
この結果、令和7年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに18兆3,034億円増加し、133兆5,012億円となった。
令和7年度一般会計補正後予算の公債発行額は40兆3,431億円であり、令和6年度一般会計補正後予算の公債発行額である42兆1,390億円を下回っており、財政の持続可能性にも配慮した姿となっている。
3.結び
前述のとおり、令和7年度経済対策・補正予算は、国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じるとともに、大胆な危機管理投資と成長投資を通じて、暮らしの安全・安心の確保と強い経済を実現するため、必要な施策を積み上げたものである。
本補正予算に盛り込まれた各種施策については、順次執行が進んでいる。
例えば、電気・ガス代支援は1月使用分から値引きが実施され、物価高対応子育て応援手当はほとんどの自治体で年度内の支給開始が見込まれている。重点支援地方交付金についても、全ての都道府県で、昨年中に一部予算化され、1月までに事業開始予定、市町村でも、1月までに8割以上で一部予算化され、6割以上で事業開始予定とされている(2026年1月15日時点)。
引き続き、各種施策の効果を速やかに実感いただけるよう、迅速かつ適切な実行に努めていくことが重要である。
(以上)
図表 令和7年度補正予算(第1号)の概要
図表 令和7年度一般会計補正予算(第1号)フレーム
図表 令和7年度補正後予算フレーム
1.令和7年度補正予算編成の背景
昨年11月28日に、「「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」が閣議決定された。
この経済対策は、
・ 足元の景気は緩やかな回復局面にあるものの、潜在成長力は伸び悩み、賃金の伸びは物価上昇に追いつかず、個人消費や民間需要の力強さを欠く状況が続いている、
・ 米国関税措置に関する日米協議は合意に至ったものの、世界経済の先行きには不透明感がある
といった現状認識のもと、
「未来への不安を希望に変える」ため、今の国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じるとともに、日本経済の強さを取り戻すことを目的として策定されたものである。
令和7年度補正予算はこれを実行するために編成され、昨年12月16日成立した。
2.令和7年度補正予算の概要
令和7年度補正予算の一般会計の歳出においては、総額で18兆3,034億円を計上している。
その内容としては、「「強い経済」を実現する総合経済対策」に基づき、第一に「生活の安全保障・物価高への対応」のための経費として、8兆9,041億円を計上しており、具体的には、
〇厳冬期の電気・ガス代支援、物価高対応子育て応援手当の支給、食料品の物価高騰に対する特別加算を含めた重点支援地方交付金の拡充などの「足元の物価高への対応」のための経費として2兆9,451億円、
〇医療・介護等支援パッケージ、いわゆる高校無償化への対応、地方交付税交付金の増額などの「地方の伸び代の活用と暮らしの安定」のための経費として4兆9,786億円、
〇賃上げに向けた中小企業等の稼ぐ力の強化等、業務改善助成金による最低賃金引上げ対応支援などの「中小企業・小規模事業者をはじめとする賃上げ環境の整備」のための経費として9,804億円、
を計上している。
第二に、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」のための経費として、6兆4,330億円を計上している。これを今般の総合経済対策の各項目に沿って整理し、関連する特別会計の経費とあわせると、
〇「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に基づく官民投資の促進、造船業の再生・強化、量子技術イノベーションの推進などの「経済安全保障の強化」のための経費として1兆5,493億円(加えて、関連する特別会計の経費として1,869億円)、
〇農地の大区画化、共同利用施設の再編・集約化といった農業構造転換などの「食料安全保障の確立」のための経費として6,275億円(公共事業関係費含む農林水産関係全体で9,602億円)、
〇成長志向型カーボンプライシング構想に基づくGXの推進、南鳥島周辺海域の資源開発の推進など、「エネルギー・資源安全保障の強化」のための経費として3,487億円(加えて、関連する特別会計の経費として5,637億円)、
〇道路関連インフラの保全等を含む国土強靱化、能登を含む自然災害からの復旧・復興などの「防災・減災・国土強靱化の推進」のための経費として2兆9,503億円、
〇科研費・創発的研究支援事業、大型研究施設の開発・高度化などの「未来に向けた投資の拡大」のための経費として9,572億円、
を計上している。
第三に、「防衛力と外交力の強化」のための経費として、1兆6,560億円を計上しており、具体的には、
〇防衛力整備の推進や自衛隊員の処遇改善、グローバル・サウス諸国との連携強化などの「外交・安全保障環境の変化への対応」のための経費として1兆2,536億円、
〇日米戦略的投資イニシアティブの着実な履行のためのJBIC・NEXIの財務基盤の強化、中小企業の資金繰り支援などの「米国関税への対応」のための経費として4,023億円、
を計上している。
第四に「今後への備え」として、予備費を7,098億円計上している。
このほか、国債整理基金特別会計への繰入として1兆1,323億円、その他の経費として6,633億円を計上するとともに、既定経費を1兆1,950億円減額している。
歳入においては、税収について、最近までの収入実績等を勘案して2兆8,790億円の増収を見込んでいる。また、税外収入について、1兆155億円の増収を見込むほか、前年度剰余金2兆7,129億円を計上している。
以上によってなお不足する歳入について、公債を11兆6,960億円発行することとしている。
この結果、令和7年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに18兆3,034億円増加し、133兆5,012億円となった。
令和7年度一般会計補正後予算の公債発行額は40兆3,431億円であり、令和6年度一般会計補正後予算の公債発行額である42兆1,390億円を下回っており、財政の持続可能性にも配慮した姿となっている。
3.結び
前述のとおり、令和7年度経済対策・補正予算は、国民の暮らしを守る物価高対策を早急に講じるとともに、大胆な危機管理投資と成長投資を通じて、暮らしの安全・安心の確保と強い経済を実現するため、必要な施策を積み上げたものである。
本補正予算に盛り込まれた各種施策については、順次執行が進んでいる。
例えば、電気・ガス代支援は1月使用分から値引きが実施され、物価高対応子育て応援手当はほとんどの自治体で年度内の支給開始が見込まれている。重点支援地方交付金についても、全ての都道府県で、昨年中に一部予算化され、1月までに事業開始予定、市町村でも、1月までに8割以上で一部予算化され、6割以上で事業開始予定とされている(2026年1月15日時点)。
引き続き、各種施策の効果を速やかに実感いただけるよう、迅速かつ適切な実行に努めていくことが重要である。
(以上)
図表 令和7年度補正予算(第1号)の概要
図表 令和7年度一般会計補正予算(第1号)フレーム
図表 令和7年度補正後予算フレーム

