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特集 自宅からのe-Taxがスタンダードに!令和5年1月からスマホやマイナンバーカードを利用した確定申告がさらに便利に!

国税庁では、政府全体のデジタル社会の実現に向けた取組の一環として、納税者の利便性向上と税務行政の効率化を図る観点から、税務行政のデジタル化を推進しており、自宅からのe-Taxの利用を広く呼び掛けている。令和5年1月からは、スマホやマイナンバーカードを利用した確定申告が、さらに便利になる予定だ。取材・文 向山 勇
 
新たに公的年金等の源泉徴収票、国民年金保険料控除証明書も対象に
マイナポータル連携による自動入力でより手軽に確定申告ができる
医療費は1年間分の情報が取得可能に
 
確定申告のマイナポータル連携は令和2年分からスタートし、確定申告をする際にマイナポータルを通じて株式の特定口座や住宅ローン、生命保険料などの申告に必要な各種控除証明書等のデータを一括取得し、申告書の該当項目に自動入力できるようになっている。令和3年分からは、対象がふるさと納税、医療費、地震保険料にも拡大。令和4年分からは、公的年金等の源泉徴収票と国民年金保険料控除証明書がマイナポータル連携の対象に加わる予定だ。
また、令和3年分では、9月~12月までの4か月分であった医療費控除に必要な医療費通知情報(原則、保険診療分)が、令和4年分からは1年を通じた情報の取得が可能となる。医療費控除は、家族分をまとめて申告することも可能だが、その場合には、申告する人を代理人として設定すれば、家族分のデータも取得できる。
なお、マイナポータル連携を実際に利用できるのは、事前設定(P5参照)をしてから数日後になる場合もあるため、早めに手続をしておいたほうがいいだろう。一度設定すれば、新たに追加する控除証明書等がある場合を除き、翌年以降は事前設定なしにマイナポータル連携が利用できる。
ただし、マイナポータル連携は控除証明書等の発行元がマイナポータル連携に対応している必要がある。ふるさと納税の場合には、特定事業者を通じて行なった寄附のほか、自治体に直接、寄附をした場合も対象となるものがあるので、国税庁ホームページ(P5のSTEP 4を参照)で確認されたい。
 
column
令和4年分の確定申告で自動入力が可能なもの
令和4年分の確定申告では、新たに公的年金等の源泉徴収票、国民年金保険料控除証明書、1年間分の医療費通知情報がマイナポータルを通じて取得できるようになり、合計9種類の控除証明書等のマイナポータル連携によるデータの一括取得・自動入力が可能となる予定。また、以前から対象となっていたふるさと納税、生命保険料、株式の特定口座についても、マイナポータル連携に対応している控除証明書等の発行者が増えており、今まで利用できなかったが利用できるようになっている場合もあるので、マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧(P4)や、国税庁ホームページ(P5のSTEP4)を参照されたい。なお、マイナポータル連携による自動入力の対象については、今後、給与所得の源泉徴収票、iDeCoや小規模企業共済掛金などに順次拡大されていく予定となっている。
 
マイナポータル連携の事前設定
 
マイナポータル連携を利用するための事前設定については以下の通り。STEP 1のマイナンバーカードの取得に一定の期間を要するほか、STEP 4までの設定を終えても、証明書等によっては、控除証明書等の取得に一定の時間がかかる場合があるので、早めのマイナンバーカードの取得や前もっての事前設定をおススメしたい。
令和4年1月から、これらの事前設定のための特設ページがマイナポータルに設けられており、画面の案内に沿って操作を進めれば、スムーズに事前設定が完了するようになっているので、ぜひ活用したい。
なお、事前設定は1度行ってしまえば、控除証明書等の追加がない限り、次からは設定不要なので、翌年以降はスムーズにマイナポータル連携を利用することができるようになる。
 
STEP.1 マイナンバーカードを取得
 
マイナポータル連携を利用するには、マイナンバーカードが必要。マイナンバーカードの取得申請は、郵送などでも可能だが、交付申請書(※)を利用してスマートフォンやパソコンでオンライン申請すると、発行までの時間を短縮できるのでおススメ。
(※)マイナンバーカードを取得していない方には、令和3年3月までに、オンライン申請に使用できるQRコード付きの交付申請書が送付されている。
 
STEP.2 マイナポータルへ登録
 
スマートフォンかパソコンで「マイナポータル」のトップページにアクセスし、案内に沿って、利用者登録(マイナポータルへ登録)を行う。
 
STEP.3マイナポータルの「もっとつながる」設定
 
マイナポータルの「もっとつながる」メニューからマイナポータルとe-Tax、ねんきんネット及び民間送達サービスをつなぐ。
(注)「民間送達サービス」とは、民間企業が提供している、インターネット上に自分専用のポストを作り、自分宛のメッセージやレターを受け取ることができるサービスのこと。
 
STEP.4 証明書等の発行元と民間送達サービスをつなぐ(連携)設定
 
(1)証明書等の発行元(例・ふるさと納税の特定事業者や保険会社等)がマイナポータル連携に対応していることと、どの民間送達サービスを利用しているか国税庁ホームページで確認。
(2)発行元のサイトから民間送達サービスと連携するための手続を行う。手続方法は上記STEP 3の民間送達サービスから一連の流れで行える(発行元が対応している場合)。不明な場合は、発行元にお問い合わせを。
 
STEP.5 確定申告書等を作成
 
STEP 4までの事前設定が完了し、マイナポータル連携が利用できるようになったら、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で確定申告書等の作成を行う。
「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額等を入力するだけで、所得税等の申告書や、青色申告決算書・収支内訳書等の作成・e-Taxによる送信(提出)・印刷ができる。また、自動計算されるので計算誤りがない。
令和4年分の確定申告については、マイナンバーカードを利用した申告について、これまで申告書の作成から送信までの間に3回必要だったマイナンバーカードの読み取りが1回で済むようになるほか、青色申告決算書と収支内訳書がスマートフォンで作成可能となるなど、申告書の作成・e-Taxがますます便利になる。
 
令和4年分(令和5年1月以降)からさらに便利に!
マイナンバーカードの読み取り回数が3回から1回で済むように
 
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」でe-Taxへ送信(提出)するには、これまで、作成開始からe-Taxで送信するまでの間、(1)e-Tax登録情報の確認、(2)電子署名の付与、(3)e-Taxへのログインの合計3回マイナンバーカードを読み取る必要があった。令和5年1月からは、申告書の作成を開始する際に、一度だけログインのためのカードの読み取りを行えば、以降のカードの読み取りやパスワードの入力の操作は不要となる。ただし、電子署名の付与が不要になるのは、過去にマイナンバーカードを利用して申告したことがある人が対象となる。
なお、令和5年1月以降に初めてマイナンバーカードを利用して申告をする場合でも、e-Taxへログイン後、マイナンバーカードの署名用電子証明書を使って本人確認を行うことで、電子署名の付与の際のマイナンバーカードの読み取りが不要となる。
 
青色申告決算書・収支内訳書もスマホで作成できる
 
これまで、事業所得や不動産所得がある場合に提出が必要となる青色申告決算書・収支内訳書は、パソコンのみで作成可能であったが、令和5年1月から青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成可能になる。
青色申告決算書、収支内訳書を作成した後は、その情報を引き継いで、所得税の確定申告書をスマホで作成することができ、これらの書類を併せてe-Taxで送信することが可能。さらに作成後のデータを保存しておけば、翌年の確定申告で青色申告決算書等を作成する際に、保存したデータを利用でき減価償却資産などの情報が引き継がれるので便利だ。
 
確定申告書等作成コーナーの便利な機能の紹介
給与所得の源泉徴収票をスマホでパシャリ カードの読み取りもスマホで
 
スマホは利用者にとって身近なデバイスであり、スマホで申告書の作成が可能となって以来、自宅からスマホを利用したe-Tax申告が年々増加している。
スマホによる申告においては、スマホの画面サイズに適したスマホ専用画面も年々拡大しており、使いやすさも向上している。
また、スマホで申告書を作成する場合、給与所得の源泉徴収票の内容を入力する際に、スマホのカメラで源泉徴収票を読み取って、入力項目に自動反映することができるので便利だ。
パソコンでe-Taxを利用する際、かつては、マイナンバーカードを読み取るためにICカードリーダライタが必要であった。今では、マイナンバーカード読取対応スマホがあればスマホをICカードリーダライタ代わりに利用することができるようになっている。
パソコンに表示されるQRコードをマイナポータルアプリで読み込むことで、スマホとパソコンが連携される。
 
参考情報
キャッシュレスで国税の納付が可能
国税庁では、納税者の利便性の向上と現金管理等に伴う社会全体のコストを縮減する観点から、令和7年度までにキャッシュレス納付割合を4割とすることを目指している。
国税の納付に当たっては、多様な納付手段があるが、金融機関や税務署等の窓口に赴く必要がなく、自宅や事務所などから納付手続きが可能な「キャッシュレス納付」は納税者の利便性が高い納付手段であり、新型コロナウイルスの感染症の感染防止の観点からも、非対面であるキャッシュレス納付の利用拡大が期待されている。
キャッシュレス納付には(1)振替納税、(2)ダイレクト納付、(3)インターネットバンキング、(4)クレジットカード納付、(5)スマホアプリ納付などの方法があるので、是非ご利用いただきたい。
マイナンバーカードの利用範囲が順次拡大中
マイナンバーカードは、確定申告や年末調整以外にも様々な分野で利用の範囲が広がっている。主に7つのメリット(図表参照)があるが、令和3年10月20日からは、健康保険証としても利用可能になった。また、令和5年5月からは、マイナンバーカードの機能(電子証明書)のスマートフォンへの搭載が予定されている。さらに、運転免許証や在留カードとの一体化も検討されており、今後、ますます便利になる予定だ。
マイナンバーカードの7つのメリット
 
Merit1
本人確認書類になる!
●ライブ会場の入場、携帯電話の契約、会員登録などに使える!
●旧姓(旧氏)の併記ができる!
●行政手続などでマイナンバーの提示を求められたときに、1枚で済む!
 
Merit2
コンビニで各種証明書が取得できる!
●市区町村窓口に行けないときも近くのコンビニで住民票の写しや課税証明書などが取得できる!
 
Merit3
健康保険証として使える!
●対応する医療機関・薬局は拡大中!
●本人の同意のもと、医師・薬剤師と特定検診・薬剤情報などが共有でき、より良い医療が可能に!
●手続きをしなくても、限度額を超える自己負担の支払いが不要に!
 
Merit4
新型コロナワクチン接種証明書の
電子交付にも利用!
 
Merit5
オンラインで行政手続!
●子育てなどに関する手続もオンラインで!ワンストップで!
●マイナンバーカードを使ったe-Taxがますますベンリに!
 
Merit6
「マイナポータル」で暮らしがもっとベンリに!
■マイナポータルを使えば…
●行政機関などが持つあなたの情報を確認できる!
●行政機関などからのお知らせを受け取れる!
■さらに
●特定健診情報等、薬剤情報、医療費通知情報が確認できるようになる!
●確定申告の医療費控除がカンタンに!
 
Merit7
民間のサービスでも使える!
●キャッシュレス決済サービスにおける口座登録時の本人確認などに使える!
●職員証としての利用も!
 
 
 
図表.確定申告書等作成コーナーを利用した自宅からのe-Taxはこんなに便利!
図表.マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧
図表.マイナンバーカードの読み取り回数が1回に!
図表.青色申告決算書・収支内訳書がスマホで作成可能に!
図表.スマホのカメラで給与所得の源泉徴収票を読み取り自動入力
図表.QRコード読み取り手順
図表.キャッシュレス納付の方法