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ドイツの“これまで”、“今”、“これから”

生活から政治・経済、日独関係まで

在ドイツ日本国大使館 二等書記官 山下 雄大*1


はじめに
はじめまして。私は、平成26年入省の山下雄大と申します。現在、私はドイツで日本大使館に勤務しております。2021年の6月の着任でしたので、着任から1年余りが経過しました。
ドイツに対して皆様が持つイメージはどんなものでしょうか。経済大国。国際的な都市。ビールとソーセージ...などなど。私はまさにこのようなイメージをもってドイツに参りました。今回、こうして「ファイナンス」への寄稿の機会をいただきましたので、この間に私が経験したドイツについて皆様にご紹介させていただければと思います。


ドイツについて
既にご存じのことも多いかとは思いますが、ドイツとはどんな国か簡単にご紹介したいと思います。人口は、約8,300万人(2020年9月、独連邦統計庁)と日本のおよそ3分の2程度。他方で面積は日本とほぼ同程度である35.7万平方km*2。したがって、人口密度は日本と比べるとかなり低く、都市部であっても緑が多く、大使館のあるベルリンでも総面積約870平方kmのうちおよそ3割が公園などの緑地または森林です*3。大使館の隣にも「ティアガルテン」という巨大な森林公園があり、特に天気のいい休日は人々の憩いの場となっています。また、ドイツは外国にルーツを持つ人が多く住んでいます。特にベルリンでは、外国にルーツを持つ居住者の割合は35%にも上ると言われています*4。街中でもドイツ語、英語は当然のこと、フランス語やイタリア語、アラビア語と思われる言葉もよく耳にします。
ドイツは、夏が短く冬が長いです。ベルリンでは、6月から8月頃までは最高気温が25度~30度前後の日が続きます。湿度が低いこともあり非常に過ごしやすい気候ですので、多くの人が店内ではなくテラス席で食事をとっており、店の前のテラス席は満席でも店内はガラガラといったこともよくあります。しかし、最近では時折欧州大陸全般に熱波が到来することもままあり、ベルリンでも最高気温が38度を記録する日もありました。ベルリンの近くには海はないですが、小さなものも含めるとたくさんの湖や池があります。夏場は大人も子供もこの湖で日光浴や水泳、水遊びを楽しんでいます。他方、8月後半にはこうした夏の暑さは早くも過ぎ去り、執筆時点の9月上旬は最低気温が12度前後、最高気温も22度前後であり、朝晩は肌寒く感じられます。さらに、10月にもなると、5度前後まで冷え込む日もありますので、早くも冬物のコートが必要です。冷え込みが最も厳しいのは、日本と同様1月2月ですが、この時期には氷点下10度を下回るような気温となることもあります。前述の湖や池はこうした厳しい寒さの元では凍り、その上で子供が遊んでいる光景も見かけます。
ドイツの日常における食事については、24時間営業のコンビニこそないものの、22時頃まで営業しているスーパーへ行けば生鮮食品のほか、多様な冷凍食品も手に入りますので、それほど不便は感じません。ベルリンでは日本の食べ物はかなり手に入りやすいと感じます。醤油やパックの寿司(ネタの種類は限られます)はもちろんのこと、うどんやそばの乾麺なども大手スーパーで買うことができます。また、店を選べば味噌や日本の米も購入できますので、自宅で日本食を作ろうと思えば必要なものはほとんど近所で手に入ります。また、ベルリンには、日本人の経営する寿司屋やレストラン、ラーメン屋、さらにはドイツ人の経営する日本酒バーまでもあり、日本食が食べたくなればいつでも食べられる環境が整っています。
このように基本的な生活において不自由しないドイツ生活ですが、1点注意しなければならないことがあります。それは、日曜日及び祝日は飲食店等を除き、ほぼ全ての店が閉店してしまうことです。スーパーマーケットもドラッグストアも一部を除いて営業していませんので、前日までにあらかじめ買い物を済ませておかないとこの日には食材や日用品(トイレットペーパーなど)を買うことができません。レストランやカフェに行けば食事をとることはできますが、日用品はそういうわけにいかないので注意が必要です。私もドイツに来た頃は、冷蔵庫の中身をチェックしてから買物に向かい、そこで営業していないことに気づき、呆然と立ち尽くすと同時にドイツの祝日に気づくという経験を何度か繰り返しました。ちなみに、ドイツではこうした日曜日などは、家族と家や公園などでゆっくり過ごすほか、Trödelmarktと呼ばれる蚤の市などでショッピングを楽しむなどして過ごしています。Trödelmarktは日曜日にも開催されており、アンティーク食器や手作りアクセサリー・衣類のほかドアノブなど様々なものが販売されており、購入せずとも見て回るだけでも十分楽しめます。

コラム1
ティアガルテン
ティアガルテンは、ベルリンの中心部に位置する公園であり、南北におよそ1km、東西におよそ3kmにわたって広がっています。17世紀頃までは王家の狩猟場として利用されていましたが、ブランデンブルク選帝侯フリードリヒ3世によって、公園に作りかえられたそうです*5。公園内には森林や庭園のほか、19世紀後半のデンマーク、オーストリア、フランスに対する勝利を記念した戦勝記念塔があるほか、公園内の湖のそばにはビアガーデンもあり、夏場は賑わっています。大使館もティアガルテンの目の前に位置しているので、夏の天気のいい日には散歩をしながら帰宅することもあります。
写真1:

コラム2
医療アクセス事情
私は妻と2人でドイツに来たのですが、ドイツ滞在中に子供を授かりました。普段、日本では私も妻もそれほど頻繁に病院に通ってはいなかったのですが、妻の妊娠期間中は定期検診を含め病院に何度もお世話になりました。その際、日本の病院のアクセスの容易さを身をもって実感しました。ドイツでは、救急を除くと、予約がなければ基本的には診察を受けることはできません。また、最近では予約の空き状況等を確認できるポータルサイト等もできているのですが、近所の病院がいつも開いているとも限らないため、すぐに診察を受けることができないこともよくあります。私の妻の場合、初診時にいくつかの病院に予約を申し込みましたが、中々予約が取れず。受診するまでに数か月を要しました。
また、入院期間の短さも大きな驚きの1つでした。出産後、日本では1週間前後の入院期間が取られることが多いと聞くのですが、ドイツでは3日目頃には退院するのが普通とのことでした。


ドイツの経済・財政
ドイツの経済事情についても簡単にご説明したいと思います。ドイツのGDPは、名目で約3兆5,706億ユーロ、実質で約3兆1,863億ユーロ(いずれも2021年)となっており、それぞれ成長率はおよそ6%、2.9%となっております。2020年はコロナパンデミックの影響でドイツもマイナス成長となりましたが、2021年にはその反動もありプラス成長に戻り、GDPの水準としても名目ではコロナ前の水準を上回りました(2019年名目GDP:約3兆4,734億ユーロ、実質GDP:約3兆2,450億ユーロ)*6。ただし、2021年の成長率については、原材料不足やコロナ感染拡大に伴う制限措置の再導入等により伸び悩んだと評価されています。2022年については、2021年秋時点の政府見通しでは実質4.1%とさらに回復が加速することが見込まれていました。しかし、今年2月のロシアのウクライナ侵攻により、エネルギー価格が高騰するなどインフレ率に大きな影響が出ていること等を踏まえ、2022年春には見通しが大幅に修正され2022年の成長見通しは2.2%に引き下げられています。
上述のインフレについては、ロシアの侵攻以前からドイツ経済においては大きな注目を浴びています。2021年は、前述の原材料不足に加え、2020年に行われた付加価値税の引き下げの終了に伴う反動増により、インフレ率は前年比3.1%(2021年12月の前年同月比は5.3%)となっていました。2021年中は多くの経済学者等もこのインフレ率は付加価値税引下げの反動増の効果の一巡などにより2022年以降は落ち着くとみていたのですが、実際には大方の予想を覆して上昇し、さらにロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰の影響も受け、2022年5月には前年同月比7.9%のインフレとなりました。6月、7月には、政府の取っている月額9ユーロで一部の遠距離交通(ICEなど)を除く公共交通機関乗り放題チケットの政策等の効果もあり、インフレ率はそれぞれ7.6%、7.5%と伸びが鈍化しましたが、引き続き高インフレが進行しており、今後の物価の動向に大きな注目が集まっています。
続いてドイツの財政事情についてもご紹介します。ドイツでは、2009年の経済金融危機直後にドイツにおける憲法にあたる連邦基本法を改正し、連邦政府や州政府の財政収支を原則均衡(いわゆる債務ブレーキ)させることを義務付けました。堅調な経済状況も背景に、2014年から2019年までの間は歳入が歳出を上回ることとなり、連邦政府の新規国債発行額は0を維持しました。2020年以降は新型コロナウイルスの発生及び感染拡大に伴い、経済対策等を行うため、債務ブレーキの例外条項を用いることで国債発行を行ってきています。しかし、2022年7月に公表された2023年度連邦政府予算案では、再び債務ブレーキルールの原則に回帰することとされており、リントナー財務大臣は、「我々は、本日、財政再建を開始した。困難な環境の中で、安定志向の財政政策に戻りつつある。」とのコメントを発表しています。
ドイツはロシアのウクライナ侵攻を受け、1,000億ユーロのドイツ連邦軍特別基金を設置することを決定しました。これは基本法を改正することで、先述の債務ブレーキルールの適用を受けない形で1度きりの債務発行を行うことで資金を確保することとしています。これはドイツの外交・安全保障政策上の大転換であると称されますが、財政の観点からも、今回の1,000億ユーロの債務の返済原資及び基金払底後の資金の財源をどのように賄っていくのかなど大きな注目を集めています。

コラム3
ドイツのファストフード
ドイツ料理にはシュニッツェル(揚げ焼きのカツレツ)やアイスバイン(豚すね肉の煮込み)など有名な肉料理がいくつもありますが、ドイツの食べ物と言われて、最初に思い浮かぶものは、やはりソーセージでしょうか。しかし、実はこのソーセージ、ドイツでも地域によって様々な種類があることをご存じでしょうか。ミュンヘンのあるバイエルン地方の白ソーセージは有名ですね。店ではゆで汁とともに鍋に入って提供され、ナイフとフォークで皮を剥がしつつ甘いマスタードを付けて食べます。その他、大使館の位置しているベルリンではカリーブルストが名物です。焼いたソーセージにケチャップソースとカレーパウダーをかけた単純な料理です。街中にもカリーブルストスタンドがたくさんあり、いつも多くの人で賑わっています。
実は、ソーセージ以外にも定番のファストフードがドイツにはあります。それが、ケバブです。元々はトルコ料理ですが、トルコ系移民も数多く住んでいるからか、ベルリンではカリーブルストスタンド以上にケバブ屋を見かけるように思います。メルケル前首相が在任中しばしば訪れたというケバブ屋もあるなど、ケバブはドイツの生活にしっかりと根付いた料理となっています。

写真2:カリーブルスト
写真3:ケバブ


ドイツと日本の関係
ドイツと日本の交流は、1861年1月24日、江戸において当時のプロイセンとの間に修好通商条約が結ばれたことで始まりました。これ以降、日本とドイツの間で政治・経済をはじめとして幅広い分野で極めて緊密な関係を築いてきました。現在、ドイツは日本にとって欧州最大の貿易相手国であり、日本はドイツにとって中国に次ぐアジア第2位の貿易相手国となっています。
海外在留邦人調査統計によればドイツには2021年10月現在で42,000人近くの日本人がドイツにおり、在留管理庁在留外国人統計によれば、2021年6月現在、日本には6,000人弱のドイツ人がいるそうです*7。ドイツに日本人が多い要因の1つは、ドイツが欧州のビジネスの拠点として選ばれているためであり、海外進出日系企業拠点数調査によれば、2020年10月現在、1900近い日系企業がドイツに立地しています*8。こうした企業の多くは実はあまりベルリンには立地していません。金融関係企業はフランクフルトに立地している場合が多いですし、その他の企業は、デュッセルドルフというドイツ西部の都市に多く立地しています。デュッセルドルフ商工会議所によれば、戦後日本で機械製造や重工業製品の需要が高まったことを受け、ルール工業地帯に近いといった利点から商社がデュッセルドルフに事務所を設置したことに端を発しているようです*9。前述の海外在留邦人数調査統計によると2020年10月時点でデュッセルドルフには7,000人余りの日本人か在留しているということで、全ドイツ在留日本人の2割弱がデュッセルドルフにいることになります。
しかし、ドイツからの訪日客数は同じ欧州内でもイギリスやフランスに差をつけられており、私も大使館の一員としてさらなる貢献をしていきたいと思っています。


ドイツの政治、2021年の連邦議会選挙
ドイツは、16州からなる連邦共和制をとっています。国家元首は連邦大統領であり、立法府は連邦議会と、各州政府の代表により構成される連邦参議院からなります。連邦議会では、伝統的にキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)が二大政党でした。かつては、これら2つのいわば国民政党が、ほかの少数政党と連立を組み政権を運営することが、かつては多かったのですが、最近では、この二大政党の支持率は長期的に低下傾向にあり、2005年から4期16年続いたメルケル政権においては、2009年から2013年を除き、CDU/CSUとSPDが連立を組む、いわゆる大連立政権によって運営されました。二大政党の支持率低下は、その他の政党の支持の上昇とも見て取れます。市場経済を重視する自由民主党(FDP)や環境に対する意識の高まりを受けた緑の党(Grüne)が支持を伸ばしたほか、欧州同盟に対する反発等からドイツのための選択肢(AfD)も勢力を伸ばしました。現在のドイツ連邦議会では、これらに左派党を加えた6つの政党が議席の99%以上を占めています。
私がドイツ大使館に着任した2021年には連邦議会議員の4年の任期が終わり、9月26日に連邦議会選挙が行われました。この選挙では、16年間首相を務めたメルケル首相が事前に政界引退を宣言し、ドイツ連邦共和国の歴史では初めて現職が出馬しない選挙となったこともあり、大変な注目を集める選挙となりました。2021年春頃から次期首相候補の名前とともに、各政党の支持率が注目を集め、選挙の行われた秋までの間の世論調査では、CDU/CSUやSPDだけではなく、緑の党が第一党となる時期もあるなど、連日メルケル首相の後継者に注目が集まりました。結果は、直近のメルケル政権で副首相兼財務大臣を務めたオラフ・ショルツ氏を首相候補として擁立したSPDがメルケル氏の所属するCDU/CSUを僅差で破りました。第3党には緑の党が躍進、第4党がFDPとなりました。ご存じの方もいるかもしれませんが、多くの場合、ドイツでは選挙終了後新政権が成立するまでに時間がかかります。二大政党の支持率の低下により立場の異なる三党以上での連立交渉が必要となっていることも大きな理由の1つでしょう。2017年の選挙の際には、9月に選挙が行われましたが、実際に新政権が成立したのは、なんと翌年3月のことでした。2021年の場合、選挙は9月26日に実施されましたが、実際にSPD、緑の党、FDPによる3党連立政権が成立し、新首相が誕生したのは、12月8日のことであり、2か月以上が連立交渉に費やされたことになります。ちなみに、州政府としては過去にも例がありますが、連邦政府としては今回が初めての三党連立政権であり、ショルツ首相の舵取りにも大きな注目が集まっています。現在の内閣は、ショルツ首相の下に16名の閣僚がおり、SPDから7名、緑の党から5名、FDPから4名という構成になっています。閣僚16名のうち半数にあたる8名が女性であるというのもドイツの内閣の特色でもあります。

コラム4
ドイツの連立政権の「色」
ドイツの連立交渉においては「色」の話題が非常に多く聞かれます。これは、各政党のイメージカラーを使って連立政党を表すためです。CDU/CSUは黒、SPDは赤、緑の党は緑、FDPは黄色、左派党もSPDと同じく赤、といった具合です。連立の組み合わせはこの色を用いて表現されることが多くなっています。例えば、現在の政権はSPD(赤)・緑の党(緑)・FDP(黄色)の組み合わせなので、「信号連立」などと呼ばれています。他にはCDU/CSU(黒)・緑の党(緑)・FDP(黄色)でジャマイカ連立(ジャマイカの国旗の色から)、SPD(赤)・緑の党(緑)・左派党(赤)で赤緑赤連立などといった表現が聞かれます。


ドイツ議長国下でのG7
ご案内のとおり、2022年はドイツがG7の議長国を務めています。財務大臣・中央銀行総裁会合はドイツ西部ノルトラインヴェストファーレン州のボン郊外にあるケーニヒスヴィンター(5月18~20日)で、首脳会合はドイツ南部バイエルン州でオーストリアとの国境にも近く2015年の前回ドイツがG7議長国であった際に首脳会合が実施された場所でもあるエルマウ(6月26~28日)で、それぞれ開催されました。2023年は日本がG7議長国となりますが、サミット開催地は開催前年である2022年夏時点で既に広島と決定されています。他方、本年のドイツ開催にあたっては、前述のとおり2021年秋に連邦議会選挙が予定されていたこと、そして、その後の連立交渉が終わり、新政権が樹立したのが12月になったことなどから、サミット開催時期や場所、どの閣僚会合を開催するかそしてその時期と場所の発表は2022年1月にずれ込みました*10。私を含む大使館職員も特に開催地や時期が発表になって以降、急ピッチで日本代表団の受け入れ対応のための準備等に奔走しました。私が主に携わった財務大臣・中央銀行総裁会合では日本から鈴木財務大臣、黒田日本銀行総裁を含む25名程度の代表団を受け入れました。私個人としてもこうした大型の出張者の受け入れの経験は初めてでしたので、出張者の皆様にはご面倒をおかけすると同時に貴重な経験をさせていただくことができました。
6月の首脳会合においては、さらに大人数の日本代表団を受け入れるため、大使館だけではなく、ドイツ国内の4つの総領事館やその他の地域の大使館等からの応援出張者を含めた体制で対応にあたりました。首脳会合が開催されたエルマウ城は、最寄りの大都市であるミュンヘンから車で2時間ほどかかる場所でした。会合会場となったエルマウ城はもちろん、麓の街であるガルミッシュ=パルテンキルヒェン(ミュンヘンから車で1時間30分程度)にもそれほど大きな宿泊施設を確保することは難しいため、今回の日本代表団はこの3か所に分かれて宿泊することになりました。日本からは岸田総理大臣も出席されたうえ、大人数が様々な場所に分かれて宿泊し、かつ日毎に移動して業務にあたる人も多くいるという出張でしたので、私自身様々な苦労もしましたが、ドイツのG7議長国ハイライトともいうべき首脳会合において、現場業務の一端に携わることができたことは得難い経験となりました。

コラム5
連邦政府機関の立地
連邦政府機関については、日本の霞が関とは異なり、すべてがベルリンに立地しているわけではありません。主にベルリンと旧西ドイツの首都であったボンの2か所にある場合が多いのです。これは、東西ドイツ統一後に「ドイツ統一のための1991年6月20日の連邦議会の決議」実施に関する法律(いわゆるベルリン・ボン法)によって、首都機能はベルリンに移転するものの、教育、研究、環境等における政治的機能はボンに置くことが明記されたことなどが大きな理由です。例えば財政・金融関係の組織だけをみても、連邦財務省はベルリン、連邦中央税務庁および税関総局はボン、連邦金融監督庁はフランクフルトに立地しています。


終わりに
私の着任から1年余りにおける経験から、ドイツを紹介させて頂きました。皆様既にご存じだったこと、そうでないことがあったかと思います。様々な特色のあるドイツですが、私の拙い文章では、その魅力を十分にお伝えすることはできていないかもしれません。コロナ禍により、ここ数年はドイツに直接足を運ぶ機会がなかったという方が多いかと思いますが、今後機会があれば是非ドイツに足を運んで、実際に魅力あるドイツを楽しんでいただく機会をもっていただければありがたいです。

図表1.GDP成長率
図表2.歳出/歳入(一般政府)の推移
図表3.物価上昇率

*1) 本稿は全て筆者の個人的な見解であり、筆者の所属する組織を代表するものではありません。
*2) https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/germany/data.html
*3) https://www.berlin.de/sen/uvk/_assets/natur-gruen/stadtgruen/daten-und-fakten/ausw_5.pdf
*4) https://www.tagesspiegel.de/berlin/neue-zahlen-zu-bevoelkerung-in-berlin-35-prozent-der-berliner-haben-migrationshintergrund/25589402.html
*5) https://www.visitberlin.de/en/tiergarten
*6) https://www.destatis.de/DE/Themen/Wirtschaft/Volkswirtschaftliche-Gesamtrechnungen-Inlandsprodukt/_inhalt.html#sprg233858
*7) https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/index.html
https://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_touroku.html
*8) https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page22_003410.html
*9) https://www.jihk.de/attachments/jihk-p7152000628083407852-1-296654.pdf
*10) さらに閣僚会合の数も多く、5月、6月で計10回程度の各閣僚会合が実施されたほか、首脳会合以降の9月以降にも複数の閣僚会合が予定されています。