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PRI Open Campus~財務総研の研究・交流活動紹介~ 16

カンボジアの経済情勢及び中小企業金融の現況について

財務総合政策研究所 総務研究部 国際交流課 研究交流係長 井山 まりな
同 研究員 町田 孝陽


財務総合政策研究所(以下、「財務総研」)では、アジアの開発途上国に対して、財政経済セミナー*1や中小企業金融支援等の知的支援を実施しています。こうした支援を効果的・効率的に行う観点から、支援の対象となり得る国の政府機関との面会や専門家へのヒアリングを通じて、その国の経済状況や財政・金融情勢の現地調査を行っており、2022年10月にカンボジアで現地調査を実施しました。今回のPRI Open Campusでは、現地調査を踏まえ、カンボジアの現在の経済情勢や発展に向けた課題について、特に中小企業を取り巻く金融環境に着目しながら「ファイナンス」の読者の皆様に紹介します*2。
1.カンボジアの経済情勢
カンボジアは、建設業や観光業、縫製品を中心とする輸出の拡大等を背景に、2010-2019年にかけて平均7.0%の実質GDP成長率を達成してきました。しかし、一人当たりGDPはASEAN諸国の中でもまだ低い水準となっています(図表1 ASEAN諸国の一人当たり名目GDP(2021年))。世界銀行(WB)はカンボジアを低位中所得国と位置付けており*3、カンボジア政府は2030年までに上位中所得国に、2050年までに高所得国になることを目指しています。こうした中、カンボジア政府は2022年11月に「National Policy Framework on Productive Economy 2022-2035」を発表し*4、生産、サービス、貿易等の面でカンボジアの競争力を改善し、高付加価値経済を目指すとしています*5。
カンボジア経済の産業構成を見ると、名目GDPに占める鉱工業の割合は増加しつつあるものの、農林水産業が24.3%と未だに高い水準にあり、産業高度化の途上にあります。また、鉱工業のうち製造業については、クメール・ルージュ(カンボジア共産党)のポル・ポト政権下(1975-1979年)で、農業以外の産業が排斥された影響も残り、縫製業以外の産業の成長が遅れています。他方で、サービス業は、2019年の観光収入が49億米ドル(CEIC)と名目GDP(IMF「World Economic Outlook, October 2022」)の18.2%となるなど、経済を下支えしています*6。観光業は、2020-2021年は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けて外国人観光客が大幅に減少し大きな打撃を受けましたが、足元では2021年11月以降の水際対策緩和*7を受けて回復しつつあります。
近年は、カンボジアの低廉な人件費や米中貿易摩擦等を背景に、タイプラスワン、ベトナムプラスワンとして、サプライチェーン上のカンボジアの重要性が増しており、海外からの製造拠点のシフトが進んでいます。カンボジアの貿易動向を見ると、輸出・輸入を合わせた貿易総額は拡大傾向にありますが、貿易収支は輸入超過で赤字が継続しています(図表3 カンボジアの貿易の推移)。貿易品目については、輸出の約50%が縫製品、輸入の約20%が繊維原料となっており(図表4 カンボジアの貿易品目(2020年))、縫製業への集中が目立ちます。加えて、貿易相手国を見ると、輸出の38.5%が米国向けとなっており、輸出先の多角化が課題となっています。また、最大の輸入先である中国からの輸入が、2010年の11.9億米ドルから、2021年には97.6億米ドルにまで増加しており(出所:アジア開発銀行(ADB)(2022b))、貿易赤字拡大の一因になっています*8。
このようにカンボジアでは、縫製業以外の産業を育成し、競争力や生産性を高めていくことや、産業構造の高度化が課題となっています。しかし、ポル・ポト政権下における学校教育の廃止や知識人の虐殺により人材が不足しており、また、近隣諸国と比較しても各段階の教育修了率が低い状況にあります(図表6 教育修了率)。これらを背景に、企業の生産性を草の根から上昇させることが困難となっており、人材育成が大きな課題となっています。
カンボジアでは、全企業数のうち、99.8%が中小零細企業(以下、零細企業、小規模企業及び中規模企業をまとめて中小企業という。)であり、かつ、労働者の72.0%は中小企業で雇用されている等、中小企業が重要な位置を占めています。また、カンボジアは平均年齢が26.5歳*9と若年人口が多く、将来的な労働人口の増加が見込まれるなか、雇用の受け皿として中小企業の更なる発展が求められています。加えて、カンボジア経済の持続的・包括的な発展のためには主力産業である観光業のほか、製造業の振興が重要であり、その担い手となる中小企業の生産性を特に高める必要があると言えます。筆者が2022年10月に、カンボジアで現地政府機関と面会を行った際にも、輸出を増加させるため、特に農産物加工や製造業分野の中小企業への支援が非常に重要になる、との声が聞かれました。


2.カンボジアの中小企業の発展に向けた課題
カンボジアの経済成長のドライバーとなることが期待されている*10中小企業ですが、他方で中小企業の発展のためには、様々な課題があります。カンボジア商工会議所(Cambodia Chamber of Commerce(CCC))は、カンボジアの中小企業の発展課題として、電気料金及び輸送コストの高さ、技術へのアクセスを実現するための人材の不足、そして、金融アクセスの欠如を挙げています。
特に金融アクセスについては、66%の中小企業が自社の課題であると回答しています*11。カンボジアには、2021年12月時点で、商業銀行54社、マイクロファイナンス機関77社など141の金融機関が存在しており、その拠点数は合計2,552箇所となっています*12。カンボジアの人口やGDPの規模から考えると金融機関数は少なくないと考えられる一方で、中小企業と金融機関の双方が課題を抱えており、中小企業には十分な資金が行きわたっていないと考えられます*13。
まず、中小企業側の課題として、多くの中小企業で財務諸表が作成されていないことが挙げられます。CCCによれば、カンボジアの中小企業の90%は財務状況の報告を行っていないとされており、実際に、2022年10月に現地調査で訪問したプノンペンの中小企業2社(A社は、年商約2百万米ドル、従業員数約15名。B社は、年商約20万米ドル)においても、財務諸表は作成されておらず、請求書や領収書等に基づいて経営の管理を行っていました。
また、カンボジアの多くの中小企業では、省庁への登録に不備があるという課題があります。カンボジアでは事業を開始するにあたって、商業省や税務総局に登録する必要がありますが、商業省によれば、カンボジアの中小企業の97%は商業省への登録が行われていません*14。公的に確認された事業内容や雇用状況等の情報が存在しないため、金融機関側から中小企業の経営実態を把握することが困難であり、中小企業は金融機関の支援を得ることが難しい状況にあります。
他方、金融機関側の課題としては、貸付金利が高いこと、そして、貸付を行う際に、多くの場合で、中小企業に対して不動産の担保提供を求めていることが挙げられます*15。カンボジアでは、融資原資の73%を預金に依存していること等から*16、貸付金利が高く設定されています。また、先述のとおり、多くの中小企業では、財務諸表が作成されておらず、貸し手と借り手の間の情報の非対称性が大きいため、金融機関は貸付金利を高く設定した上で、不動産担保によって融資リスクの保全を図っています。マイクロファイナンス機関は、たとえば3,500米ドル以下の少額の融資については無担保で実行することがあるものの、基本的に一定額以上の融資には不動産担保の提供を条件としており、さらに平均的な金利が商業銀行より高く*17、返済負担が大きいことから、成長途上にある中小企業はマイクロファイナンス機関から十分な資金調達が困難であると考えられます。不動産担保を提供できる大規模な中小企業は、商業銀行から資金調達ができると考えられる一方、担保として提供できる不動産を持たない中規模・小規模の中小企業は、資金需要を満たすことが困難であり、発展の機会を逸失していることが考えられます。


3.中小企業の金融アクセス向上のための金融セクター支援
カンボジア中小企業の発展課題に関連して、日本や国際機関は、金融セクターにおける制度及び人材育成支援等を実施しています。
具体的には、日本の支援として、国際協力機構(JICA)が新型コロナウイルス感染症の拡大によって影響を受けた中小企業の支援等を目的に、金融セクター等を対象とした緊急支援円借款をADBやWBと連携して供与しているほか、カンボジア日本人材開発センター(Cambodia-Japan Cooperation Center(CJCC))を通じて、中小企業経営者に対するビジネストレーニングを行うなど、産業人材育成支援等を行っています。
国際機関による支援としては、国際金融公社(IFC)がカンボジアの商業銀行であるHattha Bankの社債を購入することを通じて、中小企業への融資を促進していることに加え、カンボジア国立銀行と協力してサプライチェーンファイナンスの市場開発を計画し、中小企業の資金調達を支援することを検討しています。また、ADBやWB等はカンボジア信用保証公社(Credit Guarantee Corporation of Cambodia(CGCC))に対する技術支援を行うなど、制度面の整備が日本や国際機関の支援によって進められています。今後、これら制度の活用を進めるためにも、人材育成支援の更なる推進が重要と考えられます。
カンボジア政府は、中小企業の金融アクセス向上のため、2020年に政策金融機関であるカンボジア中小企業銀行(SME Bank of Cambodia(SME Bank))を立ち上げました。SME Bankは、カンボジア政府が優先的な支援対象先と位置づけているセクター(観光業等)に対して、カンボジアの民間金融機関との協調融資等を行っています。また、不動産担保を用意できない中小企業への融資を推進すること等を目的に、2021年には先述したカンボジア信用保証公社(CGCC)を設立しました。CGCCは、金融機関の融資に信用保証を付けることによって中小企業の資金調達を支援しています。
SME BankやCGCCは設立からまだ間もないため、融資や信用保証の件数は未だ少数にとどまっていますが*18、カンボジア政府の政策による後押しにより、今後さらに活動が拡大していくものと見込まれます。これらの政府系機関は今後、中小企業の金利負担の削減や、不動産の担保を提供することができないため資金調達が難しい中小企業に対する資金供給といった役割を担っていくことが考えられます。政府系機関は、効率的な経営や高いガバナンスが求められることから、これらに対処しながら、中小企業に対する支援を実施する体制を整えていく必要があると考えられます*19。


4.おわりに
カンボジア経済が安定的に成長し、持続的に発展していくためには、本稿で述べた様々な課題に対処していく必要があると思われますが、その中でも経済成長のドライバーになりうる中小企業の発展と、そのための金融アクセスの改善に向けた取組みは、喫緊の課題になっていると考えられます。財務総研では、2003年以降、ベトナムやマレーシア等の中小企業の資金調達環境の改善のために、各国の政策金融機関に対して中小企業金融支援を行ってきましたが、今後も、カンボジアを始め各国の実情に応じて、知的支援の取組みを通じて、その発展に貢献していければと考えています。

コラム:カンボジアの債務・金融情勢、日カンボジア関係
カンボジア経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により個人消費や外需、観光関連産業が落ち込んだことを受けて、2020年の実質GDP成長率は前年比▲3.1%となったものの、政府支出の拡大や財輸出の回復等を背景に、2021年は前年比+3.0%とプラス成長に転じました。今後の経済見通しは、IMF(2022年12月時点(IMF(2022a)))によると、観光業の回復等を背景に、2022年は前年比+5.0%、2023年は+5.4%と回復が続くと見込まれております。その一方で、中国等主要な経済大国の状況やインフレ、民間債務の拡大等が、経済の下振れリスクとして指摘されています。カンボジアの政府債務残高は、2022年末で名目GDP比36.8%(IMF推計)と抑制されており、IMFは全体的な債務リスクは低いと評価していますが*20、民間債務については、ここ数年、与信の伸びが名目GDPの伸びを上回って推移しており、2021年末には民間セクターへの与信残高が名目GDP比約170%に達するなど、借手が返済に窮した場合等に、経済の足を引っ張る懸念があるとされています*21。
金融面の課題としては、米ドル中心経済からの脱却が指摘されています。カンボジアでは、現金流通量の約90%が米ドルとなっており、自国通貨リエルの流通量が少ないため、金融政策の自律性に欠け、中央銀行であるカンボジア国立銀行は主に預金準備率の上下による流動性のコントロールで対応しており、緊急時の金融調節手段の乏しさが課題となっています。こうした中、カンボジア政府は「脱ドル化」を模索しており、公務員給与のリエル建て支払いや、市中銀行からカンボジア国立銀行への少額ドル紙幣の持ち込みに手数料を課すといった施策を打ち出してきました。また、自国通貨の強化等を目的として、デジタル通貨「バコン」を2020年10月末より世界に先駆けて運用開始しており、これには日本のソラミツ株式会社がブロックチェーン技術を提供する形で協力しています。バコンは普及する途上にありますが、依然として民間企業では給与の支払いも含め米ドルが広く利用されており、家計消費においても米ドル決済が中心となっています。カンボジア国立銀行は、経済の混乱を避けるため「脱ドル化」を緩やかなペースで進める意向であり、「脱ドル化」には時間がかかると見られます。
日カンボジア関係について見てみると、近年、日本企業のカンボジアへの進出は拡大しており、日本人商工会の会員数は2010年末の50社から、2021年には270社まで増加しています。最近では、イオン株式会社によるイオンモール3号店*22や、住友電装株式会社による住友電装第3工場等が建設されるなど、投資拡張の動きが続いています。また、イオン株式会社は、新たにロジスティクス関係を担う会社として、AEON MALL(CAMBODIA)LOGI PLUS CO., LTD.を設立し、南部シハヌークビル港経済特区内の約3万平方メートルの敷地に保税倉庫を建設、2023年第2四半期から稼働開始を予定しており*23、原料調達や出荷のリードタイム短縮、効率的な供給網の構築につながることが期待されています。
日本は主にJICAを通じたODAによりカンボジアの開発を支援し続けており、シハヌークビル港の整備や架橋建設による物流円滑化促進、CJCCによる起業家の育成や日系企業とのマッチングといった産業人材育成支援等を実施しています。また、上水道整備や病院整備等を通じた生活の質向上にも貢献しています。
カンボジア政府は地理的優位性を活かし、ASEANの中の自動車産業やエレクトロニクス産業のハブになりたいと考えており、日系製造業の誘致に積極的であると言われています。こうしたことから、今後もカンボジアと日本の関係は深まっていくと見られ、カンボジアへの支援は中長期的に日本企業にも裨益することが考えられます。

写真:カンボジアの500リエル紙幣
写真:プノンペンのイオンモール(店舗内の様子)

(参考文献)
・日本語文献
イオン株式会社(2022)「~プノンペン南部にエデュテイメントモール~「AEON MALL Mean Chey」12月15日(木)AM9:00先行オープン」(https://www.aeonmall.com/news/index/6071/)(2023年1月10日閲覧)
JCIF アジア第2部 久詰陽子(2022)「概要レポート カンボジア(2021年度)」
JETRO(2022a)イオンモール、カンボジア初の保税物流センターを起工」(https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/05/e091247cac3658c0.html)(2023年1月10日閲覧)
JETRO(2022b)「特集:アジアのサプライチェーンをめぐる事業環境 生産移管の受け皿として注目も、物流遅延や現地調達が課題(カンボジア)」(https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2022/1101/f4e1b8ad4c44b926.htmlhttps://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2022/1101/f4e1b8ad4c44b926.html)(2023年1月10日閲覧)
JETRO(2022c)「世界貿易投資動向シリーズ カンボジア 2021年版」
JETRO(2022d)「世界貿易投資動向シリーズ カンボジア 2022年版」
外務省(2022)「政府開発援助(ODA)国別データ集 2021」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 主任研究員 堀江 正人(2018)「カンボジア経済の現状と今後の展望~ インドシナ半島の小国が、7%の高成長率を持続しているのはなぜか? ~」
・英語文献
ADB(2019)「Cambodia:Cambodia Post Bank Expanding Micro, Small, and Medium-Sized Enterprise Lending Project」
ADB(2020)「Asia Small and Medium-Sized Enterprise Monitor 2020」
ADB(2021a)「Asia Small and Medium-Sized Enterprise Monitor 2021」
ADB(2021b)「Cambodia:Inclusive Financial Sector Development Program, Subprogram 3」
ADB(2022a)「Asian Development Outlook 2022 Update September 2022」
ADB(2022b)「Key Indicators for Asia and the Pacific 2022」
CGCC(2022)「CGCC Guarantee Progress Factsheet-as of 31 October 2022」
IFC(2021)「BOP HTB Senior」(https://disclosures.ifc.org/project-detail/SII/45535/bop-htb-senior)(2023年1月10日閲覧)
IMF(2022a)「Cambodia:2022 Article IV Consultation-Press Release; Staff Report; and Statement by the Executive Director for Cambodia」
IMF(2022b)「World Economic Outlook, October 2022」
IMF(2022c)「Financial Access Survey」
Khmer Times(2022)「Cambodia unveils National Policy Framework for Economic Productivity」(https://www.khmertimeskh.com/501181261/cambodia-unveils-national-policy-framework-for-economic-productivity/)(2023年1月10日閲覧)
NBC(2021a)「Data on Banking Sector」
NBC(2021b)「Data on MFI Sector」
Phnom Penh Post(2021)「NBC, IFC to boost SME financial access」(https://www.phnompenhpost.com/business/nbc-ifc-boost-sme-financial-access)(2023年1月10日閲覧)
SERC(Securities and Exchange Regulator of Cambodia)(2022)「Official launching ceremony of “National Policy Framework on Productive Economy 2022-2035”」(https://www.serc.gov.kh/english/m77.php?pn=7&sn=7&no=398)(2023年1月10日閲覧)
SME Bank of Cambodia(2022)「ANNUAL REPORT 2021 SME BANK.」
UNCDF(2022)「Access to Finance of Micro, Small and Medium-Sized Enterprises(MSMEs)in Cambodia, MSME Financing Series No. 2(Bangkok, United Nations 2022)」
ユニセフ(2021)「世界子供白書2021」
国際連合(2022)「World Population Prospects 2022」
WB(2022a)「Cambodia Relief, Recovery and Resilience Development Policy Financing」(https://projects.worldbank.org/en/projects-operations/project-detail/P176756)(2023年1月10日閲覧)
WB(2022b)「Global-Economic-Prospects June 2022」
WB(2023)「World Bank Country and Lending Groups」(https://datahelpdesk.worldbank.org/knowledgebase/articles/906519-world-bank-country-and-lending-groups)(2023年1月10日閲覧)

プロフィール
財務総合政策研究所 国際交流課研究交流係長
井山 まりな
2008年に東京税関に入関。2012年から財務省で勤務しています。財務省では、主にアジアや欧州のマクロ経済情勢や金融政策動向についての調査などに従事してきました。2021年7月から財務総研に勤務しています。

財務総合政策研究所 国際交流課研究員
町田 孝陽
2011年に株式会社日本政策金融公庫へ入社。2021年4月から財務総研の研究員として、特に東南アジアの中小企業金融の状況に着目しながら、調査・研究を行っています。

財務総合政策研究所
POLICY RESEARCH INSTITUTE, Ministry Of Finance, JAPAN
過去の「PRI Open Campus」については、
財務総合政策研究所ホームページに掲載しています。
https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/index.html

*1) 我が国と社会的・経済的に密接な関係にあるアジア地域を中心とした開発途上国の財務省等の若手幹部候補生に対して、我が国の財政・経済に関する知識・経験の提供等を行うことにより、参加各国の人材育成を支援することを目的に、1992年以降実施。
*2) 本稿の意見に係る部分は、全て執筆者の個人的見解であり、財務省及び財務総研の見解ではないことをお断りする。また、紹介する経済データ等は、執筆時点での情報である。
*3) カンボジアの一人当たり名目国民総所得(GNI)は1,550米ドル(2021年時点。出所:WB)。WBはGNIが、1,086米ドル~4,255米ドルの国を「低位中所得国」、4,256~13,205米ドルの国を「上位中所得国」、13,205米ドル以上の国を「高所得国」と定義(WB(2023))。
*4) SERC(Securities and Exchange Regulator of Cambodia)(2022)
*5) Khmer Times(2022)
*6) IMF(2022a)、IMF(2022b)による。
*7) 2021年11月15日にワクチン接種済みの外国人に対する入国規制を緩和。2022年10月3日以降は水際措置を撤廃し、ワクチン接種の状況に関わらず、到着後の隔離、陰性証明書の提示等が不要となった。
*8) 2021年は、シンガポールとスイスからの宝石・貴金属の輸入も急増しており、貿易赤字拡大に影響した。この背景には、「金」の価格高騰を受けた投機的な動きがあると見られている。
*9) 国際連合(2022)
*10) 経済回復に向けたロードマップである「The Strategic Framework and Programs for Economic Recovery in the Context of Living with Covid-19 in a New Normal 2021-2023(Royal Government of Cambodia)」の中で、中小企業は経済成長のドライバーと位置付けられている。
*11) UNCDF(2022)
*12) カンボジア国立銀行(NBC(2021a)(2021b))
*13) カンボジアの成人人口10万人あたりの商業銀行の支店数は、2021年時点で、約12支店。これは、ASEAN(ミャンマーを除く)の中で、ブルネイ、インドネシアについて高い水準。(IMF(2022c))。
*14) UNCDF(2022)
*15) カンボジア国立銀行等の政府関係機関からのヒアリング。
*16) 2019年時点のカンボジア金融機関の平均的な預金金利は、ドル建てで4.9%、リエル建てで6.2%となっており、金融機関は預金金利にオペレーションコストを上乗せし融資を実施する。(UNCDF(2022))
*17) マイクロファイナンス機関の平均貸出金利は、10.8%~18%と、商業銀行の8~12%と比べ、高い(UNCDF(2022))。
*18) カンボジア国内の中小企業数約50万社に対し、SME Bankの顧客数、CGCCの信用保証件数はそれぞれ、1,701社(2021年12月時点)、824件(2022年10月末時点)となっている。
*19) WBが発表している世界ガバナンス指標によるとカンボジアは「汚職の抑制(Control of Corruption)」の項目が、ASEAN10か国の中で最も低い状況にある。
*20) IMFは2022年12月に公表した「STAFF REPORT FOR THE 2022 ARTICLE IV CONSULTATION—DEBT SUSTAINABILITY ANALYSIS」において、「Cambodia remains at low risk of external and overall debt distress under the Low-Income Countries Debt Sustainability Framework(LIC-DSF).」と評価(IMF(2022a))。
*21) IMF(2022a)
*22) イオンモール3号店の一部は2022年12月15日に先行オープンしている(出所:イオン株式会社(2022))。
*23) JETRO(2022a)(2022b)

図表2.カンボジアの名目GDP構成比
図表5.カンボジアの貿易相手国(2021年)
図表7.カンボジアの企業数・雇用者数
図表8.カンボジアの実質GDP成長率の推移
図表9.主要国際機関による経済見通し
図表10.カンボジアの政府債務残高の推移
図表11.カンボジアの民間セクター向け与信の推移
図表12.日本の対カンボジア援助形態実績
図表13.主要ドナーの対カンボジア経済協力実績