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特集 今や3人に2人がe-Taxで申告! スマホとマイナンバーカードで確定申告がさらに便利に!!

 
令和2年分の所得税の確定申告からスタートしたマイナポータル連携。その後も段階的に連携対象データが増え、利便性が増している。令和5年分の確定申告では、給与所得の源泉徴収票情報を、マイナポータル連携を利用して取得し、確定申告書の該当項目に自動入力できるようになる予定だ。取材・文 向山 勇
マイナンバーカードを利用して、e-Taxで申告する際は、マイナポータル連携を利用して確定申告をより手軽にスピーディーに!
 
~給与所得の源泉徴収票情報の自動入力も可能に~
給与所得の源泉徴収票情報のほかiDeCoの掛金や小規模企業共済掛金も自動入力の対象に国税庁は確定申告の利便性を向上させるため、マイナポータルとe-Taxの連携を進めている。令和6年2月からは、新たに給与所得の源泉徴収票情報(令和5年分以後の年分に限る。)の自動入力が可能となる。
e-Taxには多くのメリットがある。まず、確定申告の手間を大幅に省くことができる。確定申告の期間中、e-Taxは24時間利用可能(メンテナンス時間を除く)であるため、平日や日中は忙しい人でも、都合の良い時間に手続可能だ。また、e-Tax内で確定申告書の提出が完了するため、税務署に持参して提出する必要がなく、確定申告書を印刷・郵送するためのコストがかからない。一部を除いて添付書類が提出不要になるのもメリットだ。さらに、還付金がある場合、e-Taxで手続すると3週間程度とスピーディーに還付される。実際に令和4年分の確定申告では、3人に2人がe-Taxを利用している。
 
マイナポータル連携のメリットとこれまでの展開
マイナポータル連携は令和2年分の確定申告からスタートした。マイナポータル連携を利用することにより、確定申告に必要な複数の控除証明書等のデータをまとめて取得できるため、控除証明書等の書類を集めたり、1件ずつ入力する必要がない。また、取得した控除証明書等のデータを確定申告書の該当項目に自動入力し、控除額を自動計算するため、入力誤りや計算誤りも発生しない。
まず令和2年分では、マイナポータルを通じて株式の特定口座や住宅ローン控除関係書類、生命保険料などの申告に必要な各種控除証明書等のデータを一括取得し、確定申告書の該当項目に自動入力できるようになった。令和3年分からは、マイナポータル連携の対象がふるさと納税、医療費(令和3年9月~12月診療分に限る。)、地震保険料にも拡大。令和4年分からは、国民年金保険料控除証明書と公的年金等の源泉徴収票がマイナポータル連携の対象に加わったほか、医療費控除に必要な医療費通知情報(原則、保険診療分)について、1年間分の情報の取得が可能となった。事前にマイナポータルにおいて、代理人の設定を行っていれば、医療費控除をはじめ、申告に含めることができる家族分の控除証明書等のデータも取得可能だ。
さらに令和5年分からは、給与所得の源泉徴収票情報のほか、社会保険(国民年金基金掛金)、iDeCo、小規模企業共済掛金の情報もマイナポータル連携の対象となる。
 
マイナポータル連携の利用には事前準備が必要
マイナポータル連携を利用するためには、事前準備が必要となる。実際の利用開始までには、連携手続を行ってから数日後になることもあるので早めに手続をしておいたほうがいいだろう。
特に、給与所得の源泉徴収票情報を連携するための事前準備は、令和6年1月4日から新たに設定が可能となる予定だが、後ほど解説する。
なお、事前準備は、一度設定すれば、新たに追加する控除証明書等がなければ、翌年以降の事前準備の必要はない。
事前準備の詳細は、国税庁のホームページで確認されたい。
また、マイナポータル連携を利用するには、控除証明書等の発行元がマイナポータル連携に対応している必要があるので、こちらについても国税庁ホームページで確認されたい。ふるさと納税の場合には、ポータルサイトを通じて行った寄附のほか、ポータルサイトを利用せず自治体に直接寄附をした場合も対象となるものがある。
 
令和5年分の所得税の確定申告からスタート 給与所得の源泉徴収票の自動入力
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」から、マイナンバーカードを利用してe-Taxで確定申告書を提出する場合、マイナポータル連携を利用して確定申告書を作成できる。
令和5年分の所得税の確定申告から、マイナポータル連携を利用して、給与所得の源泉徴収票のデータが自動入力できるようになり、より利便性が高まる。
 
必要な事業主の前提条件
給与所得の源泉徴収票情報を取得するには、事業主が「給与所得の源泉徴収票」をe-Taxで提出しているなど、以下の前提条件が必要となる。
〈前提条件〉
1. 令和6年1月以降に事業主から給与所得の源泉徴収票がe-Taxで提出されていること(令和5年分以降の年分が対象)。
2. 税務署への給与の源泉徴収票の提出範囲は、年間の給与等の支払金額が500万円を超えるもの等だが、500万円以下の給与に係る源泉徴収票であっても、e-Taxで提出されている場合は、自動入力の対象となる。
3. 給与所得の源泉徴収票情報を正しく連携するために、給与所得の源泉徴収票に記載する、従業
員のマイナンバー、氏名(カナ含む)、住所、生年月日等について、正しく入力されていること。記載誤りや不足・不備が無いことが必要となる。
 
給与所得の源泉徴収票情報を自動入力させるための事前準備
給与所得の源泉徴収票情報を連携するためには、初回のみ、e-Taxのマイページから「情報取得希望」の設定を行う必要がある(下図参照)。
国税庁が公開しているFAQによると事前準備をしてから情報が連携されるまでに1~3日程度(e-Taxを初めて利用する場合は最大5日程度)要するとされていることから、申告する数日前までに事前準備をしておく必要がある。
給与所得の源泉徴収票情報の自動入力は、令和6年2月以降に国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書を作成する際に利用可能だ。
また、「確定申告書等作成コーナー」には、さまざまな便利機能が搭載されている(下図参照)。困ったことがあれば、動画で確認したり、チャットボットで質問することも可能だ。
 
確定申告書等作成コーナーの便利な機能
1. e-Taxを利用すると…
パソコン・スマホ申告を利用する場合、ICカードリーダライタが不要。スマホでマイナンバーカードの読み取りが可能。
2. スマホやパソコンから…
青色申告決算書・収支内訳書も作成可能。消費税の申告にも対応。
「簡易課税制度」又は「2割特例※」を適用される方は、売上(収入)金額等の入力だけで税額等が自動計算される。
※インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になられた方について、売上税額の2割を消費税の納税額とすることができる特例。
 
使ってみると便利です! キャッシュレス納付!
キャッシュレス納付は利便性が高く、自宅やオフィスから納付ができる
国税庁では、納税者の利便性の向上と現金管理等に伴う社会全体のコストを縮減するために、令和7年度までにキャッシュレス納付を4割にすることを目指している。
国税を納付する際にはさまざまな手段があるが、自宅やオフィスなどから納付手続が可能な「キャッシュレス納付」は、納税者の利便性が高い。金融機関や税務署等の窓口に赴く必要がないため、新型コロナウイルス感染症等の感染を防止する効果も期待できる。今後も非対面であるキャッシュレス納付の利用拡大が期待されている。
 
キャッシュレス納付の手段
ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
e-Taxから簡単な操作で、預貯金口座からの振替により納付する方法。e-Taxで申告されている方、源泉所得税など頻繁に納税している方におススメ。事前にe-Taxの開始届出書、ダイレクト納付利用届出書の提出が必要。
 
インターネットバンキング等
インターネットバンキング等を利用して納付する方法。事前にe-Taxの開始届出書の提出、インターネットバンキングの契約が必要。
 
振替納税
振替日に預貯金口座からの引落としにより納付する方法。申告所得税や個人事業主の消費税の確定申告書を毎年提出する必要のある方におススメ。事前に振替依頼書の提出が必要。
 
クレジットカード納付
「国税クレジットカードお支払いサイト」からクレジットカードを利用して納付する方法。納税額に応じた決済手数料が必要。
 
スマホアプリ納付
「国税スマートフォン決済専用サイト」からスマホアプリ(〇〇ペイ)を使用して納付する方法。
●ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
●振替納税
●インターネットバンキング等
●クレジットカード納付
●スマホアプリ納付
 
マイナンバーカードの利用範囲が順次拡大中
マイナ保険証、公金受取口座の登録で暮らしをもっと便利に
マイナンバーカードは、確定申告や年末調整以外にも様々な分野で利用の範囲が広がっている。令和3年10月からは、健康保険証としても利用可能になった。マイナ保険証を利用すると、提供した診療・薬剤の情報をもとにより良い医療を受けられる。また、高額療養費の手続をしなくても、窓口で限度額以上の医療費の支払いが必要ない。さらに、引っ越しや就職・転職の際もそのまま健康保険証として利用できるなどのメリットがある。詳細は、厚生労働省ホームページ「マイナンバーカードの健康保険証利用について」などを確認されたい。
このほか、マイナポータルから公金受取口座を登録しておくと、給付金などをスムーズに受け取ることが可能になる。所得税の還付申告の際、還付金の振込先として利用することも可能だ。公金受取口座の登録方法など、詳細は、デジタル庁ホームページ「マイナポータルによる公金受取口座の登録方法」などを確認されたい。
 
図表 確定申告はマイナンバーカード×e-Taxでさらに便利に!
図表 マイナポータル連携のメリット
図表 令和6年1月以降の対象はこちら!
図表 マイナポータル連携について詳しくはこちら!
図表 「給与所得の源泉徴収票」の情報を自動入力!!
図表 e-Taxのマイページで「情報取得希望」を設定する
図表 困ったときにはこちらで解決!
図表 詳細は国税庁HP
図表 公金受取口座の登録状況等の確認方法