主計局主計官 河本 光博
1.概要
(1)一般会計の7年度の文教及び科学振興費は、5兆6,560億円(6年度当初予算比+1,844億円、+3.4%)を計上している。なお、予算の国会修正において、いわゆる高校無償化の先行実施に伴う経費として1,064億円増額され、修正前の予算における5兆5,496億円から5兆6,560億円となった。このうち、文教関係費は4兆2,339億円、科学技術振興費は1兆4,221億円である。
また、一般会計の文部科学省所管予算は、5兆5,094億円(6年度当初予算比+1,709億円、+3.2%)を計上している。このうち、文教関係費は4兆2,282億円、科学技術振興費は8,943億円、その他が3,868億円である。
(2)7年度の文教及び科学技術予算の編成においては、
・ 教員の処遇改善について、人事院勧告の反映(+3.7%)に加え、約50年ぶりに教職調整額の引上げを行うこととした。具体的には、
イ 教職調整額の率を令和12年度までに10%への引上げを行うこととし、令和7年度に5%とし、以降確実に引き上げる
ロ 中間段階(令和9年度以降)で、文部科学省・財務省両省で「働き方改革」や財源確保の状況を確認しながら、その後の教職調整額の引
上げ方やメリハリ付け、その他のより有効な手段なども含めて真摯に検討・措置する
ハ 学校における「働き方改革」を強力に進めるため、学校・教員の業務見直しの厳格化及び保護者からの電話対応を含む外部対応・事務作
業等の更なる縮減・首長部局や地域への移行や部活動の地域展開等による本来業務以外の時間の抜本的縮減、勤務時間管理の徹底、教育委
員会ごとの業務量管理計画の策定、在校等時間の「見える化」、校務DXの推進、授業時数の見直し、長期休暇を取得できる環境整備などを
行う
ニ こうした取組を進めることを通じて、将来的に、教師の平均時間外在校等時間を月20時間程度に縮減することを目指して、まずは、今
後5年間で(令和11年度までに)、平均の時間外在校等時間を約3割縮減し、月30時間程度に縮減することを目標とする
ホ 将来の給特法及び教職調整額のあり方については、文部科学省において、時間外在校等時間が月20時間程度に到達するまでに、幅広い
観点から諸課題の整理を行う
・ 高等教育の負担軽減のため、修学支援新制度(授業料等減免及び給付型奨学金)について、多子世帯の学生等について、所得制限を設けず
に授業料・入学金を無償化(社会保障関係費として予算措置)
・ 私学助成について、定員未充足の大学への配分を見直しつつ、経営改革や大学間連携に関する取組の重点支援、合併による経営効率化を図
る大学等への配分強化といった取組により、大学の戦略的な統合・縮小・撤退等による大学の構造転換を促進
・ 研究力向上に向けて、国際性の高い研究や若手研究者への支援を強化、AI、量子、健康・医療等の重要分野における研究開発や宇宙分野等
の大型プロジェクトを推進
することとしている。
2.文教予算
2-1.小中学校教育
○義務教育費国庫負担金
(15,627億円⇒16,210億円(+3.7%))
・ 小学校における教科担任制の拡充や、中学校における生徒指導担当教師の配置拡充等を行うため、2,190人の教職員定数を改善する。
・ 令和3年の義務標準法の改正を踏まえた小学校6年生の35人以下学級の実現(+21人)、平成29年の義務標準法の改正を踏まえた通級指導や
日本語指導が必要な児童生徒への対応等に係る教員の基礎定数化(+551人)を反映する。
・ その他、少子化の進展による自然減(▲5,638人)、加配定数見直し(▲100人)、国庫負担金の算定方法見直し(▲1,450人相当)を反映
し、差引では▲4,426人相当の減。(別途、特例定員(▲4,331人)を措置。)
・ 上記に加え、令和6年人事院勧告や教職員の昇給等の影響額を適切に反映することで、全体で対前年度比+582億円を措置する。
○補習等のための指導員等派遣事業
(121億円⇒121億円(▲0.0%))
・ 教員の事務負担軽減のため、学習プリント等の準備や来客・電話対応等をサポートする教員業務支援員を引き続き全小中学校へ配置
(28,100人)することに加え、配置について、市町村独自の人的配置の状況や所管の小中学校における教育課程(授業時数)の見直し状況
に応じた配分へ見直し、教員の業務縮減につなげる実効的な仕組みを導入する。また、最低賃金の引上げを踏まえ、補助単価の引上げ(1,000円/時間→1,055円/時間)を行う。
・ 学校における働き方改革の効果を確実なものとするため、補習授業対応等といった学校教育活動を支援する学習指導員を引き続き配置
(11,000人→9,200人)するとともに、校内教育支援センターを拠点として、不登校傾向の児童生徒に対して学習支援等を行うため新たに校
内教育支援センター支援員を配置する(2,000人)。
・ 副校長・教頭の学校マネジメント等にかかる業務をサポートする支援員を拡充(1,000人→1,300人)する。
○スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡充
(84億円⇒86億円(+2.4%))
いじめや不登校など、様々な課題を抱える児童生徒への支援に向けた相談体制を充実する観点から、
・ スクールカウンセラーの配置について、引き続き全小中学校への配置(27,500校)、スーパーバイザーの配置(67人)に加え、いじめ・不
登校・貧困・虐待対策のための重点配置を拡充(10,000校→11,300校)するとともに、オンラインを効果的に活用した広域的な支援体制を
整備(67箇所)
・ スクールソーシャルワーカーについて、引き続き全中学校区への配置(10,000中学校区)、スーパーバイザーの配置(67人)に加え、いじ
め・不登校・貧困・虐待対策のための重点配置を拡充(10,000校→11,000校)するとともに、オンラインを効果的に活用した広域的な支援
体制を整備(67箇所)
すること等により、教育相談体制を整備する。
○切れ目ない支援体制整備充実事業
(42億円⇒47億円(+12.7%))
特別な支援を必要とする子供への切れ目ない支援体制の整備等を行う地方公共団体等を支援するため、「医療的ケア児及びその家族に対する支
援に関する法律」も踏まえ、医療的ケア看護職員の配置支援について、4,550人から4,900人に拡充する。
○学校を核とした地域力強化プラン
(76億円⇒76億円(▲1.1%))
学校・家庭・地域の連携・協働体制を構築し、地域の多様な関係者の参画による地域の特色を活かした教育活動を支援するため、コミュニ
ティ・スクール(学校運営協議会制度)と地域学校協働活動を一体的に推進する。
○公立学校施設整備(災害復旧費を除く)
(683億円⇒691億円(+1.2%))
※この他、6年度補正予算で体育館の空調整備(779億円)を含め2,076億円を計上
※スポーツ関係予算と一部重複がある
安全・安心な教育環境を構築するため、学校施設整備を推進する。併せて、物価高騰の影響等への対応のため補助単価を引上げる
(+10.0%)。
加えて、自民党・公明党・維新の会の3党合意(令和7年2月25日)を踏まえ、公立専門高校の産業教育施設整備費を増額する。
2-2.幼児教育
○幼児教育推進体制等を活用した幼保小の架け橋プログラム促進事業
(5億円(新規))
幼児期及び幼保小接続期の教育の質的向上を図るため、自治体における幼児教育支援センター等の幼児教育推進体制等を活用して、架け橋期のカリキュラム策定等を行い、「幼保小の架け橋プログラム」を促進する。
2-3.高校教育
○高等学校等就学支援金交付金等
(4,090億円⇒5,121億円(+25.2%))
高校生等の授業料に充てるため、年収910万円未満の世帯の生徒等を対象に高等学校等就学支援金を支給することとしていたが、自民党・公明党・維新の会の3党合意(令和7年2月25日)を踏まえ、全世帯を対象とする支援金(11.88万円)の支給について収入要件を事実上撤廃することとする。
○高校生等奨学給付金
(147億円⇒152億円(+3.4%))
低所得世帯における授業料以外の教育費負担を軽減するため、高校生等奨学給付金により支援を実施する。当該給付金についても、上記同様、3党合意を踏まえ、令和7年度においては、非課税世帯の第1子への給付額を拡充し、国公立の全日制等の第1子と第2子以降の給付額同額を実現する。
2-4.高等教育(大学等)
2-4-1.高等教育の無償化(修学支援新制度)等
○授業料等減免及び給付型奨学金
(5,438億円⇒6,532億円(+20.1%))
※社会保障関係費として計上
消費税財源を活用し、低所得世帯の大学生等に対して、授業料・入学金の減免及び給付型奨学金を支給する。
令和7年度より、「こども未来戦略」(令和5年12月22日 閣議決定)等に基づき、多子世帯の学生等について、所得制限を設けずに授業料・入学金を無償化する。(授業料等減免:4,578億円、給付型奨学金:1,954億円、地方分も合わせて7,025億円)
2-4-2.国立大学法人運営費交付金等
○国立大学法人運営費交付金
(10,784億円⇒10,784億円(同額))
大学を取り巻く環境が大きく変化する中、教育研究の質の向上努力を促すよう、メリハリある予算配分が重要。各大学の教育研究組織の改革に関する取組について、学部・研究科の再編・研究力強化・地方創生等の現代的課題への対応といった実効的な大学改革に繋がる取組に厳選されるように採択率を強化するなど、メリハリを強化する。
○国立大学経営改革促進事業
(52億円⇒53億円(+1.7%))
学長のリーダーシップに基づく経営改革を加速するため、リソースの重点投資により研究力を向上させる取組など、学内における資源再配分を伴う全学的な組織改革を行い、もって外部からの新たな投資を呼び込むような経営改革の取組を支援する。
2-4-3.私学助成
○私立大学等経常費補助
(2,978億円⇒2,979億円(+0.0%))
定員未充足の大学への配分を見直しつつ、以下のような取組により、少子化社会において喫緊の課題となっている、大学の戦略的な統合・縮小・撤退等による大学の構造転換を促進する。
・ 規模の適正化も含めた学部の再編等の経営改革や、統合も見据えた大学間連携に関する取組を重点支援する。
※ 好事例を横展開しつつ、令和8年度からは、定員充足率等が基準に満たない大学には、私学助成の交付要件として「経営改革計画」の策定
を求め、私学助成の適正化を図る。
・ 合併により経営の効率化を図る大学や地域需要・アクセスに応える大学への配分を強化する。
○私立高等学校等経常費助成費等補助
(1,012億円⇒1,003億円(▲0.9%))
私立高等学校等における教育の高度化等に必要な経費を着実に支援しつつ、幼稚園教諭のキャリアアップに資する処遇改善メニューの新設による人材確保支援の強化や、特別な支援が必要な幼児・生徒の数の増加への対応を実施する。
2-4-4.国立高等専門学校
○国立高等専門学校機構運営費交付金
(629億円⇒630億円(+0.1%))
高専教育の高度化のため、実践的スタートアップ教育等により社会ニーズを踏まえた人材育成体制を強化するとともに、海外で活躍できる技術者の育成支援等により高専の国際化を促進する。
2-4-5.高度専門人材の育成等
○未来を先導する世界トップレベル大学院教育拠点創出事業
(19億円(新規))
社会で活躍する質の高い博士人材をより多く輩出できるよう、世界トップレベルの大学院教育を行う拠点の形成を図るため、学内資源を大学院へシフトしつつ、徹底した国際化や産学連携による教育の強化を全学的に図る取組を支援する。
○半導体人材育成拠点形成事業
(6億円(新規))
※この他、6年度補正予算で10億円を計上
世界的に半導体需要が拡大する中での人材不足に対応し、高度な半導体人材を育成するため、半導体産業に係る地域性や各大学の特色を踏まえつつ、半導体人材教育プログラムを構築・展開する取組を支援する。
○大学の世界展開力強化事業
(13億円⇒15億円(+11.7%))
重要な国・地域との単位の相互認定等による質保証を伴った学生交流等を支援し、国際教育連携を推進するため、国際的に存在感を高めるグローバル・サウスの国々との大学間連携への支援を追加し、大学の世界展開力を強化する。
3.科学技術予算
3-1.研究力向上に向けた人材育成・研究費支援
○科学研究費助成事業(科研費)
(2,377億円⇒2,379億円(+0.1%))
※この他、6年度補正予算で52億円を計上
基礎から応用まで、全ての分野にわたる、研究者の自由な発想に基づく研究を支援する。令和7年度より新たに「国際性」の評価基準を導入し、国際的な競争力の高い研究課題への支援を充実する。
○戦略的創造研究推進事業(新技術シーズ創出)
(437億円⇒438億円(+0.3%))
イノベーションの源泉となる基礎研究を推進するため、国が定めた戦略目標の下、組織・分野を越えた体制を構築して行う研究を支援する。優秀な若手研究者のステップアップ等を推進する観点から、若手研究者支援を充実する。
○海外特別研究員制度
(25億円⇒28億円(+9.0%))
博士の学位を有する者の中から優れた若手研究者を「海外特別研究員」として採用し、海外の大学等研究機関において長期間(2年間)研究に専念できるよう支援する。物価上昇等に対応した支給額の増により支援を充実する。
○研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業
(6億円(新規))
大学の経営戦略の策定や経営資源の確保等の業務に当たる研究開発マネジメント人材(URA等)の量的不足の解消や質の向上を図りつつ、適切な処遇・キャリアパスを構築するため、大学における人材の確保及び育成に向けた支援を実施する。
3-2.AI、量子、健康・医療分野等の重要分野の研究の戦略的推進
○科学研究向け基盤モデルの開発・共用(TRIP-AGIS)
(17億円⇒25億円(+47.0%))
※この他、6年度補正予算で20億円を計上
理化学研究所において、米国の研究機関との連携体制を構築しつつ、画像・音声など多様なデータを追加学習させることで、生命・医科学など他の科学分野で活用可能な科学研究向けAI基盤モデルの開発を推進する。
○Fundamental Quantum Science Program
(7億円(新規))
※この他、6年度補正予算で10億円を計上
理化学研究所において、2030年代に日本が量子技術で世界をリードすることを目指し、量子コンピュータの実用化等に向けて量子の基礎学理の研究を推進する。
○AMED運営費交付金
(66億円⇒67億円(+2.3%))
日本医療研究開発機構(AMED)について、医療分野の研究開発関連の調整費の柔軟化や体制強化を行い、各省補助等事業の間の連携を確保し、切れ目ない支援を実施するとともに、事業の検討段階から出口志向の研究開発マネジメントを行うことによって、大学等の有望な創薬シーズの企業への導出を推進する。
3-3.大型プロジェクトの推進
○宇宙・航空分野の研究開発
(1,553億円⇒1,550億円(▲0.2%))
※この他、6年度補正予算で2,150億円を計上
・ 基幹ロケット打上げ能力の強化
(54億円→101億円(+88.0%))
※この他、6年度補正予算で63億円を計上
国際競争力を強化し、自立的な衛星打上げ能力を確保する観点から、基幹ロケットの開発・高度化等を推進するとともに、増加する国内外の打上げ需要に対応するため打上げの高頻度化を推進する。
・ アルテミス計画等の国際宇宙探査に向けた研究開発等
(153億円→76億円(▲50.4%))
※この他、6年度補正予算で439億円を計上
アルテミス計画への参画に伴い、月面での居住機能と移動機能を併せ持つ有人与圧ローバ、月周回有人拠点(ゲートウェイ)における有人滞在技術等について研究開発等を推進する。
○原子力分野の研究開発
(1,474億円⇒1,474億円(▲0.0%))
(うち、エネルギー対策特別会計へ繰入1,079億円)
※この他、6年度補正予算で298億円を計上
・ 新試験研究炉の開発・整備の推進
(21億円→24億円(+11.2%))
※この他、6年度補正予算で9億円を計上
「もんじゅ」サイトにおいて、原子力科学技術の研究開発、人材育成の基盤である新試験研究炉の開発・整備を推進するとともに、JRR-3の安定運用・RI製造に関する研究開発等を推進する。
・ バックエンド対策の促進
(535億円→534億円(▲0.2%))
※この他、6年度補正予算で50億円を計上
「もんじゅ」「ふげん」「東海再処理施設」やその他主要施設の廃止措置等を実施するとともに、研究施設等廃棄物埋設事業等のバックエンド対策を促進する。
○高輝度放射光施設(NanoTerasu)の整備・共用等
(38億円⇒42億円(+10.6%))
※この他、6年度補正予算で8億円を計上
官民地域パートナーシップの下で整備された高輝度放射光施設(NanoTerasu)について、令和7年3月から共用利用の開始を予定しているため、本格運用・利用促進に向け体制を充実する。
○ポスト「富岳」の開発・整備
(8億円(新規))
※この他、6年度補正予算で69億円を計上
スーパーコンピュータ「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステムの開発・整備に着手する。生成AIの技術革新等により必要な計算資源の需要が急拡大するとともに多様化している近年の情勢変化を踏まえ、遅くとも2030年頃に共用開始予定とする。
4.スポーツ関係予算
4-1.地域スポーツ環境の総合的な整備・充実
○運動部活動の地域連携・地域移行の推進
(28億円⇒32億円(+13.9%))
※文化部活動を含めると6年度は33億円、7年度は37億円(+12.5%)
※この他、6年度補正予算で27億円(文化部活動を含めると29億円)を計上
休日の部活動の段階的な地域移行を進めるため、全国で実証事業を実施し、地域の実情に応じた多様な地域移行の方策や関係者間の連携について実践・検証するとともに、地域移行に資する学校施設の改修や中学校における部活動指導員の配置等を支援する。
○アスリートの派遣等による体育授業等の充実・高度化の促進
(2億円⇒2億円(+4.6%))
アスリートとの直接交流を通じ、スポーツの意義を感じて子どもたちが自ら運動する意欲を喚起する教育手法の展開など、質の高い教育活動を進めていくため、アスリートの派遣を希望する学校等がスムーズに派遣を受けられる仕組みを構築する。
4-2.持続可能な競技力向上体制の確立
○競技力向上事業
(102億円⇒104億円(+1.8%))
持続的にオリンピック・パラリンピック大会を含む主要国際競技大会等で活躍するアスリートを輩出するため、各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動を支援するほか、ロサンゼルス2028大会等で活躍が期待される次世代アスリートの発掘・育成などの戦略的な取組に対する支援を実施する。
○ハイパフォーマンス・サポート事業
(15億円⇒14億円(▲7.0%))
※この他、6年度補正予算で7億円を計上
スポーツ医・科学、情報等によるトップアスリート活躍のための専門的かつ高度な支援を実施するとともに、ミラノ・コルティナ2026大会において、アスリート等が最終準備を行うための医・科学、情報等サポート拠点を設置する。
○先端技術を活用したHPSC基盤強化事業
(4億円⇒5億円(+22.5%))
ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)が行うスポーツ医・科学支援機能を発展させ、スポーツ医・科学、情報等の知見に基づくコンディショニングサポートの実証研究、デジタル等の先端技術を活用した支援手法の研究等を実施する。
5.文化庁予算
5-1.文化資源の持続可能な保存・活用による好循環の構築
○文化財の修理・整備・活用及び防災対策等
(250億円⇒244億円(▲2.5%))
※この他、6年度補正予算で230億円を計上
国宝・重要文化財(建造物・美術工芸品)や史跡等を積極的に活用しながら次世代に確実に継承できるよう、適切な修理・整備や、防災・防火対策等に対する支援を実施する。また、文化財保護・活用のための寄付の受け皿を整備する。
5-2.世界に誇る多様な文化芸術の創造・発信
○現代的課題に対応した劇場・音楽堂等の総合的な機能強化の推進
(27億円⇒37億円(+36.5%))
劇場・音楽堂等における実演芸術の創造発信や人材養成、普及啓発、施設間のネットワーク形成や子供の鑑賞機会を提供する取組などへの支援を通じ、劇場・音楽堂等における地域の核及び芸術の拠点としての機能を強化する。
○メディア芸術の創造・発信プラン
(9億円⇒9億円(同額))
マンガ、アニメ、ゲーム等のメディア芸術分野におけるクリエイター等の育成のほか、全国の所蔵館等におけるアーカイブ化の取組を支援する。また、産業界とも連携した(独)国立美術館における研究機能等の具体的な在り方の検討を実施。
5-3.文化振興を支える拠点等の整備・充実
○国立文化施設の機能強化等
(323億円⇒324億円(+0.5%))
※この他、6年度補正予算で21億円を計上
我が国の文化芸術の創造及び伝承・保存の中核であり、文化観光の拠点である国立文化施設の機能を充実・強化する。
図表 令和7年度 文部科学省予算(一般会計)
図表 令和7年度 主要経費「文教及び科学振興費」(一般会計)
1.概要
(1)一般会計の7年度の文教及び科学振興費は、5兆6,560億円(6年度当初予算比+1,844億円、+3.4%)を計上している。なお、予算の国会修正において、いわゆる高校無償化の先行実施に伴う経費として1,064億円増額され、修正前の予算における5兆5,496億円から5兆6,560億円となった。このうち、文教関係費は4兆2,339億円、科学技術振興費は1兆4,221億円である。
また、一般会計の文部科学省所管予算は、5兆5,094億円(6年度当初予算比+1,709億円、+3.2%)を計上している。このうち、文教関係費は4兆2,282億円、科学技術振興費は8,943億円、その他が3,868億円である。
(2)7年度の文教及び科学技術予算の編成においては、
・ 教員の処遇改善について、人事院勧告の反映(+3.7%)に加え、約50年ぶりに教職調整額の引上げを行うこととした。具体的には、
イ 教職調整額の率を令和12年度までに10%への引上げを行うこととし、令和7年度に5%とし、以降確実に引き上げる
ロ 中間段階(令和9年度以降)で、文部科学省・財務省両省で「働き方改革」や財源確保の状況を確認しながら、その後の教職調整額の引
上げ方やメリハリ付け、その他のより有効な手段なども含めて真摯に検討・措置する
ハ 学校における「働き方改革」を強力に進めるため、学校・教員の業務見直しの厳格化及び保護者からの電話対応を含む外部対応・事務作
業等の更なる縮減・首長部局や地域への移行や部活動の地域展開等による本来業務以外の時間の抜本的縮減、勤務時間管理の徹底、教育委
員会ごとの業務量管理計画の策定、在校等時間の「見える化」、校務DXの推進、授業時数の見直し、長期休暇を取得できる環境整備などを
行う
ニ こうした取組を進めることを通じて、将来的に、教師の平均時間外在校等時間を月20時間程度に縮減することを目指して、まずは、今
後5年間で(令和11年度までに)、平均の時間外在校等時間を約3割縮減し、月30時間程度に縮減することを目標とする
ホ 将来の給特法及び教職調整額のあり方については、文部科学省において、時間外在校等時間が月20時間程度に到達するまでに、幅広い
観点から諸課題の整理を行う
・ 高等教育の負担軽減のため、修学支援新制度(授業料等減免及び給付型奨学金)について、多子世帯の学生等について、所得制限を設けず
に授業料・入学金を無償化(社会保障関係費として予算措置)
・ 私学助成について、定員未充足の大学への配分を見直しつつ、経営改革や大学間連携に関する取組の重点支援、合併による経営効率化を図
る大学等への配分強化といった取組により、大学の戦略的な統合・縮小・撤退等による大学の構造転換を促進
・ 研究力向上に向けて、国際性の高い研究や若手研究者への支援を強化、AI、量子、健康・医療等の重要分野における研究開発や宇宙分野等
の大型プロジェクトを推進
することとしている。
2.文教予算
2-1.小中学校教育
○義務教育費国庫負担金
(15,627億円⇒16,210億円(+3.7%))
・ 小学校における教科担任制の拡充や、中学校における生徒指導担当教師の配置拡充等を行うため、2,190人の教職員定数を改善する。
・ 令和3年の義務標準法の改正を踏まえた小学校6年生の35人以下学級の実現(+21人)、平成29年の義務標準法の改正を踏まえた通級指導や
日本語指導が必要な児童生徒への対応等に係る教員の基礎定数化(+551人)を反映する。
・ その他、少子化の進展による自然減(▲5,638人)、加配定数見直し(▲100人)、国庫負担金の算定方法見直し(▲1,450人相当)を反映
し、差引では▲4,426人相当の減。(別途、特例定員(▲4,331人)を措置。)
・ 上記に加え、令和6年人事院勧告や教職員の昇給等の影響額を適切に反映することで、全体で対前年度比+582億円を措置する。
○補習等のための指導員等派遣事業
(121億円⇒121億円(▲0.0%))
・ 教員の事務負担軽減のため、学習プリント等の準備や来客・電話対応等をサポートする教員業務支援員を引き続き全小中学校へ配置
(28,100人)することに加え、配置について、市町村独自の人的配置の状況や所管の小中学校における教育課程(授業時数)の見直し状況
に応じた配分へ見直し、教員の業務縮減につなげる実効的な仕組みを導入する。また、最低賃金の引上げを踏まえ、補助単価の引上げ(1,000円/時間→1,055円/時間)を行う。
・ 学校における働き方改革の効果を確実なものとするため、補習授業対応等といった学校教育活動を支援する学習指導員を引き続き配置
(11,000人→9,200人)するとともに、校内教育支援センターを拠点として、不登校傾向の児童生徒に対して学習支援等を行うため新たに校
内教育支援センター支援員を配置する(2,000人)。
・ 副校長・教頭の学校マネジメント等にかかる業務をサポートする支援員を拡充(1,000人→1,300人)する。
○スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡充
(84億円⇒86億円(+2.4%))
いじめや不登校など、様々な課題を抱える児童生徒への支援に向けた相談体制を充実する観点から、
・ スクールカウンセラーの配置について、引き続き全小中学校への配置(27,500校)、スーパーバイザーの配置(67人)に加え、いじめ・不
登校・貧困・虐待対策のための重点配置を拡充(10,000校→11,300校)するとともに、オンラインを効果的に活用した広域的な支援体制を
整備(67箇所)
・ スクールソーシャルワーカーについて、引き続き全中学校区への配置(10,000中学校区)、スーパーバイザーの配置(67人)に加え、いじ
め・不登校・貧困・虐待対策のための重点配置を拡充(10,000校→11,000校)するとともに、オンラインを効果的に活用した広域的な支援
体制を整備(67箇所)
すること等により、教育相談体制を整備する。
○切れ目ない支援体制整備充実事業
(42億円⇒47億円(+12.7%))
特別な支援を必要とする子供への切れ目ない支援体制の整備等を行う地方公共団体等を支援するため、「医療的ケア児及びその家族に対する支
援に関する法律」も踏まえ、医療的ケア看護職員の配置支援について、4,550人から4,900人に拡充する。
○学校を核とした地域力強化プラン
(76億円⇒76億円(▲1.1%))
学校・家庭・地域の連携・協働体制を構築し、地域の多様な関係者の参画による地域の特色を活かした教育活動を支援するため、コミュニ
ティ・スクール(学校運営協議会制度)と地域学校協働活動を一体的に推進する。
○公立学校施設整備(災害復旧費を除く)
(683億円⇒691億円(+1.2%))
※この他、6年度補正予算で体育館の空調整備(779億円)を含め2,076億円を計上
※スポーツ関係予算と一部重複がある
安全・安心な教育環境を構築するため、学校施設整備を推進する。併せて、物価高騰の影響等への対応のため補助単価を引上げる
(+10.0%)。
加えて、自民党・公明党・維新の会の3党合意(令和7年2月25日)を踏まえ、公立専門高校の産業教育施設整備費を増額する。
2-2.幼児教育
○幼児教育推進体制等を活用した幼保小の架け橋プログラム促進事業
(5億円(新規))
幼児期及び幼保小接続期の教育の質的向上を図るため、自治体における幼児教育支援センター等の幼児教育推進体制等を活用して、架け橋期のカリキュラム策定等を行い、「幼保小の架け橋プログラム」を促進する。
2-3.高校教育
○高等学校等就学支援金交付金等
(4,090億円⇒5,121億円(+25.2%))
高校生等の授業料に充てるため、年収910万円未満の世帯の生徒等を対象に高等学校等就学支援金を支給することとしていたが、自民党・公明党・維新の会の3党合意(令和7年2月25日)を踏まえ、全世帯を対象とする支援金(11.88万円)の支給について収入要件を事実上撤廃することとする。
○高校生等奨学給付金
(147億円⇒152億円(+3.4%))
低所得世帯における授業料以外の教育費負担を軽減するため、高校生等奨学給付金により支援を実施する。当該給付金についても、上記同様、3党合意を踏まえ、令和7年度においては、非課税世帯の第1子への給付額を拡充し、国公立の全日制等の第1子と第2子以降の給付額同額を実現する。
2-4.高等教育(大学等)
2-4-1.高等教育の無償化(修学支援新制度)等
○授業料等減免及び給付型奨学金
(5,438億円⇒6,532億円(+20.1%))
※社会保障関係費として計上
消費税財源を活用し、低所得世帯の大学生等に対して、授業料・入学金の減免及び給付型奨学金を支給する。
令和7年度より、「こども未来戦略」(令和5年12月22日 閣議決定)等に基づき、多子世帯の学生等について、所得制限を設けずに授業料・入学金を無償化する。(授業料等減免:4,578億円、給付型奨学金:1,954億円、地方分も合わせて7,025億円)
2-4-2.国立大学法人運営費交付金等
○国立大学法人運営費交付金
(10,784億円⇒10,784億円(同額))
大学を取り巻く環境が大きく変化する中、教育研究の質の向上努力を促すよう、メリハリある予算配分が重要。各大学の教育研究組織の改革に関する取組について、学部・研究科の再編・研究力強化・地方創生等の現代的課題への対応といった実効的な大学改革に繋がる取組に厳選されるように採択率を強化するなど、メリハリを強化する。
○国立大学経営改革促進事業
(52億円⇒53億円(+1.7%))
学長のリーダーシップに基づく経営改革を加速するため、リソースの重点投資により研究力を向上させる取組など、学内における資源再配分を伴う全学的な組織改革を行い、もって外部からの新たな投資を呼び込むような経営改革の取組を支援する。
2-4-3.私学助成
○私立大学等経常費補助
(2,978億円⇒2,979億円(+0.0%))
定員未充足の大学への配分を見直しつつ、以下のような取組により、少子化社会において喫緊の課題となっている、大学の戦略的な統合・縮小・撤退等による大学の構造転換を促進する。
・ 規模の適正化も含めた学部の再編等の経営改革や、統合も見据えた大学間連携に関する取組を重点支援する。
※ 好事例を横展開しつつ、令和8年度からは、定員充足率等が基準に満たない大学には、私学助成の交付要件として「経営改革計画」の策定
を求め、私学助成の適正化を図る。
・ 合併により経営の効率化を図る大学や地域需要・アクセスに応える大学への配分を強化する。
○私立高等学校等経常費助成費等補助
(1,012億円⇒1,003億円(▲0.9%))
私立高等学校等における教育の高度化等に必要な経費を着実に支援しつつ、幼稚園教諭のキャリアアップに資する処遇改善メニューの新設による人材確保支援の強化や、特別な支援が必要な幼児・生徒の数の増加への対応を実施する。
2-4-4.国立高等専門学校
○国立高等専門学校機構運営費交付金
(629億円⇒630億円(+0.1%))
高専教育の高度化のため、実践的スタートアップ教育等により社会ニーズを踏まえた人材育成体制を強化するとともに、海外で活躍できる技術者の育成支援等により高専の国際化を促進する。
2-4-5.高度専門人材の育成等
○未来を先導する世界トップレベル大学院教育拠点創出事業
(19億円(新規))
社会で活躍する質の高い博士人材をより多く輩出できるよう、世界トップレベルの大学院教育を行う拠点の形成を図るため、学内資源を大学院へシフトしつつ、徹底した国際化や産学連携による教育の強化を全学的に図る取組を支援する。
○半導体人材育成拠点形成事業
(6億円(新規))
※この他、6年度補正予算で10億円を計上
世界的に半導体需要が拡大する中での人材不足に対応し、高度な半導体人材を育成するため、半導体産業に係る地域性や各大学の特色を踏まえつつ、半導体人材教育プログラムを構築・展開する取組を支援する。
○大学の世界展開力強化事業
(13億円⇒15億円(+11.7%))
重要な国・地域との単位の相互認定等による質保証を伴った学生交流等を支援し、国際教育連携を推進するため、国際的に存在感を高めるグローバル・サウスの国々との大学間連携への支援を追加し、大学の世界展開力を強化する。
3.科学技術予算
3-1.研究力向上に向けた人材育成・研究費支援
○科学研究費助成事業(科研費)
(2,377億円⇒2,379億円(+0.1%))
※この他、6年度補正予算で52億円を計上
基礎から応用まで、全ての分野にわたる、研究者の自由な発想に基づく研究を支援する。令和7年度より新たに「国際性」の評価基準を導入し、国際的な競争力の高い研究課題への支援を充実する。
○戦略的創造研究推進事業(新技術シーズ創出)
(437億円⇒438億円(+0.3%))
イノベーションの源泉となる基礎研究を推進するため、国が定めた戦略目標の下、組織・分野を越えた体制を構築して行う研究を支援する。優秀な若手研究者のステップアップ等を推進する観点から、若手研究者支援を充実する。
○海外特別研究員制度
(25億円⇒28億円(+9.0%))
博士の学位を有する者の中から優れた若手研究者を「海外特別研究員」として採用し、海外の大学等研究機関において長期間(2年間)研究に専念できるよう支援する。物価上昇等に対応した支給額の増により支援を充実する。
○研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業
(6億円(新規))
大学の経営戦略の策定や経営資源の確保等の業務に当たる研究開発マネジメント人材(URA等)の量的不足の解消や質の向上を図りつつ、適切な処遇・キャリアパスを構築するため、大学における人材の確保及び育成に向けた支援を実施する。
3-2.AI、量子、健康・医療分野等の重要分野の研究の戦略的推進
○科学研究向け基盤モデルの開発・共用(TRIP-AGIS)
(17億円⇒25億円(+47.0%))
※この他、6年度補正予算で20億円を計上
理化学研究所において、米国の研究機関との連携体制を構築しつつ、画像・音声など多様なデータを追加学習させることで、生命・医科学など他の科学分野で活用可能な科学研究向けAI基盤モデルの開発を推進する。
○Fundamental Quantum Science Program
(7億円(新規))
※この他、6年度補正予算で10億円を計上
理化学研究所において、2030年代に日本が量子技術で世界をリードすることを目指し、量子コンピュータの実用化等に向けて量子の基礎学理の研究を推進する。
○AMED運営費交付金
(66億円⇒67億円(+2.3%))
日本医療研究開発機構(AMED)について、医療分野の研究開発関連の調整費の柔軟化や体制強化を行い、各省補助等事業の間の連携を確保し、切れ目ない支援を実施するとともに、事業の検討段階から出口志向の研究開発マネジメントを行うことによって、大学等の有望な創薬シーズの企業への導出を推進する。
3-3.大型プロジェクトの推進
○宇宙・航空分野の研究開発
(1,553億円⇒1,550億円(▲0.2%))
※この他、6年度補正予算で2,150億円を計上
・ 基幹ロケット打上げ能力の強化
(54億円→101億円(+88.0%))
※この他、6年度補正予算で63億円を計上
国際競争力を強化し、自立的な衛星打上げ能力を確保する観点から、基幹ロケットの開発・高度化等を推進するとともに、増加する国内外の打上げ需要に対応するため打上げの高頻度化を推進する。
・ アルテミス計画等の国際宇宙探査に向けた研究開発等
(153億円→76億円(▲50.4%))
※この他、6年度補正予算で439億円を計上
アルテミス計画への参画に伴い、月面での居住機能と移動機能を併せ持つ有人与圧ローバ、月周回有人拠点(ゲートウェイ)における有人滞在技術等について研究開発等を推進する。
○原子力分野の研究開発
(1,474億円⇒1,474億円(▲0.0%))
(うち、エネルギー対策特別会計へ繰入1,079億円)
※この他、6年度補正予算で298億円を計上
・ 新試験研究炉の開発・整備の推進
(21億円→24億円(+11.2%))
※この他、6年度補正予算で9億円を計上
「もんじゅ」サイトにおいて、原子力科学技術の研究開発、人材育成の基盤である新試験研究炉の開発・整備を推進するとともに、JRR-3の安定運用・RI製造に関する研究開発等を推進する。
・ バックエンド対策の促進
(535億円→534億円(▲0.2%))
※この他、6年度補正予算で50億円を計上
「もんじゅ」「ふげん」「東海再処理施設」やその他主要施設の廃止措置等を実施するとともに、研究施設等廃棄物埋設事業等のバックエンド対策を促進する。
○高輝度放射光施設(NanoTerasu)の整備・共用等
(38億円⇒42億円(+10.6%))
※この他、6年度補正予算で8億円を計上
官民地域パートナーシップの下で整備された高輝度放射光施設(NanoTerasu)について、令和7年3月から共用利用の開始を予定しているため、本格運用・利用促進に向け体制を充実する。
○ポスト「富岳」の開発・整備
(8億円(新規))
※この他、6年度補正予算で69億円を計上
スーパーコンピュータ「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステムの開発・整備に着手する。生成AIの技術革新等により必要な計算資源の需要が急拡大するとともに多様化している近年の情勢変化を踏まえ、遅くとも2030年頃に共用開始予定とする。
4.スポーツ関係予算
4-1.地域スポーツ環境の総合的な整備・充実
○運動部活動の地域連携・地域移行の推進
(28億円⇒32億円(+13.9%))
※文化部活動を含めると6年度は33億円、7年度は37億円(+12.5%)
※この他、6年度補正予算で27億円(文化部活動を含めると29億円)を計上
休日の部活動の段階的な地域移行を進めるため、全国で実証事業を実施し、地域の実情に応じた多様な地域移行の方策や関係者間の連携について実践・検証するとともに、地域移行に資する学校施設の改修や中学校における部活動指導員の配置等を支援する。
○アスリートの派遣等による体育授業等の充実・高度化の促進
(2億円⇒2億円(+4.6%))
アスリートとの直接交流を通じ、スポーツの意義を感じて子どもたちが自ら運動する意欲を喚起する教育手法の展開など、質の高い教育活動を進めていくため、アスリートの派遣を希望する学校等がスムーズに派遣を受けられる仕組みを構築する。
4-2.持続可能な競技力向上体制の確立
○競技力向上事業
(102億円⇒104億円(+1.8%))
持続的にオリンピック・パラリンピック大会を含む主要国際競技大会等で活躍するアスリートを輩出するため、各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動を支援するほか、ロサンゼルス2028大会等で活躍が期待される次世代アスリートの発掘・育成などの戦略的な取組に対する支援を実施する。
○ハイパフォーマンス・サポート事業
(15億円⇒14億円(▲7.0%))
※この他、6年度補正予算で7億円を計上
スポーツ医・科学、情報等によるトップアスリート活躍のための専門的かつ高度な支援を実施するとともに、ミラノ・コルティナ2026大会において、アスリート等が最終準備を行うための医・科学、情報等サポート拠点を設置する。
○先端技術を活用したHPSC基盤強化事業
(4億円⇒5億円(+22.5%))
ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)が行うスポーツ医・科学支援機能を発展させ、スポーツ医・科学、情報等の知見に基づくコンディショニングサポートの実証研究、デジタル等の先端技術を活用した支援手法の研究等を実施する。
5.文化庁予算
5-1.文化資源の持続可能な保存・活用による好循環の構築
○文化財の修理・整備・活用及び防災対策等
(250億円⇒244億円(▲2.5%))
※この他、6年度補正予算で230億円を計上
国宝・重要文化財(建造物・美術工芸品)や史跡等を積極的に活用しながら次世代に確実に継承できるよう、適切な修理・整備や、防災・防火対策等に対する支援を実施する。また、文化財保護・活用のための寄付の受け皿を整備する。
5-2.世界に誇る多様な文化芸術の創造・発信
○現代的課題に対応した劇場・音楽堂等の総合的な機能強化の推進
(27億円⇒37億円(+36.5%))
劇場・音楽堂等における実演芸術の創造発信や人材養成、普及啓発、施設間のネットワーク形成や子供の鑑賞機会を提供する取組などへの支援を通じ、劇場・音楽堂等における地域の核及び芸術の拠点としての機能を強化する。
○メディア芸術の創造・発信プラン
(9億円⇒9億円(同額))
マンガ、アニメ、ゲーム等のメディア芸術分野におけるクリエイター等の育成のほか、全国の所蔵館等におけるアーカイブ化の取組を支援する。また、産業界とも連携した(独)国立美術館における研究機能等の具体的な在り方の検討を実施。
5-3.文化振興を支える拠点等の整備・充実
○国立文化施設の機能強化等
(323億円⇒324億円(+0.5%))
※この他、6年度補正予算で21億円を計上
我が国の文化芸術の創造及び伝承・保存の中核であり、文化観光の拠点である国立文化施設の機能を充実・強化する。
図表 令和7年度 文部科学省予算(一般会計)
図表 令和7年度 主要経費「文教及び科学振興費」(一般会計)