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地震への経済的な備えとして重要な「地震保険」について-関東大震災100年を迎えて-

大臣官房信用機構課


本年2023年9月1日(金)は、100年前に関東大震災が発生した日であり、「防災の日」とされています。関東大震災は、1923年(大正12年)に発生し、相模湾北西部が震源でマグニチュードは7.9と推定されています。地震動による被害もさることながら、火災による被害が甚大であり、関東圏を中心に、この地震によって全半潰・消失・流出・埋没の被害を受けた住家は総計37万棟、死者・行方不明者は約10万5,000人にのぼりました(阪神・淡路大震災の死者・行方不明者は約5,500人、東日本大震災は約1万8,000人)*1。このような大災害は、いつでも起こる可能性があり、日ごろから備えておく必要があります。
地震のリスクは、通常の火災等のリスクとは異なり、発生頻度・規模にバラツキがあり、かつ損害が特に巨大なものとなる可能性があるため、民間損害保険会社だけでそのリスクを引き受けることが困難です。そのため、地震を原因とする火災や損壊等は、民間損害保険においては補償の対象ではありませんでした。
そこで、1964年(昭和39年)の新潟地震を契機に、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、一定額以上の保険金の支払が発生した場合に、政府が再保険金を支払う官民共同の保険として、1966年(昭和41年)に、現在まで続く「地震保険制度」が創設されました。
この地震保険の対象は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊などによる建物(マンション共用部分を含む)や家財の損害です。ただし、保険金の使い途は決められていません。地震保険は単独で加入することはできず、必ず火災保険に付帯する形で契約します。また、支払った保険料に応じて、一定の所得控除を受けることができます。
地震保険は、これまでも東日本大震災などの巨大地震が発生した際に、官民が一体となって対応することにより、迅速な保険金の支払を実現し、被災者の生活の再建や安定に寄与するなど、その役割を果たしてまいりました。2011年(平成23年)の東日本大震災では、津波などによる甚大な被害が発生しましたが、地震発生から約3か月で9割を超える事案の対応が完了し、2023年(令和5年)3月時点では1兆2,894億円の保険金が支払われております。
地震はいつどこで起こるかわかりません。関東大震災から100年という節目に、地震への備えとして極めて重要な地震保険への加入をおすすめいたします。
(ご参考)
9月1日(金)の防災の日に、下記のとおり、財務大臣、内閣府防災担当大臣、復興大臣、国土交通大臣から地震保険に関連して発言*2がございました。

〈財務大臣〉
本日、令和5年9月1日は、関東大震災の発生からちょうど100年となる防災の日でありまして、閣僚の徒歩参集訓練を含む総合防災訓練が実施されました。
地震大国である我が国はこの100年の間、東日本大震災など数々の地震を経験してまいりました。このような過去の災害を教訓とし、今般の訓練の機会も含め、将来の災害にしっかりと備えていくことが非常に大切なことであると考えております。
財務省では、そうした備えの1つといたしまして、地震保険制度を設けております。この制度は、経済的な補償により、被災者の生活の安定に寄与するものでありまして、より多くの国民の皆様にご利用いただくことが重要と考えております。
財務省としては、本日の防災の日を機に、幅広いメディアやSNSを通じた広報活動の強化など、関係省庁と連携しつつ、更なる周知の徹底に努めてまいりたいと考えております。

〈内閣府防災担当大臣〉
本日9月1日は、関東大震災から100年となる節目でもあることから、国民の皆様には、この機会に是非各地で実施される訓練や防災イベントに積極的に御参加いただければ幸いです。
そして、この機会に防災について改めて考えていただければと思います。一人一人が「自らの命は自らが守る」という意識を持ち、いざというときに迅速かつ適切な行動が取れるように、日頃から備えておくことが重要だと思います。例えば、水や食料の備蓄、家具の固定、さらには、経済的な備えとして「地震保険」への加入など、いざ災害が起きた際の備えについて、今一度見直すきっかけにしていただければと思います。

〈復興大臣〉
本日9月1日は100年前の関東大震災が発生した防災の日であり、閣僚の徒歩参集訓練を含む総合防災訓練が実施されました。東日本大震災をはじめ、過去の災害から得られた教訓を基に将来の災害に備えることは大切なことであります。
本日の閣議で地震保険制度を所管する鈴木財務大臣から、地震への備えとして極めて重要な地震保険制度の周知と加入促進を進めていきたいとの発言がございました。
同制度は、地震に加え、それに伴う津波による被害への備えとなるものであり、東日本大震災の際にも家屋の迅速な自力再建に大いに役立った制度です。是非国民の皆様には、将来の地震に備えて地震保険へのご加入の検討をいただければと考えております。

〈国土交通大臣〉
本日(9月1日)、関東大震災が発生してから、100年を迎えます。
国土交通省としては、引き続き、住宅、公共インフラの耐震対策や、密集市街地の解消をはじめとした防災・減災、国土強靱化に、しっかりと取り組んでいきたいと決意しています。
本日の閣議で、これに関連して、鈴木財務大臣から、地震への備えとして重要な「地震保険制度」の周知と加入促進を進めていきたい、との発言がありました。
地震保険には、住宅の耐震性能に応じた割引制度が設けられています。
国土交通省としても、住宅の耐震化の推進にあわせて、地震保険の周知等に協力していきます。

*1) 内閣府防災のHPを参照。
https://www.bousai.go.jp/kantou100/index.html
*2) 各大臣の会見録から抜粋。