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日本最後の清流 四万十~自然・歴史・味覚あふれる土佐の小京都 中村~


中村税務署 総務課長 細川 義広

はじめに

中村税務署が所在する四万十市(旧中村市)は、高知県の西部に位置し、碁盤の目に街並みが整備され、「土佐の小京都」と呼ばれています。
また、市の中心部には「日本最後の清流:四万十川」が流れ、自然あふれる地と知られています。
中村税務署は、明治29年に創設されました。
平成の大合併後、管轄区域は、四万十市、宿毛市、土佐清水市、黒潮町、大月町、三原村の3市2町1村であり、管内面積は、高松国税局管内第2の広さである1,561km2、管内人口は約7.7万人となっており、幡多地域と呼ばれています。

四万十川

四万十川は196kmにわたる四国最長の川であり、源流は四国カルスト県立自然公園の東南に位置する標高1,336mの高峰から、流域の無数の渓流や支流を集め水量を増しながらゆるやかに南下し、遠く離れた太平洋につながっています。流域では、四季折々の大自然と景勝に恵まれた観光スポットが多くあり、川下り、カヌー、川えびや天然うなぎなどの川漁が盛んに行われています。

沈下橋

四万十川の観光、生活に欠かせないものとして、沈下橋があります。
沈下橋とは、四万十川の増水時に橋が水中に沈むように設計され、水の抵抗を受けにくく、流木などが引っ掛からないように、最初から欄干がありません。大小様々な沈下橋があり、最も長いものは全長291.6m、幅員4.2mの「佐田沈下橋」であり、観光シーズンには多くの観光客で賑わいます。
写真:四万十川と沈下橋

足摺岬

足摺岬は、足摺宇和海国立公園にある四国最南端の岬になります。足摺岬と足摺岬からの眺望はミシュランが発行するガイドブック「ミシュラングリーンガイドジャポン」で二つ星に輝きました。
展望台からの視界は270度あり、雄大な太平洋の彼方にのぞむ水平線がアーチ状に見え、地球が丸いことが実感できます。
写真:足摺岬

一条神社

一条神社は1862年、中村御所跡に中村の文化・経済の発展に尽くした土佐一条氏の遺徳を偲ぶ有志によって建立されました。
土佐一条氏は、応仁の乱を機に中村(現四万十市)に下向し、京都を模して造った碁盤目状の街並みは「土佐の小京都」と呼ばれています。
一条神社は「いちじょこさん」の愛称で親しまれ、毎年11月の一条大祭では、京都の下鴨神社のご神火による提灯行列などが行われています。
写真:一条大祭

だるま夕日

だるま夕日は、冬の宿毛市の宿毛湾に太陽が沈む直前に、太陽の光が海面に反射し、太陽が2つつながって、だるまのように見えることから、「だるま夕日」と呼ばれています。
これは、暖かい黒潮の水蒸気と冷たい大気の境目に光が反射して起きる自然現象です。
この自然現象が見られるのは11月から2月中旬にかけて20回ほどで、完全なだるま状になるのはわずか10回程度であり、1回につきわずか3分間です。偶然が重なったわずかな時間に出現することから「幸運の夕日」とも言われています。
写真:宿毛湾から望むだるま夕日

ジョン万次郎

ジョン万次郎(中濱万次郎)は、1827年土佐の中浜(現土佐清水市中浜)の漁師の子として生まれました。
1841年14歳であった万次郎は漁に出て遭難し、アメリカの捕鯨船ジョン・ハウランド号に助けられアメリカに渡りました。
アメリカでは、英語、航海術、測量術を学んだ後、1851年に鎖国時代の日本に帰国。
帰国後は、土佐藩において、アメリカでの経験を生かし、幕末の志士の指導に当たり、坂本龍馬、板垣退助、中江兆民、岩崎弥太郎などに多大な影響を与えたと言われています。
足摺岬には、ジョン万次郎の銅像があり、手には航海や測量に欠かせないコンパスと三角定規が握られ、今でも雄大な太平洋を眺めています。
写真:太平洋を望むジョン万次郎像

柏島

柏島は、大月半島の先端と2本の橋でつながる周囲約4kmの島です。
透明度が高いエメラルドグリーンの海は「船が宙に浮いて見える」と言われるほどです。
豊後水道と黒潮がぶつかる海域に面しているため、多種多様な魚類が生息しており、世界有数のダイビングスポットとして知られています。
なお、浅瀬でもサンゴや色とりどりの熱帯魚を観察することができ、シュノーケリングなどのアクティビティも人気で、シーズンには、大勢の人で賑わいます。
写真:柏島

竜串海岸・見残し海岸

竜串海岸は、土佐清水市にある日本初の海域公園である竜串海域公園にあります。
太古に堆積した地層や砂岩が、波食や風食を受けて海食台地となり、大小様々な奇岩が並んでいます。
一直線に並び、節のある竹に見える奇岩「大竹・小竹」など、それぞれ名前が付けられています。
写真:竜串海岸(大竹・小竹)

Tシャツアート

黒潮町の「入野の浜」において、キャンバスに見立てたTシャツに作品をプリントし、浜辺一面に並んだ約1,000枚のTシャツは、Tシャツアートとして、波が寄せると、砂浜に写り、風が吹けば踊りだす世界初の屋外での美術展となっています。
写真:Tシャツアート

どぶろく

どぶろくは、麹と米がこされずにそのまま入ったお酒です。古くから米どころの三原村では、かつて稲作農家でどぶろくを造っていましたが、戦後に酒造が禁止され、どぶろく造りは一旦途絶えました。その後、2004年に「どぶろく特区」の認可を得て、三原村伝統の味を復活させました。
瓶詰め後も発酵が進んでおり、発酵するにつれ、コクやまろみが出るため、味の変化が楽しめます。
毎年、どぶろく祭りが開催され、多くの人で賑わっています。
写真:三原村のどぶろく

おわりに

四万十川に太平洋、自然豊かで、海・川・山の味覚が盛りだくさん、特に鰹の塩たたきについては発祥と言われる四万十市に是非お越しください。
(写真提供:一般社団法人四万十市観光協会、一般社団法人宿毛市観光協会、一般社団法人土佐清水市観光協会、黒潮町、一般社団法人大月町観光協会、土佐三原どぶろく合同会社)



自然と歴史とが調和するまち


八幡浜税務署 総務課長 安松 光之

はじめに

八幡浜税務署は、税務署発足の年の明治29年11月に設置され、明治43年3月に現在の所在地に移転しました。その後、昭和40年3月に新庁舎が完成、昭和42年7月に近隣の卯之町税務署が当署に統合され、現在に至っています。
管轄区域は、愛媛県の西南部の八幡浜市、西予市、西宇和郡伊方町の二市一町であり、西は瀬戸内海と宇和海を分ける国内最長の岬である佐田岬半島、東は日本三大カルストの一つ、「四国カルスト」が広がっており、雄大な海と山に囲まれた自然豊かな地域です。
管内面積は、740.82km2、管内人口は約7.2万人であり、東西の幹線道路の総延長が約150kmに及ぶ横に長い地形で、管内総面積の約68%に当たる約504km2は山林となっています。

八幡浜みかん

管内の西宇和地域は、100年以上みかんの生産が続いており、質・量ともに全国有数の温州みかんの産地で、「日の丸」、「真穴」、「川上」、「密る」など全国的なブランドみかんを生産しています。
八幡浜みかんは、太陽の直射光である「空の太陽」、海からの反射光である「海の太陽」、段々畑の石垣の反射光である「石垣の太陽」の三つの太陽を豊富に浴びて、美味しいみかんに育っています。
生産されたみかんは、光センサーを利用し、非破壊で糖度や酸度を判定しているため、確実に品質の高い美味しいみかんを、安定して提供することができます。
また、“じょうのう”と呼ばれる果肉を包んでいる皮が薄く、食べた後に口の中に残りにくいのも八幡浜みかんの特徴です。
写真:みかん畑からの風景

ソウルフード・八幡浜ちゃんぽん

八幡浜市は、四国の西の玄関口と言われ、古くから海上交易が盛んで、商業都市「みなとまち八幡浜」として栄えてきました。
八幡浜ちゃんぽんの誕生については、長崎・神戸・横浜をはじめとした全国各地の港町にみられるように、本場中国の食文化が海を渡って伝わり、地元の食文化との融合の中で生まれたといわれています。現存する最も古い提供店は、昭和23年の創業です。
長崎のちゃんぽんは、豚骨ベースで白濁した濃厚なスープであるのに対し、八幡浜ちゃんぽんは、鶏がら・鰹・昆布などでだしを取った黄金色のスープで、あっさり風味が特徴です。
麺は、太めの中華麺を使用する店が多く、たっぷりの野菜に豚肉、それに八幡浜の特産品である蒲鉾・じゃこ天など水産練り製品を具材として使用し、地元風にアレンジされています。
現在、市内での提供店は、食堂やレストラン、カフェ、居酒屋、ホテルなど、32店舗が、こだわりのちゃんぽんを提供していますので是非、地元のソウルフードを食べ比べていただき、味だけでなく、店の雰囲気や、八幡浜の生活風景なども楽しんでください。
また、同市の商工観光課には、平成22年4月1日付で「商工観光係長・ちゃんぽん担当」を設け、従来から地域経済に尽力してきた八幡浜商工会議所青年部の取組に、行政としてこれまで以上に携わり、平成26年9月には、「八幡浜ちゃんぽん振興条例」が制定されました。
同市が設置された3月28日を「八幡浜ちゃんぽん記念日」とし、観光客向けに「八幡浜ちゃんぽんMAP」を作成するなど、活気ある街づくりに取り組んでいます。
なお、八幡浜ちゃんぽんPRキャラクターとして、全国公募作品の中から生まれた「はまぽん」は、ちゃんぽんとチャンピオンのイメージを合わせたキャラクターで、各種イベントを中心に登場して頑張っています。
写真:八幡浜ちゃんぽん
写真:はまぽん

佐田岬半島

佐田岬半島は四国の最も西に位置する管内西宇和郡伊方町に属する半島で、長さ約50km、最大幅6.4km、最狭部0.8kmの日本で一番細長い半島です。
かつて、「岬十三里」と呼ばれる交通の難所でしたが、今では昭和62年に開通した頂上線(愛称:メロディーライン)により快適なドライブが楽しめます。
複雑に入り組んだリアス海岸には、紺碧の海と、どこまでも広がる澄み切った空、緑深い山々が西へと続き、雄大な景色の中で、心が洗われるような気持ちにさせてくれます。
佐田岬半島は北西からの季節風の影響を受けやすいことから、風力発電のための風況が良く、年間平均風速8.3m(高さ40m地点数値)と、日本でも有数の強風地域です。
この強風を地元では「まじ」と呼び、農業に悪影響を与える「悪魔の風」と揶揄されていましたが、マイナスのイメージしかなかった風を、プラスの発想に変換し、発電のための巨大な風車が47基立ち並ぶ、風力発電を中心とした街づくりへと繋げています。
写真:佐田岬半島(風車入り)

佐田岬灯台

佐田岬灯台は、佐田岬半島の四国最西端の岸壁にそびえる白亜の灯台です。
外国船の来航や海運業が盛んになってきた近代、豊後水道を行き交う船舶などから熱望があり、起工され、対岸にあった関崎灯台のレンズを移設し、大正7年4月1日に灯りが灯りました。
当時は、珍しい鉄筋コンクリート造りで、関東大震災以前の鉄筋コンクリート造の大型灯台としては日本最古のものです。
車で乗り入れ可能な終端には、駐車場が設置され、そこから約2kmの樹生林の間を縫うように舗装された遊歩道を約20分歩くと灯台に着きます。遊歩道は舗装されていますが、そこそこのアップダウンがあり、訪れる際には、運動に適した服装と靴がおすすめです。
なお、晴れた日には、豊予海峡を隔てて九州が遠望可能で、夕暮れになると海に溶けていく夕日を見ることができ、日中とは違ったロケーションに変わります。
平成29年4月には初点灯から100年目を迎え、さらに、同年6月28日には、国の登録有形文化財として登録されました。
写真:佐田岬灯台

四国西予ジオパーク

平成25年9月、西予市の全域が日本ジオパークネットワークへの加盟認定を受け、四国西予ジオパークとして認定されました。
海抜0mから1,403mの標高差の中に、リアス海岸、盆地、河成段丘、カルスト台地が存在し、多様な自然環境に恵まれています。
そのうちの一つ、須崎海岸には、火山灰が固まってできた「凝灰岩」という名前の岩石が、縦じまの地層をつくっています。
また、凝灰岩の地層に含まれる石灰岩の中から、4億年程前の原始的なハチノスサンゴの化石が見つかっており、日本列島誕生の鍵を握るとも言われている「黒瀬川構造帯」の一部となっています。
写真:須崎海岸

大野ヶ原

四国カルスト県立自然公園は、福岡県の平尾台、山口県の秋吉台と並ぶ「日本三大カルスト」の一つです。高知県境と愛媛県境に位置し、白い石灰岩が点在するカルスト特有の景色が望める場所で、西端に位置する当署管内の「大野ヶ原」(西予市野村町)は、標高1,403mの台地で、草原には、「カレンフェルト」と呼ばれる凸凹の地形が見られます。
民家、牛舎、サイロなどが目立ち、ペンションや喫茶店があるため、行楽シーズンには観光地として、真夏には避暑地として多くの人で賑わいます。
大野ヶ原の高台に広がる源氏ヶ駄場からの眺望は素晴らしく、晴れた日には、豊後水道まで望むことができます。
写真:源氏ヶ駄場
写真:四国カルストと乳牛

おわりに

八幡浜市の南部にある八幡浜市民スポーツパーク内にはJFC(日本自転車競技連盟)公認のマウンテンバイクコースがあり、毎年5月には「やわたはま国際MTBレース」の開催や、西予市にある宇和米博物館(旧宇和町小学校)では、109mの木造廊下を使った雑巾がけの速さを競う雑巾がけレース「Z-1グランプリinせいよ」が開催されるなど、海、山と自然が豊かな地域に加え、まだまだ紹介しきれていない魅力的なスポットや名所、美味しい食べ物がたくさんあります。
これからの季節、旅行やドライブ・ツーリングで四国・愛媛にお越しの際には是非、お立ち寄りください。
(写真提供:八幡浜市、伊方町、西予市)


さぬきの西の端っこ~観音寺市、三豊市~


観音寺税務署 総務課長 福家 毅

はじめに

観音寺税務署は、明治29年に設置された後、大正13年に丸亀税務署に合併されました。その後、昭和23年に再び観音寺税務署として設置され、同43年3月に現在地に現庁舎が新築移転されました。
管轄区域は、観音寺市及び三豊市の2市であり、香川県の西南部に位置し、西は瀬戸内海の燧灘を望み、沖合には伊吹島などの島しょを有し、南は讃岐山脈の雲辺寺、猪ノ鼻峠などを境に、徳島県や愛媛県に接しています。
管内面積は340.53km2、管内人口は約11.5万人です。
写真:銭形砂絵

銭形砂絵「寛永通宝」

有明浜の砂に描かれた「寛永通宝」は、東西122m南北90m、周囲345mもある巨大な砂絵で、琴弾山山頂から見るときれいな円形に見えます。寛永10年藩主、生駒高俊公を歓迎するために、一夜にして作られたといわれ、この銭形を見たものは健康で長生きができ、お金に不自由しないと伝えられています。
近年銭形を見て宝くじを購入した人が高額を当てたことから金運スポットとして知られ、多くの観光客が訪れています。

高屋神社~天空の鳥居~

標高404mの稲積山の頂上に本宮があるため、「稲積神社」「稲積さん」とも呼ばれており、その本宮の鳥居越しに観音寺市街地と雄大な瀬戸内海が一望できます。
本宮の鳥居は「天空の鳥居」として知られ、平成30年には四国八十八景にも選出されました。
写真:高屋神社

父母ケ浜

南北幅約1kmにわたる長い砂浜が続く海岸で、毎年夏には多くの海水浴客が訪れます。
干潮時には、砂浜にできる潮だまり(水たまり)に、天空を映し出す鏡のような光景を見ることができます。また、夕暮れには、南米ボリビアの「ウユニ塩湖」のような写真が撮れるとSNSを中心に話題となっています。
写真:父母ケ浜

紫雲出山

瀬戸内海に突き出た西讃の半島(荘内半島)に位置する標高352mの紫雲出山。紫雲出山は浦島太郎が玉手箱を開け、出た白煙が紫色の雲になって山にたなびいたとして知られています。
春には約1,000本の桜、初夏にはアジサイと四季折々の花が美しく山を彩ります。自然豊かな遊歩道を歩きながら山頂を目指せば、息をのむほど美しい瀬戸内海の風景が広がります。
写真:紫雲出山(桜)

雲辺寺ロープウェイ

全長2,594m、高低差657mを最高時速36kmのスピードで登る日本最大規模を誇るロープウェイで、約7分の空中散歩は、スリルとスピードを体感することができます。眼下には、瀬戸内海や三豊平野の絶景が広がり、視界が良ければ、瀬戸大橋や岡山県、広島県沿岸地域まで見渡すことができます。
ロープウェイで登った先は香川県と徳島県の県境となっており、徳島県側には1,200年以上もの歴史を持ち、アジサイと紅葉の名所として知られる四国霊場第66番札所「雲辺寺」があります。香川県側には、青々とした芝生が広がる「雲辺寺山頂公園」があり、公園内にある木製ブランコはSNS上で「天空のブランコ」として話題になっています。
写真:雲辺寺ロープウェイ
写真:雲辺寺山頂公園 天空のブランコ

讃岐うどんと伊吹いりこ

香川県といえば、讃岐うどんが全国的にも有名ですが、そのうどんを陰ながら支えているのが煮干しいりこ。讃岐うどんといえば、こしの強い麺といりこ出汁が特徴です。伊吹島では、沖で獲れたカタクチイワシを漁から加工まで一貫して行い、上質ないりこに仕上げ「伊吹いりこ」のブランドで全国に出荷しています。出汁以外にも、美味しい伊吹いりこは、天ぷらやかき揚げにしたり、お米と一緒に炊き上げていりこ飯にするのもお勧めです。
写真:讃岐うどん

おわりに

「うどん県。それだけじゃない香川県」に所在する、観音寺市と三豊市には、このほかにも、穏やかな瀬戸内海の風情と歴史ある史跡などが市内各所に点在しています。
このほか、うどん以外の様々な海の幸や山の幸を使った美味しい料理を味わうこともできます。
四国にお越しの際には、香川県へ、また、ぜひ、当地域にお立ち寄りください。
(写真提供:(公社)香川県観光協会)