近代と昭和が調和する街
小倉税務署 総務課長 齊藤 恒一
はじめに
小倉税務署は、数度の移転を経て平成10年10月に小倉北区大手町に移転され、今に至ります。
現在地には、その昔小倉陸軍造兵廠がありました。そのため、アメリカ軍が原子爆弾を投下する目標地となっていました。1945年8月9日、原爆を投下しようとアメリカ軍のB29「ボックスカー号」が飛来しましたが、前日の八幡空襲の煙や朝霧の影響により視界不良のため投下せず、次の候補地であった長崎へと進路を変更しました。
小倉税務署の近くにある「北九州平和のまちミュージアム」には、長崎市から寄贈された「長崎の鐘」(瓦礫の中から発見された浦上天主堂の鐘)が展示されており、毎年8月9日には、敷地内にある「原爆犠牲者慰霊平和記念碑」の前で長崎市と広島市の原爆犠牲者を慰霊する「平和祈念式典」が開催されています。
管内の名所・話題
[JR小倉駅と北九州モノレール]
福岡県で博多駅に次ぐ利用者数を誇る小倉駅は、九州の玄関口として、山陽新幹線の全列車が停車します。駅舎は、平成10年に改装され、その際、北九州モノレールが小倉駅まで延伸されました。
北九州モノレールの小倉駅は、JRの駅ビルからまるで空に飛び立つような造りになっており、小倉出身の松本零士作「銀河鉄道999」に登場するキャラクターをデザインしたラッピング車両「銀河鉄道999号」が小倉駅を出発する姿は「999号」そのもの。その姿を写真に収めようと、多くのファンの撮影スポットとなっています。
[北九州空港]
2006年に開港した北九州空港は、海上空港の利点を生かし、九州唯一の24時間空港として旅客便のほか、国内外の貨物便が離発着しています。
空港敷地内には、スターフライヤーの本社が置かれ、羽田-北九州間の早朝・深夜便を活用するデイユースに人気の空港となっています。
[小倉祇園太鼓]
小倉祇園太鼓は、小倉城内に鎮座する八坂神社の例大祭で、毎年7月第三金土日に開催されます。
小倉祇園太鼓には、山車に設置した太鼓を叩く「廻り太鼓」と、台に設置した太鼓を叩く「据え太鼓」があり、廻り太鼓は子供たちも一緒に太鼓を叩きながら街中を歩く一方、据え太鼓は太鼓の強弱や、拍子の緩急など各団体の個性ある表現を楽しむことができます。
[小倉焼肉通り]
小倉北区は「福岡県内No.1の焼肉のまち」と言われ、市民一人当たりの焼肉店舗数が県内市区町村の中で最も多く、特に「浅香通り」周辺は通称「小倉焼肉通り」と呼ばれるほど焼肉店が密集しています。また、小倉の焼肉店は、ホルモン推しの店が多く、「丸腸」提供の発祥は小倉北区京町の店と言われています。
アーケード商店街発祥の地
小倉北区にある魚町銀店街は、アーケード商店街の発祥の地で、1951年に開業しました。2024年1月3日に、銀天街の一角にある「鳥町食堂街」で火災が発生し、2730m2、36店舗が焼失しました。アーケードの一部にも被害が生じましたが、現在復旧に向け改修が進められています。
グルメ
[ぬかみそ炊き]
ぬかみそ炊きは、青魚を醤油等で炊き込み、最後にぬかみそを加え、炊き上げる小倉の郷土料理です。栄養価が高く保存がきき、合戦の際にも用いられていたことから、小倉藩主小笠原公から「陣立煮(じんだに)」と命名され、現在もその名がお土産の商品名として使われることがあります。
[どきどきうどん]
小倉には「どきどきうどん」と言われる「牛ほほ肉」を使用した肉うどんがあります。以前は牛ほほ肉と脂身を一緒に煮込み、出汁の表面に大量の脂が浮かんでいたことからこのような名前となっていますが、現在は脂身をしっかりと処理しているため、実際にはぎとぎと感は一切なく、美味しく召し上がれます。
おわりに
現在、小倉は駅周辺の再開発が進み、街並みが目まぐるしく変化する一方で、「昭和」から何も変わらないエリアが多く存在し、それらが調和しながら成長しています。
方言は尖っていますが、世話好きな小倉の人々との触れ合い、安くて美味しい料理、そしてお酒を堪能しに、小倉に来ちゃらんね。
歴史と風情を感じる温泉の町、武雄
武雄税務署 総務課長 田古里 照恵
はじめに
武雄税務署は、佐賀県の南西部に位置する武雄市、嬉野市、鹿島市、杵島郡(大町町、江北町、白石町)及び藤津郡(太良町)の3市4町を管轄し、管内の面積は、東京23区(627.57km2)とほぼ同じ644.17km2、管内の人口が約142,000人、職員数が28名のアットホームな税務署です。
明治29年11月に設置された後、数度の移転を重ね、平成30年9月に武雄市役所庁舎5階へ移転し、現在に至ります。
管内の特色
管内の名物を挙げると、武雄市・嬉野市を中心とする温泉街や陶磁器、鹿島市や白石平野を中心とした玉ねぎやレンコンなどの農作物、有明海の海苔やカニなどの海産物があります。
また、嬉野市のお茶「うれしの茶」は、全国茶品評会で何度も日本一を受賞するなど、高い評価を受けており、そのお茶を使用したスイーツ等も大変人気となっています。
そのほか、日本酒の醸造も盛んで、管内には酒蔵が8蔵あります。
写真 嬉野の茶畑
管内の見どころ
[武雄温泉]
武雄温泉は、1,300年の歴史を誇り、宮本武蔵やシーボルト、伊達政宗や伊能忠敬などが入浴したとの記録が残る名湯です。泉質は、弱アルカリ性単純の湯で、無色透明で肌触りがよく、疲労回復の効能があると言われています。
温泉の入口にある朱塗りの楼門は、佐賀県唐津市出身で東京駅や日本銀行本店などを設計したことで知られる辰野金吾の設計で、大正4年に建てられ、国の重要文化財に指定されるなど、武雄温泉の観光スポットになっています。
この楼門の二階天井には、十二支の子(ねずみ)、卯(うさぎ)、午(うま)、酉(とり)の4つの彫り絵が四隅に飾られています。
一方、東京駅の南北ドームの天井には、巳(み)、辰(たつ)など8つの干支のレリーフがあり、なぜ8つなのか、長い間、謎とされていましたが、楼門の4つと東京駅の8つを合わせると十二支が揃うということが分かり、話題となっています。
写真 武雄温泉楼門
写真 楼門天井の4つの彫り絵
[嬉野温泉]
古い歴史のある嬉野温泉は、日本三大美肌の湯の一つで、ぬめりのあるお湯は、ナトリウムを多く含む重曹泉で、浸かるだけでつるつるスベスベのお肌になると注目を集めています。
さらに、飲めば胃腸や肝臓等の機能を活性化させる効能もあると言われています。湯上がりには、嬉野温泉名物の「温泉湯豆腐」がおすすめです。
また、温泉街には、公衆浴場「シーボルトの湯」や美肌の神様として知られた「豊玉姫神社」があり、観光スポットとなっています。
[祐徳稲荷神社]
鹿島市にある祐徳稲荷神社は、1687年に肥前鹿島藩主・鍋島直朝の夫人により創建された神社で、日本三大稲荷の一つです。
豪華で華やかな外観から、「鎮西日光:九州の東照宮」とも呼ばれ、商売繁盛や縁結びなどのご利益があると信仰されており、年間300万人もの参拝客が訪れています。
写真 祐徳稲荷神社
[武雄市の巨木・大楠]
武雄市内には、樹齢3000年以上ある巨木・大楠が2本あります。若木町川古にある「川古(かわご)の大楠」と武雄神社にある「武雄の大楠」で、両方とも幹の太さが幹回り20mを超え、国の天然記念物に指定されています。全国巨木ランキングで上位にランクインしており、観光やパワースポットの場所として有名です。
写真 川古の大楠
写真 武雄の大楠
[飛龍窯(世界一の登り窯)]
飛龍窯は、「陶芸の里武雄」の拠点として、世界一の容積を誇る登り窯です。
4つの房から成り、その1つの大きさは大型バス1台と同じくらいの大きさで、全長は23m、一度に約12万個の湯飲みを焼成することができます。
写真 飛龍窯工房
[伝統的な町並み~塩田津・肥前浜宿~]
江戸時代に長崎街道の宿場町として栄えた「塩田津」(嬉野市)と「肥前浜宿」(鹿島市)は、今でも伝統的な町並みを楽しみながら散策することができます。
塩田津は、有明海の干満の差を利用して発達した川港として栄え、重厚な大型町家「居蔵家」が建ち並んでいます。塩田石で作られた仁王像や恵比寿像の石造物などがあり、2005年には重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
肥前浜宿は、佐賀県南西部の有明海沿いに位置し、「浜中町八本木宿」と「浜庄津町浜金屋町」の2つの重要伝統的建造物群保存地区があります。
浜中町八本木宿は、酒造などの醸造業を中心に発展し、「酒蔵通り」と呼ばれ、酒蔵見学が楽しめます。
写真 嬉野市塩田津
写真 肥前浜宿(浜中町八本木宿)
[酒蔵]
管内の酒蔵は、福岡国税局管内酒類鑑評会において、毎年受賞蔵が複数選出されています。
特に、2011年にイギリスで行われたIWC(インターナショナルワインチャンピオン)のSAKE部門で、鹿島市にある富久千代酒造の「鍋島大吟醸」が最優秀賞「チャンピオン・サケ」を獲得し、以来、「世界一の酒が生まれたまち」と呼ばれるようになり、全国から注目を集めるようになりました。
毎年3月には、「鹿島酒蔵ツーリズム」及び「嬉野酒蔵まつり」が同時開催され、シャトルバスで酒蔵をめぐるなど、多くの日本酒好きが集まり、賑わいを見せています。
また、鹿島市のJR肥前浜駅に、駅のホームに直結している日本酒バー「HAMA BAR」があり、全国的にも珍しいスタイルで、列車に乗る直前までお酒を堪能することができます。
写真 肥前浜駅・HAMABAR
おわりに
令和4年9月の西九州新幹線(武雄温泉~長崎)開業に伴い、嬉野温泉駅が新たに誕生するとともに、武雄温泉駅も新しく建て替わり、多くの観光客が訪れています。
ご紹介した以外にも、四季折々の自然を感じる御船山楽園(武雄市)や管内を一望できる肥前犬山城(白石町)など、まだまだ見どころ満載です。
歴史と風情ある町並みを散策するも良し、温泉や美味しい地酒を堪能するも良し、魅力あふれる武雄税務署管内に是非お越しください。
[写真提供:武雄市、嬉野市、鹿島市、武雄温泉株式会社]
豊かな自然に恵まれた港街
佐世保税務署 総務課長 穴井 啓輔
はじめに
佐世保税務署は、佐世保市と東彼杵郡(東彼杵町、川棚町、波佐見町)及び北松浦郡の1町(小値賀町)の1市4町を管轄しています。佐世保市は、長崎県北部に位置し、西海国立公園「九十九島(くじゅうくしま)」に代表される豊かな自然に恵まれた街です。かつて旧海軍の軍港としても栄えた歴史を持ち、現在は米海軍基地を有する国際色豊かな港街でもあります。また、日本最大級のテーマパーク「ハウステンボス」など観光都市としても知られています。
管内の名所・話題
【九十九島】
日本本土最西端に広がる「九十九島」は、複雑に入り組んだリアス式海岸と大小208の島々からなる風光明媚な景勝地です。「九十九」とは「数えきれないほどたくさん」という意味があります。有人島は、「黒島」、「高島」、「前島」及び「鼕泊(とうどまり)島」の4島のみで1955年にほぼ全域が西海国立公園に指定され、海岸線の81.5%に当たる288.5kmが自然海岸のまま保全されるなど美しい風景が広がっています。日本一、島が密集しているこのエリアでは、深い緑と大地の栄養が蓄えられた海で多様な生き物たちが生息しており、季節や時間ごとに自然が織りなす繊細な表情は、何度訪れても飽きることのない感動を与えてくれます。
【佐世保港】
佐世保港は古くから軍港として栄え、国防の要の港として、また、商港としての機能も果たしています。かつては連合艦隊も入港し、多くの海軍を送り出してきました。現在は、アメリカ海軍と海上自衛隊がその一部を使用し、軍港佐世保の港ならではの景色を作っています。土日祝日限定でガイドの案内を聞きながら佐世保港を巡る軍港クルーズも行われており、神奈川県の横須賀港、広島県の呉港など、体験できる場所が限られている上、貴重な体験ができるため人気があります。海上自衛隊佐世保史料館、通称「セイルタワー」で旧日本海軍・佐世保鎮守府時代から海上自衛隊に至る現在までの映像、写真、模型及び当時の資料などを通じて旧海軍、自衛隊の変遷を見るのもおススメの一つです。
【さるくシティ4〇3アーケード】
「さるく」とは、散歩する、歩き回るといった意味の佐世保の方言であり、「4〇3」とは、アーケードを構成する四ヶ町商店街、佐世保玉屋、三ヶ町商店街の総称です。四ヶ町と三ヶ町にかけて七つの町を跨ぐ全長約1キロのアーケードで一直線のアーケードとしては日本一の長さを誇ります。160店以上の店が出店し、天候に関係なく快適にショッピングやグルメが楽しめるほか、年間を通して様々なイベントを催しており、YOSAKOI佐世保祭りやキラキラフェスティバル、佐世保税務署の街頭キャンペーンもこのアーケードで行っています。
アーケードに沿ってすぐそばに、戦時中の防空壕跡をそのまま生かして作られた「トンネル横丁」や昔ながらの店が並ぶ「戸尾市場」など、佐世保の食文化や人情が感じられる買い物スポットもあります。
【佐世保のグルメ】
旧日本海軍の拠点として栄えた佐世保。戦後には米海軍基地が置かれ、音楽や食、ファッションなど様々なアメリカ文化がもたらされました。
「佐世保バーガー」は、1950年ごろ、米海軍基地から直接レシピを聞き作り始めたのがはじまりとされ、佐世保は「ハンバーガー伝来の地」と言われています。当初は基地の近くに開店しアメリカ人向けに販売されていましたが、その後独自のアレンジを展開し、佐世保流のハンバーガーとして確立され、地元のソウルフードとして多くの人に愛されています。
「レモンステーキ」もアメリカ海軍の影響で流行したステーキを日本人の口に合うようにアレンジして生まれた佐世保発祥のグルメです。食べやすい薄切り肉を鉄板の上に置き、焼きあがる直前にレモン風味の醤油ベースソースをかけていただきます。レモン果汁たっぷりの爽やかな味わいが特徴です。
おわりに
東彼杵郡最北端の寒村に過ぎなかった佐世保は、軍港の街として発展し、現在では、長崎県北部の政治、経済、産業及び文化の中心となっています。
全国的にはハウステンボスが有名ですが、それ以外にもご紹介できなかった地酒の酒蔵や弓張岳展望台、烏帽子岳など人気のスポットが多数あります。
豊かな自然に恵まれた港街、佐世保に是非お越しください。
(写真提供:一般社団法人長崎県観光連盟)
小倉税務署 総務課長 齊藤 恒一
はじめに
小倉税務署は、数度の移転を経て平成10年10月に小倉北区大手町に移転され、今に至ります。
現在地には、その昔小倉陸軍造兵廠がありました。そのため、アメリカ軍が原子爆弾を投下する目標地となっていました。1945年8月9日、原爆を投下しようとアメリカ軍のB29「ボックスカー号」が飛来しましたが、前日の八幡空襲の煙や朝霧の影響により視界不良のため投下せず、次の候補地であった長崎へと進路を変更しました。
小倉税務署の近くにある「北九州平和のまちミュージアム」には、長崎市から寄贈された「長崎の鐘」(瓦礫の中から発見された浦上天主堂の鐘)が展示されており、毎年8月9日には、敷地内にある「原爆犠牲者慰霊平和記念碑」の前で長崎市と広島市の原爆犠牲者を慰霊する「平和祈念式典」が開催されています。
管内の名所・話題
[JR小倉駅と北九州モノレール]
福岡県で博多駅に次ぐ利用者数を誇る小倉駅は、九州の玄関口として、山陽新幹線の全列車が停車します。駅舎は、平成10年に改装され、その際、北九州モノレールが小倉駅まで延伸されました。
北九州モノレールの小倉駅は、JRの駅ビルからまるで空に飛び立つような造りになっており、小倉出身の松本零士作「銀河鉄道999」に登場するキャラクターをデザインしたラッピング車両「銀河鉄道999号」が小倉駅を出発する姿は「999号」そのもの。その姿を写真に収めようと、多くのファンの撮影スポットとなっています。
[北九州空港]
2006年に開港した北九州空港は、海上空港の利点を生かし、九州唯一の24時間空港として旅客便のほか、国内外の貨物便が離発着しています。
空港敷地内には、スターフライヤーの本社が置かれ、羽田-北九州間の早朝・深夜便を活用するデイユースに人気の空港となっています。
[小倉祇園太鼓]
小倉祇園太鼓は、小倉城内に鎮座する八坂神社の例大祭で、毎年7月第三金土日に開催されます。
小倉祇園太鼓には、山車に設置した太鼓を叩く「廻り太鼓」と、台に設置した太鼓を叩く「据え太鼓」があり、廻り太鼓は子供たちも一緒に太鼓を叩きながら街中を歩く一方、据え太鼓は太鼓の強弱や、拍子の緩急など各団体の個性ある表現を楽しむことができます。
[小倉焼肉通り]
小倉北区は「福岡県内No.1の焼肉のまち」と言われ、市民一人当たりの焼肉店舗数が県内市区町村の中で最も多く、特に「浅香通り」周辺は通称「小倉焼肉通り」と呼ばれるほど焼肉店が密集しています。また、小倉の焼肉店は、ホルモン推しの店が多く、「丸腸」提供の発祥は小倉北区京町の店と言われています。
アーケード商店街発祥の地
小倉北区にある魚町銀店街は、アーケード商店街の発祥の地で、1951年に開業しました。2024年1月3日に、銀天街の一角にある「鳥町食堂街」で火災が発生し、2730m2、36店舗が焼失しました。アーケードの一部にも被害が生じましたが、現在復旧に向け改修が進められています。
グルメ
[ぬかみそ炊き]
ぬかみそ炊きは、青魚を醤油等で炊き込み、最後にぬかみそを加え、炊き上げる小倉の郷土料理です。栄養価が高く保存がきき、合戦の際にも用いられていたことから、小倉藩主小笠原公から「陣立煮(じんだに)」と命名され、現在もその名がお土産の商品名として使われることがあります。
[どきどきうどん]
小倉には「どきどきうどん」と言われる「牛ほほ肉」を使用した肉うどんがあります。以前は牛ほほ肉と脂身を一緒に煮込み、出汁の表面に大量の脂が浮かんでいたことからこのような名前となっていますが、現在は脂身をしっかりと処理しているため、実際にはぎとぎと感は一切なく、美味しく召し上がれます。
おわりに
現在、小倉は駅周辺の再開発が進み、街並みが目まぐるしく変化する一方で、「昭和」から何も変わらないエリアが多く存在し、それらが調和しながら成長しています。
方言は尖っていますが、世話好きな小倉の人々との触れ合い、安くて美味しい料理、そしてお酒を堪能しに、小倉に来ちゃらんね。
歴史と風情を感じる温泉の町、武雄
武雄税務署 総務課長 田古里 照恵
はじめに
武雄税務署は、佐賀県の南西部に位置する武雄市、嬉野市、鹿島市、杵島郡(大町町、江北町、白石町)及び藤津郡(太良町)の3市4町を管轄し、管内の面積は、東京23区(627.57km2)とほぼ同じ644.17km2、管内の人口が約142,000人、職員数が28名のアットホームな税務署です。
明治29年11月に設置された後、数度の移転を重ね、平成30年9月に武雄市役所庁舎5階へ移転し、現在に至ります。
管内の特色
管内の名物を挙げると、武雄市・嬉野市を中心とする温泉街や陶磁器、鹿島市や白石平野を中心とした玉ねぎやレンコンなどの農作物、有明海の海苔やカニなどの海産物があります。
また、嬉野市のお茶「うれしの茶」は、全国茶品評会で何度も日本一を受賞するなど、高い評価を受けており、そのお茶を使用したスイーツ等も大変人気となっています。
そのほか、日本酒の醸造も盛んで、管内には酒蔵が8蔵あります。
写真 嬉野の茶畑
管内の見どころ
[武雄温泉]
武雄温泉は、1,300年の歴史を誇り、宮本武蔵やシーボルト、伊達政宗や伊能忠敬などが入浴したとの記録が残る名湯です。泉質は、弱アルカリ性単純の湯で、無色透明で肌触りがよく、疲労回復の効能があると言われています。
温泉の入口にある朱塗りの楼門は、佐賀県唐津市出身で東京駅や日本銀行本店などを設計したことで知られる辰野金吾の設計で、大正4年に建てられ、国の重要文化財に指定されるなど、武雄温泉の観光スポットになっています。
この楼門の二階天井には、十二支の子(ねずみ)、卯(うさぎ)、午(うま)、酉(とり)の4つの彫り絵が四隅に飾られています。
一方、東京駅の南北ドームの天井には、巳(み)、辰(たつ)など8つの干支のレリーフがあり、なぜ8つなのか、長い間、謎とされていましたが、楼門の4つと東京駅の8つを合わせると十二支が揃うということが分かり、話題となっています。
写真 武雄温泉楼門
写真 楼門天井の4つの彫り絵
[嬉野温泉]
古い歴史のある嬉野温泉は、日本三大美肌の湯の一つで、ぬめりのあるお湯は、ナトリウムを多く含む重曹泉で、浸かるだけでつるつるスベスベのお肌になると注目を集めています。
さらに、飲めば胃腸や肝臓等の機能を活性化させる効能もあると言われています。湯上がりには、嬉野温泉名物の「温泉湯豆腐」がおすすめです。
また、温泉街には、公衆浴場「シーボルトの湯」や美肌の神様として知られた「豊玉姫神社」があり、観光スポットとなっています。
[祐徳稲荷神社]
鹿島市にある祐徳稲荷神社は、1687年に肥前鹿島藩主・鍋島直朝の夫人により創建された神社で、日本三大稲荷の一つです。
豪華で華やかな外観から、「鎮西日光:九州の東照宮」とも呼ばれ、商売繁盛や縁結びなどのご利益があると信仰されており、年間300万人もの参拝客が訪れています。
写真 祐徳稲荷神社
[武雄市の巨木・大楠]
武雄市内には、樹齢3000年以上ある巨木・大楠が2本あります。若木町川古にある「川古(かわご)の大楠」と武雄神社にある「武雄の大楠」で、両方とも幹の太さが幹回り20mを超え、国の天然記念物に指定されています。全国巨木ランキングで上位にランクインしており、観光やパワースポットの場所として有名です。
写真 川古の大楠
写真 武雄の大楠
[飛龍窯(世界一の登り窯)]
飛龍窯は、「陶芸の里武雄」の拠点として、世界一の容積を誇る登り窯です。
4つの房から成り、その1つの大きさは大型バス1台と同じくらいの大きさで、全長は23m、一度に約12万個の湯飲みを焼成することができます。
写真 飛龍窯工房
[伝統的な町並み~塩田津・肥前浜宿~]
江戸時代に長崎街道の宿場町として栄えた「塩田津」(嬉野市)と「肥前浜宿」(鹿島市)は、今でも伝統的な町並みを楽しみながら散策することができます。
塩田津は、有明海の干満の差を利用して発達した川港として栄え、重厚な大型町家「居蔵家」が建ち並んでいます。塩田石で作られた仁王像や恵比寿像の石造物などがあり、2005年には重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
肥前浜宿は、佐賀県南西部の有明海沿いに位置し、「浜中町八本木宿」と「浜庄津町浜金屋町」の2つの重要伝統的建造物群保存地区があります。
浜中町八本木宿は、酒造などの醸造業を中心に発展し、「酒蔵通り」と呼ばれ、酒蔵見学が楽しめます。
写真 嬉野市塩田津
写真 肥前浜宿(浜中町八本木宿)
[酒蔵]
管内の酒蔵は、福岡国税局管内酒類鑑評会において、毎年受賞蔵が複数選出されています。
特に、2011年にイギリスで行われたIWC(インターナショナルワインチャンピオン)のSAKE部門で、鹿島市にある富久千代酒造の「鍋島大吟醸」が最優秀賞「チャンピオン・サケ」を獲得し、以来、「世界一の酒が生まれたまち」と呼ばれるようになり、全国から注目を集めるようになりました。
毎年3月には、「鹿島酒蔵ツーリズム」及び「嬉野酒蔵まつり」が同時開催され、シャトルバスで酒蔵をめぐるなど、多くの日本酒好きが集まり、賑わいを見せています。
また、鹿島市のJR肥前浜駅に、駅のホームに直結している日本酒バー「HAMA BAR」があり、全国的にも珍しいスタイルで、列車に乗る直前までお酒を堪能することができます。
写真 肥前浜駅・HAMABAR
おわりに
令和4年9月の西九州新幹線(武雄温泉~長崎)開業に伴い、嬉野温泉駅が新たに誕生するとともに、武雄温泉駅も新しく建て替わり、多くの観光客が訪れています。
ご紹介した以外にも、四季折々の自然を感じる御船山楽園(武雄市)や管内を一望できる肥前犬山城(白石町)など、まだまだ見どころ満載です。
歴史と風情ある町並みを散策するも良し、温泉や美味しい地酒を堪能するも良し、魅力あふれる武雄税務署管内に是非お越しください。
[写真提供:武雄市、嬉野市、鹿島市、武雄温泉株式会社]
豊かな自然に恵まれた港街
佐世保税務署 総務課長 穴井 啓輔
はじめに
佐世保税務署は、佐世保市と東彼杵郡(東彼杵町、川棚町、波佐見町)及び北松浦郡の1町(小値賀町)の1市4町を管轄しています。佐世保市は、長崎県北部に位置し、西海国立公園「九十九島(くじゅうくしま)」に代表される豊かな自然に恵まれた街です。かつて旧海軍の軍港としても栄えた歴史を持ち、現在は米海軍基地を有する国際色豊かな港街でもあります。また、日本最大級のテーマパーク「ハウステンボス」など観光都市としても知られています。
管内の名所・話題
【九十九島】
日本本土最西端に広がる「九十九島」は、複雑に入り組んだリアス式海岸と大小208の島々からなる風光明媚な景勝地です。「九十九」とは「数えきれないほどたくさん」という意味があります。有人島は、「黒島」、「高島」、「前島」及び「鼕泊(とうどまり)島」の4島のみで1955年にほぼ全域が西海国立公園に指定され、海岸線の81.5%に当たる288.5kmが自然海岸のまま保全されるなど美しい風景が広がっています。日本一、島が密集しているこのエリアでは、深い緑と大地の栄養が蓄えられた海で多様な生き物たちが生息しており、季節や時間ごとに自然が織りなす繊細な表情は、何度訪れても飽きることのない感動を与えてくれます。
【佐世保港】
佐世保港は古くから軍港として栄え、国防の要の港として、また、商港としての機能も果たしています。かつては連合艦隊も入港し、多くの海軍を送り出してきました。現在は、アメリカ海軍と海上自衛隊がその一部を使用し、軍港佐世保の港ならではの景色を作っています。土日祝日限定でガイドの案内を聞きながら佐世保港を巡る軍港クルーズも行われており、神奈川県の横須賀港、広島県の呉港など、体験できる場所が限られている上、貴重な体験ができるため人気があります。海上自衛隊佐世保史料館、通称「セイルタワー」で旧日本海軍・佐世保鎮守府時代から海上自衛隊に至る現在までの映像、写真、模型及び当時の資料などを通じて旧海軍、自衛隊の変遷を見るのもおススメの一つです。
【さるくシティ4〇3アーケード】
「さるく」とは、散歩する、歩き回るといった意味の佐世保の方言であり、「4〇3」とは、アーケードを構成する四ヶ町商店街、佐世保玉屋、三ヶ町商店街の総称です。四ヶ町と三ヶ町にかけて七つの町を跨ぐ全長約1キロのアーケードで一直線のアーケードとしては日本一の長さを誇ります。160店以上の店が出店し、天候に関係なく快適にショッピングやグルメが楽しめるほか、年間を通して様々なイベントを催しており、YOSAKOI佐世保祭りやキラキラフェスティバル、佐世保税務署の街頭キャンペーンもこのアーケードで行っています。
アーケードに沿ってすぐそばに、戦時中の防空壕跡をそのまま生かして作られた「トンネル横丁」や昔ながらの店が並ぶ「戸尾市場」など、佐世保の食文化や人情が感じられる買い物スポットもあります。
【佐世保のグルメ】
旧日本海軍の拠点として栄えた佐世保。戦後には米海軍基地が置かれ、音楽や食、ファッションなど様々なアメリカ文化がもたらされました。
「佐世保バーガー」は、1950年ごろ、米海軍基地から直接レシピを聞き作り始めたのがはじまりとされ、佐世保は「ハンバーガー伝来の地」と言われています。当初は基地の近くに開店しアメリカ人向けに販売されていましたが、その後独自のアレンジを展開し、佐世保流のハンバーガーとして確立され、地元のソウルフードとして多くの人に愛されています。
「レモンステーキ」もアメリカ海軍の影響で流行したステーキを日本人の口に合うようにアレンジして生まれた佐世保発祥のグルメです。食べやすい薄切り肉を鉄板の上に置き、焼きあがる直前にレモン風味の醤油ベースソースをかけていただきます。レモン果汁たっぷりの爽やかな味わいが特徴です。
おわりに
東彼杵郡最北端の寒村に過ぎなかった佐世保は、軍港の街として発展し、現在では、長崎県北部の政治、経済、産業及び文化の中心となっています。
全国的にはハウステンボスが有名ですが、それ以外にもご紹介できなかった地酒の酒蔵や弓張岳展望台、烏帽子岳など人気のスポットが多数あります。
豊かな自然に恵まれた港街、佐世保に是非お越しください。
(写真提供:一般社団法人長崎県観光連盟)