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令和4(2022)事務年度の地方課の取組みについて


前・大臣官房地方課長事務取扱 渡部  晶


はじめに
~地方課の財務局に対する総合的監督とは
平成26(2014)事務年度に大臣官房地方課長を拝命したが、令和4(2022)事務年度は再び8年ぶりに大臣官房地方課長事務取扱に任ぜられ、地方課長として1年間執務をとることになった。地方課は、財務省の大臣官房に設置された課の1つである。戦後昭和21(1946)年11月に財務局の機構整備に合わせて作られており、それなりの歴史のある課であるが、何をしているかはあまり一般には知られていない。財務省組織令第17条で地方課の具体的な所掌事務10項目が規定されている*1。「財務局及び沖縄総合事務局の所掌事務の運営に関する総合的監督」が第一に規定されているが、ここでは、金融庁からの委任事務も含めた所掌事務全般に関する総合的な監督という趣旨と理解される(図1:地方課の財務局に対する総合的監督等について)。また、財務局の機構・定員・予算・人事等の調整も行っている。
財務局は、財務省の地方支分部局である。「地方支分部局」とは、国家行政組織法第9条により、府,省,委員会,庁の所掌事務を分掌させる必要がある場合に,法律に基づいて地域的に設置される機関である。財務局については、財務省設置法第12条に基づき設置される。管轄区域などは財務省組織令(政令)で、具体的な機構の所掌事務は財務省組織規則(省令)で規定される。
一方、いわゆる「財金分離」により、平成10(1998)年に、金融監督庁(平成13(2001年)に金融庁に改組)の設置があり、財務局は、金融監督庁(金融庁)長官の指揮監督の下、委任を受けて、金融機関等に対する検査・監督等の業務を行うこととされた。
以上の組織法的な構造は、財務省設置法第13条に根拠を置く*2。ここで、留意すべき点としては、金融庁から財務局に委任される事務は、「金融庁設置法第四条第一項各号に掲げる事務のうち法令の規定により財務局に属させられた事務」と規定されている。すなわち、いわゆる作用法(銀行法等)の具体的規定を個別に指定する形式となっている*3。そして、このような形式で「財務局は、前項に規定する財務局に属させられた事務については、(中略)金融庁長官の指揮監督を受ける」こととなるのである。
「財金分離」で、財務省と金融庁との共管領域は、概ね「金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する企画及び立案に関すること」となり、一般的な金融監督については、金融庁の所管とされている。ここで財務省と金融庁の法律の共管というような形での政策上の連携は、他の省庁との関係一般と同様なレベルでしかない。一方、財務局は財務省と金融庁の双方の業務を行っている。類似の関係でいえば、消費者庁発足に伴い、景品表示法のような消費者関連の法律は消費者庁の所管となり、実務は消費者庁が主に法の執行を行っているが、公正取引委員会本体が消費者庁長官から景品表示法違反事件に係る調査権限の委任を受け、地方事務所等において、消費者庁との協力の下、景品表示法違反事件の調査業務及び同法違反の疑いに関する情報の受付業務を行うとともに、同法に関する相談業務等を行うこととされている。
本省庁レベルでの委任関係にない財務省地方課においては、財務局への総合的監督や財務局の機構・定員・予算・人事等の調整という所掌事務を遂行するため、金融庁との連絡調整に意を用いている。
地方課業務調整室には、「業務調整官」*4が置かれ、金融庁の関係職員は「業務調整官」を兼務しているほか、機構・定員・予算・人事を担当する係においては、金融庁の担当者からの事前の情報提供・相談を要請しているところである。


1.令和4(2022)事務年度の地方課の課題
上述のように、8年ぶりの地方課の業務を行ったが、地方支分部局である財務局では、長い歴史の中で1年間の業務運営のスケジュールは概ね決まっている。したがって、仮に財務局の運営等について「カイゼン」などを行う場合には、人事異動後の夏の間によく構想を練る必要があった。その際に、前回地方課長をしたころに比べての大きな環境変化として、2つが念頭にあった。
1つは「マネジメント」である。「財務省再生プロジェクト」や内閣人事局でもこの点を大変重視するようになったと感じていた。「マネジメント」とは、日本語にすると「経営管理」ということになるかと思う。すなわち、人員や組織といった限られた資源を、組織理念に沿って最適に運営していくということである。
この考え方が今急速に中央省庁の中で浸透してきており、また、そうあるべきという考え方が非常に強まっており、典型的には研修の強化ということで、財務局でも各総務部長の方々に個別にマネジメント研修を受けてもらうことが始まった*5。
もう1つが「ICTの進展」である。個人的には、日本社会は非常に硬いというか、あまり変わらない社会だと思っている。しかし、コロナショックのような外部から大きなショックが来ると、だんだんと波紋が広がっていき、決して元通りにはならないということも起こる。今回のコロナショックは、日本社会に非常に大きな影響を与えたものであると思う。
例えば、筆者は、令和3(2021)年6月まで4年間沖縄振興開発金融公庫で仕事をしていたが、従来は原則対面で会議などを行っていたところ、コロナになり、対面が難しくなったため、これに対応するため、沖縄の本店と東京の事務所を繋ぐネット回線が充実され、ネットを活用した会議が増えたなど、大きな変貌があった。日本では、従来型でやっていることは、なかなか変化しないと考えるが、今回のコロナによって、日本社会の硬さというか脆い部分というのがはっきり見えてきたと思う。すなわち、諸外国と比べ、日本のICT化は非常に遅れていることがはっきりした。2000年代の頃は、このICTが業務の効率化に繋がるかどうかということは、効果の分析などはどうしても後追いになるので、はっきりしていなかった。ところが実際には、そうした疑問に終始し、ICT化しても効率や生産性が上がらないのではないかなどと言っている間に、諸外国は真剣に取り組んでいて、日本は非常に立ち遅れてしまった。失われた20年を取り戻すため、政府は、デジタル庁を設置するなど一生懸命取り組んでいるが、最近の状況をみていても、キャッチアップするのには相当な困難に直面していると思う。
財務省本省は令和4(2022)年2月に省内のLANシステムがクラウド化された。クラウド化されたことでMicrosoft365のアプリが使えるようになった。今、財務省のDXを進めるために若手・中堅職員による「財務省DXプロジェクト」が進行している*6。
財務局においても令和7(2025)年に新しいLANシステムに移行してクラウド化を予定している。諸外国では、アプリをうまく活用することにより、行政の業務効率化が進んでいると言われているので、地方課・財務局においては、先行する本省での取組みを踏まえつつ、十分準備をして進めていく必要がある。ここで、ICT化について、従来の手続きと同じようにやっていては全く効率化が進まないと思う。アプリの特性に応じて、これまでの業務のやり方を変えないと効率的にならない。ところが、従来やっていることを変えることは、前述のとおり、日本社会の特性もあって難しいところだ。しかし、今回クラウド化してICTが本格化する場面において、思い切った「ビジネスプロセス・リエンジニアリング」(BPR)を進める必要があると考える。よくシステムの話というのは、そのシステム担当者に丸投げということが起こりがちであるが、これを乗り越えないと業務の効率化は進まない。マネジメントを担当する部門が強力に推進する必要がある。個人的には、ICTによる業務効率化の成否が組織の今後の盛衰にも関わるのではないかとも思っている。財務省本省も試行錯誤の状況ではあるが、財務局においても令和7(2025)年に予定されるクラウド化で様々な業務の効率化に繋がるような準備が極めて重要な段階にきていると考える次第だ。
(1)「財務局の使命と目指す職員像」・「主な業務」の見直し
これについては、本誌2023年7月号において『「財務局の使命と目指す職員像」について』というSPOT記事で紹介しているので、詳しくはそちらに譲りたいが、問題意識としては、財務省再生プロジェクトや様々な行政改革の関係で、平成21(2009)事務年度に策定した「財務局の使命と主な業務」が大きく変貌しているのではないかと考えた。先立つ令和3(2021)事務年度は、「地域連携の深化」というテーマをたて、ここ10年ぐらい取り組んできた地域連携の取組みを整理してとりまとめを行った。そうしたことを踏まえ、財務省の組織理念にも立ち返って見直しを行ったものである。筆者としては、特に人材育成に問題意識を持っており、「求められる職員像」をもう一度考え直してみて、それに合った人材を育成していく必要があるのではないかと強く感じた次第である。また、財務局が地域連携に取り組む際、パートナーとなる地域のステークホルダーなどが財務局に要請したいと思うことは何なのか、また、協力を求められる側の財務局の強みは一体何か、もう一度突き詰めて考える必要があるのではないかと考えた。さらに、財務局はどのような強みがあって、どのようなことができる組織か、外部の人にわかるように伝えることは非常に大切ではないだろうか。加えて、財務局にはどのような強みを持った人材が揃っているか、言えるようにしておくことが重要だと考えたのであった。
平成21(2009)事務年度に財務局のあり方については、財務局の使命が明確化されたことを踏まえて、平成25(2013)年6月に事務次官から財務局全職員に対して機能強化と地域連携に関するメッセージ「財務局の皆さんへ(財務局の機能強化と地域連携の推進)」(後掲)が発信され、財務局職員の地域連携推進に対する意識の醸成を図った。
今回の「財務局の使命と目指す職員像」・「主な業務」の見直しは、地方課が財務局職員と意見照会や意見交換等の対話の機会を得ることにより、地方課側の職員にとっても地方課が何のために仕事をしているのかをあらためて意識する「気づき」の機会にもなった。
今後は、その浸透と実践に向けて、財務省再生プロジェクトにおける「組織理念を踏まえた意識交換会」*7のテーマの1つや研修内容に盛り込んでいくこととしている。

(2)業務の見直し
令和4(2022)事務年度では、経済安全保障や、また、本年4月からの相続時の国庫帰属制度も実際に動き出すなど、毎年、財務局では、新しい業務が増えている一方、財政事情が厳しい中、新規業務に応じた定員を十全に確保することがなかなか難しい状況にあることは遺憾ながら間違いのないところではある。前述のBPR、則ち、思い切った業務の見直しや、マネジメントとしての、資源配分の変更などを行いながら、組織として求められているものをメリハリをつけて遂行していく必要がある。
従来、財務局においては、提案制度に基づき業務改善提案を行ってきたが、提案制度についても、こうした問題意識から、財務局の使命などに立ち返り、どのような改善をしていけばよいかという視点を深めた方がよいのではないかと考えた。具体的には、提案制度に関し、特に幹部職員が、部局を跨いだ改善提案に主体的に関与することを促すべく、関連通達の見直しを行った。

(3)財務局の認知度向上に向けて
ア.地域連携
前述のとおり、令和3(2021)事務年度に、地域連携とはどういうものかについてここ10年間の取組みを整理したところである。各財務局の地域連携の取組みの中長期的一貫性の確保の観点から、令和4(2022)事務年度から各財務局で地域連携に関する中期計画を作成することになった。
それを外向きにも説明していく必要があるのではないかと考え、各財務局において、地域連携の取組方針をホームページに掲載することにした*8。自分たちは何がしたいのか、まず発表してみるということが基本的な発想である。それに基づき、相手方は「財務局はこういうことでやりたいと言っているので、それだと自分たちのニーズとこういうところで重なるから、協力求めていこう」と考えるのが自然だ。まずは、財務局が「自己紹介」をしないと相手方もどうやってアプローチをしたらよいかわからない。そこで、各財務局において令和3(2021)事務年度をかけて1年間ブラッシュアップした取組方針の概要について、対外的に公表する取組みを行ったものである。
則ち、財務局が地域において何をもって貢献できるかよく考えた上で、「自己紹介」をし、まずは、自分達がやっていきたいことを外向きに発表し、財務局がやれることや強みが分かれば、アプローチのありようも広がる、というような発想である。
筆者が、前回地方課長だった平成26(2014)事務年度に、「全国財務局の地域連携事例集」を初めて作ったが、これは、「こういうことやりました」という結果報告なので、「こういうことをやりたいと思って取り組んでいます」ということをよりオープンにしたほうがよいと考えた。令和3(2021)事務年度に、地域の関係者に広くアンケートを取ってみたところ、財務局に関係している方や地域連携の取組みを知っている方は、財務局のことを認識していたが、財務局というものも知らない人も多いということであった。
なお、このようなネットワークを構築して連携して行政課題に対応する動きは、様々な行政分野で行われている。関連する多様な分野の行政機関の連携によって、行政サービスの質の向上を図る「多機関連携」と呼ばれている(参照:『多機関連携の行政学』)。
イ.広報及びネットワークの構築
財務局の広報の目的は大きく二つあり、一つは、財務省や金融庁の施策を広報することであるが、もう一つは、財務局自体がどういうところか知ってもらうことである。この財務局自体を知ってもらう取組みが、コロナ禍もあり、結果として稀薄になってしまったのではないかと考えた。そのため、上述のとおり、各財務局で、地域連携方針を発表したほか、財務局がどういうところか、多くの人に知ってもらうということについて、令和4(2022)事務年度は取組みを進めようと考えた。
この間、平成4(1992)年に創設した全国一律の財務行政モニター制度が廃止され、その後の代替制度がない局も散見された。このため、地域のステークホルダーに、年に数時間ぐらいは財務局のことを考えていただく機会を設けるように各財務局での取組みを進めていただいた。
その一つとして、前述のとおり、地域連携に関する中期計画を作るため、今後計画についてPDCAを回していく過程において、地域の有識者やステークホルダーに計画の進捗状況や取組内容を説明し意見を伺うなどの取組みを進めた。
一方、地方課では、例えば、政府系金融機関であるDBJ(日本政策投資銀行)をはじめ、個別の大学などで、ネットワーク構築に向けた取組みを進めた。地方創生の取組みの当初は、「産官学金労言士」という言葉が言われていた。
財務局のネットワークはそれぞれの財務局のおかれた条件などもあり、強いところもあり、弱いところもある。地方課においては、それを補完しながら、個別の事情も踏まえて、ネットワークの充実化を進めた。

(4)事務考査
地方課業務調整室では、「財務局所掌事務考査規則」等に基づき、効果的・効率的な行政の実現、適正な業務執行を確保するため、財務局事務の事務運営及びその執行状況等の考査を行っている。今事務年度の事務考査は「文書管理」をテーマとした。本誌2022年9月号で、令和3(2021)事務年度に務めた公文書監理官として、電子的管理について記事を投稿したが、そこで記述したように、文書管理や文書主義、則ち文書による行政というのは、官僚制の本質だと認識している。「官僚制」は、公務員だけでなく、民間でも同様で、組織が安定的な業務運営をしていくためには、文書を作成のうえ意思決定し記録を残しておくことが重要である。紙媒体での文書で行政をやっていくと、量が膨大となって、その管理がうまくできていないという状況が懸念されている。基本的には、これから電子化に向かっていくので、検索が容易になると思うが、文書管理についてもう一度きちんと見直してみようという問題意識のもと、今回、事務考査にこのテーマを選んだ。今後考査の結果に基づいた改善に取り組んでいくことが期待される。

(5)財務局におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透へ向けて
最近のデジタル化の中で、「アジャイル」という言葉が非常によくいわれる。トライアンドエラーを繰り返しながら、方針変更やニーズの変化に機敏に対応するということである。「とりあえずやってみよう、その後不具合があったら直していこう。」ということになる。ややいいかげんだというように思う向きもあるかもしれない。しかし、システム開発は、基本的に永遠に改善が続くものであり、きちっと100%隅から隅まで完璧に確立して仕事をすることは、難しいと言われている。「ベストエフォート」という言葉もある。トライアンドエラーを許す、あるいはベストエフォートという考え方を許すような風土が多少はないと、イノベーションは起こらないと言わざるを得ない。
ここで、ホワイトカラーがPC上で行う業務をロボットで自動化するテクノロジーのRPA(Robotic Process Automation)などでは、アジャイル的トライアンドエラーを許容する部分があると思う。そういうところで、特に若い人たちの活気をうまく受け止められれば、非常に素晴らしい。
同じ文脈になるが、地域連携も同様で、現場は試行錯誤で思惑と違うこともいろいろあると思うが、その過程で、職員が気付きを得て柔軟な発想を持つ。こうしたことが非常に大切ではないだろうか。

(6)コミュニケーション三原則の浸透
コミュニケーション三原則*9については、令和4(2022)事務年度もあらためて幹部も含めて省内への周知に努めた。
令和4(2022)事務年度は、アジャイル的あるいは、試行的ということで、月に一度、各財務局長とランチミーティングという形で雑談の機会を設けた。全員参加できなくても可としたほか、資料などを事前に準備するようなものとすると事務的に負担が増してしまう業務になってしまうので、オンラインという特性を生かした軽いタッチで実施した。

(7)「学習する組織」を目指して
筆者は、ここ20年来「学習する組織」という言葉を大切にしてきた。この言葉は、経営学の用語で、ベストセラーになった『失敗の本質』の著者1人でもある世界的な経営学者である野中郁次郎氏も使用しているものである。「学習する組織」とは、職員が、環境変化に応じて柔軟に変わっていけるような組織を言う。政策評価担当室長の業務について投稿した本誌2011年9月号の記事の中で触れた*10。基本的にチームであることを前提に、そのすべての構成員が、自立性と協調性をもって環境に適応する強さと、将来の変化に対応する柔軟性を理解し実践することにより、組織全体が学習する能力を備えているということになると言われている。これは非常にすばらしいことであり、財務省も「財務省再生プロジェクト」により、そういう組織を目指して日々苦闘しているものと筆者は理解している。組織人としての筆者の問題意識の根底にはそれがある。令和4(2022)事務年度については、財務局において、「学習する組織」という発想を具現化できないかということが、大きなテーマであった。


2.おわりに
自明のことではあるが、「パブリックリレーションズ」の日本語訳を「広報」と言う。「広報」という訳からはあまりうかがえないわけではあるが、「リレーション」ということが極めて重要ではないかと考えている。こちらから訴えかけ、何か反応があり、関係性ができることで様々な進展がある。それは地域連携の取組みを含め様々な対外コミュニケーションについては同じと思料する。そのような相互関係を大切にしながら、財務局におけるそれぞれのレベルにおけるマネジメントに取り組んでいくことを今後とも期待したい。(本稿の作成において、石谷良男・大臣官房地方課総務調整企画室長の多大なるご協力をいただいたことに深謝したい。ただし、本稿で、ありうべき誤りなど文責は筆者にあり、意見にわたる部分は筆者個人の見解である。)

『財務省財務局70年史』(57頁~58頁より抜粋)
【第1章 総論】第8節 地域連携の取組
地域連携・地方創生支援の取組
(1)職員の意識醸成
財務局のあり方について財務局の使命が明確化されたことを踏まえて、平成25年6月には事務次官から財務局全職員に対して機能強化と地域連携に関するメッセージ「財務局の皆さんへ(財務局の機能強化と地域連携推進)」が発信され、財務局職員の地域連携推進に対する意識の醸成を図っている。
~財務局の皆さんへ(機能強化と地域連携の推進)【抜粋】~
◎財務局は、実施、広報、伝達の機能を地域貢献につなげるべく、相互に密接に関連させながら、強化していくことが必要です。
◎財務局がこれらの機能をより効果的に発揮していくためには、地域連携、すなわち、地域の主体(地方公共団体、経済界・企業・金融機関、マスコミ、学界・教育機関、地域住民の方々など)とのネットワークを形成し、活用していくことが必要です。

○参考文献・参考資料
(基礎的資料)
・財務省財務総合政策研究所(2021.1)『財務省・金融庁・財務局の組織と事務 令和2年度(研修部教材;令和2年度)』
・大蔵省大臣官房地方課 編(2019.6)『財務省財務局七十年史』(ウエッブ版)
https://lfb.mof.go.jp/about_lfb/rekishi.html
・財務省 編(2019.12)「特集 昭和24年に発足 財務局70年の歴史と果たしてきた役割」(財務省広報誌ファイナンス)
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11657372/www.mof.go.jp/public_relations/finance/201912/201912c.pdf
(財務局の地域連携関係)
・「全国財務局の地域連携事例集」(各年度版)
https://lfb.mof.go.jp/renkei/jireisyu.html
・谷口眞司(2020)「地方創生に向けた財務局の取り組み」『地域域創生,そして日本創生へ(日本経済政策学会叢書;2)』(勁草書房)
・中尾睦(2013.1)「財務局の使命と役割:その機能強化」(財務省広報誌ファイナンス 財務省 編)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11380477
・保井俊之,財務局の機能強化プロジェクトチーム(2014.7)「財務局の地域経済・社会への貢献:地域のために、地域とともに」財務省広報誌ファイナンス 財務省 編)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11380638
・渡部晶,地方連携推進官・広報合同チーム(2015.7)「財務局等における地域連携・地域貢献の取組みについて」(財務省広報誌ファイナンス 財務省 編)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11380751
・渡部晶(2016.2)「財務局における地域連携とエリアマネジメントの取組みについて(信託経済コンファレンス 地方創生・人口減少社会に対応する信託)」(信託 265巻):135頁-157頁 信託協会)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11380863
・渡部晶(2015.6)「全国各地にネットワークを生かし財務局が仕掛ける地域連携・地域貢献(インタビュー記事)」(『月刊コロンブス2015年7月号』東方通信社)
・向山勇,風間立信(2015.6)「特集 全国の地域と連携し活性化を促進 財務局の役割と地域貢献の取組み」(財務省広報誌ファイナンス 財務省 編)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11380737
・向山勇(2016.6)「特集:財務局における各地域の地方創生に向けた取組への支援・貢献」(財務省広報誌ファイナンス 財務省 編)
・渡部晶(2016)「『地域連携で広がる未来』(1)~(4)」(「環境会議」2016年春号・秋号、「人間会議」2016年夏号・冬号(株式会社宣伝会議発行))
・片山雅志・原村健二(2019.9)「地方創生における地域金融機関と財務局の役割」(彦根論叢No.421 滋賀大学経済経営研究所)
・向山 勇(2020.9)「特集 令和元年度の事例集から紹介 全国財務局の地域連携の取組」(財務省広報誌ファイナンス 財務省 編)
・向山 勇(2021.11)「特集 令和2年度の事例集から紹介 全国財務局の地域連携の取組」(財務省広報誌ファイナンス 財務省 編)
(他機関連携)
・伊藤正次編著(2019)『多機関連携の行政学―事例研究によるアプローチ』(有斐閣)
(以上)

プロフィール
渡部  晶(わたべ  あきら)
前・大臣官房地方課長事務取扱
1963年福島県生まれ。87年京都大学法学部卒、大蔵省(現財務省)に入省。福岡市総務企画局長、財務省大臣官房地方課長、内閣府大臣官房審議官(沖縄政策担当)、沖縄振興開発公庫副理事長、財務省大臣官房政策立案総括審議官等を経て、本年7月より財務総合政策研究所長。出身の福島県いわき市の応援大使を務める。地域活性学会及びデジタルアーカイブ学会員。学習院大学法学部政治学科非常勤講師(2023年度前期)として特別演習「政策過程分析I」を担当。
「月刊コロンブス」(東方通信社)で書評コラムを掲載中。2022年4月より、インターネットのジョルダンニュースで、「観光を起爆剤に誇れるわが街に」と題した記事を不定期投稿。
写真 筆者近影(フレディ(4歳8か月)と松江・城山公園にて)

図表 財務局の変遷

*1) ○財務省組織令第17条
一 財務局及び沖縄総合事務局の所掌事務の運営に関する総合的監督に関すること。
二 本省と財務局及び沖縄総合事務局との事務の連絡調整に関すること。
三 財務局及び沖縄総合事務局の行う地方経済に関する調査及び研究、国有財産の管理及び処分その他の事務に関する地方の実情を踏まえた観点からの施策の調整に関すること。
四 財務局及び沖縄総合事務局を通じた本省の施策の周知徹底に関すること。
五 財務局の職員の人事、教養及び訓練並びに福利厚生に関する事務の調整に関すること。
六 財務局の機構及び定員に関する事務の調整に関すること。
七 財務局の経費の概算の調整及び配賦に関すること。
八 財務局所属の行政財産及び物品の管理に関する事務の調整に関すること。
九 地方財政及び財務省の所掌に関する地方情勢に関する調査及び研究に関すること。
十 財務省の所掌事務に関する陳情及び請願に関すること。
*2) ○財務省設置法第13条
財務局は、財務省の所掌事務のうち第四条第一項第一号、第三号、第六号、第八号、第十号、第十二号、第十四号、第十五号、第三十二号、第三十五号、第三十六号、第四十号、第四十一号、第四十二号(製造たばこの特定販売業、塩特定販売業及び特殊用塩特定販売業を営む者の監督に関することを除く。)から第四十六号まで、第六十一号及び第六十五号に掲げる事務並びに次に掲げる事務を分掌し、並びに金融庁設置法(平成十年法律第百三十号)第四条第一項各号に掲げる事務のうち法令の規定により財務局に属させられた事務をつかさどる。
一 国の予算の作成に関すること。
二 国家公務員の旅費の制度に関すること。
三 国内資金運用の調整に関すること。
四 日本銀行の国庫金の取扱事務を監督すること。
五 財政融資資金の管理及び運用に関すること。
六 所掌事務に関する外国為替の取引の管理及び調整に関すること。
七 金の政府買入れに関すること。
2 財務局は、前項に規定する財務局に属させられた事務については、別に法令で定めるものを除き、金融庁長官の指揮監督を受けるものとする。
3 財務局の名称、位置、管轄区域及び内部組織は、政令で定める。
*3) 例えば、銀行法第59条では、以下のように記載されている。
○銀行法第59条
内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。
○銀行法施行令第17条の2
第十七条の二 法第五十九条第一項の規定により金融庁長官に委任された権限及びこの政令による金融庁長官の権限(以下「長官権限」という。)のうち次に掲げるものは、銀行の本店(主たる外国銀行支店(法第四十七条第一項に規定する主たる外国銀行支店をいう。)を含む。以下この条において同じ。)の所在地を管轄する財務局長(当該所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合にあつては、福岡財務支局長)に委任する。ただし、第六号から第八号までに掲げる権限は、金融庁長官が自ら行うことを妨げない。
ちなみに、同条第4項・第5項により、金融庁長官は、財務局長に委任した事務を告示(銀行法施行令第十七条の二第一項から第三項までの規定を適用しない金融庁長官の権限等を定める件)により金融庁長官の権限に戻している。
*4) ○財務省組織規則第5条
3 業務調整室に、室長及び業務調整官十八人以内(うち十三人は、関係のある他の職を占める者をもって充てられるものとする。)を置く。
4 業務調整官は、命を受けて、財務局及び沖縄総合事務局の所掌事務の運営に関する総合的考査、財務局及び沖縄総合事務局の所掌事務に係る電子情報処理組織による処理に関する企画及び立案並びに調整、財務局の情報システムの整備及び管理並びに財務局及び沖縄総合事務局の行う地方経済に関する調査及び研究、国有財産の管理及び処分その他の事務に関する地方の実情を踏まえた観点からの施策の調整に関する事務のうち専門的事項を処理する。
*5) 財務省再生プロジェクト
https://www.mof.go.jp/about_mof/introduction/saisei/index.html
進捗報告(2023年6月23日)19頁、34頁
*6) 財務省再生プロジェクト 進捗報告(2023年6月23日)24頁
*7) 財務省再生プロジェクト 進捗報告(2023年6月23日)13頁~14頁
*8) 財務局ホームぺージの「全国財務局の取組」
https://lfb.mof.go.jp/renkei/torikumi.html
*9) 本省・財務局の間の連携・協働の促進に向けた基本的な考え方((1)職員間の日常的な意思疎通、(2)情報・考え方の適格な共有、(3)管理職員のリーダーシップ)を明文化したもの。
財務省再生プロジェクト進捗報告(2020年6月23日)28頁
*10) 拙稿:「財務省の政策評価の取り組みについて~10回目となった平成22年度政策評価書を中心に」「ファイナンス」平成23(2011)年9月号
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/7352645/www.mof.go.jp/public_relations/finance/201109c.pdf