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PRI Open Campus~財務総研の研究・交流活動紹介~46

日本の資金循環に関する研究
財務総合政策研究所 客員研究員(前 総務研究部 総務課長) 川本 敦
総括主任研究官 伊藤 秀則
主任研究官 片野 幹
研究員 伊藤 菜々子

 財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)では、2023年から2025年にかけて「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」及び「日本企業の成長と内外の資金フローに関する研究会」を開催しました。これらの研究会では、家計・企業・海外・政府間の資金循環の特徴を明らかにしました。後者では特に「資金余剰主体としての日本企業」に焦点を当て、世界経済の成長を日本企業全体の安定的な成長に結びつける上で望ましい企業活動や、国内外の資金循環のあり方について考察を深めました。
 今回のPRI Open Campusでは、過去2年間にわたり開催した研究会での議論を切り口として、日本の資金循環に関する研究についてご紹介します。

1.財務総研の「研究会」について
 財務総研の研究会では、有識者の方々に委員としてご参画いただき、約半年にわたり月1回程度、各委員からの報告や、ゲストスピーカーによる講演を通じてテーマに関する議論を深め、その成果を財務省や財務総研の公式見解としてではなく、執筆者個人の意見という位置付けで報告書として取りまとめています。
 直近では、日本経済の「資金循環」に着目した研究会を2年にわたり開催しました。2023年11月から2024年5月にかけて行われた「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」では、大学の研究者を中心に講演いただき、2024年11月から2025年4月にかけて行われた「日本企業の成長と内外の資金フローに関する研究会」では、メガバンクや地方銀行の方にもゲストスピーカーとして参加していただくことで、実務の目線を取り入れつつ資金循環について議論を重ねました。

2.なぜ資金循環に着目するのか
 家計の金融資産、企業の内部留保、日本の対外純資産、そして、政府の国債発行残高。―これらは全て金融資産あるいは負債のストックに関する数値ですが、いずれも過去最高を更新し続けていることが新聞記事などで報じられています。4つのストックの計数は、それぞれ家計・企業・海外・政府に関する統計を基にしており、公表する部局や、公表のタイミングも異なるため、それぞれ独立した問題として切り離して捉えられることが多くなっています。
 他方で、金融資産・金融負債は、過去の金融取引の結果が蓄積されたストックであり、金融取引には必ず取引の相手方が存在します。家計資産としての預金は、銀行にとっては返済の義務がある負債であり、銀行が保有する国債は、国にとっては負債です。家計・企業・海外・政府の資産と負債は連関しており、また、資金の需要と供給は必ずイコールとなるため、家計消費や企業の国内投資を伸ばしたいならば、財政赤字を縮小するか、経常収支の黒字を縮小するしかありません。こうした部門間の資金の流れを念頭において日本経済の現状への理解を深めることが「資金循環」に着目する意義と考えられます。
 日本の資金循環は、1990年代初頭のバブル崩壊以降、低成長に転じる局面で、政府は資金余剰から資金不足に、企業は資金不足から資金余剰に転換し、家計・企業の資金余剰と海外・政府の資金不足がバランスする構図になりました。特に、企業の資金余剰は、内部留保の増加額から国内での実物投資を差し引いた金額に相当しますが、バブル崩壊以降、「資金の受け手」である海外部門と政府部門に対して、企業が「資金の出し手」として資金を供給する構図が続いています。こうした資金循環の構図は他国に類例のない、日本経済の顕著な特徴となっています(図1 資金需給の構図)。
 このような問題意識の下、資金循環統計における各部門の資金循環に着目することで、日本経済の安定的な成長に向けて、今後のあるべき方向性について議論することを目的として研究会を開催しました。

3.「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」の成果
 2023年11月から2024年5月に行われた「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」では、家計・企業・海外・政府における貯蓄と投資の規模や、各部門間の資金需給に影響を及ぼしてきた要因を整理し、日本の資金循環の構造を明らかにすることや、日本経済の成長のために望ましい資金循環について議論を行いました。
 研究会の成果は、BSテレ東「日経モーニングプラスFT」(2024年9月25日)*1(図2 「日経モーニングプラスFT」(2024年9月25日))や、『経済セミナー』(2025年6・7月号、日本評論社)の特集記事「【鼎談】課題解決のカギは資金循環にあり?」*2(図3 『経済セミナー』(2025年6・7月号))でもご紹介しました。
(1)家計
 財務総研が2009年に公表した研究会報告書では、「日本の家計貯蓄率の今後の動向について占うと、資産価格の下落、老後、金融制度、経済全体、雇用などに関する不安の増大を初め、家計貯蓄率を下支えする要因もあるが、人口の高齢化の加速を初め、家計貯蓄率を引き下げる方向に働く要因の影響の方が大きいため、日本の家計貯蓄率は今後、さらに低下すると考えられる。」*3と述べられています。2009年の時点で、生産年齢人口が既に減少していた中で、更なる高齢化に伴って家計貯蓄率が下がっていくとの見通しは、経済学のライフサイクル仮説とも整合的なものと考えられていました。
 図4 家計貯蓄率の推移(年次)を見ると、家計貯蓄率は確かに1970年代後半から低下傾向となり、2010年代前半においては一時的にマイナスを記録しました。しかし、マイナスが定着することはなく、その後はプラスに転じています。
 その背景として、生産人口年齢が1990年から2020年までに、1300万人減少している一方、高齢者・女性の就業率が増加していることが挙げられます。
 高齢者については、人口構成のボリュームゾーンである団塊世代が含まれるようになったことによる65~74歳人口の増加とともに、就業率も上昇しており、2022年時点の就業率は41.2%に上っています。女性の労働参加率も近年上昇しており、図5 女性の労働参加率の推移のとおり、国際的にも高い水準を達成しています。
 他方で、実質消費は2010年代後半から伸びておらず、この背景としては、社会保障制度の持続可能性に対する懸念により、予備的動機での貯蓄が増えているという見方もあります。
 今後の家計部門の動きについては、女性の労働参加は更に増加する可能性もありますが、年間70万人ペースで減少する生産年齢人口をカバーすることは難しいと指摘されました。また、高齢者・女性の労働参加に加え、賃金カーブのフラット化や年金の所得代替率低下も家計の資金余剰に影響を与えることも指摘されました。
(2)企業
 企業部門においては、1990年代初頭のバブル崩壊以降、資金余剰が継続しています(図6 企業の資金過不足の要因分解)。その資金の使途を見ると、国内では設備投資が低調である一方、国外では直接投資により積極的なリスクテイクが行われています。その背景として、新陳代謝が活発でないという日本企業の特徴や、労働市場の改革などの企業活動の制約条件を緩和する余地があることが指摘されました。また、国外での直接投資と国内での設備投資は代替的なものではなく、対外直接投資を通じた企業価値の向上が、国内での設備投資に結びついていくとの指摘がありました。
(3)海外
 先述のとおり、国内設備投資と対比すると、国外への直接投資は積極的に行われていると言うことができますが、対外直接投資の残高(図7 対外資産・負債の国際比較(兆ドル))を国際比較すると、日本の対外直接投資は米国・ドイツ・中国・スイスを下回っており、他の先進国と比べて際立って大きいというわけではないことがわかります。諸外国では対内・対外直接投資が両建てで増加している一方、日本では対外直接投資のみが増加しています。つまり、日本の対外純資産の大きさは対内直接投資の極端な低さによるものであると言えます。
 経常収支について見ても、日本の所得収支黒字幅は諸外国に比べて大きいものの、これも対内直接投資残高の小ささが寄与していると考えられます。また、日本では輸出入の所得弾力性の違いから、近年、貿易収支が悪化しやすい傾向にあり、今後、貿易赤字は恒常的になる可能性があることが指摘されています。
(4)資金循環から読み取れること
 これまでの議論を踏まえ、望ましい資金循環については、必ずしも生産性向上に結びつくとは限らない政府の財政赤字を起点とするキャッシュフローではなく、銀行からの借り入れを伴う企業活動から生まれたキャッシュフローが家計の給与となり、家計がその給与を使って消費を拡大するという好循環が生まれていく中で、企業部門が資金不足の状態になっていることが重要であるとの指摘がありました。
 また、現在の日本全体の経済活動の規模を拡大するには、消費拡大が望ましく、その結果として貯蓄や家計資金余剰が減ることが経済活性化と整合的な姿になります。また、家計の資金余剰の蓄積が減る場合、資金循環上、政府の資金不足が減る必要があり、これは、高齢化が進んでも社会保障費が膨らまない状況を意味し、家計に対する給付と負担のバランスを変化させる必要があります。そうした中でも家計の消費が抑制されないためには、所得形成が盤石である必要があり、その起点となる労働市場の改革や、企業による積極的な国内投資が家計の所得環境の向上にもつながることが示されました。また、海外収益によって向上した企業価値を国内投資に繋げることを1つの契機として、日本経済を望ましい資金循環の姿に近づけることができると考えられます。
 家計・企業の資金余剰が政府に貸し出される現在の資金循環構造は、制度部門ごとの課題を反映しており、容易に変えることができない状況ですが、長期的には維持が困難となる可能性が高く、将来の資金循環構造の非連続な変化を回避するためには、制度部門ごとの課題解決が不可欠であると言うことができます。

4.「日本企業の成長と内外の資金フローに関する研究会」の成果
 2024年11月から2025年4月に行われた「日本企業の成長と内外の資金フローに関する研究会」では、資金余剰主体である企業部門と資金不足主体である海外部門との関係に焦点を当て、世界経済の成長を日本企業全体の安定的な成長に結びつける上で望ましい企業活動や、内外の資金循環のあり方について考察を深めました。その際、豊富な国内貯蓄をどのように活かすか、自国通貨である「円」のプレゼンスをどう向上させるか、といった観点からも議論が行われました。
(1)資金余剰主体としての日本企業
 まず、資金余剰の状態にある企業が、長期的にどのような資金の使い方をしてきたのかについてマクロ的な観点から整理します。
 図8 対外投資と国内民間企業の負債・正味資産は、対外投資と国内民間企業の負債・正味資産を示した図ですが、2000年代以降、対外証券投資と対外直接投資は増加している一方、国内民間企業の負債は増加しておらず、正味資産が伸びていることがわかります。これは、日本企業によって対外投資が活発に行われている中で、借入需要が増えておらず、対外投資は企業の内部資金によってファイナンスされていることを示唆しています。
 図9 日本の対外投資額と民間企業の国内投資額の推移からも、2010年代以降、日本企業の対外投資が急増していることがわかりますが、これは、前述した日本企業の「国内でのリスクテイクの弱さ」と「国外での積極的なリスクテイク」と整合的です。このような企業行動の背景として、研究会では日本の期待成長率の低下があることが指摘されました。図10 日本の期待成長率と賃上げ率の推移で示されているとおり、1990年代の生産年齢人口のピーク以降、期待成長率は1%台に低下し、人口がピークアウトする2008年を境に0~1%台前半で推移しています。すなわち、日本の成長期待の低下と表裏一体で日本企業の対外投資が増加しており、日本経済は今後成長しないため、日本より海外に投資した方が良いという考え方が広がったと推察されます。
(2)対内直接投資と資金需要
 日本の対内直接投資の少なさも国内資金需要の弱さの1つの要因と考えられます。日本の対内直接投資は対外直接投資と比べて非常に小さく、対外直接投資の対内直接投資に対する比率を見ると、他の主要国が1倍以下あるいは1倍前後であるのに対し、日本は6.4倍となっています。対内直接投資が極端に小さいことで、結果的に海外企業による円の借入需要の少なさに結びついているものと考えられます。
 では、日本へ対内投資しているのはどのような企業であるのか、業種別の対日直接投資残高を見ると、金融・保険業が約4割を占めていますが、足元では製造業が伸びています。国・地域別について見ると、アジア、特に台湾からの投資が大きく増えており、これは、台湾の世界的な半導体メーカーであるTaiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.(以下、「TSMC」)の熊本進出を背景としています。
(3)TSMCを例に見る、対内直接投資と国内資金需要
 そこで、TSMCを例に、対内直接投資や国内資金需要を増やすためのヒントを探るべく、九州の地方銀行に対するヒアリングを実施しました。
 このヒアリングによると、TSMCの熊本進出の経済効果として、TSMC自体による約3兆円の設備投資を含め、九州全体で2021年から2030年で合計6兆円以上の設備投資が見込まれています。資金需要の動向としては、TSMCサプライチェーンへの参入障壁が高いことから、日本の半導体企業への直接的な融資の機会は少ないものの、TSMCの工場周辺の不動産、物流、サービス業向けの資金需要は増加しています。また、TSMC進出を契機として、サプライチェーン企業以外でも熊本に進出してきた台湾企業は多く、こうした企業からの資金需要増加にもつながっていることが明らかになりました。
(4)金融資本市場の機能強化
 海外からの投資を呼び込むという観点からは、国内の資金規模だけではなく、資金調達方法の多様化も重要であることが指摘されました。
 各種金融市場ランキングデータから、近年では東京市場の対外的評価の低下が見られます。図11 対内直接投資残高推移の対内直接投資残高推移を見ても、他のアジアの主要な金融都市(香港・シンガポール)と比較して、日本の対内直接投資残高は低迷していることがわかります。
 金融市場のうち、特に公社債市場については、量的・質的金融緩和以降、社債発行残高割合が一時5%台まで低迷し、公社債市場において社債発行残高割合が約8割を占める米国や、約6割を占める欧州と比較して非常に小さいことが知られています。その背景として、社債より低い利回りで銀行借入が可能である点に加え、社債利回りが低い場合でも株式による資金調達を好む日本の経営者の意識などが指摘されました。
(5)対外取引と資金需要
 続いて、対外取引と国内資金需要の関係に着目し、金融・貿易の2つの側面から現状を整理しました。
 まず、金融面から、国籍別銀行の国際与信を見ると、邦銀の国際与信規模は世界一であり(図12 国籍別銀行の国際与信)、これは、世界金融危機後に欧州の金融機関の国際業務が縮小する一方、邦銀が積極的に海外進出したことが背景にあります。その与信の通貨別の内訳を見ると、円の預金量を背景としたドル貸付、現地企業向け融資が多いことがわかっています。こうした国外の企業活動における資金需要の実態を把握するため、海外で事業展開するメガバンクへのヒアリングを実施しました。ヒアリングの結果、日本企業は内部留保があるため本社・海外子会社の自己資金の活用が可能であったことや、現地国内取引において、現地通貨での取引を義務付ける現地当局の規制などにより、円の資金需要が増えないことが明らかになりました。
 一方、日本経済が発展し、現地銀行と直接取引できる国際的信用力を持つ日本企業が増えたことや、世界貿易に占める日本からの輸出の重要性が低下することによって、円建て貸付の機会が減少し、円の資金需要が増えないことはやむを得ないという点も指摘されました。
 次に貿易面の資金需要について、貿易取引でどの通貨を選択するかを示す建値通貨比率を見ると、日本は対世界において、輸出では50%以上(図13 日本の貿易建値通貨比率:輸出(対世界)(1980~2024年))、輸入では70%弱(図14 日本の貿易建値通貨比率:輸入(対世界)(1980~2024年))がドル建てでの取引となっており、輸入の方がドル依存の傾向が強く、したがって、外貨建てで評価した際には、構造的に赤字傾向に陥りやすいと言えます。ただし、業種別で見ると、高い輸出競争力を持つ産業は円建てで輸出を行っており、特に一般機械産業でその傾向が顕著であることが指摘されました。
(6)今後の方向性
 これまでの現状整理を踏まえた上で、望ましい資金循環の姿として、日本企業が資金余剰主体から転換し、積極的な設備投資を行っていくことの必要性が示されました。バブル崩壊後、長期にわたり日本企業は資金余剰主体となっており、民需を公需で埋める対応が続き、「政府発のキャッシュフロー」が資金循環を主導してきました。銀行の貸出機能が毀損していない場合の財政乗数は小さいため、政府による累次の経済対策にかかわらず経済成長が低迷していたのは当然の帰結であり、日本経済の持続的な成長を実現させるためには、企業が必要な投資を行うために借入主体となる1990年以前の「民間発のキャッシュフロー」が主導する経済に転換すべきであることが指摘されました。
 このような資金循環の姿を実現させるためには、以下が必要であると考えられます。
 まず、対内直接投資の拡大と日本企業の国内拠点の再構築です。研究会では、委員から、実質実効為替レートの減価が対内直接投資を促進するとの実証研究があることが紹介されました。円の実質実効為替レートが低下している局面で、アジア域内での日本の生産コストの比較優位性が向上していることを意味しており、こうした状況を機会として、国内投資が企業にとって利益につながる事業環境が求められます。
 次に、金融資本市場の機能強化です。日本の強みである、危機時にアジアに米ドルの流動性供給を行える立ち位置にあることを活用して「アジアのセーフティネットの中心」となることを目指すべきであることが指摘されました。資金調達方法の多様化という観点において、外国企業が日本の社債市場で資金調達するための工夫、社債発行手続きの簡素化などの規制緩和や、より格付けの低い社債でも取引可能なハイイールド市場の拡大などが必要と考えられます。
 最後に、貿易・国際金融における「円」需要の促進についてです。貿易における円建ての取引促進に向けて、輸出面では付加価値の高い製品に特化し、取引の優位性を上げることで、円建て輸出を増やすことが考えられます。加えて、輸入面では円取引が多い欧米の優良な顧客となり、日本の円建て輸入をさらに拡大させるべきであると示されました。金融面では、少なくとも当面は、米ドル基軸体制を補完できるよう、邦銀の海外向けドル建て貸付能力の拡大支援に注力するべきであり、そのためにも、経常収支黒字、日本国債の格付け維持、円の通貨価値の維持が必要であることが指摘されました。

5.財務総研が行う「研究会」の意義
 「財務省のシンクタンク」として財務総研の果たすべき役割は、「(1)財務省職員にとっての学習機会の提供」、「(2)次世代にとっての有用な「Asset(資産)」の構築」、「(3)新たな情報の探索・整理と発信」の3つに整理することができます。
 具体的な取組として、(1)については財政経済理論研修やランチミーティングなどのセミナー開催、(2)についてはフィナンシャル・レビューの刊行や人的ネットワークの構築などが行われていますが、研究会は3つの役割すべてに関わっています。研究会で得られた知見を報告書にまとめることは知的な「Asset(資産)」の構築であり、研究会を経て形成された人的ネットワークもまた、「Asset(資産)」です。加えて、研究会で得られた知見を「情報発信」することに努めており、研究会での議論を財務省内職員向けに共有することで「学習機会の提供」にもつながっています。
 財務総研は、「財務省のシンクタンク」として、外部有識者の知見もお借りしながら、政策の検討に貢献し得る成果を発信していきます。今後も財務総研の活動にご期待ください。
「財務総合政策研究所」、「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」、「日本企業の成長と内外の資金フローに関する研究会」の情報はこちらからご覧いただけます。
https://www.mof.go.jp/pri/index.htm
https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2023/junkan.html
https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2024/naigai.html
なお、本報告書の内容や意見はすべて筆者個人の見解であり、財務省あるいは財務総合政策研究所の公式見解を示すものではありません。

「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」報告書
(報告書目次)※肩書きは2024年5月末時点
はじめに 宇南山 卓 京都大学経済研究所教授/財務省財務総合政策研究所特別研究官
第1章 資金循環と日本経済の構造変化
     川本 敦  財務省財務総合政策研究所総務研究部総務課長
     鶴岡 将司 財務省財務総合政策研究所総務研究部総括主任研究官
第2章 マクロ経済理論から見た日本経済の資金循環表
     齊藤 誠 名古屋大学大学院経済学研究科教授
第3章 資金循環の国際比較
     伴 真由美  財務省財務総合政策研究所総務研究部主任研究官
     篠原 裕晶  財務省財務総合政策研究所総務研究部財政経済計量分析室員
     大川 隼人  財務省財務総合政策研究所研究員
     小俣 喬尚  財務省財務総合政策研究所研究員
     上酔尾 昂平 財務省財務総合政策研究所研究員
     佐川 明那  財務省財務総合政策研究所研究員
     西田 安紗  財務省財務総合政策研究所研究員
     野村 華   財務省財務総合政策研究所研究員
第4章 国際通貨としての「円」の賞味期限―日本がアルゼンチンタンゴを踊る日―
     河野 龍太郎 BNPパリバ証券株式会社チーフエコノミスト/
東京大学先端科学技術研究センター客員上級研究員
第5章 高齢化と家計資金余剰
     古賀 麻衣子 専修大学経済学部教授
第6章 日本の賃金変化
     川口 大司 東京大学公共政策大学院・大学院経済学研究科教授
第7章 企業行動から見た資金循環の論点
     田中 賢治 帝京大学経済学部教授
第8章 海外直接投資の新たな潮流とマクロ経済:資金循環の視点から見た展望
     松林 洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授
第9章 日本の貿易収支の要因分析と為替相場のパススルー
     佐々木 百合 明治学院大学経済学部教授
第10章 円の需給環境と日本経済の構造変化
     唐鎌 大輔 みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト
第11章 信用創造過程から考える日本の資金循環構造の変化と政府債務の維持可能性
     戸村 肇 早稲田大学政治経済学術院教授

「日本企業の成長と内外の資金フローに関する研究会」報告書
(報告書目次)※肩書きは2025年5月末時点
はじめに 木村 福成 慶應義塾大学名誉教授/ジェトロ・アジア経済研究所所長
第1章 日本企業の成長と内外の資金フロー
     川本 敦   財務省財務総合政策研究所総務研究部総務課長
     片野 幹   財務省財務総合政策研究所総務研究部主任研究官
第2章 対外投資と信用創造の関係及び国際的円経済圏の形成可能性の検討
     戸村 肇   早稲田大学政治経済学術院教授
第3章 人口減少下における価値循環の成長戦略
     松江 英夫  デロイトトーマツグループ執行役/社会構想大学院大学教授
第4章 日本における国際金融市場の再生に向けて:国際金融面からの提言
     清水 順子  学習院大学経済学部教授/財務総合政策研究所特別研究官
第5章 TSMC進出に伴う九州・沖縄経済への波及効果とさらなる成長を促すための金融機関の取組
     田中 信博  ふくおかフィナンシャルグループ/福岡銀行営業統括部半導体戦略室室長
     桐原 健   ふくおかフィナンシャルグループ/
熊本銀行法人営業部新地域開発推進グループリーダー主任調査役
第6章 熊本県経済における半導体関連産業集積の影響
     宮中 修   公益財団法人地方経済総合研究所事業統括部門部門長
     佐藤 岳雄  九州フィナンシャルグループ/
肥後銀行産業イノベーション推進部半導体クラスター推進室室長
第7章 金融機関の貸出・預金を介した地域間資金循環の現状
     植杉 威一郎 一橋大学経済研究所教授
第8章 第一次所得収支は還流しているのか?―インドネシア視察報告からの考察―
     清水 順子  学習院大学経済学部教授/財務総合政策研究所特別研究官
     佐藤 清隆  横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授/
財務総合政策研究所客員研究官
第9章 社債市場から見たマネーフローを考える
     中空 麻奈  BNPパリバ証券株式会社グローバルマーケット統括本部副会長
第10章 成長著しいアジア(ASEAN・インド等)と日本
     渡辺 哲也  東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)事務総長
第11章 在インドネシア日系企業が果たす“伴走者”としての役割
     加藤 光宏  PT SBCS Indonesia 取締役社長
第12章 円安が日本経済に及ぼす影響―日本企業の輸出入行動と為替変動への戦略的対応―
     佐藤 清隆  横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授/
財務総合政策研究所客員研究官

財務総合政策研究所
POLICY RESEARCH INSTITUTE, Ministry Of Finance, JAPAN
過去の「PRI Open Campus」については、
財務総合政策研究所ホームページに掲載しています。
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/index.html

*1) https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/plusft/feature/post_304116
*2) https://note.com/keisemi/n/nde55db89d261
*3) チャールズ・ユウジ・ホリオカ(2009)「日本の貯蓄率:高齢化の影響」財務総合政策研究所(編)『「我が国の経済・地域の構造変化に関する研究会」報告書』。傍点は、筆者が追加。