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令和4年度補正予算(第1号)について

前主計局総務課主計官 渡邉 和紀


1 補正予算成立までの経緯
日本経済については、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和されつつあるが、国民生活や経済への感染症による影響は依然として続いている。こうした中、ロシアによるウクライナ侵略等を主な背景に、原油や穀物等の価格や供給の不安定化など、先行きの不確実性は高くなっており、今後、コロナ禍からの経済社会活動の回復の足取りが大きく阻害されかねない。
こうした状況を踏まえ、今後の原油価格や物価高騰等によって、既にコロナ禍で経済的に厳しい環境に置かれた生活者や、特に影響を受ける業種の中小・小規模事業者等に対する支援など、まずは、直面する物価高騰による影響を緩和するための対応を緊急かつ機動的に実施するとともに、円滑な価格転嫁や賃上げを促し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、4月26日に、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(以下「総合緊急対策」という。)を原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議において決定した。
この総合緊急対策は、
・ 原油価格高騰対策
・ エネルギー・原材料・食料等安定供給対策
・ 新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等
・ コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援を柱とするものである。
総合緊急対策に盛り込まれた措置のうち、新たな財源措置を伴うもの(ただし、燃料油価格の激変緩和事業は5月分相当)については、まず、4月28日に一般予備費・新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用を決定し、迅速に対応することとした。
その上で、今後の災害、新型コロナウイルス感染症の再拡大や原油価格・物価の更なる高騰等による予期せぬ財政需要に迅速に対応し、国民の安心を確保するため、予備費の計上及び燃料油価格の激変緩和事業(6~9月分相当)を内容とする補正予算を第208回国会に提出し、成立を図ることとされた。
令和4年度補正予算(第1号)は、総合緊急対策に基づいて編成され、5月17日の概算閣議決定を経て、5月25日に国会へ提出された。その後、国会での御審議を経て、5月31日に成立した。


2 令和4年度補正予算(第1号)の概要
本補正予算は、総合緊急対策を受けて、6月以降の燃料油価格の激変緩和事業や5兆円の「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」等の確保を内容とするものであり、その具体的な内容は以下の通りである。
歳出においては、

(1)コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」関係経費(2兆6,939億円)
(ア)原油価格高騰対策(1兆1,739億円)
長引く原油価格の高騰・乱高下がコロナ禍からの経済回復や国民生活への悪影響を与えることを防ぐ観点から、燃料油価格の激変緩和事業を上半期中実施するために必要な経費を計上している。
(イ)今後への備え(1兆5,200億円)
今後の災害、新型コロナウイルス感染症の再拡大や原油価格・物価の更なる高騰等による予期せぬ財政需要に迅速に対応し、国民の安心を確保するため、一般予備費について、総合緊急対策で使用した金額相当である4,000億円を計上し、引き続き5,000億円の水準を確保するとともに、新型コロナウイルス感染症対策予備費について、「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費」として使途を拡大した上で、総合緊急対策で使用した金額を踏まえ、1兆1,200億円を計上し、5兆円の水準を確保している。

(2)国債整理基金特別会計へ繰入(70億円)
本補正予算において、特例公債を追加発行することに伴い、令和4年度中に必要となる利払費等の支払財源に充てるため、国債整理基金特別会計への繰入れを計上している。
一方、歳入においては公債を2兆7,009億円発行することとしている。
この結果、令和4年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出ともに2兆7,009億円増加し、110兆2,973億円となる。
また、令和4年度の公債発行額は39兆6,269億円となる。
成立した本補正予算を含めた総合緊急対策の各施策につき、引き続き迅速かつ適切に実行していくことにより、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰などによる影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済の回復を確かなものとするとともに、今後の災害、新型コロナウイルス感染症の再拡大や原油価格・物価高騰等による予期せぬ財政需要に迅速に対応し、国民の安心を確保してまいりたい。


( 以 上 )

図表.令和4年度一般会計補正予算(第1号)フレーム
図表.令和4年度補正予算(第1号)の概要