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大隈重信没後100年特別記念講演「新しい硬貨とお札、そして円の未来」の開催

福岡財務支局 佐賀財務事務所総務課 企画係長 上島 憲司

1はじめに
「佐賀の七賢人」という言葉をご存知でしょうか。江戸時代末期から明治維新にかけて活躍した佐賀藩出身の鍋島直正(佐賀藩十代藩主)、大隈重信(総理大臣、大蔵卿を歴任)、副島種臣(外務卿)、江藤新平(初代司法卿)、島義勇(蝦夷開拓使)、大木喬任(初代文部卿)、佐野常民(現・日本赤十字社創設)ら七人を指す言葉です。
本年は七賢人の一人である大隈重信侯の没後100年と節目の年となっており、佐賀県内では様々な記念イベントが開催されています。
佐賀財務事務所では、このような背景を踏まえ、円制度の立役者でもある大隈重信侯をキーワードに財務省理財局国庫課・佐賀市・大隈重信記念館と連携した通貨行政の広報イベントを開催しましたので、その模様を紹介したいと思います。
写真:大隈重信侯(講演資料表紙より抜粋)*1《写真提供:国立印刷局》

2取組のきっかけ
通貨行政を担う財務省理財局国庫課では、令和3年に近代通貨制度150周年の節目を迎え、同年11月に新500円貨幣発行、さらに令和6年度上期には新紙幣の発行を予定しているなど、通貨行政を広くPRできる機会を模索していたところです。
こうした中、佐賀市が管理する大隈重信記念館で企画展「円と縁」が開催(令和3年12月~4年3月)されていたことを受け、佐賀市に通貨行政の広報ニーズがあると考え、佐賀市及び大隈重信記念館へアプローチを実施しました。
その結果、例年大隈重信記念館で開催している「大隈祭」の関連イベントとして、大隈重信没後100年特別記念講演「新しい硬貨とお札、そして円の未来」を開催する運びとなり、当所が財務省と地域を繋ぐ仲介役としての機能を発揮しました。
写真 大隈重信記念館企画展「円と縁」《画像提供:佐賀市》
【こぼれ話】
当局には、プライベートな活動として大隈重信記念館と連携して様々な取組を実施している「大隈重信ファン」の職員がいます。今まで当所と全く接点の無かった大隈重信記念館との初交渉に先駆けて、財務局が目指す地域貢献や当所の目的を伝えるなど調整の地ならしを担ってもらいました。今回の取組における隠れた功績者として紹介いたします。

3当日の模様
ゴールデンウィーク最終日となる5月8日(日)、午前中に大隈祭式典が執り行われ、午後の部として、西方国庫課長を講師とした通貨行政に関する講演を実施いたしました。コロナ禍での開催となるため、屋外でテントを活用したオープンスペースでの実施、かつ定員制という制約もありましたが、飛び入りも含め、用意した座席数を超える34名の市民の方々に参加いただきました。
大隈重信記念館の江口館長による挨拶を皮切りに、西方国庫課長による講演では、円の誕生に深く携わった大隈重信侯のお金に関するエピソードのほか、改鋳(貨幣の刷新)や改刷(紙幣の刷新)の概要や意義を偽造防止技術の説明も織り交ぜながら、さらに動画も活用しつつ説明しました。また、これからの通貨の話として、中央銀行デジタル通貨(CBDC)*2についても取り上げ、政府としての検討状況を参加者にも知っていただく機会となりました。
講演後の質疑応答では、デジタル通貨に関する質問を多くいただくなど、参加者の関心の高さを窺い知る機会にもなりました。
最後に、河邊佐賀財務事務所長から講演関係者への謝辞を述べ、無事に閉会となりました。
なお、本講演では、普段あまり意識することのない「通貨」により関心を持っていただくきっかけとなるように、ノベルティグッズの配布や令和4年銘ミントセット販売等も実施しました。
写真:大隈重信記念館・江口館長による開会挨拶
写真:西方国庫課長による講演
写真:講演の模様
写真:河邊佐賀財務事務所長による閉会挨拶
写真:講演時利用パネル(イメージ)《画像提供:造幣局・国立印刷局》
写真:講演会後に現地販売した令和4年銘ミントセット*3《画像提供:造幣局》

4終わりに
今回の取組において、当所は財務省理財局国庫課・佐賀市・大隈重信記念館と連携しながら、それぞれが求めるニーズを丁寧に確認のうえ最適解を目指して調整を進める役割を担い、円滑な講演の場を整えることに注力しました。
講演実施後アンケートでは、資料の見やすさ・説明の分かりやすさといった点で高い評価をいただいたほか、「財務省がお金の企画・立案をきちんと色々な側面から考えられていることが良く分かった」といった声もいただき、参加者に通貨行政のことを深く知っていただく良い機会となりました。
当所では今後も地域のニーズを踏まえた取組を積み重ね、地域貢献を図っていきたいと思います。
《佐賀市 経済部 観光振興課》
令和4年1月に没後100年の節目を迎えた大隈重信は、2度の内閣総理大臣就任、早稲田大学の創設、そして新通貨制度の確立など、日本の近代化に尽力しました。佐賀市大隈重信記念館では昨年度、特別企画展「大隈重信の円と縁」と題して、新貨条例を制定し、日本初の銀行である第一国立銀行や民間銀行の設立にも寄与した大隈重信の功績を紹介しました。
この企画展をきっかけに、佐賀財務事務所からお声がけいただき、大隈侯を顕彰するため毎年5月に開催している『大隈祭』の関連イベントとして、市民を対象とした「円」に関する企画が進み、財務省理財局の西方国庫課長をお招きした特別講演会の実現に至りました。
当日は大隈侯と新通貨制度の関わりを、エピソードを交えながらお話いただき、参加した市民の方々に大隈侯と円について、より詳しく知っていただくよい機会となりました。
佐賀市では、現代につながる数々の功績を残した大隈重信の更なる顕彰に努め、その志を未来へ継承しています。
写真:大隈重信記念館*4《画像提供:佐賀市》

*1)講演資料表紙の黒文字については、国立印刷局の特別な印刷技術により、お札と同じ手触りを実現しました。
*2)中央銀行デジタル通貨(CBDC)について詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/202106/html5.html#page=1
https://ampmedia.jp/2022/03/15/cbdc/
*3)ミントセットは、インターネット・電話・造幣局にて購入できます。詳しく知りたい方は以下をご参照ください。
https://www.mint.go.jp/shintyaku/sale/hanbai_r4_mint.html
*4)大隈重信記念館の詳細については以下をご参照ください。
https://www.okuma-museum.jp/