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秋篠宮皇嗣同妃両殿下の税関ご視察について

 
関税局税関調査室/東京税関/横浜税関
 
 
1税関へのご視察
税関は、安政6(1859)年の開港により設置された運上所を前身としており、全国の運上所が税関に呼称を統一し、正式に発足した明治5(1872)年から数えて、令和4(2022)年に150年を迎えます。
令和4年9月14日、秋篠宮皇嗣同妃両殿下に税関の現場をご視察いただきました。
両殿下を税関にご案内するのは初めてであり、当日は、不正薬物やコピー商品の密輸阻止を目的として、国際郵便物、海上コンテナ貨物及び入国旅客の手荷物に対し実施する検査の模様等をご覧いただきました。
 
***
 
(1)横浜税関本関(神奈川県横浜市)
当日、両殿下は、ご視察を横浜税関本関から開始され、井上財務副大臣、諏訪園関税局長及び源新横浜税関長が、到着された両殿下をお出迎えしました。
ご視察冒頭、井上財務副大臣のご挨拶、諏訪園関税局長による税関の概要説明が行われた後、国際郵便物の課税処理や検査の様子をご説明しました。
まず、両殿下がおられる横浜税関本関と川崎外郵出張所をオンラインで繋ぎ、現地の担当者から、モニターを通して、多種多様な郵便物が輸入される中、どのように検査を行うか、また、品目によって、税率が異なる場合があることや、物流を阻害しないよう迅速に処理する必要があることなどをご説明しました。
その後、両殿下には、税関で輸入を差し止めたコピー商品の実物をご覧いただき、ブランド品のバッグ等のコピー商品にとどまらず、効果や効能などが疑わしく、国民の安全・安心に危険を及ぼしかねない化粧品や医薬品の偽造品を差し止めた事例もあることをご説明しました。
コピー商品等をご覧いただいたところ、両殿下より、ここ数十年でコピー商品の量が増加している理由や、コピー商品が摘発後にどう扱われるかなど、ご質問をいただきました。
また、庁舎のシンボルであるクイーンの塔や創建当初の形が残った遺構をご覧いただき、横浜港の変遷とその中で横浜税関が果たしてきた役割などをご説明しました。
写真:(秋篠宮皇嗣同妃両殿下が横浜税関1階ロビーにご到着)
写真:(井上財務副大臣からご挨拶)
写真:(展望フロアにて)
 
(2)横浜税関コンテナ検査センター
(神奈川県横浜市)
本関に続いて、横浜市本牧にある横浜税関コンテナ検査センターをご案内しました。同センターでは、大型X線検査装置によるコンテナ貨物の検査の様子やコンテナから取り出された貨物の検査風景などをご覧いただきました。また、同センターで実際に摘発された不正薬物の事例をご紹介するとともに、年々貨物の取扱量が増加する中で不正薬物等の密輸リスクに応じた取締りの重要性が高まっていることをご説明しました。
また、税関職員による貨物検査状況をご覧いただいたところ、両殿下から、検査に際しての工夫などについて、お尋ねがありました。
写真:(大型X線検査装置の説明)
写真:(コンテナ貨物の検査)
 
(3)東京税関羽田税関支署(東京都大田区)
最後に、羽田空港国際線ターミナルに所在する東京税関羽田税関支署をご案内しました。ここでは、海外旅行者の手荷物に対する検査の状況やスマートフォンのアプリを利用した電子申告ゲートの概要などについてご説明しました。
また、麻薬探知犬による薬物探知のデモンストレーションをご覧いただいたところ、両殿下から、犬種や雌雄の違いによる麻薬探知犬への適性や、ハンドラーと麻薬探知犬とのペアの組み合わせなどについて、ご質問をいただきました。
写真:(旅具検査台にて)
写真:(麻薬探知犬によるデモンストレーション)
 
(4)ご視察を終えて
長時間のご視察行程となりましたが、両殿下は、ご視察の先々でご説明差し上げた職員に対して熱心にご質問をされるなど終始高いご関心が伺え、両殿下に税関の役割を知っていただく得難い機会となりました。
また、ご視察の先々では、両殿下が職員の健康などを気遣うお言葉も賜り、迅速な通関を確保しつつ安全・安心な社会の実現に向けて不正薬物等の密輸阻止に日々奮闘する職員にとって、何よりの励みとなりました。
※ご視察当日にお迎えやご説明に当たった税関長や担当職員の所感などを次にまとめました。
 
 
2税関長所感
東京税関長 臼杵 芳樹
税関が発足してから150周年という大きな節目を迎えるに当たり、9月14日、秋篠宮皇嗣同妃両殿下に税関をご視察いただきました。
東京税関においては羽田税関支署に両殿下をお迎えし、税関職員の職務の様子をご覧いただくとともに、税関の役割についてご説明を差し上げました。両殿下からは、各職員の説明に熱心に耳を傾けていただき、税関の職務に対する温かいお言葉や労いのお言葉を賜りました。
税関は、発足より我が国の貿易の健全な発展と安全な社会の実現に大きな役割を果たしてきましたが、今回の両殿下のご視察は、全ての税関職員が、日本の発展に重要な役割を担ってきた歴史ある組織の一員として働くことに誇りを持ち、新しい時代に踏み出す契機になるものと確信しています。
 
横浜税関長 源新 英明
本関正面玄関で両殿下をお迎えしてからコンテナ検査センターでお見送りするまでの間、お二人は移動の最中もご質問をお寄せになるなど、終始高いご関心を示されて、大変光栄に感じました。旧税関長室で開港以降の横浜税関及び横浜港の歴史等をご説明した際には、パネル展示の写真をご覧になりながら、皇嗣殿下は本関庁舎周辺の空襲の被害について神妙な表情でお尋ねになられて、戦争の影響についても思いを巡らせておられました。
各ご視察先で賜った職員を気遣うお言葉は、横浜税関のみならず、全国の税関職員にとって、何よりの励みになる誠にありがたいお言葉だと感じました。職務により一層精励してまいりたいと、決意を新たにした次第です。
 
 
3ご説明を担当した職員の声
(1)横浜税関本関
山上 薫・西潟 正美
➢ 大変緊張しつつ両殿下をお迎えしましたが、しっかりと横浜港と税関の歴史をお伝えすることができたことは、長い税関人生の中でも大変貴重な経験となりました。
➢ 初めて皇室の方へご説明する機会をいただき、本職はこれまでにないほど緊張しておりましたが、両殿下から多くの優しいお言葉を賜り、無事にご説明の大任を果たせたことは、これまでの税関人生の中で一番の出来事になりました。
 
(2)横浜税関川崎外郵出張所
石川 陽一・田村 潤一・菊池 正二・
池田 喜代・岡本 賢治・勝田 寛子
➢ 日々たくさんの郵便物が到着するため、迅速な処理も併せて必要であることをご説明させていただきましたが、両殿下はとても丁寧に説明を聞いてくださり、また、税関行政にとても関心を寄せてくださっていることが質問からも伝わってきました。
➢ オンラインでのご視察のため、小さなモニター越しでしか両殿下のご様子は拝見できなかったのですが、検査の様子を熱心にご覧いただいていることが良く分かり、とても嬉しく思いました。
➢ コピー商品と疑われる時計とバッグをオンラインで繋いだモニターに映しながら説明させていただきましたが、優しいお人柄が画面越しにも伝わってきました。貴重な経験をさせていただきありがとうございました。
 
(3)横浜税関コンテナ検査センター
木村 康広・山内 健・橋本 友二・藤原 浩高・杉浦 友亮・勝海 菜月
➢ 両殿下は、コンテナ輸送の高い利便性や、それを検査する大型X線検査装置の仕組みなどにご関心を示され、多くのご質問もいただきました。説明が終わって出口に向かわれる間際まで、妃殿下から興味深くご質問いただいた時のご様子が、今でも印象に残っています。
➢ 秋篠宮殿下がグッと身を乗り出され、資料を見ながら多くの質問をなさってくださった姿が印象的で、興味をお持ちいただけたのかなとホッとした気持ちになりました。
➢ この様な機会をいただき、深く感謝するとともに、両殿下とお話しすることが出来ましたこと、大変光栄に思っております。検査では、貨物によってはコンテナの中に入って検査を行うこともあります。「夏場は暑く、冬場は寒い」は日常ですが、妃殿下は、何度も、我々検査職員の体調を気遣うお言葉をかけてくださいました。
 
(4)東京税関羽田税関支署
井田 直樹・江口 司・藤井 義光・横山 村樹・安田 いづみ・山岸 里菜
➢ 温かい雰囲気の中、両殿下がご視察を楽しまれているお姿を拝見し、それまで積み重ねてきた準備がすべて報われたような気持ちになりました。今回の視察に関わった人のみならず、すべての税関職員が、大きな力をいただくご視察だったと思います。
➢ 当日を迎えるまで本当にお見えになられるのか信じられない気持ちでしたが、税関検査場内にご入場された両殿下のお姿を拝見した瞬間に「これは現実だ」と震えてしまいました。限られた時間の中で麻薬探知犬の訓練方法を細かくご説明申し上げることは叶いませんでしたが、それでも両殿下より想定を上回るご質問を頂戴いたしました。
➢ 両殿下がお姿を現した際の温かく優しい雰囲気に、緊張が和らいだのを覚えています。私からのX線検査のご説明を受けて、両殿下がモニター画面にお近づきになり、熱心に画像をご覧になられるお姿がとても印象的でした。