歴史が息づき、祭りが躍動するまち―あおもり 青森市
青森税務署 総務課長
佐藤 和弘
はじめに
青森税務署は、青森市、東津軽郡(平内町、今別町、蓬田村、外ヶ浜町)の1市3町1村を管轄としています。青森県の県庁所在地でもある青森市は、本州と北海道を繋ぐ商業の流通拠点として、青森県内でも多くの企業が集まっており、また、日本屈指の特別豪雪地帯としても有名です。
ねぶた祭り
ねぶた祭りは、東北三大祭りの一つで国の重要無形民俗文化財に指定されており、毎年8月2日~7日に開催されています。8月2日~6日の夜から、運行コース上にねぶたが待機し、一斉にすべてのねぶたが動き出します。最終日の7日(なぬか日)は前日までの夜の運行とは雰囲気がまったく違う日中の運行が行われます。日中の運行が終わると選ばれたねぶた数台が台船に乗せられ、ねぶた祭りのグランドフィナーレである、ねぶた海上運行と花火の共演のための準備が行われますが、その際に、ねぶたがクレーンに吊られる光景はまさに「空飛ぶねぶた」のようにも見えます。そして、夜になると海上運行が始まります。海上運行とは、台船に乗せられた受賞ねぶた数台が青森港を運行するもので、同時刻に開催される「青森花火大会」で打ち上がる10,000発以上の花火とともに祭りのフィナーレを鮮やかに彩ります。
祭りで運行される大型ねぶたは幅9メートル奥行き7メートル高さ5メートルあるものもあり、1台のねぶたが完成するまでには様々な工程を経て、作成期間は半年以上を要します。ねぶたの作成には、「ねぶた師」と呼ばれる製作者達が秋・冬の頃から構想を練り設計図になる主体を描きます。その後、4月下旬に制作現場となる小屋が建てられ骨組み作業が始まります。骨組み作業は角材で支柱を組み針金で立体的な形を作っていき、内部には1,000個前後の電球や蛍光灯が仕込まれています。その後、針金で組まれたおよそ10,000マスに上質な厚手の和紙を貼る「紙貼り」、純白のねぶたに墨で顔の目鼻などを書き割ける「書割り」、パラフィンを溶かしたもので着物の模様などを描くことで色の滲みを防ぎ明るさを際立たせる「ろう付け」、染料・顔料を筆やスプレーで色鮮やかに仕上げる「色付け」、関係者約50人で運行用台車に乗せる「台上げ」、最後に台車に看板や提灯を付けてようやく完成します。
祭り当日の運行での踊り手は「跳人(はねと)」と呼ばれ、その名のとおりぴょんぴょん跳ねるのが特徴的です。衣装さえ身に着ければ跳人として誰でも参加できるのが魅力の一つです。跳人は跳ねながら「ラッセラー、ラッセラー」と威勢の良い掛け声を掛け合います。この掛け声はねぶたの照明に使っていたろうそくや酒などをいっぱい「出せ!出せ!」と呼んでいたのが「ラッセラー、ラッセラー」に変化したなどという説があります。
今では日本の火祭りなどとも称され毎年多くの観光客が訪れるようになったねぶた祭りですが、その始まりについての由来は諸説あります。津軽藩初代藩主の津軽為信公が京都でお国自慢の一つとして大きな灯籠を作らせ、賑やかに京の都を練り歩いたところ津軽の大灯籠などと大評判になり、これが津軽でも行われるようになったとされる説や、過酷な農作業を強いられる夏場に睡魔を追い払うため灯籠を川や海に流すという七夕行事の「眠り流し」が時を経てねぶた祭りの起源となったのではという説があり、最近は後者の説が最も有力とされているそうです。いずれにせよ、五穀豊穣や無病息災などを願う人々の祈りから生まれたものであり、そこにねぶたを愛する人の情熱が加わり現在のような盛大なねぶた祭りに発展・進歩を遂げたのです。
写真 フィナーレを彩る海上運行
写真 大迫力のねぶた
写真 当署で参加したねぶた祭りの風景
味噌カレー牛乳ラーメン
味噌カレー牛乳ラーメンは、味噌ラーメンにカレー粉と牛乳を入れたもので、味噌のコクとスパイスの効いたカレー風味が重なり合うパンチの効いた味でありながらも、牛乳とバターのまろやかさで全体を包み込むため、スパイシーかつマイルドという絶妙なバランスで調和されたラーメンです。
また、少し濃い目なスープにモチモチ食感の黄色い中太麺とチャーシュー、もやし、ワカメ、メンマ等のトッピングがとても相性が良く、青森市民のソウルフードとして約40年間愛されています。
味噌カレー牛乳ラーメンの始まりは、青森市民には馴染みのなかった味噌ラーメンを青森市民の口に合うようにして提供していた店舗に来ていた中高生がラーメンに様々な調味料を組み合わせてラーメンを食べるのが流行っていたところ、味噌ラーメンにカレー粉と牛乳を入れて食べると美味しいという結論に至り、その後、その店舗で正式なメニューとして販売されるようになったとのことです。
青森へお越しの際には、是非ご賞味ください。
写真 味噌カレー牛乳ラーメン
浅虫温泉
浅虫温泉は、夏泊半島の付け根にある海岸沿いの温泉地で、平安時代に慈覚大師(円仁)が発見したと伝えられており、その歴史は1,200年以上と言われている由緒ある温泉です。
浅虫温泉は、かつては布を織る麻を蒸すためだけに使われていたものを1190年にこの地を訪れた円光大師(法然)が、傷ついた鹿が湯浴みするのを見て村人に入浴をすすめ、それ以来人々に利用されるようになったそうで、その温泉名は麻を蒸す「麻蒸」が転じて「浅虫」になったと言い伝えられています。
浅虫温泉のお湯は無色透明・無味無臭で、肌に優しい湯ざわりであり、神経痛・リウマチ・腰痛・皮膚病などに効くとされているほか、保湿力があり、美肌効果も期待できるそうです。
浅虫温泉周辺には、青い森鉄道浅虫温泉駅を中心に大型ホテルや旅館が立ち並び、浅虫水族館、遊覧船、森林公園などの様々なレジャーを楽しむこともできます。
写真 浅虫温泉郷
三内丸山遺跡
三内丸山遺跡では、1992年から始まった発掘調査で、縄文時代前期~中期の大規模な集落跡が見つかり、多くの竪穴建物や掘立柱建物跡、盛土、大人や子供の墓などのほか、多量の土器や石器、貴重な木製品、骨角製品などが出土しました。
青森県は遺跡の重要性から1994年に遺跡の保存を決定した後、遺跡の整備と公開を行い、1997年3月には史跡に指定され、さらに2000年11月には特別史跡に、2003年5月には出土品1,958点が重要文化財に指定されています。
また、2021年7月には三内丸山遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されました。
三内丸山遺跡は、東京ドーム約9個分にもなる国内最大級の縄文時代の遺跡であり、縄文時代の「ムラ」を体験できる場所として多くの観光客が訪れています。
写真 三内丸山遺跡
おわりに
地名「青森」としてまちづくりが開始されてから、令和7年は「青森開港400年」、令和8年は「青森まちづくり400年」を迎え、2年間に渡り、様々な記念イベントを企画しています。
管内全市町村が陸奥湾に面しており、漁業も盛んです。特に、ホタテ、マグロ、イクラなどの魚介類を自分でごはんの上に盛り付けするオリジナルの海鮮丼や、ホタテの貝殻を鍋代わりにし、焼き干しのダシ汁にみそを溶き入れ、ホタテや地元の食材を煮込んで最後に溶き卵でとじる貝焼き味噌も人気です。
青森にお越しの際には、ご賞味ください。
海と祈りと、恵みのまち―松島・塩釜 塩釜市
塩釜税務署 総務課長
安田 耕人
はじめに
塩釜税務署は、塩釜市、多賀城市、宮城郡(松島町、利府町、七ヶ浜町)の2市3町を管轄としています。塩釜税務署が所在する塩釜市は宮城県のほぼ中央に位置し、当署管内には日本三景である松島やその一環をなす浦戸諸島の手つかずの景色や自然との共生の風景、その松島湾に面した天然の良港としての港町の風情、遠く平安時代からの歴史を持つ鹽竈(しおがま)神社など様々な魅力がありますが、ここでは管内の見どころである松島、松島の牡蠣、鹽竈神社をご紹介します。
松島
松島は日本三景の一つとして多くの人に愛され、連休や週末だけではなく平日も多くの観光客で賑わう日本を代表する観光地です。
年間300万人以上が訪れており、雄大な自然の景色や日本の歴史を感じさせる建造物、地域独特の海産物など松島の魅力は海外からの観光客にも人気を博しています。
陸地からの壮大な眺めに加え、遊覧船に乗ることで海からの眺めでも絶景と感動を味わうことができます。春は桜との共演、夏は海水浴、秋は紅葉、冬は雪景色といった、どの季節に訪れても飽きることなく、お子様からご年配の方々まで年代を問わず楽しめるのも特徴の一つです。
古くには戦国武将・伊達政宗公や「奥の細道」で有名な俳諧師・松尾芭蕉も愛したとされる松島ですが、現代においても人々の心をつかみ、安らぎの時間と空間を与えてくれています。
ここでは、そんな松島の魅力である「景色」と「島々」をご紹介します。
〈景色〉
松島の最大の魅力は大自然が生み出す景色の壮大さです。「四大観」と呼ばれる絶景ポイントが4つあり、それぞれ「壮観」、「麗観」、「偉観」、「幽観」と言われています。
壮観(大高森山)は、松島湾の東に位置する宮戸島・大高森山頂からの眺めを指します。海に浮かぶ島々がまるで箱庭の中にあるような錯覚に陥るほど、一面に広がる景色を堪能できます。
麗観(富山)は、松島湾の北に位置する富山(とみやま)山頂から見る眺めを指します。富山観音がある大仰寺には趣のある庭があり、かつては明治天皇もご覧になられた由緒ある場所です。
偉観(多聞山)は、松島湾の南にある七ヶ浜町の代ヶ崎断崖から眺める景色を指します。打ち寄せる荒波や塩釜港を発着とする数々の船舶を楽しむことができます。
幽観(扇谷)は、松島湾の西に位置する双観山高台から見る景色を指します。松島湾が扇の形に見えることから扇谷とも呼ばれ、朝陽が上る時間はまさに絶景です。
朝陽や夕焼け、初日の出など太陽と共演する時間帯は特に人気があります。
また、夕方から夜にかけては青みがかかった空と月がまるで絵に描いたような松島の景色と合い、まさに至福の眺めであります。
写真 桜の松島(写真提供:宮城県観光戦略課)
写真 幽観(写真提供:宮城県観光戦略課)
〈島々〉
松島湾の海には260以上の島々が浮かんでおり、氷河期以降の地殻変動や地盤沈下・海面上昇など、地球規模の自然の歴史を経て約5,000年前に現在の松島が作られたと考えられています。陸地からの眺めと形のユニークさを間近で感じることができる遊覧船からの眺めでは異なる魅力があります。数多くある島々の中でも特に人気のある代表的な島々である「仁王島」、「鎧島」、「兜島」、「夫婦島」をご紹介します。
仁王島は、仁王像に似ていることから命名されたと考えられており、松島を代表する島の一つです。見る人や角度によって様々な形に見えるため、想像力を掻き立てられる不思議な島です。
鎧島は、荒波によって削られたとは思えない曲線が特徴的な島で、自然が作り出す造形美を堪能することができます。思いの外小さいので見逃さないようにするのがポイントです。
兜島は、戦国武将が被った烏帽子兜に似ているといわれる島です。奇妙な形が多い松島の中でも印象に残る島の一つです。
夫婦島は、仲良く寄り添う夫婦のように見える二つの島です。東と西に分かれて位置しており、女島・男島とも呼ばれています。
松島の牡蠣
松島湾は先ほどご紹介したとおり日本三景の一つとして知られる一方で、高品質な牡蠣の産地としても高い評価を受けています。松島の牡蠣は、豊かな自然環境と伝統的な養殖技術によって育まれ、全国的にも根強い人気を誇っています。松島湾は、多くの小さな島々によって波が穏やかに保たれており、牡蠣の養殖に非常に適した地形です。さらに、山からの豊富な栄養分が川を通じて海に流れ込むことで、プランクトンが豊富に発生し、牡蠣の成長を促します。こうした自然の恵みに加え、地元の漁師たちが長年にわたって培ってきた養殖技術により、身が引き締まり、旨味が凝縮された高品質な牡蠣が育てられています。松島の牡蠣の最大の特徴は、濃厚かつクリーミーな味わいにあります。特に冬場は水温が下がることで牡蠣の身が締まり、旨味がさらに増します。出荷の最盛期は10月下旬から3月頃までで、この時期には多くの観光客が松島を訪れ、新鮮な牡蠣を味わうためにかき小屋や地元の食堂に足を運びます。
松島では、牡蠣を様々な調理法で楽しむことができ、中でも人気なのが焼き牡蠣、牡蠣フライ、牡蠣鍋です。焼き牡蠣は、シンプルながらも海の香りと牡蠣本来の旨味をダイレクトに感じられる一品で、特にかき小屋では食べ放題で提供されることが多く、観光客にも人気です。また、牡蠣の土手鍋は仙台味噌をベースにした濃厚な鍋料理で、寒い冬にぴったりの郷土料理として知られています。加えて、松島の牡蠣は生食用としても高く評価されています。衛生管理が徹底されており、厳しい検査をクリアした牡蠣だけが生食用として提供されます。そのままレモンを絞って食べるとクリーミーな味とともに磯の香りが口いっぱいに広がり、まさに海の恵みをダイレクトに感じることができます。松島の牡蠣は、現地で楽しむだけでなく、お取り寄せとしても人気があります。冷凍や加熱用、生食用など、様々な形で全国に発送されており、自宅でもその味を堪能することができます。ふるさと納税の返礼品としても提供されており、リピーターも多いそうです。
美しい景色とともに楽しむ松島の牡蠣は、まさに自然と人の知恵が生んだ逸品です。観光と食の両方を満喫できる松島は、牡蠣好きにとって一度は訪れたい場所といえます。
写真 松島の牡蠣(写真提供:宮城県観光戦略課)
鹽竈神社
鹽竈神社は、東北屈指の古社で、海の守り神・塩づくりの神として古来より厚い信仰を集めてきました。正式には「志波彦神社・鹽竈神社」と称され、二社が同じ境内に並立する珍しい神社です。主祭神である鹽土老翁神(しおつちおぢのかみ)は、塩の製法を人々に教えた神として伝えられ、製塩、航海安全、漁業、安産、厄除けのご利益があるとされています。
この神社の歴史は非常に古く、平安時代に編纂された「延喜式神名帳」にも名を連ねる名神大社で、陸奥国一之宮として格式を誇ります。また、奥州藤原氏や仙台藩主伊達氏など、時の権力者からも厚く信仰されてきました。江戸時代には仙台藩の庇護を受け、現在の荘厳な社殿群が整備されました。特に、本殿・拝殿・楼門など12棟が国の重要文化財に指定されており、歴史的・建築的にも高い価値があります。
鹽竈神社の境内は小高い塩竃山の上にあり、海を見下ろすような位置に鎮座しています。表坂には202段の石段があり、訪れる人々に登拝という形で神聖な空気を感じさせます。反対側には比較的緩やかな裏坂もあり、体力に自信のない人でも参拝しやすいように配慮されています。
季節によって様々な表情を見せるのも鹽竈神社の特徴の一つです。特に春には境内に咲き誇る「鹽竈桜」が有名です。桜の季節には、夜間ライトアップも行われ、幻想的な景色を楽しむことができます。
境内には「鹽竈神社博物館」も併設されており、神社の歴史、伝統的な漁具や祭礼道具、武具などの貴重な文化財を見学できます。また、高台に位置する境内からは松島湾を一望でき、晴れた日には絶景のビューポイントとしても人気があります。
さらに、鹽竈神社は地域の祭礼や伝統行事の中心でもあり、特に7月に開催される「塩竃みなと祭」は日本三大船祭に数えられ最大の見せ場である神輿海上渡御(みこしかいじょうとぎょ)では、神輿を乗せた御座船(ござぶね)が約100隻もの供奉船(ぐぶせん)を従え松島湾を巡幸するという壮麗な祭礼です。この祭りには多くの市民や観光客が訪れ、港町塩釜の伝統と信仰が今なお息づいていることを実感させてくれます。
観光地としても信仰の場としても、鹽竈神社は東北を代表する文化遺産です。歴史・自然・信仰が調和したその魅力は、訪れる人々に深い感動と静かな敬意をもたらしてくれます。
写真 鹽竈神社(写真提供:宮城県観光戦略課)
おわりに
松島・塩竃は、歴史、豊かな海の幸、絶景を体感できる魅力あふれる観光スポットです。日常の喧騒から離れ心も体も癒される贅沢な時間を過ごしてみませんか?爽やかな潮風や美味しい海の幸と相性抜群の地酒があなたをお待ちしています。
松島・塩竃に是非、お越しください。
湯の里、果実の郷、そばの風土。山形が贈る至福の時間 村山市
村山税務署 総務課長
佐藤 真貴子
はじめに
村山税務署は、村山市、東根市、尾花沢市、北村山郡(大石田町)の3市1町を管轄しています。
村山税務署が所在する村山市は山形県の中心部に位置し、東を奥羽山脈、西を出羽丘陵に囲まれています。中央には最上川が流れ、流域には肥沃な土地が広がる自然豊かな地域です。
基幹産業の一つである農業は、稲作をはじめ多くの農産物が生産され、中でもさくらんぼやすいかは、昼夜の寒暖差の影響を受け良質で甘みも強く、市場で高い評価を受けています。
銀山温泉
銀山温泉は、山間の豊かな自然の中に佇み、ゆったりとした時間を過ごすことができます。川沿いには大正から昭和初期に建てられた木造旅館が軒を連ね、古き良き時代の哀愁のある街並みを楽しむことができます。江戸時代に銀山として栄えた後、400年以上にわたり多くの湯治客を癒してきた歴史のある温泉街は、国民的ドラマの撮影地としても有名です。一歩足を踏み入れれば銀山川のせせらぎが耳に心地よく、通り沿いの足湯から湯けむりが立ち上がる温泉地ならではの光景が広がり、大正時代の趣を残す美しい街並みを歩けば、当時にタイムスリップしたかのような非日常感を味わうことができます。春夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と様々な表情のある銀山温泉は、どの季節も写真映えする撮影スポットです。特に、冬の山景をバックに雪が降り積もる景色は、幻想的であり、白銀の世界にライトアップが映える夜はロマンチックで一生の記憶に残る景色になるはずです。
また、大正文化の面影を残す旅館は大ヒットアニメ映画の舞台となった湯屋を彷彿とさせる撮影スポットとしても大人気であり、多くの観光客が訪れます。街に光が灯り始める夕暮れ時が特におすすめで、建物正面につながる赤い橋を含む眺めは、映画にあるような世界観を感じられます。
そんな銀山温泉のお湯は、美容と健康に効果的な硫黄泉で、肌に優しい成分を多く含んでおり、美肌効果があるとも有名です。硫黄の成分は、肌の新陳代謝を促進し、古い角質を取り除いてくれるため、入浴後はしっとりとしたツヤのある肌になります。特に、アトピー性皮膚炎や乾燥肌に悩む方々には、この泉質が非常に効果的であると古くから言われているそうです。また、銀山温泉の湯は、血行を良くし、筋肉の緊張を和らげるため、疲労回復やリラックス効果が得られ、心身ともにリフレッシュすることができます。
ノスタルジックな街並みで古き良き趣を感じながら、美肌効果もある硫黄泉で心身ともにリフレッシュすることができる銀山温泉に是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
写真 冬の銀山温泉
東根さくらんぼ
山形県はさくらんぼの全国生産量の約7割を占めるまでの「さくらんぼ王国」であり、その中でも当署管内にある東根市は、さくらんぼの生産量日本一を誇ります。東根市は、人気の高い品種である「佐藤錦」の発祥地であり、県内栽培の約7割を占めています。「佐藤錦」は、海外にも名声が届いており、真っ赤に熟した大粒の実が甘さのバロメーターとなっています。また、加工品製造過程で不要となった種を再活用した「さくらんぼの種枕(チェリーピロー)」も人気の商品です。さらに、東根さくらんぼは、平成29年に地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
尾花沢すいか
尾花沢すいかは、尾花沢市を中心に生産されている日本を代表するすいかの一つであり、尾花沢市は夏すいかの生産量日本一です。尾花沢市の盆地のような地形、昼夜の寒暖の差、水はけがよく水持ちの良い火山灰の土壌が糖度の高いすいかを作るための絶好の条件となっています。尾花沢すいかは糖度が12度以上であり、非常に甘いのが特徴的です。
最近は、しわや炎症を防ぎ、保湿の効果があるスイカエキスを活かした化粧品なども開発・販売しています。
そば
当署管内3市1町には、それぞれ「そば街道」があり、各10数店舗が加盟し、そば粉や打ち方など工夫を凝らし、個性豊かなそばを味わうことができます。また、そばのお供についてくる漬物にも、味、種類、量など個性的なものが数多くあります。
村山市にある最上川三難所そば街道は、板そばが有名であり、長い板や木箱にそばを盛ります。そば粉の割合、水、つゆなどお店ごとのこだわりが強いのが特徴です。
尾花沢市にある「おくのほそ道尾花沢そば街道」は、雪蔵そばというそばの実を雪蔵で貯蔵・熟成させて、風味・甘味を引き出しているものを期間限定で提供するお店があるのが特徴です。
大石田町にある「大石田そば街道」は、「そばの里」と呼ばれ、のどごしなめらかな田舎そば、コシや風味を重視した手打ちそばが楽しめます。
最後に、東根市にある「果樹王国ひがしね蕎麦街道」は、板そば、田舎そば、冷たい肉そばなど多様なそばが楽しめるのが特徴です。
おわりに
村山署管内では、これまでご紹介してきた果物・そばの他にも、日本酒の酒蔵も有名であり、山形県の日本酒は、2016年12月に全国で初めて県単位での地理的表示制度「GI山形」の指定を受け、国内外で高い評価を受けています。
また、署から徒歩約10分の所に位置する「東沢バラ公園」は、日本有数の規模を誇るバラ園と3つの湖を中心とした約7haの広さに約750品種、2万株余りのバラが咲き誇り、全国のバラ園で唯一、平成13年10月に環境省から「かおり風景100選」の認定を受けています。
お近くにお越しの際には、是非お立ち寄りください。
青森税務署 総務課長
佐藤 和弘
はじめに
青森税務署は、青森市、東津軽郡(平内町、今別町、蓬田村、外ヶ浜町)の1市3町1村を管轄としています。青森県の県庁所在地でもある青森市は、本州と北海道を繋ぐ商業の流通拠点として、青森県内でも多くの企業が集まっており、また、日本屈指の特別豪雪地帯としても有名です。
ねぶた祭り
ねぶた祭りは、東北三大祭りの一つで国の重要無形民俗文化財に指定されており、毎年8月2日~7日に開催されています。8月2日~6日の夜から、運行コース上にねぶたが待機し、一斉にすべてのねぶたが動き出します。最終日の7日(なぬか日)は前日までの夜の運行とは雰囲気がまったく違う日中の運行が行われます。日中の運行が終わると選ばれたねぶた数台が台船に乗せられ、ねぶた祭りのグランドフィナーレである、ねぶた海上運行と花火の共演のための準備が行われますが、その際に、ねぶたがクレーンに吊られる光景はまさに「空飛ぶねぶた」のようにも見えます。そして、夜になると海上運行が始まります。海上運行とは、台船に乗せられた受賞ねぶた数台が青森港を運行するもので、同時刻に開催される「青森花火大会」で打ち上がる10,000発以上の花火とともに祭りのフィナーレを鮮やかに彩ります。
祭りで運行される大型ねぶたは幅9メートル奥行き7メートル高さ5メートルあるものもあり、1台のねぶたが完成するまでには様々な工程を経て、作成期間は半年以上を要します。ねぶたの作成には、「ねぶた師」と呼ばれる製作者達が秋・冬の頃から構想を練り設計図になる主体を描きます。その後、4月下旬に制作現場となる小屋が建てられ骨組み作業が始まります。骨組み作業は角材で支柱を組み針金で立体的な形を作っていき、内部には1,000個前後の電球や蛍光灯が仕込まれています。その後、針金で組まれたおよそ10,000マスに上質な厚手の和紙を貼る「紙貼り」、純白のねぶたに墨で顔の目鼻などを書き割ける「書割り」、パラフィンを溶かしたもので着物の模様などを描くことで色の滲みを防ぎ明るさを際立たせる「ろう付け」、染料・顔料を筆やスプレーで色鮮やかに仕上げる「色付け」、関係者約50人で運行用台車に乗せる「台上げ」、最後に台車に看板や提灯を付けてようやく完成します。
祭り当日の運行での踊り手は「跳人(はねと)」と呼ばれ、その名のとおりぴょんぴょん跳ねるのが特徴的です。衣装さえ身に着ければ跳人として誰でも参加できるのが魅力の一つです。跳人は跳ねながら「ラッセラー、ラッセラー」と威勢の良い掛け声を掛け合います。この掛け声はねぶたの照明に使っていたろうそくや酒などをいっぱい「出せ!出せ!」と呼んでいたのが「ラッセラー、ラッセラー」に変化したなどという説があります。
今では日本の火祭りなどとも称され毎年多くの観光客が訪れるようになったねぶた祭りですが、その始まりについての由来は諸説あります。津軽藩初代藩主の津軽為信公が京都でお国自慢の一つとして大きな灯籠を作らせ、賑やかに京の都を練り歩いたところ津軽の大灯籠などと大評判になり、これが津軽でも行われるようになったとされる説や、過酷な農作業を強いられる夏場に睡魔を追い払うため灯籠を川や海に流すという七夕行事の「眠り流し」が時を経てねぶた祭りの起源となったのではという説があり、最近は後者の説が最も有力とされているそうです。いずれにせよ、五穀豊穣や無病息災などを願う人々の祈りから生まれたものであり、そこにねぶたを愛する人の情熱が加わり現在のような盛大なねぶた祭りに発展・進歩を遂げたのです。
写真 フィナーレを彩る海上運行
写真 大迫力のねぶた
写真 当署で参加したねぶた祭りの風景
味噌カレー牛乳ラーメン
味噌カレー牛乳ラーメンは、味噌ラーメンにカレー粉と牛乳を入れたもので、味噌のコクとスパイスの効いたカレー風味が重なり合うパンチの効いた味でありながらも、牛乳とバターのまろやかさで全体を包み込むため、スパイシーかつマイルドという絶妙なバランスで調和されたラーメンです。
また、少し濃い目なスープにモチモチ食感の黄色い中太麺とチャーシュー、もやし、ワカメ、メンマ等のトッピングがとても相性が良く、青森市民のソウルフードとして約40年間愛されています。
味噌カレー牛乳ラーメンの始まりは、青森市民には馴染みのなかった味噌ラーメンを青森市民の口に合うようにして提供していた店舗に来ていた中高生がラーメンに様々な調味料を組み合わせてラーメンを食べるのが流行っていたところ、味噌ラーメンにカレー粉と牛乳を入れて食べると美味しいという結論に至り、その後、その店舗で正式なメニューとして販売されるようになったとのことです。
青森へお越しの際には、是非ご賞味ください。
写真 味噌カレー牛乳ラーメン
浅虫温泉
浅虫温泉は、夏泊半島の付け根にある海岸沿いの温泉地で、平安時代に慈覚大師(円仁)が発見したと伝えられており、その歴史は1,200年以上と言われている由緒ある温泉です。
浅虫温泉は、かつては布を織る麻を蒸すためだけに使われていたものを1190年にこの地を訪れた円光大師(法然)が、傷ついた鹿が湯浴みするのを見て村人に入浴をすすめ、それ以来人々に利用されるようになったそうで、その温泉名は麻を蒸す「麻蒸」が転じて「浅虫」になったと言い伝えられています。
浅虫温泉のお湯は無色透明・無味無臭で、肌に優しい湯ざわりであり、神経痛・リウマチ・腰痛・皮膚病などに効くとされているほか、保湿力があり、美肌効果も期待できるそうです。
浅虫温泉周辺には、青い森鉄道浅虫温泉駅を中心に大型ホテルや旅館が立ち並び、浅虫水族館、遊覧船、森林公園などの様々なレジャーを楽しむこともできます。
写真 浅虫温泉郷
三内丸山遺跡
三内丸山遺跡では、1992年から始まった発掘調査で、縄文時代前期~中期の大規模な集落跡が見つかり、多くの竪穴建物や掘立柱建物跡、盛土、大人や子供の墓などのほか、多量の土器や石器、貴重な木製品、骨角製品などが出土しました。
青森県は遺跡の重要性から1994年に遺跡の保存を決定した後、遺跡の整備と公開を行い、1997年3月には史跡に指定され、さらに2000年11月には特別史跡に、2003年5月には出土品1,958点が重要文化財に指定されています。
また、2021年7月には三内丸山遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されました。
三内丸山遺跡は、東京ドーム約9個分にもなる国内最大級の縄文時代の遺跡であり、縄文時代の「ムラ」を体験できる場所として多くの観光客が訪れています。
写真 三内丸山遺跡
おわりに
地名「青森」としてまちづくりが開始されてから、令和7年は「青森開港400年」、令和8年は「青森まちづくり400年」を迎え、2年間に渡り、様々な記念イベントを企画しています。
管内全市町村が陸奥湾に面しており、漁業も盛んです。特に、ホタテ、マグロ、イクラなどの魚介類を自分でごはんの上に盛り付けするオリジナルの海鮮丼や、ホタテの貝殻を鍋代わりにし、焼き干しのダシ汁にみそを溶き入れ、ホタテや地元の食材を煮込んで最後に溶き卵でとじる貝焼き味噌も人気です。
青森にお越しの際には、ご賞味ください。
海と祈りと、恵みのまち―松島・塩釜 塩釜市
塩釜税務署 総務課長
安田 耕人
はじめに
塩釜税務署は、塩釜市、多賀城市、宮城郡(松島町、利府町、七ヶ浜町)の2市3町を管轄としています。塩釜税務署が所在する塩釜市は宮城県のほぼ中央に位置し、当署管内には日本三景である松島やその一環をなす浦戸諸島の手つかずの景色や自然との共生の風景、その松島湾に面した天然の良港としての港町の風情、遠く平安時代からの歴史を持つ鹽竈(しおがま)神社など様々な魅力がありますが、ここでは管内の見どころである松島、松島の牡蠣、鹽竈神社をご紹介します。
松島
松島は日本三景の一つとして多くの人に愛され、連休や週末だけではなく平日も多くの観光客で賑わう日本を代表する観光地です。
年間300万人以上が訪れており、雄大な自然の景色や日本の歴史を感じさせる建造物、地域独特の海産物など松島の魅力は海外からの観光客にも人気を博しています。
陸地からの壮大な眺めに加え、遊覧船に乗ることで海からの眺めでも絶景と感動を味わうことができます。春は桜との共演、夏は海水浴、秋は紅葉、冬は雪景色といった、どの季節に訪れても飽きることなく、お子様からご年配の方々まで年代を問わず楽しめるのも特徴の一つです。
古くには戦国武将・伊達政宗公や「奥の細道」で有名な俳諧師・松尾芭蕉も愛したとされる松島ですが、現代においても人々の心をつかみ、安らぎの時間と空間を与えてくれています。
ここでは、そんな松島の魅力である「景色」と「島々」をご紹介します。
〈景色〉
松島の最大の魅力は大自然が生み出す景色の壮大さです。「四大観」と呼ばれる絶景ポイントが4つあり、それぞれ「壮観」、「麗観」、「偉観」、「幽観」と言われています。
壮観(大高森山)は、松島湾の東に位置する宮戸島・大高森山頂からの眺めを指します。海に浮かぶ島々がまるで箱庭の中にあるような錯覚に陥るほど、一面に広がる景色を堪能できます。
麗観(富山)は、松島湾の北に位置する富山(とみやま)山頂から見る眺めを指します。富山観音がある大仰寺には趣のある庭があり、かつては明治天皇もご覧になられた由緒ある場所です。
偉観(多聞山)は、松島湾の南にある七ヶ浜町の代ヶ崎断崖から眺める景色を指します。打ち寄せる荒波や塩釜港を発着とする数々の船舶を楽しむことができます。
幽観(扇谷)は、松島湾の西に位置する双観山高台から見る景色を指します。松島湾が扇の形に見えることから扇谷とも呼ばれ、朝陽が上る時間はまさに絶景です。
朝陽や夕焼け、初日の出など太陽と共演する時間帯は特に人気があります。
また、夕方から夜にかけては青みがかかった空と月がまるで絵に描いたような松島の景色と合い、まさに至福の眺めであります。
写真 桜の松島(写真提供:宮城県観光戦略課)
写真 幽観(写真提供:宮城県観光戦略課)
〈島々〉
松島湾の海には260以上の島々が浮かんでおり、氷河期以降の地殻変動や地盤沈下・海面上昇など、地球規模の自然の歴史を経て約5,000年前に現在の松島が作られたと考えられています。陸地からの眺めと形のユニークさを間近で感じることができる遊覧船からの眺めでは異なる魅力があります。数多くある島々の中でも特に人気のある代表的な島々である「仁王島」、「鎧島」、「兜島」、「夫婦島」をご紹介します。
仁王島は、仁王像に似ていることから命名されたと考えられており、松島を代表する島の一つです。見る人や角度によって様々な形に見えるため、想像力を掻き立てられる不思議な島です。
鎧島は、荒波によって削られたとは思えない曲線が特徴的な島で、自然が作り出す造形美を堪能することができます。思いの外小さいので見逃さないようにするのがポイントです。
兜島は、戦国武将が被った烏帽子兜に似ているといわれる島です。奇妙な形が多い松島の中でも印象に残る島の一つです。
夫婦島は、仲良く寄り添う夫婦のように見える二つの島です。東と西に分かれて位置しており、女島・男島とも呼ばれています。
松島の牡蠣
松島湾は先ほどご紹介したとおり日本三景の一つとして知られる一方で、高品質な牡蠣の産地としても高い評価を受けています。松島の牡蠣は、豊かな自然環境と伝統的な養殖技術によって育まれ、全国的にも根強い人気を誇っています。松島湾は、多くの小さな島々によって波が穏やかに保たれており、牡蠣の養殖に非常に適した地形です。さらに、山からの豊富な栄養分が川を通じて海に流れ込むことで、プランクトンが豊富に発生し、牡蠣の成長を促します。こうした自然の恵みに加え、地元の漁師たちが長年にわたって培ってきた養殖技術により、身が引き締まり、旨味が凝縮された高品質な牡蠣が育てられています。松島の牡蠣の最大の特徴は、濃厚かつクリーミーな味わいにあります。特に冬場は水温が下がることで牡蠣の身が締まり、旨味がさらに増します。出荷の最盛期は10月下旬から3月頃までで、この時期には多くの観光客が松島を訪れ、新鮮な牡蠣を味わうためにかき小屋や地元の食堂に足を運びます。
松島では、牡蠣を様々な調理法で楽しむことができ、中でも人気なのが焼き牡蠣、牡蠣フライ、牡蠣鍋です。焼き牡蠣は、シンプルながらも海の香りと牡蠣本来の旨味をダイレクトに感じられる一品で、特にかき小屋では食べ放題で提供されることが多く、観光客にも人気です。また、牡蠣の土手鍋は仙台味噌をベースにした濃厚な鍋料理で、寒い冬にぴったりの郷土料理として知られています。加えて、松島の牡蠣は生食用としても高く評価されています。衛生管理が徹底されており、厳しい検査をクリアした牡蠣だけが生食用として提供されます。そのままレモンを絞って食べるとクリーミーな味とともに磯の香りが口いっぱいに広がり、まさに海の恵みをダイレクトに感じることができます。松島の牡蠣は、現地で楽しむだけでなく、お取り寄せとしても人気があります。冷凍や加熱用、生食用など、様々な形で全国に発送されており、自宅でもその味を堪能することができます。ふるさと納税の返礼品としても提供されており、リピーターも多いそうです。
美しい景色とともに楽しむ松島の牡蠣は、まさに自然と人の知恵が生んだ逸品です。観光と食の両方を満喫できる松島は、牡蠣好きにとって一度は訪れたい場所といえます。
写真 松島の牡蠣(写真提供:宮城県観光戦略課)
鹽竈神社
鹽竈神社は、東北屈指の古社で、海の守り神・塩づくりの神として古来より厚い信仰を集めてきました。正式には「志波彦神社・鹽竈神社」と称され、二社が同じ境内に並立する珍しい神社です。主祭神である鹽土老翁神(しおつちおぢのかみ)は、塩の製法を人々に教えた神として伝えられ、製塩、航海安全、漁業、安産、厄除けのご利益があるとされています。
この神社の歴史は非常に古く、平安時代に編纂された「延喜式神名帳」にも名を連ねる名神大社で、陸奥国一之宮として格式を誇ります。また、奥州藤原氏や仙台藩主伊達氏など、時の権力者からも厚く信仰されてきました。江戸時代には仙台藩の庇護を受け、現在の荘厳な社殿群が整備されました。特に、本殿・拝殿・楼門など12棟が国の重要文化財に指定されており、歴史的・建築的にも高い価値があります。
鹽竈神社の境内は小高い塩竃山の上にあり、海を見下ろすような位置に鎮座しています。表坂には202段の石段があり、訪れる人々に登拝という形で神聖な空気を感じさせます。反対側には比較的緩やかな裏坂もあり、体力に自信のない人でも参拝しやすいように配慮されています。
季節によって様々な表情を見せるのも鹽竈神社の特徴の一つです。特に春には境内に咲き誇る「鹽竈桜」が有名です。桜の季節には、夜間ライトアップも行われ、幻想的な景色を楽しむことができます。
境内には「鹽竈神社博物館」も併設されており、神社の歴史、伝統的な漁具や祭礼道具、武具などの貴重な文化財を見学できます。また、高台に位置する境内からは松島湾を一望でき、晴れた日には絶景のビューポイントとしても人気があります。
さらに、鹽竈神社は地域の祭礼や伝統行事の中心でもあり、特に7月に開催される「塩竃みなと祭」は日本三大船祭に数えられ最大の見せ場である神輿海上渡御(みこしかいじょうとぎょ)では、神輿を乗せた御座船(ござぶね)が約100隻もの供奉船(ぐぶせん)を従え松島湾を巡幸するという壮麗な祭礼です。この祭りには多くの市民や観光客が訪れ、港町塩釜の伝統と信仰が今なお息づいていることを実感させてくれます。
観光地としても信仰の場としても、鹽竈神社は東北を代表する文化遺産です。歴史・自然・信仰が調和したその魅力は、訪れる人々に深い感動と静かな敬意をもたらしてくれます。
写真 鹽竈神社(写真提供:宮城県観光戦略課)
おわりに
松島・塩竃は、歴史、豊かな海の幸、絶景を体感できる魅力あふれる観光スポットです。日常の喧騒から離れ心も体も癒される贅沢な時間を過ごしてみませんか?爽やかな潮風や美味しい海の幸と相性抜群の地酒があなたをお待ちしています。
松島・塩竃に是非、お越しください。
湯の里、果実の郷、そばの風土。山形が贈る至福の時間 村山市
村山税務署 総務課長
佐藤 真貴子
はじめに
村山税務署は、村山市、東根市、尾花沢市、北村山郡(大石田町)の3市1町を管轄しています。
村山税務署が所在する村山市は山形県の中心部に位置し、東を奥羽山脈、西を出羽丘陵に囲まれています。中央には最上川が流れ、流域には肥沃な土地が広がる自然豊かな地域です。
基幹産業の一つである農業は、稲作をはじめ多くの農産物が生産され、中でもさくらんぼやすいかは、昼夜の寒暖差の影響を受け良質で甘みも強く、市場で高い評価を受けています。
銀山温泉
銀山温泉は、山間の豊かな自然の中に佇み、ゆったりとした時間を過ごすことができます。川沿いには大正から昭和初期に建てられた木造旅館が軒を連ね、古き良き時代の哀愁のある街並みを楽しむことができます。江戸時代に銀山として栄えた後、400年以上にわたり多くの湯治客を癒してきた歴史のある温泉街は、国民的ドラマの撮影地としても有名です。一歩足を踏み入れれば銀山川のせせらぎが耳に心地よく、通り沿いの足湯から湯けむりが立ち上がる温泉地ならではの光景が広がり、大正時代の趣を残す美しい街並みを歩けば、当時にタイムスリップしたかのような非日常感を味わうことができます。春夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と様々な表情のある銀山温泉は、どの季節も写真映えする撮影スポットです。特に、冬の山景をバックに雪が降り積もる景色は、幻想的であり、白銀の世界にライトアップが映える夜はロマンチックで一生の記憶に残る景色になるはずです。
また、大正文化の面影を残す旅館は大ヒットアニメ映画の舞台となった湯屋を彷彿とさせる撮影スポットとしても大人気であり、多くの観光客が訪れます。街に光が灯り始める夕暮れ時が特におすすめで、建物正面につながる赤い橋を含む眺めは、映画にあるような世界観を感じられます。
そんな銀山温泉のお湯は、美容と健康に効果的な硫黄泉で、肌に優しい成分を多く含んでおり、美肌効果があるとも有名です。硫黄の成分は、肌の新陳代謝を促進し、古い角質を取り除いてくれるため、入浴後はしっとりとしたツヤのある肌になります。特に、アトピー性皮膚炎や乾燥肌に悩む方々には、この泉質が非常に効果的であると古くから言われているそうです。また、銀山温泉の湯は、血行を良くし、筋肉の緊張を和らげるため、疲労回復やリラックス効果が得られ、心身ともにリフレッシュすることができます。
ノスタルジックな街並みで古き良き趣を感じながら、美肌効果もある硫黄泉で心身ともにリフレッシュすることができる銀山温泉に是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
写真 冬の銀山温泉
東根さくらんぼ
山形県はさくらんぼの全国生産量の約7割を占めるまでの「さくらんぼ王国」であり、その中でも当署管内にある東根市は、さくらんぼの生産量日本一を誇ります。東根市は、人気の高い品種である「佐藤錦」の発祥地であり、県内栽培の約7割を占めています。「佐藤錦」は、海外にも名声が届いており、真っ赤に熟した大粒の実が甘さのバロメーターとなっています。また、加工品製造過程で不要となった種を再活用した「さくらんぼの種枕(チェリーピロー)」も人気の商品です。さらに、東根さくらんぼは、平成29年に地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
尾花沢すいか
尾花沢すいかは、尾花沢市を中心に生産されている日本を代表するすいかの一つであり、尾花沢市は夏すいかの生産量日本一です。尾花沢市の盆地のような地形、昼夜の寒暖の差、水はけがよく水持ちの良い火山灰の土壌が糖度の高いすいかを作るための絶好の条件となっています。尾花沢すいかは糖度が12度以上であり、非常に甘いのが特徴的です。
最近は、しわや炎症を防ぎ、保湿の効果があるスイカエキスを活かした化粧品なども開発・販売しています。
そば
当署管内3市1町には、それぞれ「そば街道」があり、各10数店舗が加盟し、そば粉や打ち方など工夫を凝らし、個性豊かなそばを味わうことができます。また、そばのお供についてくる漬物にも、味、種類、量など個性的なものが数多くあります。
村山市にある最上川三難所そば街道は、板そばが有名であり、長い板や木箱にそばを盛ります。そば粉の割合、水、つゆなどお店ごとのこだわりが強いのが特徴です。
尾花沢市にある「おくのほそ道尾花沢そば街道」は、雪蔵そばというそばの実を雪蔵で貯蔵・熟成させて、風味・甘味を引き出しているものを期間限定で提供するお店があるのが特徴です。
大石田町にある「大石田そば街道」は、「そばの里」と呼ばれ、のどごしなめらかな田舎そば、コシや風味を重視した手打ちそばが楽しめます。
最後に、東根市にある「果樹王国ひがしね蕎麦街道」は、板そば、田舎そば、冷たい肉そばなど多様なそばが楽しめるのが特徴です。
おわりに
村山署管内では、これまでご紹介してきた果物・そばの他にも、日本酒の酒蔵も有名であり、山形県の日本酒は、2016年12月に全国で初めて県単位での地理的表示制度「GI山形」の指定を受け、国内外で高い評価を受けています。
また、署から徒歩約10分の所に位置する「東沢バラ公園」は、日本有数の規模を誇るバラ園と3つの湖を中心とした約7haの広さに約750品種、2万株余りのバラが咲き誇り、全国のバラ園で唯一、平成13年10月に環境省から「かおり風景100選」の認定を受けています。
お近くにお越しの際には、是非お立ち寄りください。

