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特集 適用利率が上昇してきている 個人向け国債の特長と購入方法


銀行や証券会社、郵便局で購入できる「個人向け国債」は、個人でも気軽に購入できる様々な特長を持っている。また、最近は適用利率が上昇してきていることから、資産運用効果も期待できる。この機会に「個人向け国債」の特長や購入方法などを紹介する。取材・文 向山 勇

写真 個人向け国債の個子ちゃん
写真 コクサイ先生
写真 パンフレット
写真 地方プロモーションポスター

個人向け国債とは国が発行する債券で元本割れがなく1万円から購入できる資産運用商品
銀行や証券会社、郵便局の窓口、ネットで購入できる
債券は企業や団体が資金の借入を行なう際に発行される借用証書の一種で、国が発行する債券を「国債」という。その中でも、個人でも手軽に購入できるようにした国債が「個人向け国債」である。近くの銀行や証券会社、郵便局などの金融機関の窓口、あるいはネットで購入できる。個人向け国債を購入すると、半年ごとに利子が支払われ、満期を迎えると最初に投資した金額(元本)が返ってくる。株式などのように保有期間中に価格変動することがないため、安心感のある金融商品といえる。
個人向け国債には、下図のように3つの商品タイプがある。「変動10」は満期が10年で、保有期間中は半年ごとに適用利率が見直される。適用利率は実勢金利に応じて決まるため、「今後、金利が上昇する」と想定されるときには、有力な選択肢となる。「固定5」は5年満期、「固定3」は3年満期で、いずれも満期まで適用利率が変わらない。購入時に投資成果を確定できるので、計画的な資産運用が可能となる。


安心・手軽に資産運用ができる個人向け国債の6つの特長
3つの商品タイプに共通する個人向け国債の特長は、主に6つある。
1つ目は元本割れの心配がないので安心して購入・保有できること。経済環境等により実勢金利が変動しても、元本部分の価格は変動しない。
2つ目は国が発行する債券であるため、利子の支払いや償還時の元本の支払いは国が行うこと。
3つ目は最低金利保証があること。3つの商品タイプとも経済環境等により実勢金利が下落した場合でも、年率0.05%の最低金利が保証されている。「変動10」は購入後も半年ごとに利率が見直されるが、仮に実勢金利が下がった場合でも最低金利が保証される。
4つ目は最低1万円から1万円単位で購入できること。少額から購入できるため、手軽に資産運用を始めることができる。また、購入した個人向け国債は個人間で譲渡することや相続も可能になっている。
5つ目は年12回発行されること。毎月発行されるので、余裕資金ができた月にいつでも購入できる。効率のよい資産運用が可能になる。
6つ目は中途換金が可能なこと。発行後1年経過後は、いつでも1万円から中途換金可能。急に資金が必要になったときにも安心だ。なお、中途換金の際には直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれ、換金金額は、おおむね3営業日後に受け取ることができる。

適用利率の上昇で効率のよい資産運用が可能に
最近は適用利率が上昇傾向にあり、資産運用の効果が上がりつつある。適用利率の推移を見ると、「変動10」は、令和4年2月以降、本格的に上昇し、令和5年12月募集分は0.46%となっている。適用利率が最低金利保証の0.05%となっていた時期と比較すると約9倍に上昇した計算だ。
一方で「固定5」は令和5年に入ってから適用利率が上昇し、令和5年12月募集分で0.25%、「固定3」は最低金利の0.05%となっている。資産運用商品としての魅力が高まりつつあるといえる。
※金利はすべて税引前

個人向け国債はどんな人が購入しているか
20代から60代以上まで幅広い層が購入。
「変動10」が80%を占める人気商品に
個人向け国債は実際にどんな人が購入しているかを見てみよう。「令和4年度国債広告に関する効果測定結果」によると購入者の年齢は、60代以上が約50%を占めているものの、20代、30代で購入している人も一定比率を占めており、幅広い年齢層に購入されていることがわかる。
また、令和4年の商品別の購入比率を見ると、「固定3年」が約14%、「固定5年」が約6%、「変動10」が約80%となっている。最近、適用利率が上昇している「変動10」の人気が高いことがわかる。
一方で個人向け国債を買った理由を「令和4年度国債広告に関する効果測定結果」で見ると、「国が発行しているので安心だから」と答えた人が約59%を占め、安心感のある商品であることが購入者から支持されていることがわかる。また、「身近な金融機関で購入できるから」と答えた人も約36%を占め、手軽に購入できることが評価されていることもわかる。購入可能な金融機関は、財務省の個人向け国債特設サイトで確認できる。
さらに「年率0.05%の最低金利保証が設定されているから」と答えた人は約29%を占める。低金利の際にも一定の資産運用効果が得られることが好まれているようだ。

個人向け国債の金利はどう決まるか
基準金利を基に適用利率を計算。
年率0.05%が最低保証される
「変動10」は半年ごとに金利を見直し。
「固定5」「固定3」は発行時に確定。
個人向け国債の金利の仕組みを見てみよう。「変動10」の適用利率は、毎月行われる10年固定利付国債の入札における平均落札価格を基に計算される複利利回りが「基準金利」となる。変動10は半年ごとに「基準金利×0.66」で適用利率が決められる。このときの適用利率を基に利子が計算され、半年後に利払いが行われる。その後は6カ月ごとに同じ方法で適用利率を計算し直すことになる。ただし、計算の結果、適用利率が年率0.05%を下回る場合は、「変動10」の適用利率は最低金利が適用され年率0.05%となる。
「固定5」の適用利率は、市場実勢利回りを基に計算した期間5年の固定利付国債の想定利回りを基準金利として「基準金利-0.05%」で計算される。適用利率は発行時に決められ、満期まで同じ利率が適用される。例えば、100万円で「固定5」を購入し、適用利率が1%だった場合、満期までの5年間は毎年1万円(半年ごとに5,000円)の利子を受け取ることができる。
同様に「固定3」の適用利率は、市場実勢利回りを基に計算した期間3年の固定利付国債の想定利回りを基準金利として「基準金利-0.03%」で計算される。いずれも適用利率が0.05%を下回ったとしても、0.05%の最低金利が適用される。

受取利子や中途換金の受取金はどうなるか
個人向け国債特設サイトで受取利子や中途換金の受取額を確認できる
個人向け国債を購入した場合、どのくらいの利子を受け取ることができるのか、財務省の個人向け国債特設サイトで簡単にシミュレーションできる。
シミュレーションをするには、「受取利子シミュレーション」ページを開き、「変動10」「固定5」「固定3」の中から希望する商品を選択する。次にシミュレーションする回号を選択する。希望する商品を選択すると、自動的に回号選択画面が開くが、そのときに表示されている回号は最新のものとなっている。回号とは、債券の発行順に付けられた通し番号のこと。回号を選んだら、購入金額を万円単位で入力する。
下左図は「固定5」を選択し、回号を「153回債」としてシミュレーションする場合の手順を示したもの。シミュレーション結果には満期までの5年間に受け取れる利子が表示される。このケースでは、適用利率は0.25%となり100万円分を購入した場合には半年ごとに1,250円、5年間で1万2,500円の利子を受け取れることが示された。
また、中途換金のシミュレーションも可能。特設サイトで個人向け国債の「中途換金シミュレーション」ページを開き、「変動10」「固定5」「固定3」の中から希望する商品を選択する。次に中途換金する回号を選択し、中途換金する年月日を選択する。さらに中途換金する金額を入力して「中途換金シミュレーション結果を表示する」をクリックすると、中途換金による受取額が表示される。下右図は、中途換金の際の受取額が計算される仕組み。中途換金の際には、「直前2回分の利子(税引前)×0.79685」で計算された額が差し引かれる。中途換金イメージ図のとおり実質的に元本の額を下回ることはない。

個人向け国債に関するQ&A
Q 個人向け国債など国債を初めて購入する場合、どのような手続きが必要か。
A 個人向け国債を含め、初めて国債を購入する場合は、証券会社、銀行等の金融機関に国債の口座を開設する必要がある。一般的には、初めて口座を開設するときは、運転免許証などの本人確認書類、個人番号カードなどマイナンバー(個人番号)が確認できる書類、印鑑等が必要となる。また国債を購入する場合には、購入代金、預金通帳、印鑑等が必要になる。手続きについては、金融機関に確認されたい。
Q 個人向け国債の口座を開設している金融機関が破綻した場合はどうなるか。
A 元本や利子の支払いは、国が責任を持って行うため、個人向け国債の口座を開設している金融機関が破綻した場合でも、権利は保護される。元本や利子の支払いを受けられなくなることはない。
Q 個人向け国債の利子は、いつ支払われるか。
A 個人向け国債の利払日は、原則として、毎年の発行月及び発行月の半年後の15日。なお、利払日が銀行休業日の場合は、その翌営業日に支払われる。
Q 個人向け国債は譲渡や相続はできるか。
A 個人間であればいつでも譲渡可能。また、保有者が亡くなった場合には、相続人の口座へ移管もできる。金融機関によって取り扱いが異なる場合があるので、手続きについては、取引のある金融機関に問い合わせされたい。
Q 個人向け国債以外に個人が購入できる国債はあるか。
A 満期までの年限が短い利付国債(2年)、金利が長期間固定の利付国債(5年、10年)など、多様な国債がある。なお、2年、5年及び10年については、一定期間、一定の条件で募集を行う「新型窓口販売方式」で購入が可能。商品性や新型窓口販売方式の国債を取り扱っている金融機関は財務省個人向け国債特設サイトで確認できる。
Q 発行から1年未満の中途換金は不可能か。
A その期間中であっても、口座名義人(特定贈与信託の受益者を含む)が亡くなった場合、又は、災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害により被害を受けた場合には、中途換金が可能。
https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/

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図表 個人向け国債を購入している人の年齢
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図表 個人向け国債を買った理由
図表 個人向け国債と金利の関係
図表 受取利子のシミュレーション手順
図表 中途換金のしくみ