国際機構課長 池田 洋一郎/係長 竹川 優記/係員 原田 龍夫
開発機関課長 津田 尊弘/係長 後白 翼
国際調整室長 石田 良/係長 山岸 慶祐*1
巻頭文
2025年4月21日から4月26日にかけて、米・ワシントンにおいて、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)、G7財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)、国際通貨金融委員会(IMFC)、世界銀行・IMF合同開発委員会(DC)等の国際会議が開催された。これらの会議は、第80回世界銀行・IMFグループ春会合(以下、「春会合」)に合わせて開催されたものである。
以下本稿では、各会議での議論と、春会合に合わせて実施された日米財務大臣会談の概要を紹介したい。
1 G7財務大臣・中央銀行総裁会議(2025年4月23日)
カナダが議長を務めた今回のG7においても、イタリア議長国下に続き、ウクライナのマルチェンコ財務大臣の対面での参加も得て、ウクライナ情勢や世界経済について議論を行った。日本からは加藤財務大臣と植田日銀総裁が出席した。
会合では、世界的な貿易政策における大きな変化や、高い不確実性によって特徴づけられる世界経済の見通しに焦点を当てた議論が行われた。国際機関からは、貿易政策と経済政策の不確実性の高まりが、世界経済の成長の重荷となっていると指摘がなされた。日本からは、米国による広範な関税措置の発動は極めて遺憾である旨発言するとともに、米国に対して、WTO協定との整合性に深刻な懸念のある関税措置の一刻も早い見直しを求めた。また、G7が解決すべき国際的な不均衡として、中国の過剰生産能力の問題を取り上げ、G7は結束して、中国に対してその国内的な不均衡の解消を働きかけるとともに、国際経済システムがより均衡のとれたものになるよう協働していくべき旨を主張した。
2 G20財務大臣・中央銀行総裁会議(2025年4月23~24日)
今回のG20は、本年2月26~27日にケープタウンで開催された会議に続く、南アフリカ議長下で2回目の大臣・総裁級の会議となった。日本からは加藤財務大臣、植田日銀総裁が出席した。
初日のセッションでは、世界経済に関する議論が行われた。本セッションにおいては、多くの国から米国の関税措置に関して言及があった。日本は、ロシアによるウクライナ侵略等の地政学的問題に加え、米国の関税措置と一部の国の対抗措置や、それらがもたらす不確実性が、足元の為替を含む金融市場を不安定にしている旨、発言した。また、経済及び金融市場の安定を維持するため、各国は、その動向を注視し、緊密に情報交換を行い、機動的に協力しながら必要な対応を採るべき旨を指摘した上で、自由で、開かれた、多国間貿易体制の推進と、国内外の格差や不均衡を是正するための建設的な政策対話が必要である旨、強調した。
2日目のセッションでは、国際金融及びアフリカの開発課題に関する議論が展開された。国際金融の議論では、日本からは、現在、ブレトン・ウッズ80周年を契機として、IMFの将来に向けたあり方の議論が行われていることに関連して、IMFの基本的役割を維持した上で、長期的かつ既存の制度に囚われない視点でその機能や組織のあり方を議論すべきであること、日本が引き続き国際開発金融機関(MDBs)を通じた多国間支援にコミットしていること、及び、債務問題について、G20「共通枠組」の実施の改善と、債務透明性の一層の向上が必要であることなどを発言した。また、アフリカの開発課題の議論では、日本は、アフリカの経済成長の実現に向けて、脆弱な組織、インフラ開発の不足、マクロ経済の脆弱性といった課題に包括的に取り組む重要性や、本年4月に日本で関連法が成立した国際開発協会(IDA)第21次増資の早期発効の必要性、日本として、本年8月に第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を開催し、アフリカの成長を引き続き支援していくことなどを発言した。
このように、今回のG20では、世界経済が不確実性を増している中にあって、現下の世界情勢や国際金融の状況などを含めた諸課題について、各国が一同に会する場で、多国間で率直な意見交換ができた、非常に有意義な機会となった。
3 国際通貨金融委員会(IMFC)(2025年4月24日~25日)
春会合の終盤となる4月24日から25日にかけて、第51回国際通貨金融委員会(IMFC)*2が開催され、日本からは加藤財務大臣と植田日銀総裁が出席した。今回のIMFCは、2024年11月にサブサハラ・アフリカ地域が25番目のIMF理事に加わって以降、初めて開催された会合であった。会合では、地政学的緊張や貿易政策を巡る混乱の中で、世界経済の動向やIMFの各種政策、IMFの今後のあり方について議論が行われた。
日本は、世界経済への認識や為替に関する日本の立場を表明するとともに、サーベイランス・融資・能力開発といったIMFの主要業務において重視する点を述べたほか、これからのIMFを考える上で、10月のIMF・世界銀行グループ年次総会で日本から提起した議論を発展させる形で以下の点を表明した。まず、各国の国際収支に影響を与えるマクロ的に重要な課題を解決するというIMFのコアマンデートは不変であるという前提に立った上で、(1)外生ショックに脆弱な低所得国や脆弱な島嶼国への支援をIMFのコア業務の一つに位置付けること、(2)国際収支上の課題が多様化する中で、それぞれのニーズに応えるべく様々な融資制度を準備すること、(3)コア業務と位置付けるべき低所得国や島嶼国への支援の財務持続性の確保に向け、長期的には、IMF協定改正を通じたIMFの一般資金勘定(GRA)から貧困削減・成長トラスト(PRGT)への純益等の直接移転も検討する必要があること、及び、それらコア業務に対する加盟国による自発的資金貢献は、IMFにおける発言権に反映するのが組織のガバナンスのあり方として当然であること、等を主張した。
IMFCにおける議論の結果は、会合の後に議長国のサウジアラビアから「議長声明」として発出された。この中で、2023年に合意された第16次クォータ一般見直しの下での増資の発効に向けて加盟国ができるだけ早く国内承認を得るべきことが盛り込まれた。併せて、議長声明の付属文書(ディリヤ宣言)において、第17次クォータ一般見直しを含む、将来的なガバナンス改革に係る合意形成は、その戦略的重要性から段階を踏むべきであるという認識が共有され、IMF理事会に対し、IMFのクォータ及びガバナンスに係る将来的な議論を導くための一連の原則を、2026年春会合までに策定することを求めた。
4 世界銀行・IMF合同開発委員会(DC)(2025年4月24日)
世界銀行・IMF合同開発委員会では、「繁栄の道筋としての雇用」をテーマに議論が行われた。バンガ世銀総裁からは、世銀グループにおいて雇用創出を重点化し、雇用創出に特に寄与するセクターとして、エネルギー・インフラ、アグリビジネス、保健、観光業、及び製造業に注力する方針が示された。
以下、成果文書の概要について紹介したい。前回に引き続き、今回も議論の結果は議長声明として発表された。雇用創出の論点は同声明においても言及され、途上国で今後10年間に10億人以上の若者が就労年齢に達する見込みであることを背景に、世銀がインフラ基盤の確立、経済改革支援、民間資金の動員等において役割を果たし雇用創出を支援することへの期待が示された。また、世銀グループの保健サービス、農業、社会保護サービス等に関する各目標が歓迎された。エネルギーについては、アフリカの3億人に電力アクセスを提供する「ミッション300」の達成が求められ、エネルギーアクセス拡大に向けた様々な選択肢を模索することが奨励された。昨年合意した国際開発協会第21次増資(IDA21)については、低所得国の開発課題に対応するための強力な手段としてその活動が称賛され、ドナーのコミットメントと寛大さが歓迎された。
日本国ステートメントでは、IDAに対する日本の貢献について、4月11日に出資に応じるための法律が国会で成立したことを報告した。また、日本以外の国々に対しては、プレッジに沿って速やかに国内手続きを終えるよう求めた。ウクライナへの支援については、ロシア凍結資産から生じる特別収益により返済される融資の枠組みの下での円借款や、国際復興開発銀行(IBRD)融資に対する信用補完、多数国間投資保証機関(MIGA)のウクライナ復興・経済支援信託基金への追加拠出等の日本の貢献を紹介した。世銀改革の文脈では、世銀の雇用創出への注力を支持し、雇用創出や高中所得国以上の国のIBRDからの卒業にあたり国際金融公社(IFC)及びMIGAが役割を果たすことへの期待を述べた。また、日本が特に重要視する地球規模課題について、国際保健、防災・インフラ、債務問題、太平洋島嶼国に関し日本と世銀が共同で実施する取組を紹介し、日本として支援を継続・強化していく旨を述べた。最後に、今年8月に横浜で開催するTICAD9のテーマを紹介しつつ、各国からの参加を楽しみにしている旨を述べた。
5 日米財務大臣会談(2025年4月24日)
米国時間4月24日、加藤財務大臣は米国のベッセント財務長官と約50分間、日米財務大臣会談を実施した。ベッセント財務長官との会談は、同年1月29日にオンラインで実施して以来2度目であり、対面では初となる会談であった。
会談の冒頭、加藤財務大臣から、米国による一連の関税措置は極めて遺憾であると述べ、また日米貿易協定との整合性に懸念のあるこうした措置の見直しを強く申し入れた。
その上で、加藤財務大臣からは、例えば物価の動向や賃上げをはじめとした我が国の経済動向について説明し、また両大臣間では、二国間の諸問題について生産的な議論が行われた。
為替については、両大臣は、為替レートは市場において決定されること、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ること等について、認識を再確認した。さらに、米国の関税措置に関する日米協議に関連して、両大臣は為替に関して引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致した。
*1) 執筆者の肩書は、令和7年6月30日現在
*2) 国際通貨金融委員会(IMFC)は、国際通貨および金融システムに関する諸問題について、IMF総務会に助言および勧告を行うことを目的として、1999年に前身であるIMF暫定委員会を常設化・改編することで設置された。通常春と秋の年2回開催。各IMF理事選出国・母体を代表する大臣級の委員25名から構成される(現在の議長はサウジアラビアのアルジャドアーン財務大臣。日本からは加藤財務大臣がIMFC委員として参加)。
開発機関課長 津田 尊弘/係長 後白 翼
国際調整室長 石田 良/係長 山岸 慶祐*1
巻頭文
2025年4月21日から4月26日にかけて、米・ワシントンにおいて、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)、G7財務大臣・中央銀行総裁会議(G7)、国際通貨金融委員会(IMFC)、世界銀行・IMF合同開発委員会(DC)等の国際会議が開催された。これらの会議は、第80回世界銀行・IMFグループ春会合(以下、「春会合」)に合わせて開催されたものである。
以下本稿では、各会議での議論と、春会合に合わせて実施された日米財務大臣会談の概要を紹介したい。
1 G7財務大臣・中央銀行総裁会議(2025年4月23日)
カナダが議長を務めた今回のG7においても、イタリア議長国下に続き、ウクライナのマルチェンコ財務大臣の対面での参加も得て、ウクライナ情勢や世界経済について議論を行った。日本からは加藤財務大臣と植田日銀総裁が出席した。
会合では、世界的な貿易政策における大きな変化や、高い不確実性によって特徴づけられる世界経済の見通しに焦点を当てた議論が行われた。国際機関からは、貿易政策と経済政策の不確実性の高まりが、世界経済の成長の重荷となっていると指摘がなされた。日本からは、米国による広範な関税措置の発動は極めて遺憾である旨発言するとともに、米国に対して、WTO協定との整合性に深刻な懸念のある関税措置の一刻も早い見直しを求めた。また、G7が解決すべき国際的な不均衡として、中国の過剰生産能力の問題を取り上げ、G7は結束して、中国に対してその国内的な不均衡の解消を働きかけるとともに、国際経済システムがより均衡のとれたものになるよう協働していくべき旨を主張した。
2 G20財務大臣・中央銀行総裁会議(2025年4月23~24日)
今回のG20は、本年2月26~27日にケープタウンで開催された会議に続く、南アフリカ議長下で2回目の大臣・総裁級の会議となった。日本からは加藤財務大臣、植田日銀総裁が出席した。
初日のセッションでは、世界経済に関する議論が行われた。本セッションにおいては、多くの国から米国の関税措置に関して言及があった。日本は、ロシアによるウクライナ侵略等の地政学的問題に加え、米国の関税措置と一部の国の対抗措置や、それらがもたらす不確実性が、足元の為替を含む金融市場を不安定にしている旨、発言した。また、経済及び金融市場の安定を維持するため、各国は、その動向を注視し、緊密に情報交換を行い、機動的に協力しながら必要な対応を採るべき旨を指摘した上で、自由で、開かれた、多国間貿易体制の推進と、国内外の格差や不均衡を是正するための建設的な政策対話が必要である旨、強調した。
2日目のセッションでは、国際金融及びアフリカの開発課題に関する議論が展開された。国際金融の議論では、日本からは、現在、ブレトン・ウッズ80周年を契機として、IMFの将来に向けたあり方の議論が行われていることに関連して、IMFの基本的役割を維持した上で、長期的かつ既存の制度に囚われない視点でその機能や組織のあり方を議論すべきであること、日本が引き続き国際開発金融機関(MDBs)を通じた多国間支援にコミットしていること、及び、債務問題について、G20「共通枠組」の実施の改善と、債務透明性の一層の向上が必要であることなどを発言した。また、アフリカの開発課題の議論では、日本は、アフリカの経済成長の実現に向けて、脆弱な組織、インフラ開発の不足、マクロ経済の脆弱性といった課題に包括的に取り組む重要性や、本年4月に日本で関連法が成立した国際開発協会(IDA)第21次増資の早期発効の必要性、日本として、本年8月に第9回アフリカ開発会議(TICAD9)を開催し、アフリカの成長を引き続き支援していくことなどを発言した。
このように、今回のG20では、世界経済が不確実性を増している中にあって、現下の世界情勢や国際金融の状況などを含めた諸課題について、各国が一同に会する場で、多国間で率直な意見交換ができた、非常に有意義な機会となった。
3 国際通貨金融委員会(IMFC)(2025年4月24日~25日)
春会合の終盤となる4月24日から25日にかけて、第51回国際通貨金融委員会(IMFC)*2が開催され、日本からは加藤財務大臣と植田日銀総裁が出席した。今回のIMFCは、2024年11月にサブサハラ・アフリカ地域が25番目のIMF理事に加わって以降、初めて開催された会合であった。会合では、地政学的緊張や貿易政策を巡る混乱の中で、世界経済の動向やIMFの各種政策、IMFの今後のあり方について議論が行われた。
日本は、世界経済への認識や為替に関する日本の立場を表明するとともに、サーベイランス・融資・能力開発といったIMFの主要業務において重視する点を述べたほか、これからのIMFを考える上で、10月のIMF・世界銀行グループ年次総会で日本から提起した議論を発展させる形で以下の点を表明した。まず、各国の国際収支に影響を与えるマクロ的に重要な課題を解決するというIMFのコアマンデートは不変であるという前提に立った上で、(1)外生ショックに脆弱な低所得国や脆弱な島嶼国への支援をIMFのコア業務の一つに位置付けること、(2)国際収支上の課題が多様化する中で、それぞれのニーズに応えるべく様々な融資制度を準備すること、(3)コア業務と位置付けるべき低所得国や島嶼国への支援の財務持続性の確保に向け、長期的には、IMF協定改正を通じたIMFの一般資金勘定(GRA)から貧困削減・成長トラスト(PRGT)への純益等の直接移転も検討する必要があること、及び、それらコア業務に対する加盟国による自発的資金貢献は、IMFにおける発言権に反映するのが組織のガバナンスのあり方として当然であること、等を主張した。
IMFCにおける議論の結果は、会合の後に議長国のサウジアラビアから「議長声明」として発出された。この中で、2023年に合意された第16次クォータ一般見直しの下での増資の発効に向けて加盟国ができるだけ早く国内承認を得るべきことが盛り込まれた。併せて、議長声明の付属文書(ディリヤ宣言)において、第17次クォータ一般見直しを含む、将来的なガバナンス改革に係る合意形成は、その戦略的重要性から段階を踏むべきであるという認識が共有され、IMF理事会に対し、IMFのクォータ及びガバナンスに係る将来的な議論を導くための一連の原則を、2026年春会合までに策定することを求めた。
4 世界銀行・IMF合同開発委員会(DC)(2025年4月24日)
世界銀行・IMF合同開発委員会では、「繁栄の道筋としての雇用」をテーマに議論が行われた。バンガ世銀総裁からは、世銀グループにおいて雇用創出を重点化し、雇用創出に特に寄与するセクターとして、エネルギー・インフラ、アグリビジネス、保健、観光業、及び製造業に注力する方針が示された。
以下、成果文書の概要について紹介したい。前回に引き続き、今回も議論の結果は議長声明として発表された。雇用創出の論点は同声明においても言及され、途上国で今後10年間に10億人以上の若者が就労年齢に達する見込みであることを背景に、世銀がインフラ基盤の確立、経済改革支援、民間資金の動員等において役割を果たし雇用創出を支援することへの期待が示された。また、世銀グループの保健サービス、農業、社会保護サービス等に関する各目標が歓迎された。エネルギーについては、アフリカの3億人に電力アクセスを提供する「ミッション300」の達成が求められ、エネルギーアクセス拡大に向けた様々な選択肢を模索することが奨励された。昨年合意した国際開発協会第21次増資(IDA21)については、低所得国の開発課題に対応するための強力な手段としてその活動が称賛され、ドナーのコミットメントと寛大さが歓迎された。
日本国ステートメントでは、IDAに対する日本の貢献について、4月11日に出資に応じるための法律が国会で成立したことを報告した。また、日本以外の国々に対しては、プレッジに沿って速やかに国内手続きを終えるよう求めた。ウクライナへの支援については、ロシア凍結資産から生じる特別収益により返済される融資の枠組みの下での円借款や、国際復興開発銀行(IBRD)融資に対する信用補完、多数国間投資保証機関(MIGA)のウクライナ復興・経済支援信託基金への追加拠出等の日本の貢献を紹介した。世銀改革の文脈では、世銀の雇用創出への注力を支持し、雇用創出や高中所得国以上の国のIBRDからの卒業にあたり国際金融公社(IFC)及びMIGAが役割を果たすことへの期待を述べた。また、日本が特に重要視する地球規模課題について、国際保健、防災・インフラ、債務問題、太平洋島嶼国に関し日本と世銀が共同で実施する取組を紹介し、日本として支援を継続・強化していく旨を述べた。最後に、今年8月に横浜で開催するTICAD9のテーマを紹介しつつ、各国からの参加を楽しみにしている旨を述べた。
5 日米財務大臣会談(2025年4月24日)
米国時間4月24日、加藤財務大臣は米国のベッセント財務長官と約50分間、日米財務大臣会談を実施した。ベッセント財務長官との会談は、同年1月29日にオンラインで実施して以来2度目であり、対面では初となる会談であった。
会談の冒頭、加藤財務大臣から、米国による一連の関税措置は極めて遺憾であると述べ、また日米貿易協定との整合性に懸念のあるこうした措置の見直しを強く申し入れた。
その上で、加藤財務大臣からは、例えば物価の動向や賃上げをはじめとした我が国の経済動向について説明し、また両大臣間では、二国間の諸問題について生産的な議論が行われた。
為替については、両大臣は、為替レートは市場において決定されること、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ること等について、認識を再確認した。さらに、米国の関税措置に関する日米協議に関連して、両大臣は為替に関して引き続き緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致した。
*1) 執筆者の肩書は、令和7年6月30日現在
*2) 国際通貨金融委員会(IMFC)は、国際通貨および金融システムに関する諸問題について、IMF総務会に助言および勧告を行うことを目的として、1999年に前身であるIMF暫定委員会を常設化・改編することで設置された。通常春と秋の年2回開催。各IMF理事選出国・母体を代表する大臣級の委員25名から構成される(現在の議長はサウジアラビアのアルジャドアーン財務大臣。日本からは加藤財務大臣がIMFC委員として参加)。