国際局地域協力課 課長補佐 杉浦 成彦/係長 佐藤 博紀
はじめに
アジア太平洋地域は、世界でも有数の自然災害多発地域である。2004年のインドネシア・スマトラ島沖地震による22万人超の死者、2013年のフィリピンを襲った台風ヨランダによる約9千人の死者・行方不明者等、大規模災害が各国の経済・社会に深刻な被害をもたらしてきた。直近でも、2024年9月にラオスを襲った台風ヤギ、同年12月のバヌアツのM7.3の地震、そして2025年3月のミャンマーを震源としたM7.7の地震等、気候変動の影響や人口集中により、自然災害の被害は激甚化の一途をたどっている。本稿では、こうした状況に対応するため日本が主導してきたアジア太平洋地域におけるDRFの取組について紹介する。
1.アジア太平洋地域におけるDRF
(1)DRFとは
災害リスクファイナンス(Disaster Risk Financing, DRF)は、自然災害による経済的影響を軽減するために、災害発生前に計画的な資金調達メカニズムを構築する体系的アプローチであり、政府・企業・個人を含む社会全体の災害に対する財務強靭性を高めることを目的としている。
(2)日本の立ち位置
日本は、長年にわたる地震や台風等の災害経験を踏まえ、地震保険を整備する等、従来からDRFを強く認識し、アジア太平洋地域においてもその取組を進める重要性を主張してきた。
アジア太平洋地域では、災害リスクへの財務的な備えが十分でない国が多く、自然災害による経済的損失のうち、保険等でカバーされない「プロテクションギャップ」は95%*1に上る。こうした現状を踏まえ、日本は二つの主要な取組を主導してきた。一つは東南アジア諸国向けの「東南アジア災害リスク保険ファシリティ(SEADRIF)」、もう一つは太平洋島嶼国向けの「太平洋災害リスク評価・資金援助イニシアティブ(PCRAFI)」である。両取組は、それぞれの地域の特性やニーズに応じて異なる発展を遂げつつも、日本のリーダーシップの下で着実に前進している。
2.SEADRIF - ASEAN+3金融協力の新たな柱へ
(1)SEADRIFの歩み
SEADRIFは、東南アジア諸国が災害後の迅速な復旧・復興に必要な資金を確保できるよう、保険等の金融支援を通じて財務強靱性の向上を目指す枠組みである。
始まりは、カンボジア・ラオス・ミャンマーが相次ぐ大洪水に見舞われたことにある。2017年5月、日本財務省はこれらの国々と「DRF・保険に関する地域技術作業部会」の設立に関する覚書を交わし、SEADRIFの制度設計の準備に着手した。その後、2018年12月には日本、シンガポール、ラオス、ミャンマー、カンボジア、インドネシアが SEADRIF設立の覚書に署名、2019年にフィリピン、2022年にベトナムが加わり、現在8ヵ国が参加している。
SEADRIFは、戦略的方向性を決定する「SEADRIFトラスト」と、シンガポールの民間損害保険会社であり、保険商品開発や技術支援を担う「SEADRIF保険会社」の二つの機関で構成され、ガバナンスと実行力を両立している。日本は設立当初からシンガポールと共に議長国及びドナーとして、加盟国間の対話やSEADRIFの制度構築をリードし、資金提供を通じてその発展を支えてきた。
(2)SEADRIFの成果と展開
SEADRIFの具体的な成果として、2021年2月に開始されたラオス向け自然災害保険がある。これは主に洪水リスクを補償するもので、2023年8月の熱帯暴風雨、2024年9月の台風ヤギによる被害の際には、わずか3~5営業日で総額450万ドルの保険金が支払われた。
また、SEADRIFは2019年末から中所得国における公共施設やインフラ資産の財政的保護にも取り組んでおり、2024年7月からはフィリピン政府の国家実損填補型保険プログラム(NIIP)の対象拡大に向けた支援等を検討している。
(3)ASEAN+3 DRFイニシアティブの展開
2021年3月のASEAN+3代理会議*2にて、災害リスクに対する財務強靱性向上を目指すワーキンググループが設置され、日本がその議論を主導した。2023年5月のASEAN+3大臣会議*2では、DRFがASEAN+3の金融協力の「第4の柱」*3として正式に位置づけられ、「DRFイニシアティブ」として新たな枠組みが構築された。本イニシアティブは、ASEAN+3におけるDRFの方向性について議論を行い、SEADRIFや世銀等の既存の取組を活用し、各国のDRF関連の取組を推進することを目的としたプラットフォームである。また、同会議では上記の道筋を示す「DRFイニシアティブに係るアクションプラン 2023-2025」が承認され、2024年8月には河合美宏氏を事務局長とする「DRFイニシアティブ事務局」が発足した。
(4)次期ロードマップに向けた展望
ASEAN+3の財務トラックに参加している各国財務省や中央銀行の多くは、災害リスク管理や保険に馴染みが薄い。一方で、各国政府向けの自然災害保険の取組を進めるには、保険料に充てる予算措置のために各国財務省の理解・協力が不可欠。
日本はこの課題に向き合い、各国と協働して次期3ヵ年のロードマップ(2026-2028)の策定を進めている。2025年4月のASEAN+3代理会議では、各国財務省が所管する政策・制度を対象とした支援枠組みについて大枠の合意を得ており、1)国際開発金融機関等の知見を活用した基礎的DRFツールの保有と発展的ツールの基盤整備に向けた支援、2)SEADRIFによる各国ニーズに合わせた保険商品拡充、3)保険商品以外のオプションの検討の3つの取組を2026年以降に展開していく予定である。
3.PCRAFI - 災害保険提供の多角化
(1)パイロットから本格展開へ
PCRAFIは、太平洋島嶼国における自然災害からの復旧・復興を支援する保険の仕組み。2006年に太平洋島嶼国の財務大臣が世界銀行・IMF年次総会において支援の仕組みの検討を要請したことが契機となり、2009年の第5回太平洋・島サミットにおける日本の提案から、2013年に世界銀行のパイロットプログラムが始動した。日本は当初唯一のドナー国としてプログラム立上げを支援し、その後、ドイツ、英国、米国、カナダが支援国として参加。2016年には、本格的なファシリティとしてクック諸島に「太平洋災害リスク保険会社(PCRIC)」が設立された。
(2)飛躍的な発展
2020年にPCRICの現任CEOであるアホロトゥ・パル氏が就任してから、保険によるカバー人口は就任前の100万人から1,300万人へと飛躍的に拡大。2025年4月時点で、クック諸島、フィジー、ニウエ、パプアニューギニア、サモア、トンガ、バヌアツの7ヵ国がPCRICと保険契約を結んでおり、補償総額は5,300万ドルに上る。対象リスクも、当初の地震・津波、サイクロンに加えて、豪雨、サンゴ礁や通信インフラ保護と多様化が進んでいる。
(3)PCRAFIの実績
2024年12月のバヌアツ地震では、発生からわずか1週間で120万ドルの保険金が支払われた。パイロットプログラムを含む、これまでの支払実績は6件、総額1,240万ドルに達している。いずれも災害発生から2週間以内の迅速な支払いを実現しており、被災国政府による災害直後の緊急対応と初期復旧活動に貢献している。
(4)アジア開発銀行(ADB)を通じた新たな支援
PCRICの2026-2030年のビジネスプランでは、保険契約を太平洋島嶼国全14ヵ国に拡大することを目指している。日本財務省は、PCRICの保険引受能力拡大や、太平洋島嶼国の災害リスクに対する認識向上・知識醸成の支援のため、2025年4月にADBの「豊かで強靭なアジア太平洋日本基金(JFPR)」の資金を活用した技術支援を開始。さらに、ADB内へのPCRAFIに特化したマルチドナー信託基金の設立に向けた議論を主導している。
おわりに:今後の展望
自然災害がますます激甚化・頻発化する中、SEADRIFとPCRAFIは、メンバー国を増加させるとともに、リスク評価の精緻化や保険商品の多様化を図っていく。日本は、これまで培った経験と知見を活かし、引き続きこれらの取組においてリーダーシップを発揮することで、アジア太平洋地域の財務強靭性向上を支援していく。
また、DRFの新たな選択肢としては、CATボンド(下記コラム参照)の活用も注目を集めている。伝統的な保険制度では対応が難しい大規模災害リスクの効率的な移転の観点から、長期的にはCATボンド市場の育成も視野に入れて取り組んでいく。
コラム:アジア太平洋地域におけるCATボンド市場の可能性
1.CATボンドの概要
CATボンド(Catastrophe Bond)は、地震や台風等の大規模自然災害リスクを資本市場に移転する金融商品であり、伝統的な保険や再保険を補完・代替する手段として、1990年代から発展してきた。
CATボンドに係るステークホルダーには、まず、スポンサー(被保険者)として、(再)保険会社、一般企業、政府機関等の災害リスクを移転したい主体が存在する。次に保険者(発行体)として、通常は特別目的事業体(SPV)がスポンサーと投資家の仲介役を果たす。そして投資家として、ヘッジファンド、CATボンド専門ファンド、(再)保険会社、年金基金等が参加する。
基本的な仕組みとしては、まずスポンサーがSPVと(再)保険契約を結び、保険料を支払う。次にSPVは投資家向けにCATボンドを発行して資金を調達し、安全資産で運用する。スポンサーから支払われる保険料と資産の運用収益を原資としてクーポンが払われる。契約期間中に指定のトリガーイベントが発生した場合、元本の一部または全部がスポンサーへの保険金支払いに充てられる。発生しない場合は、満期時に投資家に対して元本が償還される。
CATボンドの支払いが発生する条件(トリガー)には主に3種類ある。第一に「実損填補型」は、スポンサーの実際の損失額に基づくものである。第二に「業界損失指数型」は、保険業界全体の損失が特定の閾値を超えた場合に支払うものである。第三に「パラメトリック型」は、地震のマグニチュードや風速等、客観的な物理的指標に基づくものである。
CATボンドの特長として、スポンサーにとっては、資本市場を通じて(再)保険市場のキャパシティを超えるリスクを移転できること、複数年(通常3-5年)の安定した補償が得られること等が挙げられる。投資家にとっては、伝統的な債券より高いリターン(10%前後)*4が期待できること、ポートフォリオ分散効果(伝統的資産との相関係数が低い)が得られること、ESG投資としての側面があること等が魅力となっている
2.アジア太平洋地域におけるCATボンドの普及状況
アジア太平洋地域は、自然災害による経済的損失において世界全体の4割*5を占める一方、CATボンド市場の発展はグローバル市場に比べて遅れている。2024年末時点の世界全体のCATボンド発行残高は約500億ドル、2024年通年の発行額は約180億ドルに達したが、アジア太平洋地域のリスクをカバーするCATボンドの発行額は、全体の3%未満にとどまっている。
地域内のこれまでの発行実績の大部分は日本のリスクを対象としたものとなっており、豪州、中国、台湾、ニュージーランドが続く。これらの国・地域を除くと、2019年にフィリピン政府がスポンサーとなり、世界銀行と連携して発行したものが唯一の発行事例であり、地域内の偏在が顕著となっている。
域内の発行拠点としては、シンガポール金融管理局(MAS)による補助金制度が後押しとなり、シンガポールのSPVを通じた発行が主流となっている。香港も近年、発行拠点として台頭している。
また、投資家の構成としては欧米のCATボンド投資専門ファンドや(再)保険会社が中心で、アジア地域内の投資家の参加は限定的であることが指摘されている。CATボンドの発行はほとんど米ドル建てであり、現地通貨建て保険契約との通貨のミスマッチも潜在的な課題である。
3.普及が進まない要因
アジア太平洋地域で、CATボンドが十分に普及していない背景には、複数の要因が存在している。
まず、スポンサー側の課題として、アジア太平洋地域の多くの国では、事前のリスク移転よりも災害発生後の事後対応が主となっており、災害復旧資金の調達も政府援助や国際支援に依存している状況がある。また、CATボンドは(再)保険市場を補完・代替する手段であるが、その前提となる一次保険市場の規模が小さいことが課題となっている。実損填補型の前提となる損害査定能力も地域内では不足している。そして、CATボンドの発行コスト(保険料を含むリスクスプレッドや、SPVの運営費、トリガー設計コスト等)は、中小企業にとって大きな参入障壁となっている。
保険設計に係る課題として、パラメトリック型トリガーの採用においては、ベーシスリスク(実際の損失と保険金支払いの条件との乖離)が生じる可能性があり、アジア太平洋地域特有の災害パターンを適切に反映したリスクモデルの構築が必要である。
投資家側の課題として、アジア地域の機関投資家におけるCATボンド投資に関する理解と経験が不足しているため、欧米の専門ファンドに対して、地域内の投資家の参加は限定的となっている。また、個人投資家向けのCATボンド関連商品(投資信託やETF)が限定的であり、個人資金の流入が制約されている。また、セカンダリ市場も未発達であり、投資家による売買が容易でない状況にある。加えて、プライシングの透明性も課題となっている。保険料と債券金利で構成されるクーポンのうち、特に保険料水準の適切性を判断する情報源が限られており、個人投資家がリスク・リターン特性を正しく把握できない状況にある。
4.アジア太平洋地域におけるCATボンドの方向性
前述の要因を踏まえ、アジア太平洋地域におけるCATボンド市場の発展の方向性として、いくつかの重要なアプローチが考えられる。
まず、パラメトリック型トリガーは、伝統的保険における損害査定能力が未整備な地域でも導入可能であり、マグニチュードや風速等の客観指標に基づく明快な発動条件により、投資家・スポンサー双方に理解しやすいという利点がある。一方で、パラメトリックトリガーの最大の課題であるベーシスリスクに対しては、例えば台風の風速等の単一指標ではなく、降水量や継続時間等の複数の関連指標を組み合わせた設計や、災害強度に応じた段階的支払い構造の採用、信頼性の高いデータインフラの整備が不可欠である。
またマルチペリル型・マルチスポンサー型CATボンドによるスポンサー層拡大も重要な方向性である。一般に、スポンサーにとって、単一の災害種別ごとに複数のボンドを発行するシングルペリル型のCATボンドよりも、複数の災害種別をまとめてカバーするマルチペリル型の方が、発行のコスト効率が高くなる。また、中小企業や開発途上国政府等、単独でのCATボンド発行が困難なスポンサーの参加を促進するため、複数スポンサーで発行コストを分担することで、一スポンサーあたりの負担を軽減できる利点がある。現在の主たる投資家である専門ファンドや保険会社は、リスク評価が比較的容易で、ポートフォリオ構築の柔軟性が高いシングルペリル型のCATボンドを選好する傾向にある。一方、単一のボンドで一定のリスク分散効果が期待できるマルチペリル型やマルチスポンサー型は、個人投資家を含む新規の投資家層を拡大する上で有効な手段となり得る。
透明性の高いプライシングも市場発展の鍵である。例えば、世界銀行はブック・ビルディング方式を採用し、多数の投資家と再保険会社が同一のオーダーブックに参加することで適正な価格形成を実現している。
投資家層拡大の観点からは「CATボンドのETF化」も有効な手段である。多くのCATボンドは、米証券取引委員会の規則144Aに基づき、適格機関投資家を対象に発行されている上、リスク評価の複雑さや、セカンダリ市場の流動性の低さから個人投資家の参画は難しい状況にある。一方で、近年欧州では個人投資家保護を目的としたUCITS規制に準拠したCATボンドファンドが登場している。また、2025年4月には、世界初のCATボンド特化ETFである「Brookmont Catastrophic Bond ETF」がニューヨーク証券取引所に上場された。こうした商品の登場は、個人投資家がCATボンド市場に参加できる環境を創出するものであり、アジア太平洋地域における投資家層拡大の上でも有効となる可能性がある。
その他、迅速かつ低コストで発行できる環境整備のための発行フォーマットの標準化、ブロックチェーン技術の活用によるCATボンドのスマートコントラクト化、ESG投資としての位置づけ、市場育成のための税制優遇や助成制度等、アジア太平洋地域におけるCATボンド市場の拡大に係る論点は多岐に渡る。
ASEAN+3をはじめとした域内の協力枠組みを通じた官民連携の議論や政策調整が、CATボンド市場の拡大、ひいてはアジア太平洋地域における自然災害のプロテクションギャップ縮小のために重要となる。
(参考文献)
・OECD. "Fostering Catastrophe Bond Markets in Asia and the Pacific". OECD Development Centre Studies. 2024-02-14.
・Aon plc. "2025 Climate and Catastrophe Insight report". Aon plc. 2025-01-22.
・International Association of Insurance Supervisors (IAIS). "Global Insurance Market Report (GIMAR)". IAIS. 2024-12-03.
・有馬良行. "世界銀行~自然災害保険への取り組み~". 保険毎日新聞. 2024-01-26.
・濱田秀明. "災害リスクファイナンス~世界銀行の役割と日本との連携~". ファイナンス:財務省広報誌. 2019, 55(2), 46-51.
・Artemis.bm. "Catastrophe Bond & Insurance-Linked Securities Deal Directory". Artemis.bm.
https://www.artemis.bm/deal-directory/
・Artemis.bm. "Catastrophe Bond Market Yield (USD)". Artemis.bm.
https://www.artemis.bm/catastrophe-bond-market-yield/
・TechSci Research. "Bond Market - Global Industry Size, Share, Trends, Competition Forecast & Opportunities, 2030F". TechSci Research.
https://www.techsciresearch.com/report/bond-market/27048.html
・Precedence Research. "Reinsurance Market Size, Share, and Trends 2025 to 2034". Precedence Research.
https://www.precedenceresearch.com/reinsurance-market
図1:CATボンドの仕組み
図2:グローバル債券市場と(再)保険市場の規模(残高ベース)
表:CATボンドのトリガーの3類型の比較
*1) 2024年のアジア太平洋における自然災害による経済的損失740億ドルに対して、カバーされた損失はわずか40億ドル
同年の世界全体のプロテクションギャップは60%(経済的損失:3,680億ドル、カバーされた損失:1,450億ドル)
同年の世界全体のプロテクションギャップは60%(経済的損失:3,680億ドル、カバーされた損失:1,450億ドル)
*2) それぞれ、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁代理会議(代理会議)、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議(大臣会議)
*3) チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)に続く「第4の柱」となった。
*4) CATボンドに特化した専門メディアプラットフォームArtemis.bmが公表する市場利回り指標は2025年3月時点で10.43%
その内訳は、保険のリスクスプレッド6.13%、資産運用利回り4.30%となっている
その内訳は、保険のリスクスプレッド6.13%、資産運用利回り4.30%となっている
*5) 2000年-2024年の平均で、自然災害による年間経済損失は世界全体で3,240億ドル、アジア太平洋地域は1,260億ドル
はじめに
アジア太平洋地域は、世界でも有数の自然災害多発地域である。2004年のインドネシア・スマトラ島沖地震による22万人超の死者、2013年のフィリピンを襲った台風ヨランダによる約9千人の死者・行方不明者等、大規模災害が各国の経済・社会に深刻な被害をもたらしてきた。直近でも、2024年9月にラオスを襲った台風ヤギ、同年12月のバヌアツのM7.3の地震、そして2025年3月のミャンマーを震源としたM7.7の地震等、気候変動の影響や人口集中により、自然災害の被害は激甚化の一途をたどっている。本稿では、こうした状況に対応するため日本が主導してきたアジア太平洋地域におけるDRFの取組について紹介する。
1.アジア太平洋地域におけるDRF
(1)DRFとは
災害リスクファイナンス(Disaster Risk Financing, DRF)は、自然災害による経済的影響を軽減するために、災害発生前に計画的な資金調達メカニズムを構築する体系的アプローチであり、政府・企業・個人を含む社会全体の災害に対する財務強靭性を高めることを目的としている。
(2)日本の立ち位置
日本は、長年にわたる地震や台風等の災害経験を踏まえ、地震保険を整備する等、従来からDRFを強く認識し、アジア太平洋地域においてもその取組を進める重要性を主張してきた。
アジア太平洋地域では、災害リスクへの財務的な備えが十分でない国が多く、自然災害による経済的損失のうち、保険等でカバーされない「プロテクションギャップ」は95%*1に上る。こうした現状を踏まえ、日本は二つの主要な取組を主導してきた。一つは東南アジア諸国向けの「東南アジア災害リスク保険ファシリティ(SEADRIF)」、もう一つは太平洋島嶼国向けの「太平洋災害リスク評価・資金援助イニシアティブ(PCRAFI)」である。両取組は、それぞれの地域の特性やニーズに応じて異なる発展を遂げつつも、日本のリーダーシップの下で着実に前進している。
2.SEADRIF - ASEAN+3金融協力の新たな柱へ
(1)SEADRIFの歩み
SEADRIFは、東南アジア諸国が災害後の迅速な復旧・復興に必要な資金を確保できるよう、保険等の金融支援を通じて財務強靱性の向上を目指す枠組みである。
始まりは、カンボジア・ラオス・ミャンマーが相次ぐ大洪水に見舞われたことにある。2017年5月、日本財務省はこれらの国々と「DRF・保険に関する地域技術作業部会」の設立に関する覚書を交わし、SEADRIFの制度設計の準備に着手した。その後、2018年12月には日本、シンガポール、ラオス、ミャンマー、カンボジア、インドネシアが SEADRIF設立の覚書に署名、2019年にフィリピン、2022年にベトナムが加わり、現在8ヵ国が参加している。
SEADRIFは、戦略的方向性を決定する「SEADRIFトラスト」と、シンガポールの民間損害保険会社であり、保険商品開発や技術支援を担う「SEADRIF保険会社」の二つの機関で構成され、ガバナンスと実行力を両立している。日本は設立当初からシンガポールと共に議長国及びドナーとして、加盟国間の対話やSEADRIFの制度構築をリードし、資金提供を通じてその発展を支えてきた。
(2)SEADRIFの成果と展開
SEADRIFの具体的な成果として、2021年2月に開始されたラオス向け自然災害保険がある。これは主に洪水リスクを補償するもので、2023年8月の熱帯暴風雨、2024年9月の台風ヤギによる被害の際には、わずか3~5営業日で総額450万ドルの保険金が支払われた。
また、SEADRIFは2019年末から中所得国における公共施設やインフラ資産の財政的保護にも取り組んでおり、2024年7月からはフィリピン政府の国家実損填補型保険プログラム(NIIP)の対象拡大に向けた支援等を検討している。
(3)ASEAN+3 DRFイニシアティブの展開
2021年3月のASEAN+3代理会議*2にて、災害リスクに対する財務強靱性向上を目指すワーキンググループが設置され、日本がその議論を主導した。2023年5月のASEAN+3大臣会議*2では、DRFがASEAN+3の金融協力の「第4の柱」*3として正式に位置づけられ、「DRFイニシアティブ」として新たな枠組みが構築された。本イニシアティブは、ASEAN+3におけるDRFの方向性について議論を行い、SEADRIFや世銀等の既存の取組を活用し、各国のDRF関連の取組を推進することを目的としたプラットフォームである。また、同会議では上記の道筋を示す「DRFイニシアティブに係るアクションプラン 2023-2025」が承認され、2024年8月には河合美宏氏を事務局長とする「DRFイニシアティブ事務局」が発足した。
(4)次期ロードマップに向けた展望
ASEAN+3の財務トラックに参加している各国財務省や中央銀行の多くは、災害リスク管理や保険に馴染みが薄い。一方で、各国政府向けの自然災害保険の取組を進めるには、保険料に充てる予算措置のために各国財務省の理解・協力が不可欠。
日本はこの課題に向き合い、各国と協働して次期3ヵ年のロードマップ(2026-2028)の策定を進めている。2025年4月のASEAN+3代理会議では、各国財務省が所管する政策・制度を対象とした支援枠組みについて大枠の合意を得ており、1)国際開発金融機関等の知見を活用した基礎的DRFツールの保有と発展的ツールの基盤整備に向けた支援、2)SEADRIFによる各国ニーズに合わせた保険商品拡充、3)保険商品以外のオプションの検討の3つの取組を2026年以降に展開していく予定である。
3.PCRAFI - 災害保険提供の多角化
(1)パイロットから本格展開へ
PCRAFIは、太平洋島嶼国における自然災害からの復旧・復興を支援する保険の仕組み。2006年に太平洋島嶼国の財務大臣が世界銀行・IMF年次総会において支援の仕組みの検討を要請したことが契機となり、2009年の第5回太平洋・島サミットにおける日本の提案から、2013年に世界銀行のパイロットプログラムが始動した。日本は当初唯一のドナー国としてプログラム立上げを支援し、その後、ドイツ、英国、米国、カナダが支援国として参加。2016年には、本格的なファシリティとしてクック諸島に「太平洋災害リスク保険会社(PCRIC)」が設立された。
(2)飛躍的な発展
2020年にPCRICの現任CEOであるアホロトゥ・パル氏が就任してから、保険によるカバー人口は就任前の100万人から1,300万人へと飛躍的に拡大。2025年4月時点で、クック諸島、フィジー、ニウエ、パプアニューギニア、サモア、トンガ、バヌアツの7ヵ国がPCRICと保険契約を結んでおり、補償総額は5,300万ドルに上る。対象リスクも、当初の地震・津波、サイクロンに加えて、豪雨、サンゴ礁や通信インフラ保護と多様化が進んでいる。
(3)PCRAFIの実績
2024年12月のバヌアツ地震では、発生からわずか1週間で120万ドルの保険金が支払われた。パイロットプログラムを含む、これまでの支払実績は6件、総額1,240万ドルに達している。いずれも災害発生から2週間以内の迅速な支払いを実現しており、被災国政府による災害直後の緊急対応と初期復旧活動に貢献している。
(4)アジア開発銀行(ADB)を通じた新たな支援
PCRICの2026-2030年のビジネスプランでは、保険契約を太平洋島嶼国全14ヵ国に拡大することを目指している。日本財務省は、PCRICの保険引受能力拡大や、太平洋島嶼国の災害リスクに対する認識向上・知識醸成の支援のため、2025年4月にADBの「豊かで強靭なアジア太平洋日本基金(JFPR)」の資金を活用した技術支援を開始。さらに、ADB内へのPCRAFIに特化したマルチドナー信託基金の設立に向けた議論を主導している。
おわりに:今後の展望
自然災害がますます激甚化・頻発化する中、SEADRIFとPCRAFIは、メンバー国を増加させるとともに、リスク評価の精緻化や保険商品の多様化を図っていく。日本は、これまで培った経験と知見を活かし、引き続きこれらの取組においてリーダーシップを発揮することで、アジア太平洋地域の財務強靭性向上を支援していく。
また、DRFの新たな選択肢としては、CATボンド(下記コラム参照)の活用も注目を集めている。伝統的な保険制度では対応が難しい大規模災害リスクの効率的な移転の観点から、長期的にはCATボンド市場の育成も視野に入れて取り組んでいく。
コラム:アジア太平洋地域におけるCATボンド市場の可能性
1.CATボンドの概要
CATボンド(Catastrophe Bond)は、地震や台風等の大規模自然災害リスクを資本市場に移転する金融商品であり、伝統的な保険や再保険を補完・代替する手段として、1990年代から発展してきた。
CATボンドに係るステークホルダーには、まず、スポンサー(被保険者)として、(再)保険会社、一般企業、政府機関等の災害リスクを移転したい主体が存在する。次に保険者(発行体)として、通常は特別目的事業体(SPV)がスポンサーと投資家の仲介役を果たす。そして投資家として、ヘッジファンド、CATボンド専門ファンド、(再)保険会社、年金基金等が参加する。
基本的な仕組みとしては、まずスポンサーがSPVと(再)保険契約を結び、保険料を支払う。次にSPVは投資家向けにCATボンドを発行して資金を調達し、安全資産で運用する。スポンサーから支払われる保険料と資産の運用収益を原資としてクーポンが払われる。契約期間中に指定のトリガーイベントが発生した場合、元本の一部または全部がスポンサーへの保険金支払いに充てられる。発生しない場合は、満期時に投資家に対して元本が償還される。
CATボンドの支払いが発生する条件(トリガー)には主に3種類ある。第一に「実損填補型」は、スポンサーの実際の損失額に基づくものである。第二に「業界損失指数型」は、保険業界全体の損失が特定の閾値を超えた場合に支払うものである。第三に「パラメトリック型」は、地震のマグニチュードや風速等、客観的な物理的指標に基づくものである。
CATボンドの特長として、スポンサーにとっては、資本市場を通じて(再)保険市場のキャパシティを超えるリスクを移転できること、複数年(通常3-5年)の安定した補償が得られること等が挙げられる。投資家にとっては、伝統的な債券より高いリターン(10%前後)*4が期待できること、ポートフォリオ分散効果(伝統的資産との相関係数が低い)が得られること、ESG投資としての側面があること等が魅力となっている
2.アジア太平洋地域におけるCATボンドの普及状況
アジア太平洋地域は、自然災害による経済的損失において世界全体の4割*5を占める一方、CATボンド市場の発展はグローバル市場に比べて遅れている。2024年末時点の世界全体のCATボンド発行残高は約500億ドル、2024年通年の発行額は約180億ドルに達したが、アジア太平洋地域のリスクをカバーするCATボンドの発行額は、全体の3%未満にとどまっている。
地域内のこれまでの発行実績の大部分は日本のリスクを対象としたものとなっており、豪州、中国、台湾、ニュージーランドが続く。これらの国・地域を除くと、2019年にフィリピン政府がスポンサーとなり、世界銀行と連携して発行したものが唯一の発行事例であり、地域内の偏在が顕著となっている。
域内の発行拠点としては、シンガポール金融管理局(MAS)による補助金制度が後押しとなり、シンガポールのSPVを通じた発行が主流となっている。香港も近年、発行拠点として台頭している。
また、投資家の構成としては欧米のCATボンド投資専門ファンドや(再)保険会社が中心で、アジア地域内の投資家の参加は限定的であることが指摘されている。CATボンドの発行はほとんど米ドル建てであり、現地通貨建て保険契約との通貨のミスマッチも潜在的な課題である。
3.普及が進まない要因
アジア太平洋地域で、CATボンドが十分に普及していない背景には、複数の要因が存在している。
まず、スポンサー側の課題として、アジア太平洋地域の多くの国では、事前のリスク移転よりも災害発生後の事後対応が主となっており、災害復旧資金の調達も政府援助や国際支援に依存している状況がある。また、CATボンドは(再)保険市場を補完・代替する手段であるが、その前提となる一次保険市場の規模が小さいことが課題となっている。実損填補型の前提となる損害査定能力も地域内では不足している。そして、CATボンドの発行コスト(保険料を含むリスクスプレッドや、SPVの運営費、トリガー設計コスト等)は、中小企業にとって大きな参入障壁となっている。
保険設計に係る課題として、パラメトリック型トリガーの採用においては、ベーシスリスク(実際の損失と保険金支払いの条件との乖離)が生じる可能性があり、アジア太平洋地域特有の災害パターンを適切に反映したリスクモデルの構築が必要である。
投資家側の課題として、アジア地域の機関投資家におけるCATボンド投資に関する理解と経験が不足しているため、欧米の専門ファンドに対して、地域内の投資家の参加は限定的となっている。また、個人投資家向けのCATボンド関連商品(投資信託やETF)が限定的であり、個人資金の流入が制約されている。また、セカンダリ市場も未発達であり、投資家による売買が容易でない状況にある。加えて、プライシングの透明性も課題となっている。保険料と債券金利で構成されるクーポンのうち、特に保険料水準の適切性を判断する情報源が限られており、個人投資家がリスク・リターン特性を正しく把握できない状況にある。
4.アジア太平洋地域におけるCATボンドの方向性
前述の要因を踏まえ、アジア太平洋地域におけるCATボンド市場の発展の方向性として、いくつかの重要なアプローチが考えられる。
まず、パラメトリック型トリガーは、伝統的保険における損害査定能力が未整備な地域でも導入可能であり、マグニチュードや風速等の客観指標に基づく明快な発動条件により、投資家・スポンサー双方に理解しやすいという利点がある。一方で、パラメトリックトリガーの最大の課題であるベーシスリスクに対しては、例えば台風の風速等の単一指標ではなく、降水量や継続時間等の複数の関連指標を組み合わせた設計や、災害強度に応じた段階的支払い構造の採用、信頼性の高いデータインフラの整備が不可欠である。
またマルチペリル型・マルチスポンサー型CATボンドによるスポンサー層拡大も重要な方向性である。一般に、スポンサーにとって、単一の災害種別ごとに複数のボンドを発行するシングルペリル型のCATボンドよりも、複数の災害種別をまとめてカバーするマルチペリル型の方が、発行のコスト効率が高くなる。また、中小企業や開発途上国政府等、単独でのCATボンド発行が困難なスポンサーの参加を促進するため、複数スポンサーで発行コストを分担することで、一スポンサーあたりの負担を軽減できる利点がある。現在の主たる投資家である専門ファンドや保険会社は、リスク評価が比較的容易で、ポートフォリオ構築の柔軟性が高いシングルペリル型のCATボンドを選好する傾向にある。一方、単一のボンドで一定のリスク分散効果が期待できるマルチペリル型やマルチスポンサー型は、個人投資家を含む新規の投資家層を拡大する上で有効な手段となり得る。
透明性の高いプライシングも市場発展の鍵である。例えば、世界銀行はブック・ビルディング方式を採用し、多数の投資家と再保険会社が同一のオーダーブックに参加することで適正な価格形成を実現している。
投資家層拡大の観点からは「CATボンドのETF化」も有効な手段である。多くのCATボンドは、米証券取引委員会の規則144Aに基づき、適格機関投資家を対象に発行されている上、リスク評価の複雑さや、セカンダリ市場の流動性の低さから個人投資家の参画は難しい状況にある。一方で、近年欧州では個人投資家保護を目的としたUCITS規制に準拠したCATボンドファンドが登場している。また、2025年4月には、世界初のCATボンド特化ETFである「Brookmont Catastrophic Bond ETF」がニューヨーク証券取引所に上場された。こうした商品の登場は、個人投資家がCATボンド市場に参加できる環境を創出するものであり、アジア太平洋地域における投資家層拡大の上でも有効となる可能性がある。
その他、迅速かつ低コストで発行できる環境整備のための発行フォーマットの標準化、ブロックチェーン技術の活用によるCATボンドのスマートコントラクト化、ESG投資としての位置づけ、市場育成のための税制優遇や助成制度等、アジア太平洋地域におけるCATボンド市場の拡大に係る論点は多岐に渡る。
ASEAN+3をはじめとした域内の協力枠組みを通じた官民連携の議論や政策調整が、CATボンド市場の拡大、ひいてはアジア太平洋地域における自然災害のプロテクションギャップ縮小のために重要となる。
(参考文献)
・OECD. "Fostering Catastrophe Bond Markets in Asia and the Pacific". OECD Development Centre Studies. 2024-02-14.
・Aon plc. "2025 Climate and Catastrophe Insight report". Aon plc. 2025-01-22.
・International Association of Insurance Supervisors (IAIS). "Global Insurance Market Report (GIMAR)". IAIS. 2024-12-03.
・有馬良行. "世界銀行~自然災害保険への取り組み~". 保険毎日新聞. 2024-01-26.
・濱田秀明. "災害リスクファイナンス~世界銀行の役割と日本との連携~". ファイナンス:財務省広報誌. 2019, 55(2), 46-51.
・Artemis.bm. "Catastrophe Bond & Insurance-Linked Securities Deal Directory". Artemis.bm.
https://www.artemis.bm/deal-directory/
・Artemis.bm. "Catastrophe Bond Market Yield (USD)". Artemis.bm.
https://www.artemis.bm/catastrophe-bond-market-yield/
・TechSci Research. "Bond Market - Global Industry Size, Share, Trends, Competition Forecast & Opportunities, 2030F". TechSci Research.
https://www.techsciresearch.com/report/bond-market/27048.html
・Precedence Research. "Reinsurance Market Size, Share, and Trends 2025 to 2034". Precedence Research.
https://www.precedenceresearch.com/reinsurance-market
図1:CATボンドの仕組み
図2:グローバル債券市場と(再)保険市場の規模(残高ベース)
表:CATボンドのトリガーの3類型の比較
*1) 2024年のアジア太平洋における自然災害による経済的損失740億ドルに対して、カバーされた損失はわずか40億ドル
同年の世界全体のプロテクションギャップは60%(経済的損失:3,680億ドル、カバーされた損失:1,450億ドル)
同年の世界全体のプロテクションギャップは60%(経済的損失:3,680億ドル、カバーされた損失:1,450億ドル)
*2) それぞれ、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁代理会議(代理会議)、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議(大臣会議)
*3) チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)、ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)、アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)に続く「第4の柱」となった。
*4) CATボンドに特化した専門メディアプラットフォームArtemis.bmが公表する市場利回り指標は2025年3月時点で10.43%
その内訳は、保険のリスクスプレッド6.13%、資産運用利回り4.30%となっている
その内訳は、保険のリスクスプレッド6.13%、資産運用利回り4.30%となっている
*5) 2000年-2024年の平均で、自然災害による年間経済損失は世界全体で3,240億ドル、アジア太平洋地域は1,260億ドル