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信用補完制度の解説~主に信用保険制度の観点から~(Ⅲ)



大臣官房信用機構課地震再保険係長(前 政策金融課政策金融第2係長) 中川  忠明


1.はじめに
第1回及び第2回までで、概ねの制度創設の背景・流れについては述べさせていただいた。では、実際に現在の信用補完制度は、どのようにして運用されているのか。それを理解するためには、法令・制度と予算の両面から理解する必要があるところ、今回は主に、法令・制度の面から述べることとしたい。
(注) 引用している条文等は、特段断りがない限り、令和5年4月1日時点のものとした。
なお、意見に亘る部分は筆者個人の私的見解であり、政府や財務省の公式見解ではない。また、ありうべき誤りは、全て執筆者個人に帰属するものである。

2.信用補完制度の活用~代表的な保証メニュー~
信用補完制度は、昭和33年の成立以来、その基本的スキームを維持してきているところ、実際に制度を利用されている方々や金融機関職員の方々等の立場からすると、それなりに変化してきている部分があるという印象があるかもしれない。
実際のところ、信用補完制度の中身にあたる保証メニューは、政策的必要性等を反映し、柔軟に、拡充・見直しが行われてきたわけである。
では、具体的にどのような保証メニューがあるのかと言い始めると、信用保証制度は先述の通り、地方公共団体レベルから積み上げられてきた制度であるし、実際に各地方公共団体において制度融資の設計等も行われるため、一律に説明することは難しい。
また、株式会社日本政策金融公庫の信用保険事業(以下「公庫保険」という。)側から説明しようとしても、それはそれで一般的な保証メニューの理解には資さないであろう。その理由は、後の第3章を読んでいただければ最も端的なのであるが、あくまで公庫保険側からは、保証メニューをバックファイナンスするための保険メニューであるから、必ずしも世間一般に知られている保証メニューとリンクせず、理解しようとすればするほど初見では混乱すると思われるからである。
そこでここでは、利用者側の目線に立ちつつ、信用保険制度との連結もある程度明瞭であって、かつ最も実務的にも活用されるであろう3つの保証メニュー(セーフティネット(以下「SN」という。)保証4号及びSN保証5号並びに危機関連保証)について、その内容を簡単に述べておくこととしたい。
単純に信用補完制度としてどういう制度が使えるのか、という観点であればこの第2章を解せば足りるであろう。その上で実際どうやってこの制度を稼働させているのか、という点についてご興味のある方は、第3章へと進んでいただければ幸いである。
(1)SN保証4号
SN保証4号は、SN保証3号と共に、昭和55年当時、東北地方の冷夏から北陸地方の豪雪など、地域的・突発的な自然災害等により、地域の中小企業が安定的な経営を行うことが困難になっていることを背景として整備されたものである。
そして、SN保証3号が、事故等により影響を受けた中小企業を対象とするため、中小企業信用保険法(昭和25年法律第264号。以下「信用保険法」という。)第2条第5項第3号にて「特定の業種に属する事業」に係る規定とされている*1のに対し、SN保証4号は自然災害等により影響を受けた中小企業を対象とするため、業種指定は行わず、地域指定という仕組みになっている。また、自然災害等に起因して発動するため、主務省(条文上でいう「主務大臣」であるが、一般的な言い方ならば「監督官庁」であろうか。以下同じ。)からすれば、その自然災害等の単位で実績が分かるという特徴もある。
一般的に台風や地震等、大規模な自然災害が発生した場合は、このSN保証4号が、経済産業大臣の指定に基づいて発動されるため、実務的な感覚としては、災害対応時の定番保証メニューである。
具体的な保証内容は、民間金融機関が行った融資額の100%を保証する。
なお、参考までに述べておくと、上記融資は、下記の両条件に当てはまることについて、市区町村長の認定を受けた者が対象となる。一般的には、実際に融資を申し込まれるユーザーの目線から解説等されることが多いため、こちらの内容で認識されている方が殆どであろう*2。
(イ)指定を受けた地域において1年間以上継続して事業を行っていること。
(ロ)上記の指定を受けた災害等の発生に起因して、その事業に係る当該災害等の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高又は販売数量(建設業にあっては、完成工事高又は受注残高。以下「売上高等」という。)が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
そして、代位弁済を行った場合には公庫保険よりその保証額の80%が填補される(融資額の80%を公庫保険が保険する)仕組みとなっている。
ちなみに、このSN保証4号は、今般の新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)対策においても最も活用されている保証メニューである。新型コロナは、信用保険法第2条第5項第4号にいう「災害その他の突発的に生じた事由」に該当するところ、その適用地域を「全国」として対応することで、第1回で述べた民間ゼロゼロ融資の実施等を可能とするベースとなる制度として活用される等、現在まで引き続き活用されている。
(2)SN保証5号
SN保証5号は、昭和48年、高度経済成長が終わりを迎え、産業構造の急激な変化の中で、不況に陥る特定の業種に属する事業を行う中小企業を支援するため創設されたものである。より詳細を述べると、SN保証5号創設前のSN保証では、大企業の倒産等に起因するもの(現在のSN保証1号及びSN保証2号)のみが措置されていたところ、こうした背景の中で、特定の業種ごとに別枠の保証を可能とし、一時的な不況を乗り切ることや事業転換を後押しするために措置されたものであった。
そして、このSN保証5号は、経済産業大臣の指定する業種に対して適用されるものであるため、主務省からすれば、具体的な不況業種の状況を把握することができるという特徴がある。
具体的な保証内容は、民間金融機関が行った融資額の80%を保証する。
なお、参考までに述べておくと、上記融資は、下記どちらかの条件に当てはまることについて、市区町村長の認定を受けた者が対象となる*3。
(イ)指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比5%以上減少の者
(ロ)指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない者
そして、代位弁済を行った場合には公庫保険よりその保証額の80%が填補される仕組みとなっている(すなわち、80%×80%により、融資額の64%を公庫保険が保険する。イメージとして図表1 SN保証5号(填補率80%)の場合のリスク負担を参照されたい。)。
ちなみに、平成30年3月31日以前に保証申込みの受付がされた融資については、民間金融機関が行った融資の100%を保証していた。
一方、信用保証への過度な依存を防止しつつ、民間金融機関がより前面に立って、経営改善や事業転換が促されるようにという観点に基づき、同年4月1日から、SN保証5号を責任共有制度(信用保証制度において、民間金融機関にもその融資額(保証額)の20%負担を求める制度)の対象としたところである。これにより、上記の通り保証割合は80%となっているところである。
新型コロナ対策もさることながら、このSN保証5号は、世界的な金融危機であるリーマンショック時に非常に大きな役割を担った保証メニューであった。何故ならば、リーマンショック時は、後述する危機関連保証がまだ創設されておらず、またSN保証4号は自然災害等に起因して発動するところリーマンショックが自然災害等とは解釈し難い状況であったため、この時は緊急避難的に、このSN保証5号を全業種に対し指定(平成20年10月末~平成23年3月末:最大1,118業種を指定)することで対処したためである。
そして今般の新型コロナ対策においても、SN保証5号は、第1回で述べた民間ゼロゼロ融資の実施等を可能とするベースとなる制度として活用される等、現在まで引き続き活用されている。
(3)危機関連保証
危機関連保証は、ここまで述べてきたSN保証とは異なり、平成30年度に導入された新たな保証メニューであり、簡潔に言えば、リーマンショック時の経験を踏まえて新たに整備されたものである。
リーマンショック時は、先述の通りSN保証4号で対応するというわけにはいかず、SN保証5号を全業種指定するという形で緊急避難的に対応を行った。しかしながら、SN保証5号では、その発動には一定の調査期間を要するため、すぐさま全業種指定とは出来ないという問題が生じていた(このリーマンショック時のケースでは、全業種の指定までには1年半を要した。)。換言すれば、突発的に発生する信用収縮へ迅速な対応を図るには、SN保証4号やSN保証5号では不十分となりうる事態が、現実に示されたのである。
そこで、内外の金融秩序の混乱その他の事象が突発的に生じたため我が国の中小企業に係る著しい信用の収縮が全国的に生じていると経済産業大臣が認める場合に発動できる保証メニューとして、この危機関連保証が導入されたというわけである。
法令面では、信用保険法第2条第6項等が、この保証メニュー導入にあたり追加されている。結果としてSN保証と異なり、保証メニューと保険メニューが対になっており、最も法令上の立て付け面では理解しやすい保証メニューではないかと思われる。
具体的な保証内容は、民間金融機関が行った融資額の100%を保証する。
なお、参考までに述べておくと、上記融資は、下記の両条件に当てはまることについて、市区町村長の認定を受けた者が対象となる*4。
(イ)金融取引に支障を来しており、金融取引の正常化を図るために資金調達を必要としている。
(ロ)認定案件(上記の経済産業大臣が認める場合)に起因して、原則として、最近1か月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少しており、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれる。
そして、代位弁済を行った場合には公庫保険よりその保証額の90%が填補される仕組みとなっている。
では、危機関連保証は、SN保証4号やSN保証5号とほぼ同じ制度なのか(より支援レベルが拡充されているのが違う程度なのか)というとそうではなく、実施期間という点で明白な違いがある。
具体的には、SN保証4号やSN保証5号が「法令上の明白な終了期限が無い*5」のに対し、当該制度の趣旨に鑑みれば、危機の去った段階で速やかに終了しなければ、市場を歪めることにもなりかねないため、その期間は原則1年以内(更に延長する場合も最大1年であるため、最長2年以内)と、予め期限を区切って実施することが法定されている。
なお、この危機関連保証が初めて発動されたのが、今般の新型コロナ対策であった。SN保証4号及びSN保証5号と共に、第1回で述べた民間ゼロゼロ融資の実施等を可能とするベースとなる制度としても活用されてきたところ、上記の期限を満了したため、現在はSN保証4号など、従来からの保証メニューを活用する形で、新型コロナ対策が続けられている。
(まとめ)
今般の新型コロナ対策でも活用された、SN保証4号及びSN保証5号並びに危機関連保証の概要は、以上のとおりである。なお、SN保証は全部で8つの保証メニューの総称であるところ、今般取り上げた保証メニュー以外を含めたその全体像は、次の図表2 SN保証の種類を参考としていただきたい。
そしてここまで述べてきたように、こういった保証メニューが、実際の現場では実務として使われる用語であり、制度であるため、信用保証制度がどういうものかということを解するという点だけであれば、この第2章の内容である程度足りるであろう。
しかしながら、本稿を執筆する際の話にも繋がるものであるが、実際こうした保証メニューを安定的に実施するためには、信用保険制度によるバックファイナンスがなければならないわけで、それこそ、第3章が示す内容なのである。
では、実際に信用保証制度が稼働するにあたってのバックファイナンスは、どういった構造になっているのか。今回は、制度・法令の面から見るとして、その稼働根拠について、第3章にて述べていきたい。

3.信用補完制度の仕組み~法令上の立て付け~
では、こうした経緯・制度変遷を経て現在に至る日本の信用補完制度であるが、具体的にどのような仕組みで動いているのか。この点について、ここでは、その制度の骨格たる法令上の枠組みについて述べていきたい。
ここまで繰り返し述べてきたとおり、日本の信用補完制度は、民間金融機関による融資を「保証」する信用保証協会と、その信用保証協会が行った「保証」を包括的に「保険」する公庫保険から成り立っている。
このうち、信用保証協会については、信用保証協会法(昭和28年法律第196号)がその設立根拠となっており、内閣総理大臣(金融庁)及び経済産業大臣(中小企業庁)がその主務大臣として、業務を監督している。平易な言い方をすれば、信用保証事業については、信用保証協会法という法律一本で、基本的には全て網羅されているような形になっているわけであり、これは一般的にも理解しやすいであろう*6。
一方、その保証を「保険」する公庫保険については、まずその基本構造自体が、保険事業を行う旨を規定する、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号。以下「日本公庫法」という。)と、保険事業そのものを規定する、信用保険法という2つの法律に分かれている。このため、ある法律を読めば信用保険事業が網羅されている、というようなことにはなっていないのである。
では、どのように解すれば分かりやすいか。ここは、まず日本公庫法、次に信用保険法という順序で述べていくこととしたい。
(1)日本公庫法
日本公庫法は、政策金融改革により、それまでの政策金融に係る機関を一本に統合する形で制定された法律であるため、一見しただけでは分かりづらいものの、信用保険に係る記載はさほど複雑ではない。
日本公庫法は、信用補完制度という観点からは、公庫保険を、次に述べる信用保険法に基づく「信用保険」を実施する機関として位置づけている法律である。そこで、まず同法第11条第1項第1号及び第3号並びに別表 第一(第十一条関係)1第15号にて、公庫保険から信用保証協会に対し、貸付(信用保証協会への資金繰り支援)及び信用保険を行うことが、公庫保険の業務として明示されている。
とはいえ、その業務(特に信用保険)を無尽蔵に引き受けることは財源の問題がある以上困難であるから、同法第31条第2項第4号ニに基づき、政府関係機関予算書の予算総則において、その保険を行える限度額(保険価格の限度額)が規定されることとされている。それ故に、信用補完制度、とりわけ信用保険においては、予算措置についても理解しておくことが重要なのであるが、その内容については後に述べることとしたい。
では、こうした事業を行う公庫保険に対し、どこがその監督を担うかであるが、それについても日本公庫法にて規定されている。すなわち、同法第58条にその監督権限が明記されるとともに、同法第64条第1項第5号にて、その主務大臣は、経済産業大臣及び財務大臣と規定されているのである。
一方、日本公庫法には、具体的にどのような信用保険を行うかについては一切規定がない。信用保険という事業そのものは、業法としての位置づけにあたる、信用保険法において規定されているからである。
○日本公庫法(抄)
(業務の範囲)
第十一条 公庫は、その目的を達成するため、次の業務を行うものとする。
一 別表第一の中欄に掲げる者に対して、それぞれ同表の下欄に掲げる資金を貸し付ける業務…を行うこと。
二 (略)
三 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)の規定による保険を行うこと。
四~六 (略)
2・3 (略)
(予算の形式及び内容)
第三十一条 公庫の予算は、予算総則及び収入支出予算とする。
2 前項の予算総則においては、次の事項を定めるものとする。
一~三 (略)
四 次のイからホまでに掲げる業務ごとのそれぞれイからホまでに定める金額
イ~ハ (略)
ニ 第十一条第一項第三号の規定による保険 保険価額の限度額
ホ (略)
3~5 (略)
(監督)
第五十八条 公庫は、主務大臣がこの法律又は中小企業信用保険法の定めるところに従い監督する。
2 主務大臣は、公庫の運営又は管理について、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときその他この法律又は中小企業信用保険法を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(主務大臣)
第六十四条 この法律における主務大臣は、次の各号に掲げる事項の区分に応じ、当該各号に定める大臣とする。
一~四 (略)
五 第十一条第一項第一号の規定による別表第一第十四号及び第十五号の中欄に掲げる者に対して貸付けを行う業務、…並びに同項第三号に掲げる業務…並びにこれらの業務に係る財務及び会計に関する事項 経済産業大臣及び財務大臣
六・七 (略)
2 (略)
(2)信用保険法
では、対する信用保険法はどのような立て付けとなっているか。
この構造が一見して複雑なのは、基本的な保険メニューの構造を縦のメニューとするなら、その縦のメニューに横断的に適用される特例メニュー(横のメニュー)が存在するという点に起因しているように思われる。そこでここでは、細かな部分は意図的に省略しつつ、先に縦のメニューについて説明し、その上で横のメニューについて述べることとしたい。
(基本的な保険メニュー:縦のメニュー)
縦のメニューであるが、その内容は、信用保険法第3条から第5条に集約されている。
まず第3条から第3条の11において、保証メニューに対して適用できる保険メニューが羅列されており、信用保証協会が行った保証メニューに適用する保険は、この中から成立する*7ということになる。
では、その保険内容はどのようになっているのか。最も基本的な「普通保険」を規定する同法第3条を例にすると、その第1項で、保険として引き受けられる対象や上限金額を定めつつ、同条第2項で保証割合に対する保険金額(填補率)は70%である旨を規定している。以下、第3条の11まで、基本的な法令構造は同じであるが、それぞれ政策目的等に沿って、その対象や上限金額、保険金額(填補率)が規定されている、というわけである。
次に第4条にて、信用保証協会から公庫保険に支払われる保険料が規定される。第4条は、「保険料の額は、保険金額に年百分の三以内において政令で定める率を乗じて得た額とする」とされているため、この時点で保険料率には3%という上限が定められている。なお、具体的な保険料率は、上記の通り政令委任されており、中小企業信用保険法施行令(昭和25年政令第350号。以下「信用保険令」という。)においては、第2条にて、具体的な保険料率が定められている。
そして、続く第5条は、実際に公庫保険から信用保証協会に対して支払われる保険金の算定方法が定められている。そのため、上記第3条から第3条の11において定められている、各保険メニューの保険金額(填補率)とこの条はリンクするという構造となっている。
このように、第3条から第5条だけをまず読み込めば、信用保証協会が行う保証メニューに対し、どういった保険メニューを適用するかという極めてシンプルな法令構造であることがおわかりいただけるのではないかと思う。
○信用保険法(抄)
【基本的な保険メニュー:縦のメニュー】
(普通保険)
第三条 株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)は、事業年度の半期ごとに、信用保証協会を相手方として、当該信用保証協会が中小企業者の銀行、信用金庫、信用協同組合その他の政令で定める金融機関…からの借入れ…による債務の保証…をすることにより、中小企業者一人についての保険価額の合計額が二億円(その中小企業者が中小企業等協同組合、協業組合、商工組合、商工組合連合会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会、生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会又は酒類業組合であるときは、四億円)を超えることができない保険(以下「普通保険」という。)について、借入金の額のうち保証をした額…の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、公庫と当該信用保証協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
2 前項の保険関係においては、保険価額に百分の七十を乗じて得た金額を保険金額とする。
3 第一項の保険関係においては、借入金の額のうち保証をした額を保険価額とし、中小企業者に代わつてする借入金の弁済(手形の割引の場合は手形の支払、電子記録債権の割引の場合は電子記録債権に係る債務の支払)を保険事故とする。
4 第一項の保険関係が成立する保証をした借入金(手形の割引の場合は手形の割引により融通を受けた資金、電子記録債権の割引の場合は電子記録債権の割引により融通を受けた資金)は、中小企業者の行う事業の振興に必要なものに限る。
5 第一項に規定する債務の保証に係る金融機関の債権が金融機関その他の政令で定める者以外の者に譲渡されたときは、当該債務の保証に係る同項の保険関係は、当該譲渡の時において消滅する。
第三条の二~第三条の十一 (略)
(保険料)
第四条 保険料の額は、保険金額に年百分の三以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
(保険金)
第五条 公庫が普通保険…の保険関係に基づいて支払うべき保険金の額は、信用保証協会が中小企業者に代わつて弁済…をした借入金…、社債に係る債務…又は特定支払債務の額から信用保証協会がその支払の請求をする時までに中小企業者に対する求償権…を行使して取得した額(次の各号に掲げる場合にあつては、当該各号に定める額)を控除した残額…に、百分の七十…を乗じて得た額とする。
一~三 (略)
では、その縦のメニューに横断的に適用される特例メニュー(横のメニュー)とはどういうものか。これこそが、今般の新型コロナ対策で認知した方も多いであろう、SN保証や危機関連保証に係る特例的な保険メニューである。
(特例メニュー:横のメニュー)
横のメニューは、個人的な感想ではあるけれども、この信用保険法上では読み取りにくい法令構造をしている。その理由は、縦のメニューに比べれば、分散的な構造をしているからではないかと思われる。
まずSN保証や危機関連保証については、災害等の事態にあたり発動される保証メニューであるが、そういった事態に対応する保証をバックファイナンスするため、保険メニューとしても、その保険金額(填補率)を引き上げるとともに、通常よりも保険料率を下げている。そういった特例的な内容を定めているのが、信用保険法第12条から第18条である。
具体的には、第12条から第14条においては、SN保証に係る内容となるように、第3条から第3条の3(普通保険、無担保保険又は特別小口保険の3つの保険メニューについての規定)、第4条(保険料)及び第5条(保険金)に係る読み替え規定が定められている。要するに、縦のメニューが一律に読み替えられる立て付けであり、これにより、SN保証は、通常の保険メニューから別枠化の上で、保険金額(填補率)が80%に一律化(ただし、SN保証6号は当分の間90%)されるとともに、保険料率も2%を上限として政令委任される形となっている。
そして、第15条から第17条においては、危機関連保証に係る内容となるように、上記と同様の構造での読み替えが定められている。SN保証に係る内容と明示的に異なる点としては、危機関連保証では、保険金額(填補率)は、さらに高い90%に一律化されているという点であろう。
なお、SN保証に係る保険料率は、信用保険令第3条、同様に危機関連保証に係る保険料率は、同令第4条にて規定されている。
その上で、他に優遇措置がとられている保険メニューと、SN保証と危機関連保証に係る保険メニューについて、重複して利用される場合の保険価格の上限をどのようにするかを定めるのが第18条であり、同条はその内容を政令に委任しているという構造となっている。
ちなみに、委任された信用保険令第5条は、激甚(じん)災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年法律第150号)等の災害に係る法令による保険メニューとの保険価格の上限を定めているところである。
○信用保険法(抄)
【特例メニュー:横のメニュー(第2条以外)】
(経営安定関連保証の特例)
第十二条 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて、経営安定関連保証(第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証であつて、特定中小企業者の経営の安定に必要な資金に係るものをいう。以下同じ。)を受けた特定中小企業者に係るものについての第三条第一項、第三条の二第一項及び第三項並びに第三条の三第一項及び第二項の規定の適用については、第三条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「経営安定関連保証(第十二条に規定する経営安定関連保証をいう。次条及び第三条の三において同じ。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、第三条の二第一項及び第三条の三第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「経営安定関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、第三条の二第三項及び第三条の三第二項中「当該借入金の額のうち」とあるのは「経営安定関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該借入金の額のうち」と、「当該債務者」とあるのは「経営安定関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」とする。
第十三条 普通保険の保険関係であつて、経営安定関連保証に係るものについての第三条第二項及び第五条の規定の適用については、第三条第二項中「百分の七十」とあり、及び第五条中「百分の七十(無担保保険、特別小口保険、流動資産担保保険、公害防止保険、エネルギー対策保険、海外投資関係保険、新事業開拓保険、事業再生保険及び特定社債保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。
第十四条 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて、経営安定関連保証に係るものについての保険料の額は、第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
(危機関連保証の特例)
第十五条 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて、危機関連保証(第二条第六項の経済産業大臣が認める日から一年以内の期間(同項に定める信用の収縮の状況を勘案し、経済産業大臣が一年を限り当該期間を延長したときは、その延長した期間を含む。)において行われた特例中小企業者の経営の安定に必要な資金に係る第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証をいう。以下同じ。)を受けた特例中小企業者に係るものについての第三条第一項、第三条の二第一項及び第三項並びに第三条の三第一項及び第二項の規定の適用については、第三条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「危機関連保証(第十五条に規定する危機関連保証をいう。次条及び第三条の三において同じ。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、第三条の二第一項及び第三条の三第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「危機関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、第三条の二第三項及び第三条の三第二項中「当該借入金の額のうち」とあるのは「危機関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該借入金の額のうち」と、「当該債務者」とあるのは「危機関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」とする。
第十六条 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて、危機関連保証に係るものについての第三条第二項、第三条の二第二項(第三条の三第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)及び第五条の規定の適用については、第三条第二項中「百分の七十」とあり、第三条の二第二項中「百分の八十」とあり、及び第五条中「百分の七十(無担保保険、特別小口保険、流動資産担保保険、公害防止保険、エネルギー対策保険、海外投資関係保険、新事業開拓保険、事業再生保険及び特定社債保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の九十」とする。
第十七条 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて、危機関連保証に係るものについての保険料の額は、第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
(経営安定関連保証及び危機関連保証に係る限度額)
第十八条 経営安定関連保証及び危機関連保証を受けた中小企業者一人についての普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて政令で指定するものの保険価額の合計額の限度額は、政令で定める。
さて、これだけを見るとSN保証と危機関連保証に係る規定も、読み替えという点はあるにせよ、それなりにひとまとまりで規定されているので分かりやすいではないか、と思われるであろう。
だが、上記で分散的と述べたのは、これらの読み替えを適用する対象者を規定しているのが、信用保険法第2条であるため、読み取る際はこのまとまりから信用保険法第2条に戻る必要があるからである。すなわち、条文を読もうとすると、第2条の定義規定を踏まえつつ、第12条以降と読み替え元の規定を見るような読み方になるため、少々読みにくい形となってしまうのである。では、そのことを踏まえた上で、具体的な規定構造を確認しておきたい。
第2条本体は、6つの項で構成されるため一見非常に長いものの、SN保証に係る規定は同条第5項であり、危機関連保証に係る規定は第6項となっている。
このうち、第6項は危機関連保証の対象となる者を「特例中小企業者」とし、その具体的な事態等を述べている形であるので分かりやすい。
対して、条文が長いので一見すると非常に複雑に見えてしまうのが第5項であるが、同項を構成する第1号から第8号は、SN保証4号やSN保証5号といった保証メニューの名称(号数)とリンクしている状態にあるので、実務上は非常にシンプルな形となっている。
したがって、実務的には、活用しようとするSN保証に係る横のメニューを確認したければ、そのSN保証の号数と一致する信用保険法第2条第5項中の号を確認し、その上で読み替え規定を読んでいけば読み解けるというわけである。
なお、同条第5項は、SN保証の対象となる者を「特定中小企業者」としており、上記の第6項との関係では、「特定(第5項)」と「特例(第6項)」で書き分けられている点、ご留意いただければ幸いである。
○信用保険法(抄)
【特例メニュー:横のメニュー(第2条)】
(定義)
第二条 (略)
2~4 (略)
5 この法律において「特定中小企業者」とは、中小企業者であつて、次の各号のいずれかに該当することについてその住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けたものをいう。
一 破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てその他経済産業大臣が定める事由が生じた事業者であつて、経済産業大臣が指定したものに対する売掛金債権その他経済産業省令で定める債権の回収が困難であるため、当該中小企業者の経営の安定に支障を生じていると認められること。
二 取引の相手方たる事業者その他の事業者が事業活動の制限であつて経済産業大臣が指定したものを実施していることにより、次に掲げる事由のうち中小企業者の事業活動に著しい支障を生じていると認められるものとして経済産業大臣が定めるものが生じているため、当該中小企業者の経営の安定に支障を生じていると認められること。
イ 当該事業者と取引を行う中小企業者について生じた取引の数量の減少その他これに類する事由
ロ イに掲げるもののほか、当該事業者の事業活動に相当程度依存している相当数の中小企業者について生じた取引の数量の減少その他これに類する事由
ハ イ及びロに掲げるもののほか、指定地域(当該事業活動の制限により当該事業者の事業所が所在する特定の地域内に事業所を有する相当数の中小企業者の事業活動に著しい支障を生じていると認められるものとして経済産業大臣が指定する地域をいう。)内に事業所を有する相当数の中小企業者について生じた取引の数量の減少その他これに類する事由
三 災害その他の突発的に生じた事由であつて、その発生に起因して特定の業種に属する事業を行う相当数の中小企業者の事業活動に著しい支障を生じており、かつ、その事業活動が特定の地域内に限られていると認められるものとして経済産業大臣が指定するものに起因して、その業種に属する事業をその地域において行う中小企業者の相当部分の事業活動に著しい支障を生じていると認められる業種として経済産業大臣が地域を限つて指定するものに属する事業を行う中小企業者であり、かつ、当該事業に係る取引の数量の減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているためその経営の安定に支障を生じていると認められること。
四 災害その他の突発的に生じた事由であつて、その発生に起因して相当数の中小企業者の事業活動に著しい支障を生じており、かつ、その事業活動が特定の地域内に限られていると認められるものとして経済産業大臣が指定するものに起因して、その地域内に事業所を有する中小企業者の相当部分の事業活動に著しい支障を生じていると認められる地域として経済産業大臣が指定する地域内に事業所を有する中小企業者であり、かつ、当該中小企業に係る取引の数量の減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているためその経営の安定に支障を生じていると認められること。
五 その業種に属する事業について主要な原材料等の供給の著しい減少、需要の著しい減少その他経済産業大臣が定める事由が生じていることにより当該事業を行う中小企業者の相当部分の事業活動に著しい支障を生じていると認められる業種として経済産業大臣が指定するものに属する事業を行う中小企業者であり、かつ、当該事業に係る取引の数量の減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているためその経営の安定に支障を生じていると認められること。
六 破綻金融機関等(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第四項に規定する破綻金融機関、同条第十二項に規定する被管理金融機関、同条第十三項に規定する承継銀行、同法第百十一条第二項に規定する特別危機管理銀行、同法第百二十六条の二第一項第二号に規定する特定第二号措置に係る同項に規定する特定認定に係る金融機関、同法第百二十六条の三十四第三項第一号に規定する特定承継銀行及び同法附則第十五条の二第三項に規定する承継協定銀行(同条第四項第四号に規定する承継勘定に係る業務を行う場合に限る。)並びに金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号)第二条第五項に規定する被管理金融機関、同条第七項に規定する承継銀行及び同条第八項に規定する特別公的管理銀行をいう。)と金融取引を行つていたことにより、銀行その他の金融機関との金融取引について借入れの減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているため、当該中小企業者の経営の安定に支障を生じていると認められること。
七 銀行その他の金融機関が支店の削減等による経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整であつて経済産業大臣が指定したものを実施していることにより、当該金融機関との金融取引について借入れの減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているため、当該中小企業者の経営の安定に支障を生じていると認められること。
八 銀行その他の金融機関が当該中小企業者に対して有する貸付債権を特定協定銀行(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五十三条第一項第二号に規定する特定協定銀行をいう。)又は株式会社産業再生機構に譲渡したことにより、当該金融機関その他の金融機関との金融取引について借入れの減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているためその経営の安定に支障を生じている中小企業者のうち、適切な事業計画を有することその他の経済産業大臣が定める基準に適合することによりその事業の再生が可能と認められるもの
6 この法律において「特例中小企業者」とは、中小企業者であつて、内外の金融秩序の混乱その他の事象が突発的に生じたため我が国の中小企業に係る著しい信用の収縮が全国的に生じていると経済産業大臣が認める場合において、その信用の収縮の影響により銀行その他の金融機関からの借入れの減少その他経済産業大臣が定める事由が生じているためその経営の安定に支障を生じていることについて、その住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けたものをいう。

(まとめ)
さて、このように信用保険法は、基本(縦)と特例(横)という視点で読み解くことで、その全体像を解することは容易になると思われる。その上で、最後に、より制度理解を進めやすくする2つのポイントを述べておきたい。
まず保険メニューについては、上記の信用保険法に係るもの以外にも多々存在している。そのため、信用保険法だけでは理解が足りないのではないかと思われるものの、実際にはそのようなことはない。何故ならば、信用保険法以外に基づく保険メニューも、結局のところは、信用保険法を読み替えるという立て付けになっていることが基本だからである。したがって、信用保険法による保険メニューがどのように読み替えられるかという観点に立てば、さほど複雑な形にはなっていない。
次に、保険金額(填補率)が信用保険法で明示されているところ、実務的には、保証メニューによる保証割合と保険金額(填補率)が、どちらの話なのか混乱しがちである。とりわけ、保証割合と保険金額(填補率)が一致している場合は、初見の際は混乱するであろう。
この点については、そもそも信用保証協会が民間金融機関に対して行う保証割合については、保険メニューと異なり、法令上規定されているわけではない、ということを念頭に置いておけば、混乱することは無いであろう。
すなわち、SN保証4号は保証割合が100%の保証メニューとしてよく知られるところであるが、これは政策的見地によるものであって、この割合を100%とする法令上の規定そのものはないのである。そして、保険メニューは、その保証割合に対する保険金額(填補率)であるから、当然に保証メニューの保証割合とリンクしているわけではない。言われれば単純なことではあるが、その原理原則だけ念頭においておけば、信用保険法を読み解くことは勿論ながら、信用補完制度全体の理解も容易になるのではないかと思われる。
そして、これらの関係性を一枚に纏めると、次の図表3 信用保険法における保険メニューの立て付けの通りである。

4.おわりに
さて、法令上の立て付けはこのようになるわけであるが、一方で実際に信用補完制度が法令どおり稼働するためには、財源措置が必要となる。では、その予算はどのように措置されているのだろうか。上記の内容を踏まえつつ、最後に(次回)、その予算措置について述べることとしたい。

(以上)
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*1) 実際の発動事例としては、平成8年の腸管出血性大腸菌禍(O-157)、平成9年のナホトカ号流出油災害や平成13年の有明海の海苔の不作がある。
*2) 中小企業庁HPにおいても解説されているので、詳細はこちらを参照されたい(脚注3及び4において同じ。)。
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_4gou.htm
*3) https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_5gou.htm
*4) https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_crisis.htm
*5) SN保証4号の場合、3ヶ月ごとに調査が行われ、必要に応じて延長されるという運用であり、SN保証5号の場合、四半期ごとに調査が行われ、不況業種が指定されるという運用となっている。したがって、その必要があれば指定が延長されるため、絶対的な終了時期というものは、法令上は定められていない。
*6) 信用保証協会法第49条にて、「財務大臣は、その所掌に係る金融破綻(たん)処理制度及び金融危機管理に関し、協会に係る制度の企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。」とされているため、財務大臣に係る規定も存在はしているものの、財務大臣は、主務大臣として信用保証協会を監督等する立場とはされていない。
*7) 信用保険法においては、信用保証協会が行った保証メニューの内容に沿ってどの縦のメニューが優先して成立するかが定められている。ただし、独立の条文(優先規定等を一括して示す条文)を立てているわけではない。慨して言えば、どういう保証を信用保証協会が行った場合であれば、幾らまでは、どの縦のメニューが成立するということが、その各縦のメニューの条文(信用保険法第3条から第3条の11)ごとに定められている。
したがって、平易な言い方をすれば、信用保証協会が任意の保険メニューを選べるわけではなく、信用保証協会が行った保証メニューの内容に沿って自動成立するという立て付けなのである。